もともと戦闘シーンの練習のつもりで書いたので、『もっとこうした方が臨場感が出る』等々指摘してくれたら嬉しいです。
ではどうぞ~
左の小太刀で牽制の初手。
半身で軽やかに躱される。最初から当たるとは思っていなかったが、まだまだ余裕がありそうだ。
右で追撃。これも躱す。
左頭部に反撃の右拳がくる。小太刀の重みで重心は右寄りだ。受けるしかない。
左腕に衝撃。
「ぐっ……」
思わず声が漏れる。格闘家ほどではないが、身体そのもは鍛えてはいる。鎧とは言えないまでも筋肉もつけている。それでも、全身にずしんと響いた。
衝撃に逆らわず後ろに飛んで距離を取る。
左腕は――多少痺れてはいるが、動く。問題ない。
好機と見たか幻斎が一気に距離を詰めてきた。
右の薙ぎ払い。身体を前のめりに沈めて躱される。そのまま一回転。こちらが右腕を振り切ったと同時に、かかと落とし気味の回し蹴りが降って来た。
暗殺者の技にしては動作が大きい。つまりは、隙も大きくなる。
半身で躱す。左の小太刀を二の足に当てて後ろに下がる。後は回し蹴りの力で勝手に切り裂かれ、機動力は失われる。そうなったらこちらの勝だ。
そう思ったところで、頭部めがけて左足が飛んできた。
慌てて背後へと跳ぶ。斬るには斬れたが、浅くなった。
幻斎もまた後ろへ跳んだ。そのまま五歩の距離での睨み合いになる。
「……初見で旋を躱すかよ」
どうやらあの技は『旋』というらしい。
「半分は運だ。
一の蹴りを躱した後に、空中で追撃の回し蹴りがくるとはな」
正に旋風のようだった。御神にも薙旋という技があるが、それに勝るとも劣らない。
「運か。よく言う」
幻斎が嗤う。暗い、暗い嗤いだった。
「お前、人を斬り殺したことがあるだろう」
――。
「人はそんな簡単に斬れるもんじゃない。
如何に優れた刃物でも、戦闘中に斬りつければ骨で止まる。そうならないよう、深すぎず浅すぎず斬り、出血多量を狙うのが正しい殺り方だ」
そう言いながら先程斬った腿の傷を一撫でする。
「この斬り口。常日頃から刀を握り、人を殺す為に技を磨いた者の傷だ。
新撰組から百年以上。竹刀や木刀でいくら腕が立ったて人を殺せるってもんじゃあない。
まだお前みたいな奴が残っていたとはな」
一太刀でそこまで見抜いたのか。不破圓明流とは無手の流派だろう。刀は専門外だろうに。
改めて、不破幻斎という男に戦慄する。
「……不破は御神の分家でな。
今はボディーガードなんてやっているが、その昔は御神の『裏』として汚れ仕事をやってきた。
俺は、その業を継いだ最後の生き残りだ」
気が付いたらそんな言葉が口から出ていた。人に話したことなどほとんどないのに。
この男は、どこか自分と似ている。そう感じたせいだろうか。
果たして、それは正しかった。
「俺も分家だ。
不破圓明流は、初代より歴史の闇に生きてきた。
暗殺を繰り返して、な」
少しばかり驚いた。
自分も不破、相手も不破。ともに分家であり、暗殺を生業にしてきた。
時代の闇に生きてきた二つの不破が、今こうして向かい合っている。
「傷を負ったのは、現とやった時以来か」
幻斎がぽつりと呟く。
現。これ程の男に傷を負わせる、おそらく男。一体どんな人物なのか。
「久方ぶりだ。
……俺の中の修羅が、起きてきた」
幻斎という修羅が、嗤う。
気づけば、自分もいつの間にか嗤っていた。
それは恐怖か。或は、歓喜か。
「ここからは、不破らしくやらせてもらう。
お前も、出し惜しみするな」
不破幻斎という修羅の獰猛な嗤いに、不破士郎の中の化物が目覚めの声を上げた。
如何でしたでしょうか?
やっぱり戦闘シーンは難しいですねえ……。
一応次回で戦闘は終了する予定。そしたら全部一つに纏めて短編にするつもりです。
同じ世界観でもう一つ書きたい死合いもありますので。
感想、ご指摘お待ちして追います。