ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花”   作:ナベ白製作委員会

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第九話「System Mark One」

「カタナ・コンバットっ!」

 

ベルマリアは怒涛の連撃を繰り出した、そのスピードは零号のそれを遥かに凌駕するレベルであった。

左手のカムイは攻撃のための装備ではなく、攻撃の受け流しと相手の体勢を崩すためのものであった。

その小さな身体の何処にそのパワーが有るのかと思わせるほどの”オロチ・アギト”の斬撃と相まって全く隙が無かった。

そのため、ベルレーヌは大剣を満足に構える時間さえ与えられず、受け流すので精一杯になっていた。

 

戦いは一転、ベルマリアが優勢に見えた・・・。

(・・・このまま、押し切れれば、あるいは・・・。いずれにせよ、シールドの回復が出来ない限り、一撃で昏倒してしまうじゃろう、ならば・・・ )

 

「時間まで、その一撃を封じ込めるのみじゃ!」

 

・・・だが、ベルマリアは同時にある事を不思議に思っていた。

そう、先程から少なからずのダメージを与えているにも関わらず、ベルレーヌのシールド係数が削れている気配が無かったのだ。

 

「・・・・もしや!?」

 

ベルマリアがそれに気がついた時、ベルレーヌが、ほくそ笑んだ。

・・・と、同時にベルレーヌの全身から禍々しいオーラが漂い始めた、そのオーラは猛毒となってベルマリアのフォトンシールドにダメージを与え始めた。

(ファンジからフォトンを吸収、利用しているのか・・・)

 

確かにそれは僅かなダメージであった・・・ だが対峙する間、ダメージを与え続ける。

それは今のベルマリアにとっては致命的だった。

瞬闘の最中では体力回復のメイトを使用することは到底出来ないからだ。

 

「”貴様では私には勝てない”と言った非礼を詫びよう、見事な剣さばきだ。立場が対等であったなら、負けていたかも知れぬ・・・」

 

キンッ、キンキンッ!!

 

ベルマリアの斬撃を受け流しながらベルレーヌが会話を続けた、その瞳には曇ったものが一切無かった。

「だが、私は勝たねばならぬ。このような勝ち方が不本意でもなっ!」

 

「ほぅ、意外に知能犯なんじゃのう・・・ 零号とはえらい違いじゃ・・・ ふふっ」

 

ベルマリアのフォトンシールド係数が極赤色になった。

ビーッ、ビーッ、ビーッ・・・

昏倒前の警告音が耳に響く・・・・ 120・・・98・・・・76・・・

(・・・残り、三秒程度か・・・ 直っているな、そろそろいいかのぅ・・・)

ベルマリアは強めの斬撃をベルレーヌに繰り出すと同時に後方に大きく跳び、ファンジに向かいオロチとカムイを高く上げ構えた。

 

「コンバット・フィニッシュっ!」

 

二刀の斬撃は大きな波動となってファンジにダメージを与えた。

ザシュッ!

ファンジは大ダメージを受け赤く光った。

 

ビーッ、ビーッ、ビーッ・・・

HP-0/2500の表示と共にシステムからの警告音が赤い点滅と共にベルマリアの耳に響く

やがてそれは、黒く消えた。

ベルマリアはオロチアギトとカムイを両手に持ち、膝から崩れ落ちるように倒れ、昏倒した。

 

ベルマリアの”コンバット・フィニッシュ”はベルリナを捕らえていたファンジに大ダメージを与えたが、ファンジの耐久力を半分程度削ったに過ぎなかった。

 

「・・・届かなかったか・・・ しかし、これほどまでのアークスだとは・・・」

 

ベルレーヌは大剣を構え直し、昏倒しているベルマリアに向かって言った・・・

「あなたには感謝している・・・命まで取るつもりはない・・・」

ベルマリアを暫く見つめた後、決着をつけるため、ベルリナが囚われているファンジに歩いて行った。

 

( ・・・”Starting System Mark One”)

 

ベルレーヌはファンジの壁をすり抜け、ベルリナの前に立った。

 

ベルリナのシールドとフォトンは限りなく0に近い状態で、瞳の色も無く、疲労のため涎と涙まみれだった。

四肢を拘束された状態から無理矢理抜けだそうと暴れたのか、衣装は乱れ半裸状態であった。

「・・・・あぁ、 はぁはぁ・・・・・ せんせい・・・ ぜろごうちゃん・・・だめっ、みんなを・・たすけ・・・」

 

「そうまでして、仲間を助けたいのか、ベルリナ・・・ お前が”ベルレインの巫女”として生まれなければ、みんな幸せだったのだ・・」

 

ベルレーヌは大剣を上段に構え、眼を伏せて、まるで自分に言い聞かせるように言った。

 

「おわりだ・・・ すぐに後を追ってやるから安心しろ・・・・」

ベルレーヌの大剣が振り落とされた。胴を裂く威力であった。

 

ガシっ!

