ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花” 作:ナベ白製作委員会
「皆さん、ご無事でしたか?」
ベルリナをキャンプシップに転送し、ベルマリアが零号を立ち上がらせていた時、ルーサーが声を掛けた。
一瞬、「むっ?!」とした表情になったベルマリアであったが、表情を切り替えて返事をした。
「これは、ルーサー殿、援護ありがとうございました。・・・」
よそ行きの言葉は気持ちが悪いな・・・ と自分でベルマリアは思った。
「しかし、こんな場所にタイミング良く現れるとは、まるでワシらをつけていたようじゃの?」
ルーサーは全く表情を変えずに答えた。
「いえいえ、たまたま量産機のテストがてら、ダーカーの掃討に当っていたのですよ・・・ いやぁ偶然とはいえ実に良かったー」
そう言うルーサーの後ろに4体キャストが並んでいた・・・・ が。
「・・・・何これ?! まさか・・・キャストなのコレ?」
零号は”気持ち悪〜い”というリアクションだった。
それは見た目はキャストであったが表情が全く無く、生きている感じも無く、文字通り兵器に脚が付いていると言った姿であった。微妙に零号の面影が有る。
「先日、開発された”ベルリナ量産型Ver2.03”ですよ。前モデルはあんな事があって揉めましたから、今回のモデルは潔くメモリを簡略化して、オーダリーキャストにしました。」
なぜかルーサーは得意気であったが、ベルマリアは半ば怒り顔で静かに言った。
「結局ロボットか・・・。前モデルの街中での暴走事件は沢山の被害者を出した・・ というのに、まだ開発が止まってなかったとはのう・・・」
ベルマリアは量産型を指さして、大きめの声で言った。
「命令しか聞かないオーダリーは結構じゃが、例のアレは勿論、積んでなど無いんじゃろうな?」
ルーサーは少し戯けて答えた。
「あー、勿論です。ジョーカーなど積んでおりませんよ。ご安心下さい。」
ベルマリアは極めて不機嫌な顔をして、量産型を下から舐めるように見た後、事務的な口調でルーサーに言った。
「それでは、ワシらは本部への報告もあるのでコレにて失礼する。・・・いくぞぃ、零号っ!」
”気持ち悪〜い”と思いながらも、零号は量産型に興味深々、
ジロジロ見ていたが慌ててベルマリアの後を追ってテレパイプに乗った。
ベルマリアは捨て台詞を吐いた。
「あー、今回の件、確認など有れば、親父殿に問うてくれ、それじゃの、ルーサー殿・・・」
ベルマリアたちはベルリナたちがいる衛星軌道上のキャンプシップに戻った。
-- 惑星ナベリウス衛星軌道上 --
キャンプシップではベルリナの集中治療をベルナルドMk-IIが行っていた。
そんな時、ベルマリアと零号が転送装置から現れた。
「おかえり、ベルマリア。案外早かったんだなー。」
集中治療の装置を動かしながらベルナルドMk-IIは声を掛けた。
ベルナルドMk-IIは先程までと違い、もとのカーキー色の太短い身体に戻っていた。
「・・・あれ、ベルナルドMk-IIに戻ってる・・・・
ーーー!? それよりお姉ちゃんは、どうなの? 大丈夫なの?」
零号は、ベルリナが横たわっている医療用のカプセルに駆け寄った。
「ベルリナちゃんは極端な疲労で昏睡しているだけだ、帰る頃には戻る
・・・大丈夫だ、安心して良いよ、零号。」
答えながらもキッチリ操作を続けるベルナルドMk-IIであった。
「あぁ〜っ、良かった・・・。」
零号の険しかった顔が安心した表情になった。
・・・が、壊れた両手がブラブラしているのが痛ましい
その零号を見ながらベルマリアが修理調整台を操作しながら言った。
「零号、調整台の上に横になるんじゃ、壊れた腕を取り敢えず予備の腕に付け替える。
まぁ、帰るまではそれで我慢してくれ。」
「うん・・・」
