ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花” 作:ナベ白製作委員会
倒され打ち上がったバル・ドミヌスはベルリナたちの船に頭を乗せた状態で体の半分を水中に残す程、巨大であった。
甲板に出てきた生徒達は、かなり興奮した状態でザワザワ騒いでいた。
「おーっ、でけぇなー」
「すごい戦い、見ちゃったー 感動したー」
「さすが先生とナベ白だわ。すげーっ」
騒いでいる生徒達を見ながらベルマリアは”フーッ”と息を吐いてベルナルドに指示をした。
「残念じゃが、こんな事態では臨海学校は、ここまでじゃな・・・ ベルナルドMk-II、ゴースターンじゃ、港に戻るぞ」
ベルナルドMk-IIに指示を出すと、ベルマリアは耳に手をかざして通信機を起動し通信を始めた。
「アークス登録AS02-100069532169547 ”ベルマリア・ウルフェンシュタイナー”じゃ
・・・ふむ。特別回線で本部長への通信許可を願う・・・・回線認証は・・・ ふむ。そうじゃ・・・」
それを見ていた零号は打ち上がったバル・ドミヌスの死骸をペチペチと叩きながらベルリナに聞いた。
「・・・珍しいよね、先生自ら親父さんへ連絡なんて、何かあったのかな?」
「そう・・・そうかもね、何か思う事が有ったんじゃない?」
ベルリナは興奮している生徒たちの点呼確認を取りながら答えた。
「マリアです、親父殿、お久しぶりで ・・・、いきなり用件で恐縮なのじゃが・・・・」
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翌日、ベルマリアが父親に連絡して呼び寄せた救護隊によって生徒全員が無事アークスシップへの帰還の途についた。
惑星ウォパルの海難事故の原因となっていた大海竜が退治されたニュースは瞬く間にウォパル中に広がり
”ナベリウスの白い花”の名前がここでも知れ渡る事になった。さながら一躍、ヒーロであった。
生徒たちと別行動になったベルリナ、零号、ベルマリア、ベルナルドMk-IIの四人はウォパルの観光市街地から大きく離れた場所にある海上遺跡の”聖域”と呼ばれる場所の近くに来ていた。
それは・・・ 今より五日前、アークスのベルマリア宛に一通のメッセージが届いたのが原因であった。
(標準時xx月xx日 16:00 惑星ウォパルの浮上遺跡跡(ポイント xxx-yyy)まで来られたし。 ベルレーヌ。)
辺りは夕暮れになり、指定ポイントで待つ四人は若干緊張と共に手持ち無沙汰になっていた。
「あー・・・、バル・ドミヌス退治でヒーロー気分は嬉しいのだけれど、
取材インタビューとか言って二時間も拘束するのは勘弁してほしいよねぇ・・・」
零号は手近にあった何かの彫像をポスポスと叩いて顔を上げた。
「まぁ、なんじゃ。ワシはお主らの仲間では無いと散々言ったのに、ワシまで”ナベ白”のメンバー扱いされるとは、のう・・・」
ベルマリアはフッと時計を見て答えた。
ーーー海上遺跡は丁度、先の大戦が勃発した頃、
突如としてウォパルの海上に浮上出現した遺跡の事である。
もともとウォパルには知的原住民の存在が少数確認されてはいたが、
この海上遺跡にはそれ以上の文化生活の痕跡が残っていた。
ただ破損が激しく、調査が思うように進んでいない状態であると共に、
どうしても入れない聖域と呼ばれる地域があった。
それはまるでバリア結界が張られた如く、生体全てを拒む謎の地域・・・
「・・・しかし、昨日のバル・ドミヌスの件を親父殿に調査確認をしてもらったんじゃが、一切記録に無いものじゃった
・・・あれは間違いなくアークスの誰かの手によって創りだされた生物なのは間違いない・・・
あと、この聖域と呼ばれる不可侵地域じゃ・・・ 未だに謎が多い・・・」
近くの岩に脚を投げ出して腰掛けたベルマリアが呟く。
ベルリナは夜空に一番星を見つけると手をかざしてそれを見つめて、ゆっくりと歌を歌い出した。
(フン〜フフ〜〜ン、フフン〜〜♪)
「ベル姉ちゃん、その歌、何なの? いつも歌ってるよね?」
ベルレーヌの事で頭が一杯だった零号はベルリナの歌を聞いて、ふと尋ねた。
「何って? なんだろうね? 私の歌? かな、 あはは・・・」
ベルリナは歌を続けた。
「ベル姉ちゃん、どこでも歌ってるんだもん。もう、僕、おぼえちゃったよ、ソラで歌えるぐらいだよ、あはは・・・」
零号も一緒に歌い出した。
「・・・というか、ワシも散々聞かされてきたからな、その歌は
歌詞まで覚えとるわい、あはは・・・」
ベルマリアも一緒になって歌い出した。
三人の歌声が海上遺跡の夕陽に溶けていった・・・
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ーー海にその日三度めになる夕陽が沈み、辺りが静寂と暗闇に包まれたーー
古いギリシア・ローマ時代を彷彿とさせる建築様式に囲まれた水上遺跡に
打ち寄せる波だけがチャプチャプと音を立てているーー
周りに影がより暗く影を落とし、空に一番星が瞬き始めた時・・・
四人は同時に同じ方向の暗闇に眼を向け、立ち上がった・・・
「・・・五分・・・いや六分、遅刻じゃな。 ふふっ」
ベルマリアは何故か微笑みながら遅れてきた者に向かって言った。
「皆、揃いか・・・ 久しぶりだな・・・ みんな。その節は失礼した・・・」
ベルレーヌが暗闇から浮き上がるように現れた。
「な、何が久しぶり・・・だ?! ふざけんなっよ!!」
熱り立つ零号・・ だがベルマリアが手を上げて制止した。
「まぁ、待て、零号・・・落ち着け・・・ まぁ話を聞こうじゃないか。
・・・ベルレーヌよ、真正面からワシらを呼び出す以上、闘うつもりで呼び出したのではなかろう・・・何が目的じゃ?」
ーーーー ザザーーン。
「お前たちに見てもらいたいものがある・・・。 いや知って貰いたいものがある」
ベルレーヌは四人を見据えて揺るぎなく話した。
「・・・もう、ベルリナ君を殺すのは諦めたのかの?」
ベルマリアはその視線を返すように睨みつけて、ベルレーヌに問いただした。
「その必要が無くならなければ、それも有りえる・・・・」
ベルレーヌはベルリナを見つめて言った。・・・が、その視線に殺意は無かった。
「お前がお姉ちゃんを狙う限り、僕はお前を許さないっ 絶対にだっ!」
零号は手に双機銃を構え、ベルレーヌを睨みつけた。
ーーーー ザザーーン。
「まぁ、みんな・・・とりあえず今は、そのお姉ちゃんの言うことを聞いてみようじゃないか?
