ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花” 作:ナベ白製作委員会
照りつける太陽、澄み渡る藍青の大海原と海・・・ 翌日のウォパルは絶好の海水浴日和であった。
ベルマリアの受け持つ生徒達と同じ宿泊施設に泊まったベルリナ一行は翌日、
ウォパルの観光客の少ない辺鄙なビーチに来ていた。
「こらーっ、そこっ! ちゃんと整列せんかーっ」
ジリジリと照りつける太陽に灼かれて少し肌が赤く染まる・・・
遠くの景色がユラユラと揺れる・・・
アークス指定の紺の競泳水着を来たベルマリアが、拡声器片手に、ざわつく生徒たちを怒鳴りつけた。
「これより、特別カリキュラムを始めるぞぃ、事前にお主らの端末に配布しておいた今回の全講習には目を通しておいてくれた事と思うのじゃが・・・質問などあるかー? 」
ザワザワ・・・・
「・・・それでは講習説明を始めるぞー。 ・・・まず・・・・」
それを少し離れて見ていたベルリナ姉妹。
零号は競泳水着のボディに換装、ベルリナは長Tシャツで下にビキニを着ているらしかった。
日頃、零号は通常のカスタムキャストパーツに身を包んでいることが多く、水着パーツは珍しかった。
・・・ベルマリアの先生っぷりを遠目に見ながら、ベルリナが零号に耳打ちした。
「先生・・・・ すっごく、先生してるね・・・」
はぁっ? という顔をして零号がそれに答える。
「何言ってるの、ベル姉ちゃん。意味分からないよ・・・あははっ」
屈託なく笑う零号。”あぁ・・平和だなぁ・・・”と零号はしみじみ思っていた。
ーーキラッ!!
「・・・んっ?」
・・・・零号は自分たちの後ろに光るレンズを見つけると、慌ててズカズカと歩いて行き、ベルナルドMk-IIを怒鳴りつけた。
「おいっ、お前っ・・・ なに盗撮してんだよ、許さないぞっ!!」
構えていたビデオカメラから眼をはずすと、ベルナルドMk-IIは、にこやかに笑って答える。
「イヤだなぁ・・・ 記録ですよ、学習記録。学校への報告もありますからねぇ・・・ にへへぇ〜」
零号は先のミーティングで語られたベルナルドの話を思い出した。
ベルレーヌ戦で昏倒しながらも見ていた”ベルナルド”の戦闘を思い出した・・・が、
両手を挙げて呆れ返った。
「あぁ・・・こ、こんな奴が英雄だなんて・・・信じられないよ・・・」
ベルナルドMk-IIは一旦、カメラを置くと、零号をマジマジと見てー
「しかし、零号さん、今日は水着ボディなのですな・・・ 凄くお似合いで。ワザワザ今回用に購入されたのですかな?」
ーーーーっ!!
零号は真っ赤になって慌てて両手で全身を抱くように隠すとー
「ぼ、僕が買ったんじゃないやい、ベル姉ちゃんが買ってくれたんだ・・・ あんまりジロジロ見んなっ!!」
何やら生徒に話していたベルマリアは不意に後ろの零号らに向くと
「うぉらー、そこっ・・・ うるさいぞ静かにしろ。
・・・で、ここから先の実技を・・・ あー、ベルリナ君、協力してくれ・・・」
「あ、はいっ・・・」
不意に呼ばれたベルリナはトコトコとベルマリアのもとに駆け寄った。
「ちぇっ、怒られちゃったじゃないか・・・ お前が悪いんだぞっ!!」
零号は口を尖らせてベルナルドMk-IIを睨んだ。
ベルナルドMk-IIは両手を上げて
「ベルマリアは今回、”やるからには本気でやる”・・とか言ってたからなぁ・・・気合入ってんなぁー。
・・・だが、ベルリナちゃん折角、ビキニっぽいのに長Tシャツ着てるとか、見えないし有り得ないよな・・・まぁ、アレはアレで良いんだけど・・・」
ビデオカメラ片手にブツブツ言うベルナルドMk-II・・・
フッフーん、・・・とドヤ顔になる零号。
「アレはな、余りに過激な水着だったから、僕がベル姉ちゃんに言って無理に着せたのさ、ザマミロ・・・へっへっへっ」
そんな会話も知らず、五十人余りの生徒の前で何やらロッドを出して法術を唱えていたベルリナが
「フォイエっ!!」
炎をポンと出して皆を沸かせていた。
”おおーっ”
”すげーっ”
”かっこいい”
色々な声が聞こえてくる・・・
・・・と、突然、ベルリナがTシャツに手を掛け脱ぎだした。
「うーん、ヒラヒラして、やっぱり邪魔っ!!」
その下は・・・殆ど着てないに近い青いマイクロビキニであった・・・
”おおーっ”
先程以上の歓声と溜息が巻き起こった。
「おぁ、超やば・・」
ベルナルドMk-IIは、ビデオをRAWモードにして食い入るように録画を開始・・・
「ちょ、お姉ちゃん、ダメだったらーーーーっ!!」
慌てて駆け寄る零号
