「ただいまー」
「おそかったじゃないか?なにかあったのか?」
「あれ?てっきりお腹空きすぎてゾンビみたいになってるんだと思ってたけど…」
つーかメールの内容がそうとしか考えられなかったんだけど。
「あぁ、あのメールか。あれはゾンビを倒すゲームが面白くてな、おもわずメールしてしまったんだ」
なるほど……紛らわしいなコイツ。
「あれ?天衣さんゲームなんて持ってたっけ?」
「最近はバイトのおかげでちょっと余裕ができたからな、興味があったからゲームを買ったんだ。いままで武術ばかりでろくにしたことがなかったからな」
「なるほど納得、いやーナイスタイミングで意味不明なメール送ってくれて助かったよ。おかげで狂犬から逃げられた」
「狂犬?あぁもしかして百代のことか?……というと百代に実力がばれでもしたのか?」
「いや、実はこの小猫助けてたときに見られてたみたいで興味もたれちゃって」
「それは災難だったな……その小猫家に持って来たってことは、もしかして家で飼うのか!?」
おぉ…
予想外の食い付きだな、お目目キラキラさせおって。
「そーですよー今日から家の子ですよー」
「なぁ、ちょっと私にも抱かせてくれないか?頼む!」
「はいはーい、わかったからそんな迫ってこないでねー
怖いから。……はい」
なんだろう、高速で床を進んでくる天衣さんを見てなぜだかエクソ○ストを思い出した。
「うわーかわいーなーこいつ、名前はなんて言うんだ?」
「ピトーだぞー」
「ピトーかー、かわいーなーふわふわだなー」
みごとに堕とされた。
まぁ天衣さん以外とかわいい物好きだしな、最初はクール系だった気がしたんだが……。
いや、最初からこんな感じだったか?たしか最初にあったのは2ヶ月まえ…。
あれ?3ヶ月前ぐらいだったっけ?
……覚えてねーや。
「おーい天衣さーん。俺たちが最初に会ったのって何ヵ月ぐらい前だっけ?」
「ウニャー カワイイニャー」
だめだコイツ使えねぇ。
たしか雨の日だったのは覚えてるんだが……。
side 2、3ヶ月前……たぶん、メイビー
雨の中下校途中にコンビニでツナマヨおにぎりを買い、さぁ帰っておにぎり食うぞとおもっていたら……
俺の部屋の前に銀髪美女が倒れていた。
いや普通に倒れてるだけならまだよかったんだが、なんかめちゃくちゃボロボロなんだけどこの人。
服に穴あいてんだけど大丈夫なんこれ?
襲われるでしょ普通に。
「おーい、大丈夫かー」
「……シ」
「はい?」
「……メ……シ」
……メ……シ
あぁ飯ね……。
え?なに、なんか食わせろってことなのこれ?
おにぎりあるけど……、ツナマヨだしなー。
シャケならあげてもいーけどツナマヨだしなー。
「おにぎり!」
ちょっ!怖い怖い。目が怖いから、なんか獣みたいな目してるから。
「わかったって、おにぎりあげるからその目やめて!」
「やった!」
うぉーすげー食いっぷりだな、どんだけ飢えてんだよ……。つーか、よく見たらこの人服だけじゃなくて結構ケガも多いな……。
ついでだし治しとくか。
おりゃ、龍掌パワー。
「!?」
「大丈夫だから、ちょっと治療するだけだから。おとなしくしてなさい、先っぽだけだから。」
「モゴモゴ」
なんて言ってるかわかんないから
「おにぎり飲み込んでからしゃべってください、口の中見えてキモい」
「女性に向かってキモいはないだろ!?」
「うん、キモいはちょっと言い過ぎたわ、気持ち悪いです」
「変わってないじゃないか!?……いや、そんなことはどうでもいい。いったい今なにをしたんだ?」
「だから治療って言ったじゃん。あ、先っぽだけっていうのはジョークですからね?」
