ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花”   作:ナベ白製作委員会

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第二十三話「クローン・ユリア」

「デッドアプローチっ! 」

 

零号の動きは低出力モードのスピードであったがそれでも並のキャストより遥かに速い。

ベルマリアは抜刀オロチを抜いて零号の突進を受け流し、攻撃をギリギリで回避した。

 

「待って! 零号ちゃん。聞こえないのっ! やめてーーっ!」

 

ベルリナの叫びにも無反応でひたすら攻撃を続ける零号。

躱し続けるベルマリア・・・正確な射撃は完全にベルマリアの頭を狙うもので有った。

「ちっ! 可動調整してやった恩も忘れて攻撃してくるとは、 

仕方ない・・・ Starting System Mark One! 来てくれっ、ベルナルドっ!」

もし、リミッター開放されたら、ベルナルド以外に零号を止めるられる者は居ないー

ベルマリアはベルナルドを呼び出し、零号の足止めを試みる。

(ルーサーがどこまでワシらの情報を掴んでいるかは判らない・・・じゃが・・・)

 

「ルーサーっ 許せん、絶対に許せんっ! そのあたま、カチ割ってくれるわっ! 

ベルナルドっ! 零号を止めてくれ! 多少壊しても構わんっ!」

ベルマリアはそう言うとルーサーのもとに駆け寄った。

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「まぁ、零号だけじゃ 貴女がたを止めるなんて出来やしませんよね・・・ ふふふ。

もっと楽しく遊びましょう・・・か?」

ルーサーが右手をパチンと鳴らしたその瞬間ベルマリアの頭上から殺意の刃が降ってきた。

その速さと正確さはもはや人のものでは無かった。

辛うじて躱したベルマリアの目の前に見慣れた人物が立っていた。

流れるブロンドの髪、吸い込まれるような碧い瞳、モデルのようなスタイル・・・

 

「ユリ姉?・・・ くっ、クローンか・・・ 」

ベルマリアは双小剣を構えた姉と対峙した。

 

「知っていますよ・・・ ベルマリア殿。貴女が姉に相当なコンプレックスを抱いていた事を・・・

身体能力・・・美貌・・・スタイル・・・ 全てにおいて姉を羨んでいた。」

ルーサーはケタケタと笑いながら近くにあった机に腰掛け脚を組んでベルマリアとユリアの戦いを楽しんでいた。

 

クローン(偽物)だということは頭で理解している。

しかし正面で向かい合えば偽物であるかどうか全く判らないほど酷似している。

子供のころから姉の後ろ姿を追いかけてきたベルマリアにすれば、姉に刃を向けることなど有り得ない事だった。

 

(あの日、あの時、ユリ姉は私やあの場に居た人たちを救うために死んでいった・・・

ちょっと変な姉ではあったけど、ワシの生涯尊敬するに値する人物なのだ・・・)

 

アークスとして姉と剣を交えるのは勿論、初めての事だ・・・

だが、姉の剣技が人知を超えていることも充分知ってはいる。

現に偽物だというのに向かい合うだけで背筋が凍えるほどの圧力を感じる・・・

勝てるのか? こんな化け物に? ・・・いや、ワシはコイツを倒さなければならぬ、なぜならー

 

「マリアちゃん・・何で私に刃を向けるの・・・?  言うこと聞かないとダメじゃない・・・」

片言で話しかけてくるクローン・ユリア。

 

多分、ルーサーがデータベースからユリ姉の情報をこの木偶人形に流し込んだに違いない。

腹が立つ!腹が立つ!腹が立つ! 我慢が出来ない・・・ これは死者を冒涜する行為だ!

愛しさも憎しみも含めた私の姉に対する想いを汚された思いだ。

 

「ルーサーっ! 貴様っ、もう手加減出来んっ! ぶっ殺すっ!」

ベルマリアは左手にカムイを装備し二刀流で構えた。

七メートルは有ったであろう間合いは一気に詰まり、剣の撃ち合いが始まった。

 

キンッキンっ!! キンッキンっ!!

 

クローン・ユリアの攻撃は熾烈を極めた。速さも斬撃の重さも到底コピーとは思えなかった。

しかも致命傷を狙った攻撃は全て躱されてはいるが、確実に相手のシールドを削っているはずだが・・

 

「くそっ、クローンだと言うのに・・・何だ、この固さは・・・ 

これが三英雄と言われる強さなのかっ! ・・・全くダメージが通らぬわ!

二桁ダメージでは夜が明ける! ベルリナ君・・一瞬で良いっ、クローンの足を止めてくれっ!」

 

「はいっ、先生っ! 氷結のバータっ!」

ベルリナの放ったバータによってユリアの足が凍った、その瞬間

ベルマリアはオロチを漆黒のヤミガラスに持ち替えた。

ザシュっ!!

