慧音「どうしたの!?そんなんで中国で通用するの!?」
市ヶ谷駐屯地の訓練場で特殊警棒を構える慧音は、ナイフを構えている咲夜達を相手にしていた。朝に病院で頼みごとをしていたのは、直々に訓練をしてほしいと言うお願いだった。
影涼「頑張りますね~」
野戦テントの下で、影涼はパイプ椅子に座って訓練の様子を見ていた。
諏訪子「影涼には、ゆっくり休むと言う概念は無いの?」
隣で立っている諏訪子は、見下ろすように言ってきた。
影涼「私も頼まれているんですよ」
影涼は、対人狙撃銃を諏訪子に見せた。諏訪子は察したのかあぁ~っと呟いた。
咲夜は幽香と同時に慧音に襲い掛かったが、軽々とかわされてすぐに、カウンターを食らった。早苗と美鈴は入れ替わるように攻撃をしたが、またしても軽々とかわされた。
慧音「4人がかりで倒せなかったら意味ないわよ?実戦前の訓練で何をしてきたの!?」
咲夜達は、息を切らせながら慧音に挑み続けていた。少数の工作員を相手にしただけの4人は、大規模な実戦を経験している慧音に勝てるわけがないのだ。
お昼まで続けて格闘訓練をしていた。
咲夜「はぁ・・・はぁ・・・」
咲夜達は、その場で寝転がっていた。慧音は、涼しそうな表情で普通に立っていた。
影涼「お疲れ様です~」
ゆっくりと影涼が歩いてきた。両手には、水が入ったペットボトルを抱えていた。
幽香「ありがとう・・・」
4人は、水を受け取るとごくごくと飲み始めた。軽く昼食をとり、午後からは、怪我人の影涼による特別な射撃訓練が開始された。
影涼「全員銃は持ったな?」
早苗以外は、自分専用の89式小銃を持っていた。早苗は、陸自迷彩が施された対人狙撃銃を持っていた。
影涼「ここを、夕方までひたすら撃ち続けろ」
的からたったの25センチしか離れていない場所に影涼は、パイプ椅子を持ってきて座った。
美鈴「え!?影涼さん!!危ないですよ!?」
早苗「そうですよ!」
影涼「本当の戦場では、敵味方が入り乱れることがあるのですよ。どんな状況でも正確な射撃をしないといけないよ」
咲夜「正気なの!?」
影涼「甘い考えは捨てなさいよ・・・ちなみに」
影涼は、持っていた対人狙撃銃を構えた。
影涼「慧音さんの方を見てください」
4人は、慧音の方を見た。慧音は、小さく頷き右手で水の入ったペットボトルを掲げて自分の顔のすぐ横に持って来た。影涼は、容赦なくペットボトルに向かって引き金を引いた。慧音の顔の真横でペットボトルは破裂した。続けて影涼は、ボルトをすぐに引いてマガジンに入っている弾をすべて撃ち尽くした。すべての弾丸が、ペットボトルに命中して右手に残っていたのは、ペットボトルの飲み口だけだった。
影涼「特殊作戦群では、このように似た訓練をします・・・絶対に的確に撃つ技術が求められます・・・今までみたいに、的を撃つだけの訓練は役には立たないですよ」
影涼の初めの合図とともに、4人は抵抗もありつつ様々な撃ち方で引き金を引いた。照準器を付けている早苗に取って影涼の顔の一部が見えるので、緊張をしていた。咲夜達も、照準器を装着していないとはいえ、引き金を引く際、慎重になっていた。影涼の顔には、銃弾が通過する空気の流れが顔を襲っていたが、影涼は気にすることなく4人の姿を見ていた。
慧音「ちょっと、痛かったわ」
顔を触りながら、野戦テントにあるパイプ椅子に座っていた。
諏訪子「狙撃銃の運動エネルギーに限らないけど、車と衝突した時の衝撃波が来るものよ?いくらなんでも、特殊作戦群では、そんな顔の真横に的を持ってこないでしょう?」
慧音「はい・・・少し無理をしました・・・でも、影涼は衝撃波の有効範囲を計算したのでしょう・・・なるべく弱い衝撃波が来るようにわざと銃弾の入射角をずらしていましたから・・・そんなに痛くはなかったです」
諏訪子「ほんと・・・射撃になると影涼はすごいんだから」
影涼「幽香さん、もっと私の顔の近くを狙ってください!こんなので逃げていたらダメですよ!」
幽香「こんなの、難しいわよ!もし、当たったらどうするのよ!?」
影涼「大丈夫ですよ!何かあったら保険がききますから!」
幽香「冗談でしょう!?」
影涼「当たり前です!ちなみに、こんなの保険ききませんよ!!」
幽香「そこは、嘘でもききますって言いなさいよ!余計に不安になるじゃないの!!」
影涼「とにかく撃ち続けなさい!」
この訓練は、5時近くまで続いた。消費した弾薬は、およそ1067発ほどであった。訓練が終わり4人は、市ヶ谷の待機室に向かった。影涼と慧音は病院に帰って行った。
咲夜「手が痛いわ・・・」
早苗「あんなに撃つことなんて・・・無いですもんね」
幽香「何とか、影涼に当たってないだけマシね」
美鈴「疲れた~」
咲夜「そういえば、明日じゃなかったけ?」
幽香「選抜メンバー?」
早苗「でしたら、影涼さんに言いにいかないといけませんね」
咲夜「早朝6時に行きましょうか」
次の日0600
咲夜「来たわよ!ありがたく思いなさい」
影涼「何で!?」
病室の扉をおもっきり開ける咲夜にベットで寝ていた影涼は驚いていた。4人は、整列をして選抜メンバーの話をした。
