ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花”   作:ナベ白製作委員会

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第十三話「気付かぬ成長」

-- 三ヶ月前 --

 

「えっ!? これを僕にくれるの?」

 

その日、零号は研修生を卒業して、正規アークスに登録された。

「まぁ、何じゃ卒業祝い・・・ とでも言ったところかの?」

ベルマリアは零号に真新しい双機銃をプレゼントした。

「まぁ、良かったじゃない零号ちゃん、良いなぁ〜」

余り銃器に詳しくないベルリナは”プレゼント”という事だけに喜んでいるだけのようであった。

 

それは、鋼色をした無骨なデザインで何の飾り気も無い銃であった。

市販品では無いらしく、零号は少し珍しがった・・・ が、

「・・・ん?! コレ、随分重いんだね・・・」

おもむろに手に持った零号は少し射撃に構えて、首を捻って言った。

「えっ!? そうなの? そういうものじゃないの・・・?」

テーブルに”卒業おめでとう!! 零号ちゃん”とデカデカとデコレートされたケーキを並べていたベルリナが顔をあげて言った。

「うん、・・・・こんなに重いと照準取るの遅くなっちゃう気がするなぁ・・・」

零号は銃を軽く振りながら言った。

 

ベルナルドMk-IIが淹れた珈琲を飲みながら、ちょっと不満気な顔でベルマリアがそれに答える・・・

「まぁ、ワシも双機銃は専門外ではあるんじゃが、良い武器は持てば判るぞ、

あと、本当に良い道具というものは”使う人に本当の使い方”を教えてくれるものじゃ」

 

「うーん・・・ でも、振り回す以上、絶対軽い方が良いと思うんだよね。僕は・・・」

 

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その後・・・

零号は暫くプレゼントされた銃を使っていたが”重くてカッコ良くない”という理由で、すっかり使わなくなってしまった。

やがて、ベルリナとコンビを組んで実戦を積み始めた零号は持ち前のスピードを活かして、どんどん戦闘が上達していった。

二人は惑星ナベリウスをベースに活動する有名アークスコンビとして噂になるまでになった。

・・・そんなある日、零号がベルマリアの研究室を訪ねてきた。

 

「・・・何だか最近、照準が狂う事が多いんだ」

「ーーーーっ!?」

零号が自分を嫌っていたのを知っていたベルマリアは、わざわざ訪ねて来たのにびっくりして、慌てて精密調整を始めた。 ・・・だが、

 

「ふむ・・・ 別にどこも悪くない・・・ んじゃが?」

 

調整カルテデータを穴が空くほど見てベルマリアは零号に言った。

「そんなことないよ、絶対どこかおかしいよっ!」

ふーむ ・・・と暫く考えたあと、ベルマリアは確認するかのように零号に尋ねた。

 

「双機銃は、この間のやつを使っておるのじゃろうな?」

 

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そんなやりとりの有った三日後・・・

ベルリナと零号はナベリウス凍土地帯で行方不明になった新人アークスの捜索に出ていた。

随分探しまわって、凍土の僻地でスノーバンサーに襲われている新人アークスを発見し保護、

そのままスノーバンサーとの戦闘になってしまった。

ベルリナは傷ついた新人アークスをリカバリしていたため、零号だけでバンサーを相手しなければならなくなった。

当時の零号にとっては初見の相手であった。

 

「くそっ、速い、コイツ・・・」

いつもは余裕のある戦闘をこなしてきた零号であったが、このようなスピードエネミーと対峙するのは初めてであった。

バババッ、ババーーッ

軽くて強靭、信頼性と接近破壊力が売りの”ヤスミノコフ9000MC”を使用していた零号であったが・・・・

 

(くっ・・・・だめだ、やっぱり照準が狂う・・・、おまけに、オーバーヒートだ・・・)

 

撃ち出した弾丸は幾つか命中していたが、致命傷を狙えていなかった。

中途半端な攻撃に”怒りモード”となったバンサーのスピードは更に加速を呼び、零号は完全に追い込まれて、ついに・・・

 

グォーーッ!!

 

バンサーの鉄爪拳が零号を捕らえ、吹き飛ばした。

 

「うぐっ!!」

はずみで、手持ちの双機銃をハジキ飛ばされ、自身も近場の氷岩に叩きつけられた。

零号のフォトンシールドはイエローゾーンになっていた。

 

「零号ちゃん、いま行く、逃げてーーーっ!!」

救護者安全のため少し離れて救急していたベルリナは直ぐに駆けつけられなかった。

吹き飛ばされた零号は手に双機銃が無い事に気がついた・・・だがその時には遅かった。

 

ギャオーーン!!

バンサーの猛爪が零号に迫っていた。

(飛ばされた双機銃を取りに走る間は無い・・・・武器は無いのかっ?・・・ そうだ、あれが有る!!)

その瞬間、アイテムパックから両手に鋼色の双機銃を装備して、Sロール側転で攻撃を回避した。

 

ん?・・・零号は瞬間的に違和感を憶えた・・・

(・・・おかしい。こんなに重いのに何故だろ、取り回しが軽い。)

 

グォーーッ!!

 

怒り狂うスノーバンサー!!

零号は攻撃を躱しながら、迫る爪にロックオンした。

 

「エルダーリベリオンっ!!」

バッバババ・・・バンバンバンッ!

迅速の射撃を行った。

 

(・・・あ、決まる、命中するっ!! しかも・・・)

前爪は一撃で吹き飛んでいた。

「何だ、これ・・・ この銃、こんなに威力あったっけ?」

 

ふと、ベルマリアに銃をプレゼントされた時の会話の続きが思い出される・・・

 

「よいか、零号。良い道具というのは、絶対性能ではないんじゃよ、

使う者の能力に二割、三割の上乗せを常にするだけのものじゃ、使用者が上達すればそれだけ能力も上がる。

だから良い道具というのは長く使えるものなんじゃよ・・・」

 

バッバババ・・・バンバンバンッ!

スノーバンサーの残りの前足爪が粉砕される。

照準は全くブレることなく、思うままにピタリと止まり決まる・・・

(芯がブレない。気持ち良い、久しぶりだ・・ 戦闘が楽しいと思ったの・・・ あははっ)

零号は笑って独り言を言い始めた。

 

「本当に良い道具というものは”使う人に本当の使い方”を教えてくれるもの・・・ だっけ先生?」

 




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