咲夜「つまり、元航空自衛隊員を探せばいいのですね?」
幽香「おまけに伝説のパイロット」
偵察作戦群の待機室で4人は、神奈子から任務を聞いていた。
神奈子「名前は言った通りだ。彼は、沖縄での米軍との演習であの、F-223機を単機で勝利している」
早苗「でも、F-3を開発するにあたっての出来事は、その沖縄での演習結果が大きく関係しているのでは?」
神奈子「すべての空自のパイロットは彼についていけなかったんだよ・・・1人だけすぐれていても意味は無いのよ」
美鈴「でも、そんな情報初めて聞きましたよ!」
神奈子「結果が結果だもの・・・米軍が絶対に報道するなと怒鳴ったレベルよ・・・知っているのは、演習に参加したものと、退官した空自から聞いた者だけらしいわ・・・私だって幽々子から聞かされるまで知らなかったわよ」
咲夜達は、全てのパソコン・端末を起動させて伝説のパイロットの所在地を調べにかかった。
影涼「みんな~、何をしているの?」
影涼が4人分のココアを持って入って来た。病院をこっそり抜け出して4人の元に来たのだ。慧音は病院にいる衛生科と隊員と話し込んでるので影涼が抜け出したのを知らない。
美鈴「調査です」
早苗「何とか場所は割り出せました」
作業を開始してからすでに1時間は経過していた。4人は軽く腕を回したり、首をゆっくり回し疲れた筋肉をほぐしていた。
影涼「調査?何を調査しているのですか?」
咲夜「元空自のパイロットです」
幽香「F-22にも勝てた伝説のパイロットだとか・・・」
影涼「だいたい察した。空自の方から依頼されたんだろ?神奈子幕僚長を通して」
咲夜「えぇ、そうよ」
影涼「でっ?誰なんですか?その伝説のパイロットは?」
幽香「片霧一等空佐よ」
影涼「片霧?下の名前は?」
幽香「祐・・・片霧祐一等空佐」
早苗「15年前に突然辞めたらしいですよ」
咲夜「長野県松本市のどこかにいるらしいわ・・・あと少しでわかるのに」
影涼「・・・もしかしたら、私・・・知っているかも」
咲夜・早苗・幽香・美鈴「え!?」
4人は、影涼が持って来たココアを手に取って開けようとした瞬間、一斉に影涼の方を見た。
影涼「どうでしょうか?」
幽々子(間違いないわ)
神奈子の部屋で影涼は、幽々子幕僚長に電話を掛けていた。4人は扉の近くで整列をして見ていた。影涼は電話を切って神奈子に渡した。
神奈子「まさか、影涼が知っていたとは・・・影涼・・・よく飲みに行くのかい?」
影涼「月一の常連です」
咲夜「まさか、あの板前がそうだなんて・・・」
美鈴「びっくりですね」
神奈子「病院を抜け出したついでに、みんなと一緒に向かってくれないか?彼の元に」
影涼「いいですけど・・・慧音さんには適当に理由を言ってくれませんか?」
咲夜「何かあるの?」
影涼「慧音さんに見つからないように病院を抜け出したのでね」
咲夜「あぁ」
神奈子「私から言っておくよ、とにかくすぐに向かってくれ」
5人は敬礼をして、駐車場に向かい高機動車に乗り込んだ。
幽香「え?私達の教官である人が運転するの?」
影涼「駄目ですか?」
影涼は、エンジンキーを回して普通に発進した。
美鈴「一応・・・上官の下の者が運転するのでは?」
早苗「それに、影涼さん怪我人ですよね?」
影涼「お気になさらずに、病室にいるのは暇なんですよ」
高機動車は、高速道路に乗り松本市に向かった。長野県全域は避難区域ではないので普通に人々は、生活をしていた。
美鈴「久しぶりに、自衛官以外の人を見た感じがするね」
早苗「そうですね」
幽香「何だか・・・ほっとしたわ」
咲夜「私は、何も感じないわね・・・」
高速を降りて高機動車は、松本駐屯地に到着した。ここからは、高機動車では無く影涼のハリアーで向かう事にした。時間は、11時を回っていた。駐車場に車を止めて、徒歩で彬作亭に向かった。店の前に到着して影涼は、指示を出した。
影涼「早苗さんと咲夜さんは一緒に来てください、幽香さん美鈴さんは外で待機」
幽香と美鈴は、頷き店の前に立った。影涼・咲夜・早苗は店の中に入って行った。
片霧「いらっしゃ・・・」
影涼達の服装は陸自迷彩なので片霧は、驚く素振りも見せずに口を閉じた。
影涼「驚かないのですね」
片霧「影涼さんが自衛官なのは知っていたよ。なぜなら、松本駐屯地の傍を車で通るときよく見るからね」
片霧は、笑いながら包丁を持って魚をさばいていた。
影涼「片霧さん・・・いや、片霧一等空佐!」
片霧「人違いだよ」
片霧は素っ気なく言ったが、影涼は表情を変えずに話を続けた。
影涼「一佐殿は元航空自衛隊の戦闘機パイロット・・・沖縄で米軍との合同演習の時、F-223機を単機で撃破したらしいじゃないですか」
片霧「待ちなさいよ、報道番組を見たけど空自は米軍を発見することができずに負けたから、国産ステルス機を開発しているはずだ。だいたい、こんな老人の板前でもわかるが、通常機がステルスに勝てるわけないじゃないか・・・まさか勝てる奴がいるのかい?」
影涼「片霧一佐・・・どうして認めないのですか?」
片霧「認めるも何も、人違いだ」
影涼「その筋肉は今まで工事現場関連の仕事をしているものと思っていましたが、話を聞いてからよく見ると、首の筋肉がすごいですね・・・戦闘機は物凄いGがかかる中で首を回したりして索敵しますよね・・・その為の筋肉じゃないのですか?」
片霧「それだけで判断するのか?悪いが、私はただの板前だ・・・それに」
片霧は、さばいた魚をお皿に盛りつけて3人の前に出した。
片霧「わしができるのは、こうしてうまい魚を提供するぐらいだ・・・悪いがもう店じまいさせてもらうよ・・・石川県の築地が当分休みらしいからな」
厨房の方に向おうとする片霧を呼び止める形で影涼は言った。
影涼「石川上空で、空自のパイロットが何人か失った。それも中国のステルス機によってな」
片霧「そうか・・・だがな、一般人のわしに言っても意味は無い」
片霧は厨房の奥に消えた。
咲夜「・・・影涼?」
早苗「あの・・・」
2人は心配そうに影涼の方を見た。影涼は新しく購入した携帯を取り出し電話を掛けた。
影涼「駄目でした・・・」
幽々子(そうなの・・・ねぇ?変わってくれない?)