「そんなことはわかってる、どうやってやったんだという意味だ!」
「あれだよ、気合い的な?」
正直龍掌の説明とかできないし、俺もよく原理わかってないから。
「適当じゃないか…まぁそれも気にはなるがそれよりも君には助けてもらったしな。まずは礼をしなければな」
「別にいーですよお礼とか、おにぎりならコンビニ行けばあるし。てか寒いから中で話しません?シャワー貸しますよ」
「いや、ありがたいがそれはできない。私が入ったりしたらこのアパートに隕石が落ちてくるかもしれんからな。」
いや、でも……
「なんだ?なにか言いたそうな顔だな?」
「女性にこんなこと言うのは抵抗ありますが……正直ちょっと……匂います……」
「な!?」
「……隕石とかどーでもいーですから、早く部屋入りましょ?」
「……すまないシャワーを借りる」
~たぶん20分後ぐらい~
「すまないな、おにぎりだけだなくシャワーに服まで貸してもらって」
「別にいいですよ。すいません、服男物しかなくって」
「いや、十分だ。ありがとう」
「しかし、なんでまたあんなところで倒れてたんですか?普通に生活してたら服にあんな穴あかないっすよ、てか腹減りすぎて倒れるってマンガぐらいでしかないでしょ」
しかも日本で。
漫画じゃあるまいし……あ、そーいやこの世界エロゲだった。
「いやー、実は私はとんでもない不幸体質でな。この前最後の一枚だった千円札を落としてしまって…。やっと見つけたと思ったら道路のど真ん中でな、なんとかとろうとしたんだが腹がへりすぎてふらふらしていたらトラックに跳ねられてしまって」
「へぇー、トラックに跳ねられてよく生きてましたね」
「こう見えても私は元四天王だからな、まぁこのあいだ君ぐらいの女の子に負けたばかりなんだが…」
いや、いきなりネガティブになられても…
「あれ?元四天王ってことはもしかして、橘さん家の天衣さん?」
「なんだ、私を知っていたのか?そうだ、わたしの名前は橘天衣だ」
なるほどねぇー、なら行き倒れてるのも納得だわ。たしか原作でも不幸キャラだった気がするし。
あれ?そーいやアニメでなんか悪者っぽくなかったっけ?
「九鬼の紹介で自衛隊に入らないかといわれてな…どうせこの不幸体質のせいでまともな仕事はつけないし、それに自衛隊でならわたしの武術を生かせるかもしれないからな。どうせなら自衛隊に入ろうとおもっていたんかだが……」
「だが?」
「いや、いざ自衛隊に入ると決めてもどうすればいいかわからなくてな。九鬼のところで聞こうと思ったんだが道がわからなくて、迷子になっているうちにお金もなくなり行き倒れになったというわけだ。」
「ドジッ子じゃねーですか。ちなみに九鬼までの道のりも調べればわかりますけど調べましょうか?」
「本当か!?それは助かる。正直適当にさがしても私じゃ絶対たどり着けないからな。」
まぁ不幸体質だもんねー、かわいそうだからお手伝いしてあげましょう。
「はい、場所わかりましたよ。そこまで遠いわけじゃないからたぶん迷子にはならないでしょ」
「おぉ、なにからなにまですまないな。この恩は私が自衛隊に入ったら必ず返すぞ。」
「あんまし気にしないでいいですよ、勝手にやってることだしね。今から行くんですか?」
「あぁちょうど雨も止みそうだしな、できるだけ早いほほうがいいだろう。それに久しぶりにシャワーを浴びたからか調子がいいんだ」
「そーすか、そりゃよかった。んじゃこれ、餞別ってことで渡しときますわ。さすがに無一文で送り出すのも気が引けますしね」
このターン、俺は『なけなしの男気』を発動!