クローン・ユリアは信じられない強さで凍結を解除し、ベルマリアの斬撃を僅かに かすめる 程度で躱した。

 

「一秒も足止め出来んとは・・・・この・・・バケモンが・・・

死んで尚、ワシを苦しめるとは困った姉じゃわい・・・ふぅーーっ。カタナコンバットっ!」

 

キンッキンっ!! キンッキンっ!!

 

二人の刃の撃ち合いは目視不可能なレベルであった。

双方が双方とも攻撃を致命傷にならない程度で弱めるのが精一杯な状態が続いた・・・

防具の幾つかが、ふっ飛び、血が飛び散る

しかし20秒程撃ち合いを始めて、突然・・・

 

「ぎゅわぅおわーーっ!!」

クローン・ユリアは正体不明な言葉を発しながら、もがき苦しみ始めた。

 

「そろそろ、効き出したじゃろう・・・。いくら防御が有ろうと、内からのダメージは防げまいっ!

ヤミガラスの呪い受けるが良いわ!!」

 

クローン・ユリアの体表面が紫に染まり、毒のダメージが出始めた。おまけに狙いが狂い始めた。

そう、ベルマリアは闇属性のヤミガラスで与毒+パニック攻撃を行ったのだった。

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一方、零号と対峙していたベルナルドは零号の攻撃を受け流していた。

「身内をぶっ飛ばすのは趣味じゃないんだが、仕方ない」

ベルナルドはワイヤードランスで零号の脚を砕こうとした・・・ その時。

 

「零号、リミットブレイクっ!」

ルーサーが指示を出した瞬間、真紅に染まる零号!!

その瞬間、ベルリナの心に流れ込む零号の心の叫び・・・・

 

(くそっ、止まらない・・・ 止まれ止まれーーっ!!)

「零号ちゃんっ!! 待ってて、いま助けるから、絶対に止めるからっ!!」

 

ベルナルドの零号の脚を砕こうとした攻撃も目視できない零号の動きに躱された

残像が残像を呼び、零号の姿は幾重にも見え正確に狙うことすら困難を極めた。

バババッ!!

零号の双機銃の射撃はベルナルドの装甲を次々破壊した。

 

「くっ!!目視出来んと言うならば、その残像全てを破壊するのみ・・・ 許せ、零号!」

ベルナルドは迫る零号に攻撃を集中した。

 

「ならばその足止めの手伝いくらいはしてやろう」

ベルレーヌはチカラを込めた拳で大地を殴りつけた。衝撃波は零号の残像を一瞬止め無防備にした。

ベルナルドの攻撃は正確に零号の両膝から下を打ち砕いた。

グワッシャンっ!

零号の脚は膝下から吹き飛び、大地に落ちたー

 

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クローン・ユリアも昏倒が近いのか攻撃が大振りになってきた・・・

「ルーサーっ、身内の姿なら攻撃がしづらくなるとでも思ったか?

・・・残念じゃが、コイツはクローンじゃ、所詮偽物じゃ、おまえも学者なら判るじゃろうに・・・

見た目だけの偽物に感情移入するなどあり得ないわっ!」

 

確かに剣技の力量は大したレベルではあった、流石クローンだ・・・

しかし、所詮、魂の無い一撃などで倒されるほどヤワでは無いっ!

 

ザシュッ!!ベルマリアの一撃が、猛毒で削られたクローン・ユリアのシールド発生装置を完全に破壊した。

「マリアちゃん・・・マリアちゃん・・・・酷いじゃない・・・マ・マリ・・・ア」

ベルマリアの最後の一撃でクローン・ユリアも尽きた。

 

「魂の無い木偶人形など何体持って来ようが同じ事、

ハァハァ・・・ここまでじゃな、ルーサー・・・・、今度こそ諦めるんじゃ」

全身血まみれになりながら抜刀を収めベルマリアがルーサーに歩み寄る。

 

ベルマリアは自分の眼に涙が浮かんでいる事に気が付いていたが、もう心は落ち着いている。

(ユリ姉・・・ こんな形では無く、もっと楽しい再会がしたかったぞ・・・)

 

「びっくりですね、少し舐めすぎていましたか・・・ね?」

そういうとルーサーは両手を挙げてベルマリアの前に出てきた。

 

「しかし・・・ 勝負は最後まで判らないものですよ」

ルーサーは、脚を失い床に転がっているベルリナ試作零号機を確認するように見た。

 

「何を言っておる、勝負など付いておるわ・・・おとなしく・・・」

肩で息をしながらルーサーに迫るベルマリア。

だがしかし、ルーサーは少しも慌てた様子が無い・・・

 

「もともと零号に戦力など求めてなどいませんよ・・・

・・・零号、スピリチュアル・リンケージ、ワード発動”ベルレインの詩”」

ルーサーが謎のワードを発音した瞬間、ベルリナの頭に”何かの詩”が聞こえてきた

それは心の中にある何かが目覚める感覚を呼ぶものだった・・・




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