ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花” 作:ナベ白製作委員会
-- エクストリームステージ20 --
「もう、良いじゃろう・・・コレを使えっ!」
黒いキャストが投げた双機銃をファルス・ヒューナルの攻撃を躱しながら零号はキャッチした。
(フブキ・リンカ? いや似てるけど違う、アレとは比べ物にならない重圧感がある・・・)
過去に手に持った双機銃でこれ程までに強い重さを感じたものは無かった。
双機銃のグリップには壊れた愛銃と同じ”JIG”のネームが有った。
「くそっ、重いなぁ・・・あははっ・・・手に馴染む・・ いい感じだ。こんなに重いの使えるかな・・・? 」
バーチャルとはいえ、実戦闘データから創られたヒューナルは大脅威であった。
「愚鈍ッ!」
ブンッ、ブンブンッ!!
続けざまに繰り出されるヒューナルの拳を双機銃の柄で弾いてSロールで零号は回避した。対峙する距離はゼロであった。
ヒューナルは零号と同等以上の速さがあった、だが零号はそれを全て紙一重で躱し切っていた。
(3・2・1・・・3・3・1・・・2・・2・・3・・・ 今だっ!!)
ヒューナルの拳の動きの合間をぬって零号は顔面にロックオンをした。
ロックオンはブレること無く決まり、それはゼロ距離からの攻撃となった。
バンッバン!!
「クッ!!」
ヒューナルが怯んだ・・・ と、零号は後ろに跳び距離をおいた。
ヒューナルは一瞬怯んだが直ぐに全身にチカラを込めた。邪悪なオーラが拡大してゆく・・・
(・・・・来るっ!)
「応えよ深淵、我が力にっ!」
ヒューナルの拳が拡大し、大地を叩く、と同時に強大な衝撃波が巻き起こる!
零号は衝撃波の速度より早くSロール側転でスタン攻撃を回避した・・・ が、
「ーーーっ!!」
それと同時にヒューナルの拳から赤黒い呪われた衝撃波が八方に発射された。
(ベルレーヌのインジュリー・クエイクと同じ・・・なら見切ってやるっ!! ・・・守ってみせる)
零号の脳裏にやさしい姉の・・・守りたい姉の笑顔が浮かんだ・・・
零号のCPUが120%のオーバークロックで稼働し、以前食らった攻撃パターンから弾道予測を数ミリ秒ではじき出す。
全身の冷却液が沸騰する勢いで高温になり、背部の冷却フィンが開放されファンが全開で回り出す!
ヒュゥーーーーンっ!!
(・・・試算完了っ!! 八発中、五発が固定ランダム拡散、ニ発が低速自動追尾・・・・・そして・・・)
自分に向かってくる呪われた衝撃波を次々、Sロールで回避する零号っ!!
「最後の一発が音速追尾かっ!!・・・・ ヒールスタップ!!」
直上に飛び上がりながら零号は衝撃波の直前に蹴りとフォトン弾を打ち込んだ。
その大衝撃で音速追尾の衝撃波は消滅した。
しかし、ヒューナルは攻撃の手を止めることは無かった。
「遊びの由は幾百万っ!!」
ヒューナルは背から漆黒のオーラをまとう大剣を取り出しズンズンとゆっくりと歩み寄ってきた。
衝撃波を攻撃で止め、着地した零号を見た黒いキャストは驚いた。
「お、お嬢ちゃん・・・その姿・・色は・・・何じゃ?」
全身の冷却液が沸点近くまで達した零号の全身は通常の水色から薄紅に変わっていた。
「ーーーんっ?、 ・・・あれ本当だ、薄ピンクになってる、何だ?これ・・・」
・・・と、同時に零号は自視界の左上のステータス表示横に
何やら微かに金色の文字が点滅し、浮かび始めているのに気づいた。
(LIM・・・何だ・・・・・っ!!)
「浅薄!」
ブブンっ!!
ヒューナルはソードを振り回し始めた。その速さは、かつて経験したベルレーヌのそれに近いものがあった。
「クッ!!」
初撃が零号の肩をかすめた。明らかに先程よりヒューナルの動きが速くなっている。
ヒューナルの連撃は、その速さゆえ、まるで同時複数の太刀筋に見えるほどであった。
(まだ、見える・・・躱せる、チャンスは有るっ!)
零号はヒューナルの攻撃の八割を見切りで躱し、残りを武器で受け流していた。
受け流しで弾いて、隙が作れる・・・と思っていた零号だったが・・・
(弾いているけど・・・パワーに負けて、逆に押されてる・・・のか)
まさにベルレーヌ戦そのままになりつつあった。
キンッ!キン!
攻撃を受け流してSロールで背後に回りロックオンする零号・・・・ しかしっ
「脆弱!」
ヒューナルの後ろ回し蹴りが炸裂する。
零号は後ろに跳び距離を取った。
「ぼ、僕は・・・・」
零号の脳裏にやさしい姉、ベルリナの笑顔が・・・怒っている顔が・・・喜んでいる顔が・・・ 浮かんできた・・・
夕陽の中で胸に込み上げてきた苦しい気持ちで一杯になってゆく・・・
「僕の命はお姉ちゃんのために有るんだっ!!」
零号の切ない感情がピークを迎えた瞬間、彼女自身の中で何かが切り替わるのを感じた。
-- LIMIT BREAK spiritual linkage--
零号はステータスウインドウの左上に金色に点滅する文字を見た。
零号の全身の冷却スリットが全開放され、熱い紅いフォトンが放出され始めた。
そしてそれは、零号の全身を真紅に染める。
俯いていた零号はゆっくりと顔を上げた・・・
「いま・・・判った、僕が何をしなければいけないのか・・・」
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