東方武装記録   作:祝神✯

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影涼と慧音

偵察作戦群の教官待機室では、全員がテレビに夢中になっていた。後から入ってきた影涼は何してんだろうと疑問に思った。

 

影涼「慧音さん、何の騒ぎですか?」

 

慧音「あぁ、ちょうどいいところに来た・・・テレビを見てくれ」

 

テレビの画面には、工場が燃えている映像が流れていた。

 

影涼「中国に展開している日本の工場が大火災ねぇ・・・」

 

慧音「突然爆発したらしいよ」

 

森和気「はいはい、お前らテレビを見ている暇はないぞ仕事をしろ仕事を」

 

森和気の呼びかけで全員が席に座り仕事に戻った。影涼はパソコンを開いてさっきのニュースを詳しく調べていた。

 

慧音「何か気になることでもあったのか?」

 

隣に座っている慧音が小声で影涼に問いただした。

 

影涼「場所が場所ですから・・・ねっ?」

 

慧音「あぁ・・・そうだな・・・」

 

 

第七偵群は、6日後に行われる演習に向けて訓練をしていた。武器の使用は禁止だが格闘は禁止されていないため格闘と隠密行動などを中心に訓練を進めていた。朝8時から始まり夕方5時まで訓練は行われた。訓練が終わり4人はシャワーを浴びに行った。浴び終わり4人は帰路に着こうとしていた。

 

早苗「あれ?あそこにいるのは、影涼教官ですね」

 

駐車場でハリアーに乗り込もうとしている影涼を見つけた。

 

早苗「お疲れ様です影涼教官」

 

影涼「お疲れ様です早苗さん・咲夜さん・幽香さん・美鈴さん」

 

咲夜「教官ってまだ仕事があるんじゃないの?こんなに早く上がっているようだけれども・・・」

 

影涼「ちょっと昔の友人に会いに行くのさ」

 

美鈴「昔って・・・私たちと歳がそんなに離れていないのに?」

 

影涼「問題は歳じゃない・・・生きてきた年月が濃密かどうかだ。それじゃあ急いでいるから」

 

影涼は、すぐに発進させて基地を出ていった。影涼は柳橋北の近くにある駐車場に車を止めて、路地裏を歩いて

行った。人通りは少なくすいすいと歩けた。2分くらい歩くと赤い提灯が出ている居酒屋があった。中を開けると威勢のいい声で板前長が挨拶をしてくれた。

 

片霧「久しぶりに食べに来るんじゃないか?」

 

包丁を研ぎながら板前長の片霧は言った。昔は重労働の職に就いていたのか、筋肉がすごいある。

 

影涼「そうだな・・・鯵の刺身とサイダーを・・・」

 

片霧「相変わらず変な組み合わせだな」

 

影涼「お酒が飲めない人間にどうしろと言うのだよ」

 

居酒屋彬作亭は鮮度が命で築地から直送で内陸県に運んでいるのだ。特徴的なのが生簀から直接捕まえて目の前でさばいてくれることだ。輸送料が馬鹿にならないが何とか安い値段で提供しているらしい、それでも普通の居酒屋と比べると値は張るが・・・

店の扉を開ける音がした。入ってきたのは、スキンヘッドにサングラスという物々しい格好をした男が入ってきた。

 

影涼「よっ久しぶりだな」

 

セニヤーロ「久しぶりだな」

 

入って来たのは影涼の友人のセニヤーロだった。ロシアのクレチェットに所属している男だ。たまたま、日本に遊びに来ていたらしく影涼が連絡を取りこうして再開しているのだ。

 

片霧「友人かい?」

 

片霧は流暢な英語で話しかけた。

 

セニヤーロ「そうだ・・・おやじ適当に頼むよ」

 

セニヤーロも英語で返した。

 

影涼はロシア語は話せるが英語は全く話せないので何を言っているかわからなかった。出された刺身を食べながら影涼とセニヤーロはロシア語で会話をしていた。セニヤーロは片言の日本語しか話せないからである。

 

セニヤーロ「・・・たまにはお前と飲むのもいいもんだな、慧音も村田も元気にしているんだな?」

 

影涼「・・・本来だったらこの場にいないけどな」

 

