3階に上がって行き、すぐにセキュリティ管理室に向かって行った。先に各部屋のロックを解除して進行と脱出を容易にするためである。敵の猛攻を何とか耐えながらセキュリティ管理室前に到着した。防護壁と違い、薄い金属の扉であるために、幽香はC-4を一口サイズにナイフで切り分け、信管を刺して扉の施錠部分に設置して精密爆破した。あっという間に、扉を破壊して中に入って行った。美鈴・幽香・特戦群は廊下で左右の通路を見張り、咲夜と早苗が中に入って行った。
早苗「すぐに解除しますね」
早苗は、モニターが並ぶ端末の前に座り、すぐに自分の端末と繋げて解除作業に入った。咲夜は、早苗の作業を見守りながらモニターを見ていた。こちらに向かってくる中国兵の姿とミサイルの発射準備をしている映像が映し出されていた。
咲夜「映っているミサイルは例の中距離核弾頭?」
早苗は、手の動きを止めずに顔だけを上げてモニターを見た。
早苗「はい!あれは目的のミサイルです!今、調べましたけど、私の端末に映し出されている中距離核弾頭と形状・色・大きさが一致しています!」
早苗の持っている端末には、確かにモニターに映っているミサイルと一致していた。ロック解除と同時に、この基地にあるミサイルでも調べていたのだろう。ロックを解除して、すぐにミサイルの発射管制室に向かった。
美鈴「でっ!?あと何時間後に準備が整うのですか!?」
早苗「1時間です!」
早苗は、端末を見ながら叫んだ。ロックを解除をするついでに、ミサイル基地内のすべての情報を自分の端末にコピーして、現在リアルタイムで中距離核弾頭の発射準備の時間が表示されていた。
幽香「いつ発射されるかひやひやしていたけど・・・何とか間に合いそうね」
咲夜「そうも言って居られないわ・・・どうやって、発射を阻止したらいいのかわからないわ」
走りながら、咲夜は幽香の方を見ながら言った。
吉高「話を聞く限り、発射準備段階だろう?窓で見た時は車両で輸送していたから・・・発射台にでも設置するんだろ?その時間はそういう事じゃないのか?」
幽香「その発想は無かったわ」
早苗「とにかく、行きましょう!」
後ろから迫ってくる中国兵の攻撃を何とか切り抜けながら発射管制室の中に入って行った。中にいた技術者は後頭部を殴って気絶さして、銃を持った者は容赦なく撃ち倒していった。中の安全が確保したのを確認した咲夜は、特戦群に廊下で退路を確保するように指示を出した。
咲夜「いけるかしら?」
早苗「出来るところまでやって行きます」
席に座って、モニター前にあるキーボードに手を付けて、何とかミサイル発射を阻止しようとした。残り時間はあと40分しか残されていなかった。早苗は、焦る気持ちを押さえながらひたすら、解除しようとした。しかし、問題が発生した。発射管制室からでは解除が出来なかったのだ。
早苗「どうしてなのですか!?」
早苗は、今にも泣きそうな表情でモニターに映し出されている中距離核弾頭を見た。弾道は着々と準備が進められている映像が映し出されていた。
咲夜「早苗、核弾頭の弾着地点は調べられるかしら?」
咲夜はこう考えた。阻止できなくても、あらかじめどこに弾着するのかを調べることができれば、弾着地点にいる人命を救う事が出来ると考えたのだ。発射されればものの数10分で弾着するが、まだ40分もあるのだ。避難するには十分とは言えないが、被害を抑えることはできる。早苗は、涙をこらえてすぐに調べ始めた。モニターには、日本列島が映し出されていた。
早苗「東京に弾着するように設定されています・・・」
やっぱりねと言う表情を浮かべながら、咲夜はすぐに神奈子幕僚長に無線を繋げようとしたが繋がらなかった。
咲夜「どうしてなの!?」
???「繋がらなくて当然だ」
咲夜・早苗・幽香・美鈴は声のする方を向いた。
美鈴「えっ!?」
幽香「どうやって追いついたのよ?」
早苗「影涼さんに慧音さん!?」
4人の前にいたのは、血だらけの戦闘服に身を包んだ影涼と慧音だった。
影涼「よっ」
咲夜「よっじゃないわよ!!もっと早く来なさいよ!!」
影涼「これでも急いだ方なんだが・・・ともかく、無線が繋がらないのは中国軍が強力な妨害電波を発していて繋がらないんだよ」
幽香「それじゃあ・・・危険を知らせれない・・・という事よね」