珍しく素直に調整台の上に横になる零号・・・・ ふと、顔を横に向けベルマリアを見ながら呟いた。
「ねぇ、先生・・・。 あいつは何でベル姉ちゃんを殺そうとするのかな・・・?」
壊れた零号の腕を肩口から外していたベルマリアは、ふと手を止めて零号を見て答えた。
「 ベルリナ君が”世界に破壊を呼ぶ者”になる・・・ と言っておった。その真意は判らぬ、
”零号、お前の事も粉砕する”とも言っていた・・・。・・・あー、腕を外すぞ、チョッと痛みが有るからな、いいか?」
カシャカシャ・・・ ガチャっ。
・・・零号の壊れた腕を外して、新しい腕に付け替えながらベルマリアは話を続けた・・・
「ダーカー侵食されていた・・・とは言え、自分の意志はハッキリしておったようじゃし、
ワシを殺す気は無いと言っておったところをみると、ベルリナ計画関連者全員を抹消する・・・と言うのとも違うようじゃ。 ・・・それとー・・・」
「・・・それと?」
零号は痛みを忘れて聞き入っていたー。
「奴は、ベルリナ君を殺した後、自分も死ぬつもりらしかったのじゃ・・・」
ーーーー キャンプシップ内に沈黙が広がった。
零号は思い出したようにベルナルドMk-IIを見やって言った。
「あー、あとさぁ・・・ 先生。アレ、・・・何?」
”アレ”と言われて、ベルリナの医療用のカプセルを操作していたベルナルドMk-IIは零号たちに振り返りピースサインを出した。
それを見て”うわぁ〜っと”呆れていた零号に向かって、ベルマリアは、至って真面目な顔で答えた。
「・・・ずっとお前たちにアレの事を黙っていた事は謝る。じゃが、この件はベルリナ君にも聞いてほしいと思っておるんじゃ・・・ じゃから、戻って落ち着いてからで・・・良いかのぅ?」
「うん、判ったよ、帰ってからお姉ちゃんと聞くよ。それとさぁ・・・」
今まで、じっとベルマリアを見ていた零号が視線を外すと申し訳無さそうに、呟いた。
「銃を壊しちゃってごめんなさい・・・ 折角、先生が僕にプレゼントしてくれたのに・・・」
零号は取り外された”壊れた腕”を見ながら、強く言った。
壊れた腕が、その時の斬撃の強さを語っていたー
「僕、悔しいんだよ・・・、負けたくないんだよ。」
一瞬、零号をチラ見して、腕の取り付け作業に戻りベルマリアが答えた。
「・・・・零号、お主、リミッターを外して欲しいとか・・・ 思っているんじゃないか?」
「ーーーっ!!」
零号は”何で判ったの?”という顔をした後、真面目な顔でベルマリアに答えた。
「だって、だって・・・ 次にあいつが来たら、今の僕のチカラではお姉ちゃんを守れないよ、そんなのやだよっ!」
腕の接続の確認をしたあとベルマリアはコンソールパネルを操作して、調整に入った。
「零号、なぜ、お主にリミッターが掛かっているか、知っているな? 」
「そ、それは僕の中に大きな爆弾が残っているからだよね、」
「まぁ、それもあるが ・・・ベルリナ君の再現として作られたお主が、何故こうもベルリナ君と違うのか? とかな・・・・
ベルレインの娘達には謎が未だに沢山あるんじゃ、アークス唯一の”フルデジタルキャスト”であるお主にもな・・・・ふむ、この件も帰ってから相談でもするかのぅ・・・」
調整を終えて零号は調整台から降りてベルマリアをじっと見つめていた。
ベルマリアは片付け作業を終えると、大きなため息をついた・・・
「さすがに、今回は疲れたわい・・・ 。帰ろうか。
ベルレーヌもあれだけの傷を負ったのだから直ぐに追っては来れないじゃろう・・・
あと、ルーサーの動向が気になる・・・ さっきの救助も”ワシらを助けたのではない”ような気がするわい・・・
・・・ベルナルドMk-II、オートパイロットセット。目的地アークスシップA-02”ウル”」
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