影涼「まぁ・・・自分から昨日訓練のお願いをしてきたしね・・・うん・・・神奈子幕僚長には私から言っておくよ」
4人は喜んだ。
影涼「言っておくけど、日本に帰れる保証は無いよ・・・死ぬ覚悟で、訓練をして待っていてください・・・昨日みたいに私は参加できないので、慧音さんが当分訓練をしてくれます」
早苗「影涼さんは?」
影涼「これから、神奈子幕僚長がここに来るのですよ・・・おそらく、作戦の会議をするのでしょう・・・」
早苗「分かりました」
咲夜「それなら、早めに私達は出ようかな・・・みんな、行きましょう」
咲夜達は、病室を後にして市ヶ谷へと戻って行った。
1時間後、神奈子とレミリアと聖白蓮が入って来た。
聖「初めましてかな?直接会うのは?」
影涼「白蓮幕僚長!!!」
聖は、海上自衛隊のトップ・・・海上幕僚長なのだ。
神奈子「早苗達は・・・どうだった?」
影涼「覚悟も十分でした・・・選抜メンバーに入れても足手まといにはなりません」
神奈子「分かった・・・メンバーは、影涼・慧音・咲夜・早苗・幽香・美鈴と特殊作戦群の隊員4名の構成になるな、これから聖に大切な話をしてもらうから」
神奈子は、聖に向かって頷いた。
聖「今回、私達があなた達を中国海軍の戦力からの脅威を守る任務を帯びたわ・・・担当は、第3護衛隊群・村紗一等海佐が指揮する護衛艦隊で北海道まで護衛するわ・・・また、神奈子からの要請通りLCAC3隻を派遣するわ」
影涼「LCAC?どこかに陸揚げするのですか?」
神奈子「なーに、作戦の日になればわかる。驚きのサプライズだからな・・・楽しみにしておいてくれ」
レミリア「ほんと、あの部隊には驚かせられるわよ・・・いつも」
何か裏がある笑い方をする3人に影涼は、苦笑するしかなかった。
影涼「護衛はありがたいです・・・よろしくお願いします」
聖「こちらこそ」
神奈子「今のところ、北海道からロシア空軍基地までの作戦進路しか決まってない・・・中国本土の潜入については決まり次第伝える・・・」
レミリア「昨日みたいに訓練には参加したらダメよ?」
影涼「見ていましたか・・・それよりも・・・私は、いつ偵察作戦群の教官を辞めれるのですか?」
神奈子「・・・あぁ・・・そうだな・・・できたら・・・慧音と一緒にこれからも、早苗達の専属教官・指揮官としていてほしいと・・・私は思う」
レミリア「私もよ・・・辞めたいの?」
影涼「・・・自分の隠していた過去を話すと・・・なんだか、気まずいのですよ・・・変わらぬ接し方をしてくれていますけど」
神奈子「・・・出来たら・・・残ってくれないか?」
レミリア「私からもお願いするわ」
両手を合わせて頼む姿に影涼は、何回も首を縦に振ってわかりましたと言った。
神奈子「とにかく、今はゆっくりと体を休めるんだぞ」
神奈子達は、手を振りながら病室を後にした。
市ヶ谷では、昨日と同じ訓練を慧音監修の元、行われていた。慧音が格闘訓練の相手をしているときに電話が鳴り始めた。訓練を止めることなく、咲夜達がナイフで攻撃をしている中、携帯の通話ボタンを押した。
慧音「はい」
影涼(選抜メンバーの件・・・受理されたと言ってください)
咲夜「何の電話ですか!?」
咲夜は、慧音の首に目掛けて振った。
慧音「訓練が終わってからね!」
慧音は、素早く咲夜のナイフを特殊警棒ではじき飛ばし、一瞬の隙を見計らって携帯をポケットにしまった。
午前の訓練が終わって、みんなで昼食を食べているときに慧音は、話し始めた。
慧音「みんな、選抜メンバーに選ばれたわよ」
咲夜「本当!?」
幽香「あら」
早苗「もっと頑張らないといけませんね!」
美鈴「ですね!」
4人は、嬉しさとこれから迫ってくる選抜メンバーの責任を感じつつ、昼食を食べていた。午後の訓練は、慧音が的の真横に立っていた。昨日の通りに、夕方まで撃ちっぱなしだった。早苗は、対人狙撃銃と自分専用の89式小銃と使い分けながら今回は射撃していた。幽香も、89式小銃とMINIMIと使い分けながら射撃をしていた。
幽香「肩が痛いわね」
早苗「分かります・・・」
慧音「もっと、私の近くを撃ちなさいよ!」
6時に訓練が終わり慧音と咲夜達は、お風呂に入るために廊下を歩いていた。すると、後ろから装備開発を担当している開発者が走ってきた。
開発者「慧音三佐と第七偵群ですよね!?」
慧音「そうけど・・・」
伊井田「私は、防衛省で個人装備などを開発している伊井田と申します。偵察作戦群のみに配備する新型の装備品を皆さんに、お渡しするようにと主任から言われました。こっちに来てくれませんか?」
咲夜「お風呂入ってからでいいかしら?」
伊井田「出来たら、今すぐ」
幽香「あのね・・・汗で今は、服がぬれて気持ち悪いのよ・・・私達女の気持ちわかる?えぇ!!?」
幽香は、伊井田の胸元を掴んで睨んだ。
伊井田「す・すみません(涙声)」
今にも泣きそうな顔で返事をしてきた。
咲夜達は、お風呂に入りに行った。お風呂から上がり、5人は、例の開発者の元に向かった。