早苗「・・・ミサイルをどうやって無力化したらいいの」
慧音「方法はあるわよ」
早苗「どのような方法ですか?」
影涼「直接操作するしかないよ」
咲夜「はぁ!?」
咲夜「つまり、核弾頭に座標を入力する機械があるからそれをハッキングして海のど真ん中に弾着するようにセットするのね!?」
影涼「その通りだ!」
咲夜達は、急いでミサイルの元に向かっていた。ミサイルは現在地下2階で発射準備が整えられていた。来た道を急いで戻って行った。
幽香「そういえばあのロシア人はどこに行ったの!?」
影涼「私達がここに潜入する為に、少し手伝ってもらいましてね、だから途中で早苗さん達から別れたのですよ。ちなみに彼らには、脱出の為の退路を確保しに行ってもらっています!」
ミサイル発射準備が進められているシャッター前に、全員が集まった。影涼はハンドサインで暗視装置を装着するように指示を出した。全員が装着したのを確認した影涼と慧音は、発煙手榴弾を2つずつ準備をしてピンを抜いた。南川がシャッター開閉ボタンを押した。警報機と共にシャッターはゆっくりと開いて行った。すぐに、スモークを投げ込み、次々と中に入って行った。中にいた整備員や誘導員は驚いたが逃げる素振りを見せる事無く、中距離核弾頭の発射準備を継続していた。護衛の中国兵がすぐに応戦して来た。スモークのおかげで安全に左右に散らばることができ、敵の攻撃を受けずに物陰に隠れることに成功した。
咲夜「早苗」
咲夜は早苗の方を見て、合図を出した。早苗は頷きSV-98のマガジンをチェックしてすぐに構えた。咲夜は同時にスモークを早苗の前に投げた。スモークのおかげで敵から早苗を視認されることは無かった。暗視装置はスモーク越しでも、敵の輪郭ははっきりと鮮明に映し出されていた。早苗は素早く頭を撃ち抜いて行った。咲夜も95式自動歩槍を連射に切り替えて、撃ちまくっていた。幽香も咲夜と同じように攻撃をしていた。
影涼「前に進むぞ!早苗さん・咲夜さん・吉高・高鷲香は私と一緒に梯子を上って、上から進むぞ!残りは下から進め!」
影涼の指示に全員が頷いた。スモークの煙が段々と無くなって行ったため、暗視装置を全員が外した。影涼達は梯子で上からミサイルに近づき、慧音達は下からミサイルに近づいて行った。中国兵の決死の抵抗もあり中々前に進まなかった。
咲夜「全員伏せなさい!!」
中国兵がいるすぐ近くに燃料タンクに向かって咲夜は手榴弾を投げた。大爆発とともに中国兵は吹き飛ばされた。咲夜を先頭にすぐに前に進んで行った。中距離核弾頭はすでに発射台に設置されていた。よーく見ると、技術者らしき者が、弾道の真ん中に移動式通路を近づけて、パネル版を取り外しているのが見えた。おそらく、座標データを直接入力しているのだろう。影涼は阻止するために、SV-98を構えて技術者の頭を撃ち抜いた。
影涼「早苗さん!ついてきてください!他の者は慧音さんを援護!!」
咲夜達は、鉄の金網でできた通路から、慧音達を援護した。下では、苦戦している慧音達の姿があった。影涼と早苗は中距離核弾頭の前に到着した。
影涼「早苗さん」
早苗「すぐに始めますね」
早苗は、すぐに自分の端末を繋いで座標を海のど真ん中に弾着するように操作を始めた。
影涼「弾着目標は、太平洋上で構わない、詳しい座標はこちらで指定する」
早苗「大丈夫なのですか?」
影涼「責任は私が取る心配するな、とにかくこの座標にセットして・・・」
早苗が急いで影涼が指示した座標に弾着するようにセットしようとした。残り時間は15分を切っていた。
影涼「セルジーから聞きましたよ?基地内をスキャンしたそうですね?」
早苗「はい・・・突然に掴まれて驚きました・・・何がいけなかったのでしょうか?」
影涼「スキャンは、電波を発するのと一緒ですよ・・・つまり、基地内のセキュリティに引っかかり、見つかったんですよ、だからセルジーは掴み掛ったんですよ」
早苗「そうだったのですか・・・すいません」
影涼「失敗は誰でもするよ」
影涼は、早苗の肩に手を置いた。このまま、作業が進めば完了すると思ったが、どうやらそう簡単に事は進まなかった。早苗は必死に作業を進めていたがどうやら、かなり複雑な暗号解読に時間が掛かり、残り時間が8分を切ってしまった。慧音達は、下にいる中国兵をすべて排除し、上に上がって来た。咲夜達は心配そうな表情で見ていた。影涼は何かを決意したのか、口を開いた。