セニヤーロ「はは、まだ言っているのか、過ぎたことを言ってもしょうがないだろう・・・慧音は相変わらずきれいなんだろうな」

 

影涼「お前結婚しているだろ?二児のパパさん」

 

セニヤーロ「恋の好きじゃなくて、普通に好きだという事だ」

 

二人は、目の前に現れる刺身をひたすら食べながら他愛もない会話を続けていた。閉店の時間ぎりぎりまで食べて二人は店を出た。

 

セニヤーロ「さてと・・・そろそろ俺は、帰るとしようかな」

 

影涼「そういえばお前は、なんで日本に来ていたのだ?」

 

セニヤーロ「お前の故郷に遊びに行こうかと思ってな・・・いまは、長期休暇の途中なんだよ」

 

慧音「あれ?セニヤーロか?」

 

二人の後方から慧音がローソンの袋を掲げて走って近づいてきた。

 

慧音「お前日本に来ていたのか?影涼!どうして教えてくれなかったんだよ」

 

影涼「二人で食べに行きたかったんですよ」

 

セニヤーロ「そういうことだ。しかし、相変わらず美しいな慧音は」

 

慧音は、照れ隠しのつもりなのかローソンの袋をおもっきりセニヤーロの顔面にぶつけた。

 

セニヤーロ「ぐわぁー!三枚目の顔が!!」

 

慧音「あぁー!!カップ麺の容器が割れた!!」

 

突っ込みどころが多すぎて影涼は、黙って見ていた。なんやかんやで二人は、セニヤーロと別れて慧音とローソンに向かった。カップ麺の買い直しである。

 

影涼「慧音さんがカップ麺とは・・・」

 

慧音「な・なによ?いい年の女がカップ麺を買っちゃいけないの!?」

 

影涼「いや、買うのは構わないですけど・・・12個もカップ麺を買っているなんてねぇ」

 

慧音は、カップ麺を12個も買っていたのだ。そのすべてがさっきの出来事でお釈迦になったのだが・・・

 

慧音「最近、料理をする暇がなくてね・・・はぁ」

 

影涼「私もそうですねぇ・・・」

 

愚痴りながらローソンに到着して買い出しを始めた。店員からしてみれば「あれ?この人さっきも12個カップ麺をお買い上げになったような・・・」と心の中で思っている表情で慧音の姿を見ていた。無事に買い出しも終わり帰路に着こうとした。

 

慧音「な・なぁ影涼・・・今晩は空いているか?」

 

影涼「うぇ?」

 

影涼はいきなり何を言っているのだろうと心の中で思いながら返事をした。

 

慧音「いや・・・よかったら・・・う・家にきてほしいなぁーって」

 

影涼「はぁ・・・何もないから別にいいですけど・・・」」

 

影涼は苦笑しながら答えた。慧音の方は嬉しそうな表情をしていた。とりあえず車を運転して慧音が住んでいるアパート(築67年)に到着した。影涼は何回か来たことがあるので場所は知っていた。二人は二階に行き部屋に到着した。慧音はカップ麺を無造作に台所に置いてシャワーを浴びに行った。影涼は居間でお茶を飲んでいた。ワンルームの部屋で畳16畳分の広さがあった。台所やシャワー室を合わせれば結構広く感じられる。

 

影涼「(ん?なんだこれ?)」

 

本棚を見ると料理本や歴史に関する本がたくさんあったのだが一番下の棚には、ハートマークのシールが張られたA4サイズのファイルらしきものがぎっしりと収納されていた。

 

影涼「(思い出の写真かな?普通なら興味ないのだが・・・なんだこのラベルは・・・)」

 

ファイル全てにはお宝や秘蔵などの文字が目立った。影涼は手に取って中を見ようとした。

 

慧音「ふぅ~いいお湯だっ・・・」

 

白いカッターシャツに黒の短パン姿の慧音と目があった。慧音は、音速を超える速さでファイルをすべて回収した。

 

慧音「あははは、いやだなぁ~乙女のアルバムを見ようとするなんて(焦)」

 

影涼「え?でも私が写っている写真があったような・・・」

 

慧音「それはきっと写りこんだのよ」

 

影涼「でも完全に・・・」

 