このカードは美女が目の前にいるときのみ発動できる。
「な!?これは一万円じゃないか!?久しぶりに見たな…、じゃなくて。さすがにこんなに貰うのは気が引ける、ただでさえいろいろ迷惑をかけたのに」
「いや、あれっすよ。俺も男の子っすから、カッコつけたいときもあるってことで、黙って受け取っといてください」
ちなみに、『なけなしの男気』を使うとSP(財布ポイント)が減ります。
「………本当にありがとう。必ず礼をしにまた来るからな。そういえば、まだ君の名前をきいていないな。教えてもらってもいいか?」
「そーいや言ってなかったっすね、浅倉陽っていいます。記憶の片隅にでもしまっといてください」
「浅倉陽か……ありがとう陽、世話になったな」
「いえいえ、それじゃ天衣さんも気をつけて。自衛隊頑張ってくださいね」
「またな」
行っちゃったよ…
はぁ、やっぱし自衛隊入ったらケガすんだろーなー、アニメの天衣さん部位欠損してた気がするしなー、いざとなったら龍掌フルパワーで治るかなー。
まぁやれるだけのことはしてあげるか、俺にできんのはそれぐらいだろうし。
さすがに不幸体質治すのは龍掌でも無理だろーしなー、今度来ときにでもそれとなく注意するように言っとこ……。
~翌朝、正確には8時ぐらい~
ピンポーン
ピンポーン
ピンポーン
んー、うっせーなー。
今日土曜日だぞ?
健全な帰宅部中学生が起きてるわけねーだろが……。
ドンドン
ドンドン
ドンドン
「おーい!陽ー!開けてくれ!」
俺は用事がなければ土曜日は12時まで布団から出ないと決めてるんだ、そして今日はとくに用事はない。
つまり……絶対起きない!
ドンドン
ドンドン
ドンドン
「私だ、天衣だ!実は私の不幸体質のことで話があるんだ!」
なんで俺に話すんだよ、てか朝からテンションたけーよ!マーク多すぎてついていける気がしねーよ。
ドゴッ!
やべぇ、お隣さんから壁ドンきたよ、ヤクザみたいなお隣さんから壁ドンきたよ……。
……はぁ、しゃーなしだな。お隣さん怖いし、開けてやるか。
「はいはいわかったからドンドンしないで、なにどーしたの?一万円落としでもしたの?いや、たぶん無くすんだろーなーとは思ってたけどね。いくら俺が男の子だったとしてももう一枚は厳しいよ?一人暮らしの中学生にとって二万の出費は大きいんだよ?『なけなしの男気』はデッキに一枚しか入ってないんだよ?」
「そんなことじゃない!それに一万円ならここにある!」
「本当だ、よかったじゃん。じゃこんな朝早くに何しに来たの?嫌がらせ?嫌がらせなの?」
「いや、8時は朝早くにじゃないだろ…そーじゃなくて実は昨日ここを出てから一度も不幸な目にあってないんだ!」
「へー……。え?それだけ?」
「それだけとはなんだ、それだけとは!私にとっては奇跡のようなことなんだぞ!」
「てか、天衣さん昨日九鬼に向かったんじゃないの?なんでこんなとこいんの?」
「………実は昨日ここを出たときは九鬼に行こうと思っていたんだがな…」
「だが?」
「最近寝ていなかったからな、川岸で昼寝している女の子を見たら私も寝たくなってしまって…。仮眠のつもりが起きたら朝になっていたんだ…」
うわードジッ子だ、しかも自ら死地に飛び込んでいくタイプのドジッ子とか救いようがねーんだが。
「よく無事だったね」
「そーなんだ!いつもなら間違いなくお金はなくなっているというのに、なんと起きたら寝る前とまったく変わらずお金も無事だったんだ!」
「へー。……なんで?」
「私もよくはわからないが、おそらく君に治療してもらったおかげだと思う。シャワーを浴びたせいだと思っていたがよくよく思い出すと体の調子がよくなったのは君の治療を受けてからだからな」
「マジで?龍掌にそんな能力あったっけ?たしかに治療したときちょっといつもと違う感覚あったけど…」