影涼「よし!これで、ミサイルは太平洋上に弾着する、状況完了!全員脱出するぞ!!」
影涼の発言に早苗は驚いたが、咲夜達は疑う素振りを見せることも無く、すぐに動き始めた。
早苗「えっ!?かげ・・・」
影涼「早苗さん、少し私は残ってやることがあるので先に行ってください、大丈夫ですよ、私がしておきますから」
影涼は早苗の耳元でささやき背中を軽く押した。しかし、早苗は動こうとしなかった。
咲夜「早苗、何をしているの?脱出するわよ」
早苗「咲夜さん、待って!」
咲夜は早苗の手を握って一緒に走って行った。早苗は、影涼の方を振り向きながら咲夜に連れられて行った。
影涼「さてと・・・うまく嘘が付けれたな・・・さっさと作業でもしようかな」
慧音「このまま、下に降りれば中国から脱出できるわ」
慧音は、通路のパネルを取り外して皆に見せた。どうやら、地下から脱出するようだ。
美鈴「あれ!?影涼さんがいませんよ!?」
美鈴が気づいたことにより、早苗を除く全員が影涼がいないことに気づいた。
幽香「どこにいるのよ!?」
慧音「(!!そういう事ね・・・)先に行ってなさい、この下を降りたらセルジー達が待機しているわ、安全に脱出できるわ」
咲夜「来るまで待機していたらいいの?」
慧音「いえ、待機しなくてもいいわ、先に行きなさい、後で合流するわ」
慧音は、ミサイルのある場所まで走って行った。咲夜達は、次々と梯子を伝って降りていった。
影涼「あぁ・・・面倒だな・・・2進法コードかよ・・・」
端末で入力作業を進めている影涼の後ろに慧音はいた。
慧音「はぁ・・・やっぱりここにいたのね」
影涼「あれ?脱出したんじゃないのですか?」
慧音「美鈴のおかげで、いないことが分かったのよ・・・それよりも、太平洋上に弾着するようにセットしたんでしょう?何をやって・・・まさか!?」
影涼「嘘ですよ」
慧音「じゃあ・・・咲夜達を先の脱出するために?」
影涼「えぇ、座標を変えることは無理そうですからね・・・それに、8分でぎりぎり基地から逃げれるぐらいの時間しか残っていませんでしたからね・・・」
慧音「今は何をしているの?早く逃げないと」
影涼「慧音さん、このミサイル発射台を取り囲んでいる構造物はなんでしょうか?」
慧音「えっ?シェルター並の強度を・・・まさか」
影涼は、端末の画面を慧音に見せた。画面には、発射されてすぐに自爆するようにセットされていた。影涼が取った方法は、シェルター並の強度を誇る建物内で自爆させようとする方法だった。地下2階と決して深くは無いが、ある程度の被害は抑えられるだろう。そして、ミサイル基地の半径10キロには民家は無く、森しかなかった為、自爆の方向に持って行ったのだ。
慧音「影涼・・・」
影涼「こうするしか方法は無いのだ・・・さてと、発射まで残り3分を切りましたね・・・急いで早苗さん達に追いつきましょう!」
影涼と慧音は走って中距離核弾頭から離れていった。
咲夜「これに乗って脱出するの?」
セルジー「急げ!早く乗れ!!」
なんと、横幅3メートルしかない下水道に、RHIBが待機していたのだ。どうやって、持ち込んだのかは不明だが、セルジー達が準備をしたのだろう、咲夜達は急いで乗り込み、影涼達は後で合流することを身振り手振りで合図をした。セルジーは理解したのか、すぐにエンジンをフルにして発進した。
咲夜「どうやって、影涼達は逃げるの!?」
幽香「さっき、もう一つRHIBがあったから、それで脱出するのでしょう!」
約5分で下水道を抜けて、海に通じている大きな川に出た。その直後、影涼から無線が入った。
影涼(すぐに、脱出する!)
咲夜「一体何をしていたのよ!?」
影涼(説明は後だ、とにかく急いで海に・・・)
影涼の無線が突然途絶えた。まさかと思い全員がミサイル基地の方を向いた。ミサイル基地の方から大きな爆発音がした。基地の周りの土が大きく盛り上がりまるで火山が爆発したような感じになった。そして、大きな黒い煙が上がっていた。
咲夜「えっ?」
幽香「ちょっと待ってよ・・・」
美鈴「爆発?」
その場の全員が唖然とした。早苗は、伏せて泣いていた。
もうすぐ学校が始まるな・・・面倒だ