マボロシ少年の航海日誌   作:ネメシスQ

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これで第1章『東の海編』(ろくに航海してねえ)は終わりです。



Six

 モブ太は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の大佐を除かなければならぬと決意した。モブ太には軍規はわからぬ。モブ太は、齢十歳の子供である。ホラを吹き、将校をおちょくって暮らして来た。けれども正論に対しては、人一倍に敏感であった。

 

「野郎、おれを置いていきやがった」

 

 数時間前――

 街行く人に話を聞き、この街に海軍本部から来た大佐がいるという情報を手に入れたおれは、すわ3分間待ってくれる大佐か、雨の日無能な大佐かと(0゚・∀・)wktkしながら支部の扉を叩いた。

 出てきたのは、ただのヘビースモーカーだった。

 

「何だその目は? というか、何でお前がここにいる?」

 

 期待外れの展開にやれやれだぜ、と呟けば、奴のアイアンクローが我輩の顔面を陥没させた。

 相変わらず容赦がない。おれの財布の中身もない。

 

「しょうがない。ケムリンで我慢してやるから、家まで送って」

「自分で帰れ」

 

 首根っこ掴まれて外へポイされた。

 これは抗議せざるを得ない。

 

「うわーん! 海軍本部大佐のスモーカーにセクハラされたよー! まさかあの人にショタ趣味があったなん――」

「わかった! わかったから今すぐ口を閉じろォ!」

 

 快く中へ入れてもらえました。

  

「で、何でお前がここにいる?」

「本部で拳骨じーさんの船に潜入したら成り行きで」 

「相変わらずロクなことしねえな、お前」

「それほどでもある」

「誉めてねえよ」

 

 ケムリンのホワイトブロー!

 こうかは ばつぐんだ!

 

「民間人に暴力振るうなんて、いーけないんだ、いけないんだ。ばーちゃんに言ってやろ!」

「お前のそれは洒落にならないからやめろください」

 

 さすがのケムリン大佐もばーちゃんには逆らえない。まあ本気でチクるつもりもないので、話を進める。

 

「まあ、そういう訳だからおれのアッシーになってよ」

「言い方が気に食わねえが……お前をここに置いとく方がダメージでかそうだからな。折よく、数日後に本部からの視察船が来る。それに乗って帰れ」

「え、何言ってんの。ケムリンが送ってくれればいいじゃん。バカなの?」

「調子に乗るなよクソガキがぁ……!!」

「ごめんらはい」

 

 ワイのほっぺたをむんずと掴むスモーカー。

 額に浮き出た青筋がビキビキ言っててなんか面倒くさそうなので、素直に謝りました。

 

「それにしても数日後か……暇だな。ドジっ子曹長さんでもからかってくるか」

「やめてやれ。お前に会う度あいつのメンタルが削れて使い物にならなくなる」

「ふむ。おれのあまりのイケメンさにドキドキしすぎてしまったのかな?」

「はっ」

「絶許」

 

 鼻で笑ったスモーカーがムカついたので、奴の予備の煙草に水をぶっかけてやった。

 拳骨が下った。

 

「スモーカー大佐! 大変です、死刑台の広場で海賊達が騒ぎを!」

「海賊だと?」

 

 そうこうしてスモーカーをからかっている内に、海兵の人がやって来て緊急事態を報告してきた。

 

「よし、全軍を広場に向かわせるのじゃ!」

「え、ええ……?」

「勝手に指示すんなバカ。一等部隊を港へ向かわせろ。二等部隊は通りから広場を隠密包囲。残りは広場の射程距離で待機」

「そして広場の中心でぬるぽと叫ぶ!」

 

 スモーカーにガッされた。

  

「こいつの言葉は無視しろ。それより早く、今言った指示を各部隊に伝えろ」

「は、はい! ところで、この子供は……」

「この人の隠し子です」

「ええっ!?」

「ふざけるな! 下らねえ冗談はやめろ! おい、こいつの言うことは一切耳に入れるな。早く行け!」

「わ、分かりました」

 

 スモーカーに急かされて、海兵の人は走って行ってしまった。

 

「それじゃあ、おれも広場に向かうとしますね」「逃がすか」

「ぐぇっ」

 

 さらっと離脱しようとしたが、首根っこ捕まれて動けない。

 HA☆NA☆SE!

 

「てめえはおれの側を離れるな」

「え、もしかして口説いてるんですか? すみません。おれにそっちの趣味はないんで男の人はマジ勘弁」

「誰がお前なんざ口説くか! 野放しにしておくと何やらかすか分からねえから勝手に動くなっつってんだよ! 本部で何回やらかしたことか!」

「ついカッとなってやった。今は反省している」

「黙れ」

「はい」

 

 そのままスモーカーについて歩き、途中でドジ子さんも合流。そして広場に面したホテルに到着し、待機してた海兵さん達から話を聞きつつ、ベランダから外の様子を窺う。

 なんとそこには、処刑台の上で拘束されている麦わらさんの姿が!

 おお、なんかヤバそうな状況。助けたほうがいいんかな?

 と、そんな時にまた浮かび上がる予知じみたイメージ。

 

「雷様が降ってくる」

「あ、何か言ったか?」

「何か」 

「やっぱてめえは黙ってろ」

「律儀に答えてやったのになんて理不尽な。ハゲろ」

「てめえがハゲろ」 

 

 スモーカーと殴り合う。

 負けた。

 

「紙一重か」

「ずいぶんと厚い紙一重があるもんだな」

「あー、あー、聞こえなーい」 

 

 ケムリヤローが何か言ってるが聞こえないなー。

 それよりも麦わらさん、ヘソ取られないといいけど。って心配するとこ違うか。

 とにかく麦わらさんは放置しても問題ないようなので、ナミからパクったミカンでも食べてまったりしよう。

 うまうま

 

 で、油断してたらあっという間に事態が進んでしまい、置いてけぼりを食らった。

 雷が落ちたりと、なんやかんやで助かった麦わらさん達が広場から脱出に成功、スモーカーもそれを追うために動き出した。

 しかし、雨の日でも能力の使える大佐の必死の追跡むなしく、結局邪魔が入ったとかで出航を許してしまったらしい。

 自分の管轄を無視して麦わらさんを追おうとしていたので、これ幸いとスモーカーの船に乗り込もうとしたのだが、海賊追うのに子供を連れていけるか、と置き去りにされた。

 そして今、荒れた大海原を前に港で立ち尽くす現状に至る。

 

「くそっ、こんな台風じゃコロッケ食うしかねえじゃねえか」

 

 仕方ないので駐屯地に戻ってコロッケ食べる。うまし。

 しかし、このままじゃ(お腹は膨らんだが)腹が収まらないので、海の向こうのスモーカーに向けて、しゃっくりが止まらなくなる呪いをかけてやろう。

 とはいえ、置き去りにされた事実は変わらぬ。

 まったく煙ヤローめ、自分はルール破りまくる不良の癖に、こんな時だけ子供扱いして正論持ち出しやがって。

 ぐぬぬぬぬ…………

 だが、ワシは理に縛られぬ男! 正論という名の暴力には屈しない!

 ここで取り出したるは、海軍本部直通の電伝虫! そして、とある中将の連絡先を打ち込む!

 

「という訳で権力行使っと。あ、ばーちゃん? ローグタウンでスモーカーに置き去りにされたから家帰るの遅れるわ。んじゃ、またねー」

 

 ガチャリ。これでよし!

 それじゃあ、一息ついたら海王タクシーでも使って帰るとするか。

 

 

 

 




第2章につづく……のか?

次に投稿できるのはいつになるか……
忘れた頃にまた来ます。
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