慧音「写りこんだの!!いいね!!?」

 

影涼「ふぁい・・・」

 

慧音の迫力に影涼はこれ以上聞き込むのはやめようと決めた。慧音は冷蔵庫から缶のビールを取り出して飲み始めた。影涼は急須からお茶を湯呑みに入れて2杯目を飲んでいた。

 

影涼「・・・」

 

慧音「・・・こうして私の部屋に来るのは久しぶりなんじゃないか?」

 

影涼「私たちが処分されてから初めてじゃないですかね?」

 

慧音「あぁ・・・そういえば・・・あれからもう2年も経つのだな・・・」

 

2人は下を向いてしみじみと言った。2年前に影涼と慧音・・・そして、精神保健室にいる村田の3人は中国に潜入したことがあるのだ。事の発端は、中国の軍事関係者の一部が反乱を始めたことが原因だった。2個師団の中国軍と戦争が起きたのだ。なぜ、反乱を起こしたのかは不明だが問題は反乱ではなく、反乱を起こした師団の中にミサイル発射を専門にする部隊も含まれていたことだ。何発か日本に発射されたがイージス艦と特科の活躍によりミサイルは迎撃に成功したのだが、被害が出ていないとはいえ攻撃をされたことには変わりがなかった。もちろん、おおきな議論になった。中国が攻撃したのではなく中国の反乱分子がしたので、意図的な攻撃なのかわからなかった。もしかしたら、なりふり構わずに発射していたのかもと疑問になっていた。調査の意味も込めて秘密裏に特殊作戦群の選りすぐりのメンバーを派遣することにした。そのメンバーに選ばれたのは影涼と慧音・村田の3名だった。

 

影涼「任務は失敗してしまい結局ミサイルの発射コードに細工をして奪ったぐらい・・・」

 

慧音「それのおかげで反乱分子はミサイルが発射できずに戦力が大幅ダウン・・・早期に鎮圧されたんだよな・・・でも、任務は調査でコードを奪う事ではなかった」

 

影涼「国外で銃を発砲・・・任務とは違うことをしてしまった・・・本来なら、裏で処分されていたはずだ・・・なぜなら、日本が特殊部隊を潜入させていたからな・・・」

 

慧音「神奈子幕僚長たちの働きが無かったら私たちは、特殊作戦群にいないものね・・・」

 

影涼「厳密に言うと特殊作戦群に名前だけ登録してあって勤務は許されない・・・退職まで偵察作戦群の教官として働くこと・・・いやなら退職するしか道はない・・・」

 

陸上自衛隊のトップの神奈子幕僚長と陸将のレミリアの働きのおかげで3人は、教官として勤務することだけが許された。現場の参加は許可されていない、いくらトップの指示でも大多数の人数を相手にするのは無理があった。教官勤務でもまだマシな方である。

 

慧音「・・・教官は私には合わないよ・・・村田ぐらいじゃないか?何とか適応しているのは・・・」

 

偵察作戦群の精神保健室で勤務をしている村田は、教官も心理カウンセラーも両方している。村田は、楽しそうに勤務している。

 

影涼「この前、唯一の患者だった幽香さんが退院したから暇だって言っているよ」

 

慧音「私たちが教官としてではなく現場で働くことはできるだろうか?」

 

影涼「無いでしょう・・・余程のことが無ければ・・・私たち3人は、恐れられている存在だからな」

 

特殊作戦群内では3人は、恐れられている存在なのだ。村田は心の人形と恐れられ、慧音は歴史喰い・影涼は死なない幽霊として恐れられた。もちろん、理由があってのことだ。村田は人形を操るように相手の心を揺さぶることからそんな名がついた。慧音の場合は自分に不利な事などがあると証拠隠滅をするので付けられた。影涼に関してはどのようにしてその名がついたのかは不明なのだ。噂によると特殊作戦群に入る前からその名を持っていたとか持っていないとか・・・

現在教官をしている特殊作戦群の隊員は、3人の過去を知っている為ほかの隊員に知られないようにわざと甘すぎる教官コンビと言っているのだ。実際は、わざとじゃなく本気で馬鹿にしていると思われる。

 

影涼「そういえば背中の傷は痛みませんか?」

 