「ベ、ベルリナ君っ!! ・・・ったくぅ、お主の天然っぷりにも困ったもんじゃ・・・、
生徒が困っておる、服を着ろ、服を・・・」
「えーーっ、何でーーーっ?」
こうして午前のカリキュラムが進められた。
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午前のカリキュラムも終わり、お昼はクラス全員でバーベキューをすることになった。
やはり自然の中に居るとお腹も空く。
ジュワワーーッ。
似合わぬピンクのエプロン付けたベルナルドMk-IIが肉の皿を片手にグリルで食材を焼き始めていた。
「いつもの食事と違って、たまにはこういう古代的な調理も良いもんだぜー」
ジュージュー・・・
「うわぁ・・・ 何これ、生肉だ、こんなの焼いて食べるの? ・・・っていうか、火とか使って大丈夫なの?」
零号は食材をクンクンと嗅いで確かめてみて、うぇえ? ・・・となっていた。
ジュジュジューーッ。
「私も初めてだけど、大丈夫って先生が言ってたよ、えーーっと、ナ・フォイエで良いのかな?」
ロッドを出すベルリナ・・・
「なんと無粋な・・・。ベルリナ君、こういうのは炭素を燃やして焼くのが相場じゃよ。テクニックとか使うんじゃないわい」
ベルマリアは焼け始めている肉をクンクンと嗅いで、満足気であった。
立ち上る煙と芳ばしい匂いが胃袋をくすぐる・・・
「な、何か、活きてるの混じってるんだけど、これも焼くのかな?」
慣れない手つきで食材をグリルの網の上に並べていた零号が魚介類をマジマジと見た。
「肉とか野菜とかの食材は三代目フランカ食材店で調達してきたから、間違いなく旨い筈だぜ。
魚介類はウォパルで現地調達したから新鮮だしな。」
調理をしていたベルナルドMk-IIが鼻歌まじりに説明して、何故か満足気であった。
「とりあえず、俺と零号で調理しようぜ、残念ながら俺たち食えないしな・・・」
「そうだね、何だか面白そうだ。いっちょう、やったりますかーっ!!」
ベルナルドMk-IIと揃いのピンクのエプロンを付ける零号。
ジュワワーーッ・・・ ジュジュジューーッ。
「よーし、そろそろ良いじゃろう、焼けたものから順に食って良いからなー
喧嘩せずに食うのじゃぞー」
いそいそと割り箸を割るベルマリア。
肉からはジュワジュワと香ばしい肉汁が垂れ、魚介類からも良い匂いが立ち込めている。
・・・だが、誰も手を付けない・・・ アークスシップ育ちの学生は自分たちで調理などした事が無かったのだ。
「どうした、皆食わんのか? もったいない、では頂くとしようかの?」
ベルマリアはお箸を片手に皿に焼けたものを次々乗せ、食べ始めた。
ハフハフ・・・ ムシャムシャ・・・
「旨い、こりゃ美味いのう・・・ たまらんわい。」
貪り食うベルマリア・・・ 本当に美味そうに食べていた。
ゴクッ。
涎を飲み込む周りの生徒たち。
「・・・いや、しかし僕達、こういう食材の形そのままっていうのに抵抗があってですねぇ・・・」
ベルモントは串に刺さった深海魚っぽい魚を指して言った。
「あら、ベルモント君、先生が食べて良いって言っているんだから大丈夫よ!!」
そう言うとベルリナもバクバク食べ始めた。 ・・・そして、
「うわぁーっ、凄く美味しいじゃない、皆も食べようよーっ。無くなっても知らないよーっ」
そういうとベルリナは更にバクバク食べ始めた。
「そ、それじゃ・・・・」
近くにあったカニっぽいものが刺さった串を取り、ベルモントは恐る恐る・・口に運んだ・・・・
表面から美味しそうな水分がブクブクと泡を立て、
甲殻類を焼いた時の独特の臭みが鼻をついた・・・
他の生徒たちも続いて口に運んだ。
パクリっ・・・
「うまっ!!!!!!」
「あ、あれ? ーーーーっ?! お、美味しい・・・」
「いけるじゃん!!」
あちこちから上がる生徒たちの歓喜の声。
「それみろっ、だから何で食わんのか?・・・と言ったのじゃ
それ、まだまだ有るんじゃ、食え食え。ベルナルドMk-II、ジャンジャン焼いてくれ」
ベルマリアはムシャムシャ食べながら箸で指示を出した。
零号も次々に網に食材を並べた。
こうして昼食タイムが過ぎていったーーー。
ごちそうさまでした・・・
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ひとしきり昼食を食べた生徒たち・・・
午後からは課外授業の一環で、海岸より少し離れた小島まで中型の船で移動することになり、
ベルマリアは、レンタルショップにあったレジャー用の中型漁猟船を借りた。
「あー、午後からは少し離れた小島までコレで移動するぞー、皆乗ったかー?
