村田「何で駅で待ち合わせているんだよ?」
影涼「勝手に決められたんだよ・・・文句はあのネズミに言えよ」
駅の中にあるカフェで私服姿の影涼と村田はコーヒーを飲みながら待っていた。影涼は愛読している本を読みながら、村田は近くにいる小さなちびっ子に飴玉をプレゼントしていた。
影涼「頼むから・・・堂々と飴玉を渡す癖を直してくれよ・・・目立つから」
村田「これが俺の趣味なんだよ!ちびっ子に飴玉を渡して喜ぶ姿を見るのが好きなんだよ!」
影涼「ロリコン自衛官・・・」
村田「ロリコンじゃねえよ!お前だって変な本を読みやがって!」
影涼が読んでいるのは、銃の歴史や世界中の現存する銃器の種類が記載されている辞典並みの分厚さがある本を読んでいた。
影涼「変な本呼ばわりするなんてひどいな・・・銃こそ素晴らしき武器なんだよ。人間1人が持てる中では最高の武器!素晴らしきかな・・・」
1人で語りだしている光景は奇妙だった。影涼は、いわゆる軍事オタクである。特に、銃器に関しては気持ち悪いほど知っているのだ。
村田「・・・慧音を見習えよ・・・あいつは、まともなのに」
影涼「嘘つくなよ・・・ところどころブツブツと独り言を言っているじゃないか」
慧音「お待たせ~」
白いブラウスに空色のロングスカート姿の慧音が走って来た。
慧音「何の話をしていたんだ?」
影涼「村田はロリコン」
村田「影涼は軍事バカ」
慧音「わかんないわよ・・・」
席に座り慧音は、オレンジジュースとワッフルを注文した。
慧音「朝ご飯まだだったから・・・」
慧音の注文したものが出てくるのと同時に1人のアメリカ人が席に座った。
影涼「お前がラット?」
ラット「そうだ・・・緊張感が無いのか?のんきに昼食を食べやがって」
慧音「朝食よ!」
影涼「いいから、ささっと用を言え・・・私たちに何の用だ?」
ラットは、懐から写真を取り出した。
ラット「この写真を見てどう思う?」
写真には、パソコンを操作している中国軍の写真だった。
影涼「・・・61398か?」
61398部隊は、中華人民解放軍の中にあるサイバー攻撃を専門にする軍である。ブログ改ざんから国家へのサイバー攻撃など幅広くしている部隊である。
ラット「さすがだ・・・この部隊の動きが活発に動いているんだ・・・」
影涼「だからなんだよ?ただの自衛官にそんなことを言っても意味がないぞ?」
ラット「何を言っているんだ?君たちがただの自衛官じゃないからこうして接触しているんだよ?」
影涼「CIAの人間に目をつけられるほど有名人になったようだな・・・」
ラット「何っ!?」
影涼は冗談で言ったつもりだったが本当のようだ。大体予想が付いていたが、国家機密情報を簡単に盗むことができる奴らの所属機関なんてアメリカだったらCIAくらいだろう。
村田「心が揺らいでいるな・・・さすがだな影涼」
影涼「教えてくれ・・・何で私たちに接触した?盗み取ったデータを持っているんなら、私たち3人は処分されていることを知っているよな?」
ラット「要件があるのは私だ!貴様らは口を閉じて聞いてろ!」
慧音「大きい声を出さないでよ!周りの人たちに迷惑でしょ!?」
周りの人たちは、ざわめいていたがすぐに気にしなくなった。
影涼「・・・話だけ聞こうかな・・・うるさい子供がいるからな」
慧音と村田は笑った。そんなことを無視して話を始めるラットだった。
ラット「自衛隊のサイバー攻撃に対する防衛はどう思うかな?」
影涼「まったくだめだと思うが・・・物理的な防衛は完璧だがサイバーとなるとまだまだ発展途上だと思うが」
ラット「まったくその通りだ。この、61398部隊が日本で活動を開始した」
影涼「活動?日本国内でか?」
ラット「新しいデモンストレーションをするらしい、自分の目で結果を見たいんだろう」
影涼「そうか・・・それじゃあ幕僚長に報告しないとな」
ラット「何を言っているんだ?君たちが阻止してくれたまえ」
影涼「知ってて言っているな?話は終わりだ・・・会話が通じないようだからな・・・慧音さん・村田行くぞ・・・」
3人は席を立って離れようとした。
ラット「悪いが・・・君たちには従ってもらう」
影涼「ちゃんとした日本語が話せるようになればな」
駅を後にして慧音のアクアに乗り込み基地に向かった。
慧音「・・・どうするんだ?報告するのか?」
影涼「当たり前です。私たちの情報が盗まれたんですよ?下手をすると偵察作戦群の情報も盗まれてしまう」
影涼は、携帯を取り出して神奈子に連絡をした。
神奈子(そうか・・・すぐに警戒レベルを上げる・・・アメリカ人はおそらく捕まらないだろうがな)