 

しかし、勢い良く振られたベルレーヌの大剣は・・・ベルリナに届く前に何者かの両手で挟まれ止まっていた。

 

「ーーーなっ、お前・・・っ」

 

そこには先程まで昏倒してスクラップの様に横たわっていたベルナルドMk-IIが居た。

・・・真剣白刃取りであった。

 

ベルナルドMk-IIはベルマリアに向かって呟いた。

「なぁ・・・ マリア。”お前が昏倒したら起動する”このシステムは止めて欲しいのだけどなぁ・・・気分が滅入るよ。」

(判った、考えておく・・・ それより、すまん、みんなを救ってくれ・・・)

 

ベルナルドは両手で押さえ込んでいた大剣を素手でバキッと折り捨て、ぐったり倒れているベルリナを背に立ち上がった。

 

「なぜだっ!?、ファンジはダーカー以外を通さぬはず・・・うっ?」

 

そこに、耐久力半分を残していたはずのファンジは無かった。

余りの事にベルレーヌはベルナルドに完全に気後れして後ずさった・・・

 

「”みんな”というのは、このダーカーのお姉ちゃんも含むんだよな ・・・俺、手加減できるかな・・・。

だが・・・ コイツがお前にとって大事なやつだということは、理解した。すまんな、泣かせたようだな・・・」

 

(バカ言え・・・泣いては居らぬわ・・・)

 

手持ちに武器の無いベルレーヌは瞬時に8体のゴルドラーダを呼び出しベルナルドに張り付かせ自爆させた。

 

ドウゥゥーーーンっ!

 

生臭い煙と共に立ち上がる陽炎のなか、立ち上がるベルナルド・・・

ーーと、その外装パーツがボロボロと崩れ落ちてゆく・・・

中から、真紅の細身の長身キャストが現れる・・・・

 

「すまんな・・・ ちょうど脱ぎ捨てようと思ってたところだったんだ・・・ では、行くぞっ!」

 

ベルレーヌは、代わりの大剣を装備し構えた。

・・・が、ベルレーヌが構えたその時には、目前に両手にワイヤードランスを装備したベルナルドが立っていた。

 

「!!」

 

ベルレーヌは後ろに飛び退り、左手にチカラを込めた

 

「インジュリー・クェイ・・・・」

地面を叩くその前にベルナルドが叫んだ。

 

「すまんな、ちょっと痛くするぞっ!」

 

ベルナルドはワイヤードランスを振った、だが、その動きは誰にも見えなかった。

そしてその動きはベルレーヌの左腕を肩口から切り落としていた。

 

「うがっ!!」

 

余りのことに左肩を押さえ片膝をつくベルレーヌ・・・・

「何だ、コイツは・・ 登録データに無い上、桁外れの強さだ・・・」

 

(・・・お主が本当に驚くのはワシを倒した後じゃ・・・)

ベルマリアの声が脳裏によぎるー

 

「・・・・・くそっ!」

それでも立ち向かおうと、立ち上がったベルレーヌに突如、遠くから何者かの機銃掃射がされた。

 

ドドドドドッ、キュン、キュン、キュンっ!

 

周りに無数の銃痕が残り、「何だ?」という顔でベルナルドは顔を上げた。

離れた崖の上に幾つかの人影が見える・・・

 

「おっと、これは危機一髪でしたね。いまお助けしますよ・・・」

それは数体のキャストを引き連れた、ルーサーと呼ばれた男だった。

 

ルーサーは”ムーンアトマイザー”を戦場に投げた。

ベルマリアと零号はフォトンシールド発生装置が修復され昏倒状態から復帰した。

 

「チッ!・・・・」

ベルレーヌは右手をかざすと、そこに現れた空間の裂け目に身を投じ消えた。

 

「・・・べ、ベルリナ君! 大丈夫か!?」

ベルマリアは、ヨロヨロとベルリナに近づいた・・・

ベルナルドは腰のアイテムパックから大きめのケープを出し衣服の乱れたベルリナに掛けて言った。

 

「俺が居ると話がややこしくなりそうだから、先にキャンプシップに戻っている・・・マリア」

 

ベルナルドを見上げ、ベルマリアは、はにかんだ笑顔で答えた。

「すまなかった、ベルナルド。端からお主を当てにしておった。怒ってくれて良い・・・。

・・・じゃが、お前が来てくれて本当に嬉しかったんじゃ・・・」

ベルナルドもテレパイプを投げると、恥ずかしそうに背を向けて言った。

 

「・・・まぁ、何だ。昏倒しているマリアのぱんつ見放題なのは、得した気分だがなっ・・・ あははっ」

ベルナルドはテレパイプの中に消えた。

 

ベルマリアは顔を真赤にしながら叫んだ。

「ーーーーっ!? 馬鹿者ーっ。もう、来んで良いわーーっ」

 

少し離れた場所からイモムシのようにモソモソ動く零号の声が聞こえた・・・

「あー、ラブコメは良いから、誰か、僕を起こしてくれない?」




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