とらいあんぐるハート3x修羅の門   作:minmin

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何人かにありがたい感想をいただいたので続きを書いてみました。
もともと戦闘シーンの練習のつもりで書いたので、『もっとこうした方が臨場感が出る』等々指摘してくれたら嬉しいです。
ではどうぞ~


化物

 

 左の小太刀で牽制の初手。

 半身で軽やかに躱される。最初から当たるとは思っていなかったが、まだまだ余裕がありそうだ。

 

 右で追撃。これも躱す。

 左頭部に反撃の右拳がくる。小太刀の重みで重心は右寄りだ。受けるしかない。

 

 左腕に衝撃。

 

「ぐっ……」

 

 思わず声が漏れる。格闘家ほどではないが、身体そのもは鍛えてはいる。鎧とは言えないまでも筋肉もつけている。それでも、全身にずしんと響いた。

 衝撃に逆らわず後ろに飛んで距離を取る。

 左腕は――多少痺れてはいるが、動く。問題ない。

 

 好機と見たか幻斎が一気に距離を詰めてきた。

 右の薙ぎ払い。身体を前のめりに沈めて躱される。そのまま一回転。こちらが右腕を振り切ったと同時に、かかと落とし気味の回し蹴りが降って来た。

 暗殺者の技にしては動作が大きい。つまりは、隙も大きくなる。

 半身で躱す。左の小太刀を二の足に当てて後ろに下がる。後は回し蹴りの力で勝手に切り裂かれ、機動力は失われる。そうなったらこちらの勝だ。

 

 

 そう思ったところで、頭部めがけて左足が飛んできた。

 

 

 慌てて背後へと跳ぶ。斬るには斬れたが、浅くなった。

 幻斎もまた後ろへ跳んだ。そのまま五歩の距離での睨み合いになる。

 

「……初見で旋を躱すかよ」

 

 どうやらあの技は『旋』というらしい。

 

「半分は運だ。

 一の蹴りを躱した後に、空中で追撃の回し蹴りがくるとはな」

 

 正に旋風のようだった。御神にも薙旋という技があるが、それに勝るとも劣らない。

 

「運か。よく言う」

 

 幻斎が嗤う。暗い、暗い嗤いだった。

 

「お前、人を斬り殺したことがあるだろう」

 

 ――。

 

「人はそんな簡単に斬れるもんじゃない。

 如何に優れた刃物でも、戦闘中に斬りつければ骨で止まる。そうならないよう、深すぎず浅すぎず斬り、出血多量を狙うのが正しい殺り方だ」

 

 そう言いながら先程斬った腿の傷を一撫でする。

 

「この斬り口。常日頃から刀を握り、人を殺す為に技を磨いた者の傷だ。

 新撰組から百年以上。竹刀や木刀でいくら腕が立ったて人を殺せるってもんじゃあない。

 まだお前みたいな奴が残っていたとはな」

 

 一太刀でそこまで見抜いたのか。不破圓明流とは無手の流派だろう。刀は専門外だろうに。

 改めて、不破幻斎という男に戦慄する。

 

「……不破は御神の分家でな。

 今はボディーガードなんてやっているが、その昔は御神の『裏』として汚れ仕事をやってきた。

 俺は、その業を継いだ最後の生き残りだ」

 

 気が付いたらそんな言葉が口から出ていた。人に話したことなどほとんどないのに。

 この男は、どこか自分と似ている。そう感じたせいだろうか。

 果たして、それは正しかった。

 

「俺も分家だ。

 不破圓明流は、初代より歴史の闇に生きてきた。

 暗殺を繰り返して、な」

 

 少しばかり驚いた。

 自分も不破、相手も不破。ともに分家であり、暗殺を生業にしてきた。

 時代の闇に生きてきた二つの不破が、今こうして向かい合っている。

 

「傷を負ったのは、現とやった時以来か」

 

 幻斎がぽつりと呟く。

 現。これ程の男に傷を負わせる、おそらく男。一体どんな人物なのか。

 

「久方ぶりだ。

 ……俺の中の修羅が、起きてきた」

 

 幻斎という修羅が、嗤う。

 気づけば、自分もいつの間にか嗤っていた。

 

 それは恐怖か。或は、歓喜か。

 

「ここからは、不破らしくやらせてもらう。

 お前も、出し惜しみするな」

 

 不破幻斎という修羅の獰猛な嗤いに、不破士郎の中の化物が目覚めの声を上げた。

 

 

 

 

 




如何でしたでしょうか?
やっぱり戦闘シーンは難しいですねえ……。
一応次回で戦闘は終了する予定。そしたら全部一つに纏めて短編にするつもりです。
同じ世界観でもう一つ書きたい死合いもありますので。
感想、ご指摘お待ちして追います。
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