ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花”   作:ナベ白製作委員会

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第三十一話「ベルレインの歌声」

「Starting System Mark One! 」

ベルナルドMk-2の外装パーツがパージされ、ベルナルドとして再起動した。

 

暗い風穴に入った、ベルマリア一行・・・ 

風穴内に明かりは無く、全神経を使って警戒しながら進んだが、行けども行けども暗いぬかるんだ道が続く・・・

五十メートル・・・百メートル・・・・

 

「零号よ、応急修理したが、お主の左腕は使えん・・・ 大丈夫か?」

ベルマリアは進みながら零号に声を掛けた。

「銃は口で咥えて撃てる。問題ないよ。それより、この穴は一体どこまで・・・・」

随分進んだ気もするが・・・全く進んでいない気もする・・・ 

・・・と、目の前に明るい空間が徐々に近づいてきた。

 

パアアーーッ・・・・

光が満ちて広がる空間・・・・まるで異世界のような場所。いままで歩いてきたナベリウスの土地とは思えなかった。

生暖かい風が流れ、赤黒い風が吹いていた・・・・

 

「何かの遺跡か?」

思わずベルレーヌが口にしていた。背の高い雑草が生え、見たことのないオブジェが其処彼処に立ち並んでいた、

それは古さを感じる数千年もの昔に建てられた建造物に思えた。

 

「ベルリナ君の反応は・・・ この先じゃ・・・」

ベルマリアはそう言うと更に北の方角を指差した。差した方向には巨大な塔のような物が建っていた。

 

「他のアークスの反応が風穴の外に有る・・・ 追いつかれるのも時間の問題だな・・・

敵か味方かは、来てからのお楽しみだがな、はははっ」

ベルナルドは少し後ろを振り返りながら、告げた。

 

「なんだろう、この場所・・・・ 過去に来た記憶があるような・・・?」

その遺跡跡を歩きながら、ベルレーヌが呟いた。

やがてベルマリア一行は巨大な塔の前近くまで来た。

そして塔の元に磔されているベルリナを見つけた。

 

「お姉ちゃんっ!!」

駆け寄ろうとする零号の右腕を取り止め、ベルマリアが叫んだ。

「ルーサーっ! 居るんじゃろう? 引導を渡しに来てやったぞ・・・・・」

周囲に聞こえる位の大声でベルマリアは叫んだ・・・ 

 

「ブラックシャドウを物ともせずに此処まで来ましたか・・・・ はははっ、さすがベルマリア殿だ」

ルーサーは磔されているベルリナにユックリと歩み寄ると、その柱に手を置いた。

 

「さぁ、ベルリナ君を返してもらうぞ、ルーサー・・・・」

そう言うとベルマリア達はツカツカとルーサーに歩み始めた。

 

「お姉ちゃん、しっかりしてっ!! 大丈夫なのー?」

零号は思わず声を上げたが、それを聞いたルーサーが答えた

「あん? あぁ・・・そうですね、こんなものは、あなた方に差し上げますよ、どうぞ・・・」

 

ずるッ・・・

 

ルーサーは磔台の後ろのスイッチを入れた。その途端、ベルリナの身体は拘束が外され台から落ちようとした。

「ベルナルドっ!」

ベルマリアが声を上げたのとほぼ同時にベルナルドは地面に落ちるベルリナを抱きかかえた。

「・・・んっ? なんだ? シールド発生装置が生命維持しているものの意識が無い・・・どういうことだ?ルーサーっ!!」

ベルナルドはベルリナの身体を抱きかかえたままベルマリアの元へ戻った。

ベルリナの命に別状は無さそうであったが、完全に意識が無い昏睡状態であった。

 

「ルーサーっ! ベルリナ君に何をしたーーーっ!!」

ベルマリアは腰の抜刀に手を掛け真っ赤な顔でルーサーに叫んだ!

