ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花” 作:ナベ白製作委員会
「クローン技術は人権保護の問題で凍結されているはずじゃ・・・」
余りのことにベルマリアは放心状態であった・・・
「じゃが・・・間違いなくワシの姉のユリアじゃ」
それは、失敗クローンの残骸とはいえ間違いなくベルマリアの姉”ユリア”であった。
長いブロンドの髪、青い瞳・・・人間で有る事以外はベルリナそっくりであった。
ベルマリアは”人体モデルA02356894”という番号に見覚えがあった。
(確か・・・どこかで・・・ そうか、あの時の実験の・・・素体か・・?)
「知らずとは言え、ワシは姉のクローンからお前たちを創ってしまったというのか・・・」
震えるベルマリアに落ち着いた声でベルレーヌが話しかけた。
「ベルマリア・・・ 多分、今先ほどの端末情報から知ったと思うが
惑星テラの古い北欧神話に”ベルレイン”という魔獣が語られている・・・。
魔獣ベルレインの歌声は聞く者全てをその支配に置くという伝説が有る。
そして、その凍結遺体があのナベリウスの凍土地帯の奥で発見され、隠蔽されている。
ベルリナ計画とは、ニューマン生成でもキャスト兵器開発でも無いっ!
魔獣ベルレインの復活計画の事だ。ベルリナはその生贄の巫女として創られたのだ
ベルレインが復活すれば、人類は吸収消滅する・・・
私はダーカーのチカラで歴史を垣間見た。ルーサーを・・・
ベルレインを止めなければならない」
ーーーーっ!
その瞬間、ベルマリアの中で全ての繋がりが見え始めた。
「・・・・あはは・・・そうか、何故こんな簡単な事に気が付かなかったのじゃろう・・・
ワシのDNAがベルリナ姉妹の適合候補になるのも当たり前じゃ・・・
しかも彼奴のためにワシは生贄生成の手伝いまでさせられたというのか?
まぁ、見事に手のひらで踊らされていた・・・というわけじゃな、・・・くそっ!!」
ベルマリアは目の前の壊れた机を力いっぱい殴りつけた。
ーーー?!
そしてー 大きく息を吸うと、部屋の隅の暗がりに向かって叫んだ。
「・・・何が目的じゃっ! ルーサー。 そこに居るのは判っておるっ!」
全員がその方向に振り向くと、コツコツ・・・と
少し湿った床に響くヒールの音がゆっくりと近づいてきた。
「いやいや、皆さんお揃いで、こんにちは。・・・いや、こんばんは。かな?」
ルーサーはゆっくりと、まるで舞台俳優を気取るように歩いて来た。
そして言葉を続ける・・・
「人の一生なんて宇宙からみれば一瞬でしかありません、殆どゴミですよ。なのに世界にはこんなにも無数のゴミが溢れている・・・・ 美しく無いと思いませんか?全てを統合したいと思いませんか?
僕は全ての知識が欲しいのです。神ならば当然の望みです。学者であるベルマリア殿ならご理解頂ける筈だ」
ルーサーの言葉を聞いていたベルマリアは眼を閉じて語り始める・・・
「判らなくもない・・・じゃが他人を潰してまで得る知識に何の価値があるっ?
先程みせてもらったお主のメモが正しいのだとすればベルレインが人々から知識を得る事はその人格を吸収消滅させる事のはずだ・・・」
それを聞いたルーサーはケタケタと馬鹿にした笑いを始めた。
「はぁ? 宇宙からゴミが消え去る事に何か問題がありますか?消えて当然ですよ。
最終的にベルレインと同化した私が全てを理解し動かせる世界にこそ価値があるのですよ、わかりませんかねぇ・・・ノイズは要らないんですよ、ベルマリア殿?」
「やはり、お主とは趣味が合わんのう・・・ 雑味の全くない食事が美味いワケがなかろう」
フーっとため息をつくとルーサーは肩を窄めてベルマリアを残念そうな眼で見た。
「残念ですね・・・ベルマリア殿、私は貴女を高く評価しているというのに・・・
死体からキャストを造れる技術、ダーカー侵食を逆に利用して因子を固定できる機転。実に素晴らしい・・・」
「くっ、全てを知った上でワシを嵌めたと言うのか、やはり仲良くなれないのう・・・
今からでも遅くない、ベルレイン復活は諦めるんじゃ!さもなくば・・・・」
「さもなくば・・・?」
「お主を危険分子としてアークス本部に突き出すまでじゃっ!」
その言葉を聞いて大笑いを始めるルーサー・・・
「あはは・・・っ、どうもあなたがたは、まだ理解出来ていないようですね・・・
危険分子・・・ それは貴女のことですよ、ダーカーに密通したアークスさん。」
ルーサーはちらりとベルレーヌを見やって言った・・・
ーーーーっ!
「ルーサー・・・最初からそのつもりで前回ベルレーヌを見逃し、ここまで誘い込んだと言うのか?
・・・じゃが しかし丸腰のお主に何が出来るっ! ここの情報と凍土に隠蔽されているベルレインの凍結遺体が明らかになればお主の失脚は明らかじゃ、諦めて降参するんじゃ・・・量産型ぐらい連れて来るべきじゃったのう?」
「僕が丸腰ですって? 本当に、わかってないのですね・・・ ガッカリですよベルマリア殿・・」
ルーサーは右手に小さな通信機のようなアイテムを取り出すとスイッチをいれて命令した
「ベルリナ以外は殺しても構わない・・・」
その声に顔を上げたベルリナ試作零号機の瞳には光が宿っていなかった。
「分りました・・・。ベルリナ以外を処分します・・・」
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