評判よければ続き書いてもいいかな?
「……どういうことなの、それ」
娘の美由希がげんなりといった様子で呟いた。頭痛がするのかこめかみを指で揉んでいる。
そんな友人を見て苦笑いしたのは縁側で一緒に茶を飲んでいるエイミィという美由希と同じ年頃の娘だ。
剣術漬けの日々を送っていた美由希にとって、自衛隊と警察が一緒になったような組織であるという時空管理局の職員であるエイミィは気の置けない友人としてなくてはならない存在になっていた。
「えーっと……
なのはちゃんが私たち魔導師の中ではずば抜けた才能の持ち主だっていうのは前に言ったでしょ?」
美由希が眼鏡を持ち上げながらうなずく。
魔法とやらはさっぱりわからないが、どうもそうらしい。初めて聞かされた時は内心驚いたものだ。
「私たち魔導師も全く接近戦や格闘戦をする人が全くいないわけじゃないの。治安維持担当の人とかに多いんだけどね。リンディ提督の知り合いがそういう武術に詳しい人で、この前美由希ちゃんに見せてもらった恭也さんとの模擬戦の映像を見て言ったらしいの。
『この家族は全員皆戦闘民族の血を受け継いでいるんじゃないか?』って」
あははーとエイミィが笑う。
「それで『戦闘民族高町家』って……」
美由希が再びこめかみを揉み始めた。
まあ、気持ちはわかる。あながち間違ってはいないところがつらい。自分も、恭也も美由希も、紛れもなくそういう一族なのだ。
しかし、高町桃子の夫、高町士郎としては口を出したいことがあった。
「一つ訂正して欲しいかな、エイミィちゃん。
戦闘民族なのは御神家であって、高町家ではないからね」
リビングの椅子に座ったまま縁側に向かって声を掛ける。
すると、並んで座っていた二人が揃って振り返った。
「ミカミ……御神、ですか。
確か皆さんの剣術の名前が御神流、でしたっけ」
こちらへと向いていた視線が隣の美由希へと移る。それを受けて美由希は咳払いを一つしてから話し始めた。
「永全不動八門一派神刀御神流小太刀二刀術。
……略して御神流」
予想通りエイミィの頭の上には大量の『?』が浮かんでいた。
美由希と二人顔を見合わせて笑う。同じ日本人でも一派のあたりで理解できていないという顔をする。日本人でないどころか地球人でさえない彼女には難しすぎるだろう。
「何かよくわからないけど強そうだねえ」
理解できないなりに感じるところはあったようだ。美由希はそれを聞いて自慢気に胸を張る。
「まあね。
『戦えば勝つ』
それが御神流だから」
言い切った美由希にエイミィがおぉーと言いながらぱちぱちと拍手する。美由希は少しくすぐったそうだ。
だが――。
「それも少し違う」
二人が再びこちらを向く。もっともその表情は先程とは違い温度差があった。純粋な疑問と、信じられないという驚愕と。
「どういうこと?」
美由希がほとんど睨みつけているように問いかけてくる。
「ご先祖様はどうかしらないが、少なくとも俺は負けたことがある。相手は引き分けだ、なんて言っていたけどね」
美由希の目が大きく見開かれた。
信じられないというよりは、信じたくない、というところか。
「いつ?誰に負けたの?御神の人じゃないの?」
あれは、いつのことだったか。もう随分前だ。
「まだ俺が不破だった頃だ。
ボディーガードの仕事中でな。戦った相手も――不破だった」
まだ身体が万全だったころ。間違いなく、不破士郎の全盛期。それでも、勝てなかった。
彼は今どうしているのだろうか。
あの男――不破幻斎は。
「どうしました?Mr不破」
護衛の一人、アメリカ映画に出て来る黒服サングラスそのままの姿の男が声を掛けてくる。
「……何か来る」
「え?」
これまた同じ格好の護衛の相方が声を上げた。
扉の左右にこの二人。そして自分、不破士郎。これが上院議員アルバート・クリステラの護衛体制の最終ラインだ。
「し、しかしこのフロア及び一つ下のフロアは議員が貸し切りにしています。テロの予告があったため日本警察からも大量の人員が投入されていますし、隠れて爆発物などを仕掛けるならともかく、真正面から乗り込むのは難しいのでは……」
「…………」
護衛の言うことは尤もではある。しかし、何かが確実に近づいてきている。
廊下の先からの圧倒的な存在感。これ程の圧力は、本気になった静馬以来だ。
「……来るぞ。
お前たちは何があっても此処を離れるな。悪いが余所見をしている暇はなさそうだ」
「は、はい……」
二人がゴクリと唾を飲む。
いつの間にか、自分からも殺気が漏れていた。中てられているのか。
そして――ゆっくりと、一人の男が階段から姿を現した。
若い。まだ20代、見た目以上でも30そこそこだろう。空手家のような白い胴着だが、足首のあたりを紐で結んでいた。
一目でわかった。こいつは、強い。
無言のままゆっくりと鞘から二刀を抜く。それを見て、男はにやりと笑った。
「一応聞いておこうか。
議員のファンの表敬訪問、ってわけじゃないよな?」
「ああ。
議員を殺すよう依頼されている」
男は特に気負った風もなく返事をした。
その答えに、後ろの二人の顔が強張る。
「……そうか。
下の階にいた警察や他の護衛はどうした?」
男は一人。下の階には最低でも二人一組で行動する人員が二十人はいたはずだ。
「全員寝ているさ。ああ、殺してはいない。
俺は依頼された殺ししかしない主義でね」
とりあえずは安心する。
だが――それは、依頼された殺しは必ず実行する、ということでもある。
半身。左構え。右手は上方に。左手は下方に。
「永全不動八門一派神刀御神流小太刀二刀術、不破士郎だ」
男がおやっという顔をする。だが、すぐに獰猛なそれへと変化した。
「不破圓明流、不破幻斎」
互いに名乗り終わった次の瞬間、同時に飛び出した。
如何でしたでしょうか?
修羅の門知ってる人がこのサイトにどれくらいいるのか。そっちを知らないと面白さ半分以下になるというクロスとしてはあんまりよろしくないネタですね。個人的にはすごく熱くなるバトルなんですが。。
感想お待ちしております。