マボロシ少年の航海日誌   作:ネメシスQ

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いち

 

 

 ヒマすぐる→よろしい、ならば冒険だ→

いくえ不明

 

「そんな訳でここに来ました」

「うん、よく分かった。あんたの頭の悪さが」

 

 失敬な。ノジコのおバカな子を見る目におれの怒りが有頂天。これは抗議せざるを得ない。出されたパスタをウマウマ頬張りながら文句をぶつけてみたが、

 

「たったこれだけで経緯を把握しろって無茶すぎるでしょ。バカなの? 死ぬの?」

 

 容赦ないもの言いにおれの心は深い悲しみに包まれた。慰めを要求する。

 

「うるさい。で、本当のところはどうなの?」

 

 要求は無視されたようだ。しかしこのままでは話が進まないのも事実。仕方ない、ちゃんと話すとしよう。

 

「どうも何も言った通りザマス。ヒマすぎてついつい知り合いの船に潜入。そのまま航海して辿り着いた島に上陸。一人で探検してたらそのまま置いてかれた。まあ、向こうはおれが船に乗ってたこと知らなかったから仕方ないけど。そんで適当に旅してたらこの村に着いた」

「あんた絶対ただの10歳児じゃないでしょ……。じゃあ次、魚人に絡まれてた理由は?」

「この島から出る船がないことに気づいたので話を聞いていた次第。素敵な顔色ですね、刺身にして醤油かけたら美味しそうと褒め称えたところ、何故か怒り心頭に殴りかかってきた。襲われた理由がさっぱりんぐ」

「あたしはあんたの頭の悪さに脱帽した」

 

 顔をしかめながら頭を抱えるノジコ。

 

「頭痛か? 鍛え方が足りんな未熟者め」

「あんたのせいだ、あんたの!」

「いつの間にか犯人にされていた。これが孔明の罠……!」

「あんたが何を言っているのかさっぱりわからない」

「おれも詳しくは知らぬ。知らないうちに口をついて出る模様。それより何で陸に魚人がいんの?」

「…………長い話になるよ」

「じゃあいいや。パスタお代わり」

 

 無言でガッされた。

 

「聞きなさいよ。今のはこの島の過去を語る流れでしょうが」

「暗すぎる過去話なんて誰得な話を聞いたところで、おれに出来ることは何もないし、興味もない。それよりもっとパスタ食いたい」

「あんたって本当に……。はあ、ここまで図々しい子供も珍しい気がするわ」

「褒めんなよ」

「照れるなよ」

 

 あれこれ言いながらもお代わりをよそってくれたので、お礼を言って受け取り、食事を再開する。

 そして数分後、空になった皿の前で手を合わせる。

 

「ごっそさん。美味でござんした」

「お粗末様」

 

 おれより先に食い終わってたノジコが皿を下げる。

 

「片付け手伝うってばよ。世話になりっぱなしで悪いし」

「そう? じゃあお皿洗っといてくれる? あたしはその間にみかんの収穫してくるから」

「お安いご用だっぜ! 街の皿洗い大会ベスト64の力を見せてやる」

「微妙な順位ね……」

 

 若干不安そうにしながらも籠を背負って畑に出掛けていくノジコ。どうやらある程度は信頼されている様子。

 黙々と皿洗いすること数分、二人分しかないことも手伝って早々に終わってしまい、手持ち無沙汰になってしまった。

 

「仕方ない。島を散策するか」

「あんたはここで大人しくしてな」

 

 島を散歩しようとwktkしながら家を出ようとしたらノジコに止められた。

 もうみかんの収穫終わったのか? 早くね?

 

「あんたが心配で様子見に一度中断したの。案の定だったわね」

「そこまで心配されるとは……これはノジコにフラグが立った模様。しかし、この歳の差はマズイ気が……モテる男はツラいぜ」

「意味は知らないけど不快なことを言ってるのはよく分かったわ。それとあたしが心配してたのはあんたが何かしでかさないかどうかだっての」

 

 グリグリ攻撃されたので撤回しておく。さすが嵐を呼ぶ5歳児をも黙らせる技。かなり痛かったと明記しておく。

 

「あんだけ魚人を怒らせたんだ。今出てったら何されるか分かんないでしょうが」

「え~……じゃあ仕方ない。自宅警備員しながら天井の木目でも数えてる」

「なんて意味のない行動。てかここはあんたの自宅じゃないし。それよりヒマならみかんの収穫手伝ってくれない? すぐに切り上げてきたからまだ途中なのよ」

「いいだろう。では行こうか蜜柑王。籠の容量は十分か?」

「誰が蜜柑王か。あんた度々変な口調になるわよね」

「生まれた時からこうみたいです。それより収穫ってどーやんの?」

「見せてあげるからついてきなさい。余計なことするんじゃないよ」

「おれがいつ余計なことをした?」

「会った時からずっとしてるわね」

「マジか」

「マジよ」

 

 初耳です。

 随分と高性能な耳ね。

 

 そんなこんなでみかん収穫して過ごしました まる

 

 

 

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