影涼「知っていますよ・・・ただ、61398だけは、何とかしないと・・・」
神奈子(タイミングがいいのか悪いのかわからないがその、61398について・・・防衛大臣から任務が入って来た。早速だが、第七偵群を連れて基地で待機してくれ、10分後にヘリが到着する)
慧音は、すぐに通信機で4人を収集した。基地に到着するとすでに4人が整列して待っていた。
咲夜「咲夜以下3名準備完了です!」
影涼「グラウンドで待機!」
咲夜たちは、走ってグラウンドに向かった。村田は精神保健室に向かって影涼たちと別れた。咲夜たちは陸自のⅢ型迷彩を着ていた。私服などの装備は背中に背負っている背のうの中にいれていた。また、ホルスターにはグロック24を入れていた。影涼と慧音も陸自のⅢ型迷彩に着替えて4人と一緒に待機していた。UH-1Jがゆっくりと着陸した。
影涼「搭乗しろ!」
4人は、走って座席に座った。4人が乗り込んだのを確認してから慧音と影涼が乗り込んだ。UH-1Jは、全員が登場したのを確認した後すぐに市ヶ谷駐屯地に向けて飛んでいった。
美鈴「初めての実戦・・・」
早苗「どんな任務なんですか?」
影涼「向こうについたら神奈子幕僚長から直々に任務が伝えられる・・・それまでは、空の旅でも楽しんでいておいてくれ」
幽香「楽しめって・・・」
咲夜「私は寝させてもらうわ」
いくら実戦任務でも移動ほど暇なものがない・・・ましてや隠密基本の偵察作戦群ならなおさら・・・もちろん、このヘリを操縦しているパイロットは第102飛行隊の隊員である。突然、影涼の携帯が鳴り始めた。
慧音「森和気からか・・・珍しいな」
影涼は携帯の通話ボタンを押して小声で電話に出た。
影涼「今は緊急出動で移動中だ」
森和気(だから、電話したんだろうが・・・幕僚長から聞いたぞ・・・お前CIAの人間と接触したようだな)
影涼「情報が盗まれたんだぞ?仕方ないだろ」
森和気(まぁいい・・・CIAの監視を任されたんだ・・・何か変な動きがあったら幕僚長とお前に連絡してやる)
影涼「何で私に伝えてくれるんだよ?」
電話は一方的に切られた。
早苗「どうかしましたか?」
影涼「なんか最近よく、一方的に電話を切られるなぁって」
影涼は、笑いながら答えた。約15分で市ヶ谷駐屯地に着陸して、神奈子が待っている会議室に入った。咲夜たちが席に座ってから影涼と慧音も座った。
神奈子「急な任務が入った。東京の本郷区に61398が4名潜伏していることが判明した。早急に奴らを捕まえるのが今回の任務だ・・・場所はこのビルの7階にいるとアメリカから情報を提供してもらった。我々は私服姿の特殊作戦群を出動させると言ってある」
61398が潜伏していると思われるビルの写真をみんなに見せた。
咲夜「なるほどね・・・絶対に生け捕りかしら?」
神奈子「殺しは駄目だぞ・・・」
咲夜「分かっていますわ」
神奈子「今回の任務に当たって相手は軍人だ。必要最低限の発砲は許可するが負傷程度にするんだぞ・・・以上だ、任務に当たってくれ」
4人は敬礼をしてから、私服に着替えに行った。私服に着替えた4人は、本郷区に向かった。影涼と慧音も私服に着替えて同行した。まだ4時くらいなので6時になるまでじっと待機していた。
咲夜「全員無線チェック」
全員からの無線チェックが終了してから、咲夜は影涼に無線通信した。
影涼(さてと・・・偵察作戦群最初の任務だ。気合い入れろよ・・・61398は言わなくてもわかっていると思うが、サイバーに長けた連中だ。下手をしたら無線を傍受してくるかもしれないが、奴らはまだ我々の存在に気づいていない・・・咲夜さんの合図で開始してくれ)
咲夜「状況開始!!」
4人は、走って夜の本郷区の町を探索した。まずは提供された情報を元にビルの付近に到着した。咲夜はハンドサインで早苗と美鈴を、ビルの反対側にあるビルから7階を監視させた。咲夜と幽香はビルから発せられているであろう電波を傍受し始めた。2分後、早苗から無線連絡が入って来た。
早苗(こちら、奇跡の風・・・目標の部屋を視認・・・3名の中国人が見えます)
咲夜「こちら時のナイフ、あと1人はどこにいるのかしら・・・」
幽香「なっ!?咲夜!これを見て!!」
幽香の持っている小型のパソコンの画面には、様々な自衛隊の活動記録・配置場所と配置人数がすべて表示されていた。
幽香「ここら辺の自衛隊の基地を監視していたようだな・・・幸いなことに、中国にこの情報が送られた記録は無いわね」
咲夜「早いところ対処しないといけないわね・・・奇跡の風」
早苗(なんでしょうか?)