慧音「え?あぁ・・・もう大丈夫だ」

 

中国から脱出する際に、慧音は影涼を庇って背中に被弾したのだ。奇跡的に障害もなく助かったのだ。

 

慧音「でも・・・少しまだ痛むくらいかな?」

 

 

 

 

 

 

 

2年前・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中国の長距離ミサイルの発射コードなどのデーターが入っているケースを持って逃走する三人の隊員、その後ろから中国の特殊部隊が追ってくる。

 

影涼「こちら、死なない幽霊!作戦は失敗!繰り返す!作戦は失敗!!」

 

黒いタクティカルスーツに身を包んだ影涼が、無線機に報告する。

 

慧音「その代り、ミサイルの発射コードを奪った!これより脱出をします!」

 

慧音が、捕捉で報告をした。

 

司令官(・・・了解した・・・救出部隊を送ることはできない・・・何とか中国から脱出してくれ・・・)

 

三人は、中国の特殊部隊に攻撃を加えつつ何とか、追っ手を振り払おうとした。しかし、中国のど真ん中で振り払うという言葉自体意味を成さない、何とか下水道に逃げ込んだ。

三人は、中国軍から奪った03式自動歩槍に備えられているライトで前方を照らしながら下水道を進んでいった。

 

村田「しかし・・・ひどく臭い・・・」

 

慧音「下水道よ・・・当然でしょ」

 

影涼「波の音?」

 

村田「出口か!?」

 

3人は、走って出口に向かった。下水道の外は、海に繋がっていた。

 

陸戦隊隊員「止マレ!」

 

外には、陸戦隊の隊員が待ち構えていた。

 

影涼「(やっぱり、このまま帰してくれないよな)」

 

慧音「(私は、まだ死にたくないぞ・・・まだ・・・)」

 

陸戦隊の隊員は、95式自動歩槍を構えて近づいてきた。人数は6人程度だが、仮にも相手は、中国海軍の特殊部隊、絶体絶命の状況だった。

3人は、静かに03式自動歩槍を地面に置いた。陸戦隊の隊員が照準を3人から外した瞬間、USPを抜き瞬く間に、陸戦隊隊員の頭を撃ち抜いていった。

 

影涼「今だ!!」

 

影涼が叫ぶのと同時に海に飛び込もうとした瞬間

 

慧音「危ない!!」

 

一発の銃声が響いた。慧音は、影涼を庇って被弾したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影涼「どうかしましたか?」

 

慧音「いや・・・2年前の事を思い出していたのさ」

 

海に飛び込んだ3人は、何とかSBUが待機している海域まで泳いでいったのだ。慧音はすぐに病院送りになったが・・・

中国に潜入するにあたってロシアの協力を秘密裏に得たのだ。セニヤーロを通じてなんとか中国の潜入をアルファにサポートしてもらい潜入できたのだ。帰りは自力だが・・・

 

影涼「二人っきりになると、どうしても昔話になってしまいますね(笑)」

 

影涼は笑いながらスマホを取り出した。そして慧音の写真を撮った。

 

慧音「な・何をしているんだい?」

 

影涼「よくよく考えたら、そんな格好の慧音さんは初めて見るので写真でも取ろうかなって」

 

慧音「あっそうなの(照)」

 

影涼「何で顔を紅くしているのですか?変なの・・・」

 

先ほどのしんみりとした空気はなくなりほのぼのとした空気になった。

 

影涼「それじゃあ、私はお暇しましょうかな」

 

慧音「えっ?もう帰っちゃうの!?せっかくだから泊まっていけばいいじゃないか・・・職場は同じなんだし」

 

影涼「いや・・・帰らないといけないんですよ、洗濯物を干しっぱなしなので」

 

影涼は湯呑みを流し台に置いて玄関向かった。

 

影涼「それじゃあ慧音さん、また明日ですね。彼女たちが演習で勝てるように頑張りましょうね」

 

慧音「・・・うん・・・そうだな」

 

慧音は、影涼の車が見えなくなるまで玄関から見送っていた。

 

慧音「・・・鈍感なのか・・・それとも天然なのかしら」

 

独り言をぶつぶつと言いながら慧音は、玄関を閉めて明かりを消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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