「やっぱりか!きっとその龍掌とやらのおかげだろう。そこで君に頼みがあるんだが……。もしよかったら、なぜ不幸体質が治ったのかわかるまでここに居させてもらえないか?さんざん迷惑をかけて、その上こんなお願いをするのは気が引けるのだが、私にとってはこの体質を治せる最後のチャンスかもしれないんだ!頼む!」
「別にいいっすよ」
「軽いな!?本当のいいのか?」
「まぁ、ここで見捨てちゃうよりも最後まで面倒見た方が、俺の精神安定的な意味でもいいと思うんで」
「ありがとう、本当にありがとう」
「んじゃとりあえず上がってくださいまずもう一回龍掌してみて様子見ましょうか……」
side 現代
まぁそんなこんなで天衣さんがうちに居候することになったのだが、いまだに天衣さんはうちの住人だ。
天衣さんの不幸体質について、まだわからないというわけではない、俺の想像だがおおよその検討はついた。
それというのも、天衣さんの不幸体質はおそらく気が大きく関係している。
龍掌を使っていて気づいたのだが、天衣さんの体には心臓のあたりに外から気を吸い込んでいる場所がある。
これは恐らく天衣さんのもともとの体質的な物なのだろう、そしてここな悪い気……一般的に陰の気と呼ばれるものが貯まって不幸な事を呼び寄せてしまっていたのだと思う。
ためしに<凝>を使って天衣さんを見てみたら心臓付近に濁った感じの気が集まっているのが見えた、おそらくあれが陰の気なのだろ。
そこで俺はとりあえず龍掌を使って心臓付近の気を吸い込んでいる場所に思いっきり自分の気を流し込んでみた
そうするとうまい具合に陰の気が押し出されて天衣さんの体の陰の気を取り除くことができた。
天衣さんメチャクチャ苦しそうだったけど…。
まぁこんな感じで不幸体質はなんとかなったんだが、龍掌を使ってもそのまま放置しておくと、陰の気が貯まってしまい元に戻ってしまう。なので定期的に龍掌を使う必要があり、結果的にまだ天衣さんとの同棲生活が続いているというわけだ。
「…陽、聞いているのか?」
「え、なに?ごめん全然聞いてなかった、これっぽっちも」
「まったく、人の話はちゃんと聞かないか……」
「言っておくけど最初にピトーに夢中になって無視したの天衣さんだからね?」
「……まぁそんなことはどうでもいいんだ。それより、今日は龍掌をしてもらう日だぞ」
コイツ……、いい性格してやがる。
「そーいやそーでしたね、んじゃこっち来てください。はい、手出して」
「ん、ありがとう。……いつもすまないな」
「そのセリフはもっと年とってから使いなさい、天衣さんが使うには若すぎ」
「ちゃかすんじゃない、本当に感謝してるんだ。陽に出会うまでこんな普通の生活をおくれるなんて想像もできなかったからな。だから言わせてくれ、ありがとう」
………面と向かって言われると恥ずかしいっすね。
まぁ好きでやってることだし、そんな気にしないでいーんだけどなー。
「あ、そーいえば天衣さんバイト始めたんだし、別に俺の家住まなくてもいいんですよ?龍掌するときだけでも来てもらえればたぶん大丈夫ですし」
「………もしかして私がいると迷惑か?だったらすぐにでも出ていくが…」
「いや、迷惑なんて思ってないから!だからそんなションボリしないでお願い、罪悪感で押し潰されそう」
「本当か?居てもいいのか?」
「全然オッケー問題なんて欠片もないです、居たいだけ居てくれていいんですよー」
「よし、じゃあ居たいだけ居ることにしよう。ピトーに毎日会いたいからな!」
チクショウちょっとでも脈ありなんじゃないかと思った自分が恥ずかしいわ
「ん、なにか言ったか?」
「なんでもないです、いーからあんたはピトーと戯れてろバーカバーカ。俺は一人寂しく夕食の準備に取りかかりますー」
「おー、たのんだぞー」
ニャー
「ピトーはカワイーなー、お前は陽が好きか?」
ニャー
「そーかそーか、大好きか。
……ふふふ、私もだ」
絶対顔赤いんだけどこれ
なにしたかったんだこれ