影涼「へ?」
片霧「今月も赤字になるな・・・」
包丁の手入れをしている片霧の後ろに影涼は現れた。
片霧「いくらわしに近づいても何も出てこないぞ?」
影涼「航空幕僚長から電話だ」
影涼は、携帯を片霧に渡して店を後にした。
片霧「もしもし?」
幽々子(元気にしているかしら?片霧一佐?)
片霧が店の扉を開けると、影涼達が整列して待っていた。携帯を影涼に返して片霧は言った。
片霧「こんな老体にもう一度乗れなんてな・・・相変わらず上は何にも考えないんだな」
そう言って片霧は店の奥に消えていった。
慧音「影涼~?(笑いながら怒っている)」
影涼「ふぁい・・・」
あれから、急いで市ヶ谷に戻り、神奈子に報告した後に影涼は病院に帰ったのだが、慧音がなぜか包丁を持って笑ってベットの上にいたのだ。
慧音「何で・・・何で~私を置いて行ったの?」
影涼「いや、すいません・・・ちょっと黙って出ていきたかったので」
慧音「・・・何で?何で松本に行っていたの?」
影涼「元空自のパイロットを説得しに・・・はい・・・すいません」
影涼は、正座して床を直視していた。慧音は包丁を器用にジャグリング感覚で回転させていた。
影涼「あの・・・包丁はしまってくださいよ・・・」
慧音「・・・今日・・・ごにょごにょ・・・」
影涼「ふぇ?」
慧音「だから!今日!今から一緒に車で出かけないか!?」
顔を紅くして大声で叫んだ。
影涼「はぁい!?今からって、もう夜中の4時ですよ!?」
慧音「いいじゃないか!」
影涼「眠らせてください!第一どこに行くんですか!?」
慧音「人の通りが少ない場所よ!今なら自衛隊しかいないから好都合よ!!」
影涼「ま・・・まさか・・・」」
影涼は慧音の持っている包丁を見た。
慧音「違うから!!」
慧音は、あたふたと包丁をベットの上に置いた。
慧音「とにかく!早く!!」
慧音は影涼の右腕を掴んで半ば強引に高機動車に乗せた。たまたま近くを取り掛かった隊員が見ていた。
衛生要員「二佐と三佐ってラブラブだな~」
普通隊員「結婚するんですかね~」
影涼「おいコラっ!勘違いするな!!」
慧音「いいから黙って乗りなさいよ!!」
影涼「助けてくれ!!」
衛生・普通隊員「「お幸せに~」」
手を振って高機動車を見送る隊員だった。
横田飛行場に、疾風の天狗隊が着陸した。格納庫に機体を格納すると見たことも無い機体の色をしたF-15Jが一機だけあった。
文「にとり?これは・・・」
機体から降りた文は、見たことも無い機体の整備をしているにとりに話しかけた。
にとり「あの人が戻るって聞いてね。こうして毎日整備していてよかったよ」
にとりは、赤色の迷彩塗装がされたF-15Jを叩いて笑った。
文「この赤い機体が・・・あの人の?」
にとり「そうだよ、赤なんて目立つのにステルスに勝てたなんて、ほんとすごいでよね」
文は、機体をまじまじと見ていた。
文「・・・赤ねぇ」
神奈子「レミリア、これでどうだ?」
神奈子はレミリアに一枚の紙を渡した。
レミリア「いいわね」
レミリアは何かを決意した表情で神奈子を見た。
神奈子は、固定電話に手を伸ばした。
咲夜「はい・・・わかりました!」
咲夜は携帯を切った。
咲夜「みんな!緊急の招集がかかったわ!行くわよ!!」
早苗・幽香・美鈴は頷き走って神奈子の部屋に向かった。
影涼「ねぇ、慧音さん・・・何で胸元のボタンを外しているのですか?」
高機動車の後ろの車内で慧音は影涼の体の上に座っていた。
慧音「普通察するでしょ?」
影涼「んっ?あ!!携帯が鳴っている!!」
逃げるように携帯の通話ボタンを押した。影涼が電話を切ると、慧音も察したのかすぐに運転席に戻りエンジンを掛けた。
影涼「せめて上着のボタンを閉めてください・・・下着が見えていますよ」
影涼は、見ないように外の風景を見ていた。
慧音「続きは帰ってからかしら?」
高機動車は、市ヶ谷に向かって発進した。