咲夜「今の地点から狙撃ができるかしら?」
早苗(大丈夫ですよ・・・約45メートル・・・十分狙撃できます)
咲夜「私の合図で一番近い奴の足を撃ち抜きなさい・・・その瞬間に私たちが突入して制圧するわ・・・レッドドラゴンは、狙撃手カバーをしなさい」
美鈴(レッドドラゴン了解)
拳銃での狙撃は十分に可能なのである。もちろん、アイアンサイトでの狙撃は、難易度があまりにも高いが影涼から射撃の極意を教え込まれた早苗にとって、80メートル以内の狙撃なら拳銃でもできるのだ。拳銃の有効射程はおよそ50メートルなのだが、角度をつければいくらでも射程は伸びるし負傷だけならさらに射程は伸びる。
早苗は、ポケットからグロック24を取り出して、マガジンを確認して薬室に装填されているかを調べてから照準を合わせた。あとは咲夜の合図を待つだけである。
咲夜「うまくやってよ」
幽香「分かっている」
幽香が部屋のカギ穴をピッキングしていた。ぶち破ると後々面倒になるからだ。カチッと音がしてドアが開くことを確認した幽香は、親指を立てて合図した。咲夜は特殊警棒を伸ばして準備をした。幽香も同様に特殊警棒を伸ばした。
咲夜「奇跡の風・・・いいわよ」
早苗(奇跡の風了解・・・)
早苗は、腕をクロスさせて左手首を壁代わりに銃を握っている右手の手首を置いた。呼吸を整えて息をすべて吐き出してから静かに引き金を引いた。グロック24から放たれる9ミリは、弧を描くように1人の中国軍人の右足に吸い込まれていった。
中が騒ぎ出した瞬間、咲夜と幽香は突入した。中では、右足を抑えて喚いていた奴が1人最初に目に入った。2人の突入に残り2人の中国軍人がナイフを抜いて攻撃をしようとしたが、軽く特殊警棒でナイフを叩き落されて咲夜は、素早く足払いをして顔面に強烈なキックをお見舞いした。幽香は首を絞めて黙らせた。右足を抑えている奴は、咲夜によって蹴りで気絶させられた。
61398隊員「動くな!!」
咲夜と幽香のうしろには、4人目の中国人が95式手鎗を構えていた。咲夜と幽香は、特殊警棒を投げつけようかと考えたがすぐに、中国人はものすごい鈍い音と共にその場で倒れてしまった。
影涼「ちゃんと4人把握してから突入するんだな」
倒れている中国人の後ろには、影涼と慧音が立っていた。
咲夜「何よ・・・戦わないって言ってたじゃないの?」
影涼「無線を聞いてる限り、危ないと思ってな・・・こうして、来てみればこうなっているんだもの・・・」
慧音「これからは、注意しなさいよ」
どうやら、影涼があの中国人の首に重い一撃を与えて気絶させたようだ。任務が終了し、61398の隊員4人は、後から来た特殊作戦群の隊員によって、市ヶ谷駐屯地に送られた。これから尋問をするらしいがその後の処理はどうなるかわからない、もしかしたら二度と母国に帰れないだろう・・・
影涼と慧音は、その尋問に行かないといけなくなった。咲夜たちは、当分の間は市ヶ谷駐屯地で待機することになった。