端末点呼・・・OK!! それじゃ、出発するぞいっ!、 ベルナルドMk-II 頼む。」
「オーケー。 ・・・と言っても自動運転だけどな」
ギューーン。ボロボロボロ・・・・
生徒とベルマリア一行を乗せた船は指定の島までの自動運転を開始した。
ポンポンポン・・・・・ ポンポンっ・・・・
澄み渡る青空に白い雲、のんびり揺れる船・・・・
「何だかお腹が一杯になったら眠くなって来ちゃった・・・・Zzzz...」
甲板の荷物に腰掛け、ウトウトするベルリナ
「あー、島到着まで三十分程度だから、余り眠てられないよ、お姉ちゃん・・・・
・・・ん? ・・・・何だコレ?」
零号は船の甲板上に有るゴツイ大砲のようなものが気になった。
それは、先端に反しの付いた”モリ”が付いており、それを打ち出すような造りになっていた。
クラス長であるベルモントと、何か話をしていたベルマリアは不意に顔をあげてそれに答えた。
「あぁ・・・このレンタル船は漁猟船らしくてな、この辺りは大型の魚類や小型の海竜が捕れるらしいんじゃ」
「か、海竜・・・? ・・・大丈夫なの?」
急に不安げになる零号。それを見てケタケタ笑うベルマリア
「何でも五メートル位の小型の海竜で食用になるらしいんじゃよ、海老っぽい味で美味しいらしいぞ。そのゴツイ大砲みたいなのは、それを捕らえるための電磁モリじゃ。
刺さると先端から高圧電流が流れて、一時的に失神させるようになっておるらしい・・・」
言われて、電磁モリをペタペタと叩きながら零号
「へぇーーっ。面白そうだなぁ、ちょっとやってみたいな・・・ えへへ」
ーーーーっと、その時、船の後ろの方に居た生徒たちが急にざわめきだした。
「せ、先生っ!! あれ、あれっ」
生徒たちが指差す後方の海上に、謎の航跡と共に巨大な何かのヒレが迫ってくるのが見える。
ベルリナは眠い眼を擦りながら眼を細めてその海上をみた・・・
そしてビックリして眼を覚ます。
「ーーん、何だろね? あれ?・・・ええーーっ!!」
「海竜? ちょ、ちょっとデカいよ、マズいかも・・・・強烈な殺気も感じるよっ!!」
零号はアイテムパックに手を掛けて身構えた。
「んっ!」
船の目視観測台に駆け登ったベルマリアは手をかざして皆が指差す方向を見た。
「な、なんじゃアレは・・・」
先程まで遥か後方海上だった筈の”謎の航跡”は一瞬でベルリナ達が乗る船の後方百メートル程に迫っていた。何か胴の長い生物が突進して来ている・・・
ロッドを抜いたベルリナはベルモントに告げるー
「ベルモント君、皆を船内に退避させてっ! あれは私たちで何とかするからっ!」
「は、はいっ」
ベルモントは周りの生徒達を順序良く船内に入れはじめた。
暫く計器端末を見ていたベルマリアは顔を上げて険しい顔をした。
「海竜バル・ドミヌス、計器測定でゆうに三十メートルは超えておる。特異巨大種じゃ。
ウォパル政府から討伐の任が下りた。何とか撃退して欲しいと」
船の後方数十メートル程の海上から巨大な頭が持ち上がった!
大きく弾ける水しぶきっ!!
「グググ、グゴォーーッ!!」
中型の船が小舟のようにその波に揺れる・・・・
「うわっ、デカっ!! あんなのを退治しろって言うの・・・」
零号は出した双機銃を収納し、ランチャーに換装した。
「ベルナルドMk-II、操船を頼んだぞ。・・・いいか、絶対にあいつの体当たりを食らうなよ。
・・・・船を沈められたら終わりじゃ!」
ベルマリアはアイテムパックから強弓を装備し構えた。
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