 

ルーサーはツカツカと塔の前に出ていき、壁に手をついて答える・・・

「ベルリナさんには、ベルレインの解凍に少しチカラを貸して頂いたのと、

その思念をベルレインの起動キーにさせて頂いただけですよ、ふふふ・・・・」

「起動キー・・・? じゃと・・・? 」

ベルマリアはベルリナの顔を見てから、ルーサーを睨みつけた。

(ベルレインは既に復活していると言うのか・・・しかしじゃ・・・)

 

魔獣というものが復活した・・・ というのにそれほどの、殺気も邪念も感じられない・・・

 

ザザッザッザッ!!

 

・・・と、そこにベルマリア達を追ってきた、ナベリウス公安のアークス達が現場に傾れ込んできた。

その数、ざっと三、四十人はいる。

「アークス・ナベリウス公安課の者である。聞きたいことがあるっ! この場に居る全員公安まで来て頂こう!」

 

「おやおや、これまた騒がしいですね、あなた達・・・ 知りませんよ、彼女の機嫌を損ねても・・・ ふふふっ」

ルーサーは戯けて笑った。

「何がおかしいのかっ! 貴様。 事情は後で聞くっ!」

公安課のものは、対峙している人物が”あの”ルーサー である事に気づいてないらしく、

大きな声で怒鳴りあげた。

 

ーーーー その時、

 

「・・・騒がしいね・・・何事?」

ルーサーの影から現れた白いワンピースを来た十歳位の娘が現れた。

 

ーーーーっ!!

ベルマリア達は、その少女の姿を見て戦慄した。

容姿こそ少女であるものの、その全身から漂うオーラが通常の人のものではなかったのだ。

しかも、今の今まで、その気配すら感じなかった・・・

(このプレッシャーは・・・ ベルレイン・・・なのか・・・あの娘が・・・)

 

ベルマリア達は、一気に臨戦体勢に入ったが、事情を把握出来ていない公安課の人間はお構いなしだった。

 

「お前も、さっさと来い、お前ら全員大人しくしろっ!」

 

・・・と、急に少女の顔が恐いものになった・・・・

「お前、うるさいな、消えろ・・・」

そう言うと、少女は胸前で手を組み、歌を口ずさむようにさせた・・・・

 

「なんだ、この歌は・・・何を・・・ うっ!!」

ーーーバタッ!!

怒鳴っていた男は急に昏倒しその場に倒れた。

 

「指令っ! どうされました?! 指令っ! ・・・・娘っ!!・・・何をした!」

倒れた男の周りの者達が、一気に戦闘態勢に入った。

 

(馬鹿者、やめろっ そいつは・・・)

 

ベルマリアはその瞬間、確信した。

「間違いない。奴が、ベルレインじゃ・・・」

 

少女ベルレインは、続けて何かを歌うような振りをした、・・がベルマリアたちには何も聞こえない。

・・・が、公安課の屈強な男たちは

「うん!? 何だ・・・ 歌が聞こえ・・・・ うわーーっ」

そう言うと、バタバタとその場で倒れ出した。

 

ルーサーは呆れ顔でベルレインの頭を撫で呟いた。

「本当にバカな連中ですよ、ベルレイン様のご機嫌を損ねるとは・・・」

 

その場に居た、公安の者達、半数がその場で昏倒した。

 

「伝承に曰く、ベルレインの歌声は聞く者全てをその支配下に置くという・・・・

・・・そこのゴミたちよ、消えてなくなるが良い・・・・そうですね?ベルレイン様・・・ふはははっ」

ルーサーは少女ベルレインを肩に抱くと、公安達に、歩み寄った。

恐れ冷静さを無くした公安は腰からレイガンを抜くと、お構いなしに撃った・・・ が、

レイガンはルーサーと少女ベルレインに命中する前に少女の強いチカラで弾かれていた。

 

「うるさい・・・」

ベルレインは手を伸ばし、聞こえない歌を口ずさみ、次々に人々の意識を食っていった。

バタバタと倒れる男たち・・・

 

それを見ていたベルマリアは、ある考えに至っていた。

(ルーサーは、”ベルリナ君を起動キーにした”と言った。彼奴のメモが正しいのだとすると、

ベルリナ君の思念そのものがベルレインの思念として動いている事になる。

ならば、ベルレインの思念からベルリナ君の意識を呼び戻せれば・・・ 

その思念を分離させ、ベルレインを止められるはず・・・ じゃが、そんな事が出来るのか?