どうも俺には、騙そうとしているようには見えないんだが・・・な?」
ベルナルドMk-IIはベルマリアとベルリナ姉妹の間を割って前に出たー。
「すまんな、彼女・・ 腕は再生治療出来たのか?大丈夫か?」
そういうベルナルドMk-IIの言葉は優しかった。
頷くベルレーヌ。
「よしっ、良いじゃろうベルレーヌ・・・ お主の言う見せたいものを見てやろう
・・・結論はそれからでも良いじゃろう? みんな?」
ーーーー ザザーーン。
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ベルレーヌに連れられ全員が来たのは遺跡の入口から地下に下りる穴の前だった。
遺跡はアークスによる先の調査の結果、作られたのは五世紀以上前である事が判明している。
それにふさわしい苔むした遺跡の”聖域”と呼ばれる入口に五人は、やってきた。
「こんな所に来たのは初めてだわ、姉さん此処に何が有るというの?」
ベルリナは明かり代わりに指先でフォイエを緩々と燃やして中を覗いた。
ベルマリアは明かりに照らされた真っ暗な中を覗いた。
「この穴の事はアークス本部から聞いているが、
対人シールドのような見えないチカラが働いていて入れないはずじゃ・・・
ベルレーヌよ、この中に入れると言うのか?」
それに無言で頷くベルレーヌ・・・
「今の私なら問題なく入れる・・・ここから先は私の体につかまって進んでくれ、みんな」
”つかまって”という言葉の部分で明らかに零号が嫌そうな顔になったが、
全員ベルレーヌの体につかまって地下を降り始めた。
”誰も入れない”はずだった通路は若干の圧力(プレッシャー)を感じる以外は普通に降りることが可能であった
(これがダーカーのチカラだと言うのか・・・
それにしてもじゃ・・・ここは電源が活きているのか?)
ベルマリアは全神経を研ぎ澄まし周りを見回した。
地下に続く通路は大人が二〜三人で通れる程度のもので五人でギリギリであった。
通路は通気口や非常灯と思える小さな明かりが有るだけで、何も無いコンクリートの通路だった
・・・やがて、急に視界が開け大きなホール状の大きな部屋に出た。
「・・・何だこの部屋、でっかい部屋だな・・・ あれ、もう手を離しても大丈夫なんだ・・・」
零号は驚いて思わずベルレーヌから離した手を見て言った。
ベルリナは手先で燃やしていたフォイエの出力を上げ大部屋全体が見渡せるようにした。
ボゥ・・・と明るくなる室内。
湿った空気が重く、機械、計器類と何かのガラス容器類が散乱し壊れていた。
しかし、電源は活きているらしく計器類は微かに光っていたー
「何じゃ、まるで何かの研究室の様に見えるんじゃが・・・・」
ベルマリアは机の上に余り埃が積もっていないのが気になっていた。
皆が驚く中、ベルレーヌがそれに答えた。
「ここは・・・ベルリナ計画の発案者であるアークス”ルーサーの実験場跡”だ・・・」
「何じゃ?ルーサーの? どういうことじゃ?」
突然、聞き慣れた人物の名前が出てきて驚くベルマリア
「ダーカーには世界のフォトンの流れを読むチカラが有る。その結果、私はこの場所にたどり着いた。
・・・ベルマリア、そこの端末は、まだ生きている。見てみろ、奴が此処で何を行っていたのかを」
言われた端末を見てベルマリアは空中にバーチャルコンソールを出し、接続を試みた。
「・・・ よし、いける・・・ 破損が酷いんじゃが・・・えーっと何なに・・・・」
ベルマリアは何かを調べ始めた。
「魔獣合成・・ベルリナ計画・・・素体クローン再生・・・
これは、いったい・・・なんじゃ」
ベルマリアが調べていた時、ウロウロしていた零号は研究場の壁沿いに試験体培養カプセルが並んでいるのを見つけた。
「先生ーーっ!、こっちに培養カプセルがあるよ・・・ 何か生き物を創ってたのかな・・・・
・・・え? お姉ちゃん?」
「どうしたの零号ちゃん? 呼んだ?」
ベルマリアについていたベルリナは遠くから呼ぶ零号の声に返事をした。
「い、いや、ち、違うよ・・・お姉ちゃんそっくりな人が・・・」
そこには”人体モデルA02356894”と表示されたカプセル内に浮かぶ人間の姿があった。
慌てて駆け付けたベルリナが、そのカプセルに書かれた文字を見て声を上げた。
「人体モデルA02356894:ユリア・ウルフェンシュタイナー ・・・って
先生のお姉さん?・・・三英雄の・・・なの?」
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