ベルレインは千年を生きた魔獣・・・ どれだけの人の思念を食って来たのか・・・)

一瞬、悩んだベルマリアであったが、零号の顔をみた瞬間、それが可能であると確信した。

 

「零号っ!!、ベルレインの思念の海からベルリナ君の意識を引き戻してくれっ!!お前にしか出来んっ!!」

零号はベルマリアをじっと見た。それは確信を求める眼だった。

 

「そうじゃ、お前にしか出来ん、ベルリナ君を取り戻して来い!!」

「判った・・・・ 」

零号はリミットブレイクした。

ヒュイィィィーーーン!!

 

その瞬間、零号の頭の中に大量の思念が流れ込んで来た・・・

それは、いま思念を吸われた者を始めとする同化した人、全ての思念であった。

余りの事に、零号のCPUがパンクしそうになる・・・・

 

「うぐっ、 うわっ・・・」

余りの事に、頭を抱え苦しみだす零号・・・

「あうっ・・・」

それと同時に少女ベルレインの動きが鈍くなった。

 

だが、それをみていたルーサーはケタケタと笑った。

「ここにきてリミットブレイクは計算外でしたが、何をするのかと思えば・・・

無理ですよ、零号さん。一体どれだけの思念がベルレイン様の中に有ると思っているのですか? 

ざっと前世紀からのもの全てですよ、広大な砂漠から砂粒を探すようなものだ・・・ふははっ」

 

(それでも・・・・僕は・・・)

零号は、姉にもう一度、会いたかった。会って一言謝りたかった。

「ごめんなさい、僕のせいで、お姉ちゃんに一杯、辛い思いをさせた

お姉ちゃん・・・お姉ちゃん・・・」

零号は、深い眠りのような深淵に心を投じたーー。

 

「要らぬ邪魔をするゴミ共が、そろそろ掃除が必要になりましたかね・・・」

ルーサーはベルマリア一行を睨みつけ、吐き捨てるように呟いた。

 

「ルーサーよ、いまベルレインを止めるなら、お前の命まで取らん

・・・じゃが、それ以上、ベルレインを助長するのであれば、この生命を以て断罪する!!」

ベルマリアは抜刀を抜いた。

「仕方、無いですね・・・しかし、貴女の相手は私じゃない。」

ルーサーはそういうと、パチンと指を鳴らせた。

 

そこには首の無いブラックシャドウだったものがユラユラと現れた。

頭部を失い、制御も出来ないために、ダーカー侵食が進み、

もはや人型であったことすら判らないほど奇形化していた・・・

 

「まさかと、思ったが・・、やはり 死んでなかったか、ブラックシャドウ・・・

もはや、アークスキャストでは無く、侵食体としてのみの身体となったか・・・」

 

そして、ブラックシャドウだったものが呟く・・・

「痛い・・・ 痛いよ・・・ 全部殺してやる・・

ナベリウスの白い花・・・・ ぐぉわわーーーっ!!」

 

見ている間に急速に侵食が進み、ムクムクと巨大化していく・・・

そしてそれは巨大な甲虫の形態となった・・・

 

「くっ、ダーク・ビブラスの因子から出来ておったのか・・・ブラックシャドウ・・・」

 

ぐおォォぉーーーっ!!

ナベリウスの白い花メンバーを殺すべく

殺気に満ちたダーク・ビブラスの咆哮が辺りに響いた。

 




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