ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花” 作:ナベ白製作委員会
「いいか、衝撃波はクリスタルの前方3〜5メートルに収束点が有るようじゃ積層シールドのやや前じゃな。
コンマ五秒以内にそれを飛び越してバリア内に入ればダメージは無い!
・・・もし、収束点より前に居た場合は、跡形もなく衝撃波で粉砕されるぞ・・・」
零号の耳にベルマリアの通信が入ってきた。
「しかし、至近距離で衝撃波を出させるとなると・・・ マジで命がけだな」
ベルナルドは踏み潰そうとする前脚を躱して、ベルレインの額のクリスタルの核を攻撃した。
彼の攻撃力は半端無く、ベルレインのシールドに貫通直前のダメージを与えていた。
「俺の全力で穴が開けられんとはな・・・ くそっ、このバケモンが・・・」
「僕の全力攻撃を合わせれば、穴開けられるんじゃない・・?」
隙をつくろうとして脚を攻撃していた零号がベルナルドに言った。
・・・だが、それを否定するベルマリアの忠告が飛ぶ
「それは、無理じゃな・・・ 仮に穴が開いたとしても、積層シールドが常時展開されている限り
次々と淀みなく内側からシールドが張られていくのじゃ、一撃で無いと貫通は無理じゃな・・・・ いててっ」
攻撃していた零号とベルナルドに向かって再び衝撃波が撃ち出された。
ドゥーーーン。
辛うじて躱す二人・・・・
「二人だけの攻撃では、飛び込むタイミングが取れないや・・・」
零号が一人ごちた・・・その時。
バシューーッ!!
超超距離からベルレインの核を狙撃するスナイプが命中した。
貫通こそしなかったものの、その威力に一瞬ベルレインの動きが止まった。
「ーーーーなっ?!」
びっくりして身体を躱し、零号は発弾された方を見た。
遥か遠くに輝く漆黒のキャシールの姿があったー。
「遅くなっちゃいましたけど、今着きましたョ、零ちゃんさん?」
見れば、零号のフレであるレンジャーの”リサ”が長銃を構えていた。
「リ、リサちゃん!! ・・・・・うわっ!? 何っ?!」
零号は続けざまに頭上からの殺気を感じて避けた・・・ が、それは自分に向けられた殺気では無かった
ガシーーーンッ!! ドウッン!!
その一撃はシールド越しだというのにベルレインの前足の爪を吹き飛ばした!!
モクモク上がる砂煙の中から”にぱっ”と笑う笑顔が現れた・・・
「おぅ、久しぶりだな・・・・!!」
ベルナルドが懐かしそうに現れた主に向かって言葉を掛ける。
そして・・・爪を吹き飛ばした黒いキャストが零号に振り返る
「久しぶりじゃのう、元気じゃったか?! 零号? 」
漆黒の鎧・・・ジグが鋼拳を構えていた。
「ジグのオジサン まで!?」
ジグとリサは声を合わせて叫んだ
「悪いが、こんな一大事とあっては・・・ 身体が疼くわい!」
「零ちゃんさんだけ、こんな面白そうなことしてるなんて、ズルいですよネェ? 」
・・・と、その時、ベルマリアの通信機にコールが入ったー
「マリア、遅くなってスマンな、あと一時間程でそちらに着く、状況はどうだ?」
(ーーーーっ、親父殿・・・・ )
ベルマリアは脚の痛みでは無い、温かい気持ちで涙が溢れてきた。
「ありがとう、親父殿・・・ 今、経緯のデータを送る、小隊ならば、突入は今しばらく待ってもらえんか?
ベルレインは人の心を食らうバケモノじゃ・・・、むやみに突入すれば被害が増えるばかりじゃ・・・
ちょっと、負傷していてワシは動けんが・・・・」
ベルマリアはベルレインに対峙するアークス達を見ながら言葉を続けたー
「・・・大丈夫、零号達なら、やってくれる。 」
通信機の向こうで暫しの無言の後・・・・
「判った、お前の指示で突入する。健闘を祈る・・・ マリア。 ワシのたった一人の娘よ・・・」
通信を終えたベルマリアが呟く・・・
「たった一人とか言うと、ユリ姉が怒るぞ、親父殿、ふふふっ・・・ あたた、痛っ」
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「・・・と、以上があの化け物を倒す作戦だ、ジグ、リサ坊。
気づかれたら、チャンスは無い・・・ 一発勝負だ、
ジグと俺で奴を誘導し、衝撃波を撃たせる・・・ そのタイミングで零号が突入!
リサ坊は零号が攻撃しやすくなるように援護してやってくれ。
あと、今送った譜面の曲は必ず口ずさんでいないと心を吸われて死ぬからな、注意してくれ!」
「わかりましたワ」
「了解じゃ・・・ じゃが ワシも唄うのかの?!」
「頼んだよ、みんな」
瞬時のレーザー通信で作戦が開示され、全員が待機状態になった。
先頭を走るジグとベルナルド・・・・
「こうして並んで走ってると懐かしい気分じゃの! 」
「全くだ、もっともあの頃の俺は生身だったけどな、ははっ」
少し離れた小高い丘陵にうつ伏せで長銃を構えるリサ。
「零ちゃんさんと狩りも久しぶりですけどォ〜、こ~んなに大きな獲物は初めてですねぇ・・・
うふふっ、何だかワクワクして来ますねぇ〜っ ・・・・ それじゃぁ〜 行きますよォ〜〜っ!!」
パシュンッ!!
リサの放った”スニークシューター”は正確にベルレインの共振クリスタル部を撃ちぬいた。
それはシールドを貫通し微弱ながらもクリスタル部にダメージを与えた。
「ほぅ・・・腕を上げたな・・・リサ坊、それじゃ、ジグっ!!こっちも行くぜっ!! 」
「おぅ!!」
ベルナルドとジグの二人はベルレインの振り回す両角を躱しながら脚部と胴体に攻撃を加え始めた。
通常のザコならば瞬時に蒸発するような高い攻撃力であったが、ベルレインのシールドに阻まれて微弱なダメージしか与えられていなかった。
グォォォーーーーツ。
(うっとおしい、ゴミどもめ!! 消えてしまえっ)
ベルレインの額のクリスタルが強共振を始め・・・
ズドゥォォォーーン
ジグやベルナルド目掛けて衝撃波が撃ち出されたー。
ガードした彼らの周りの地面が砕け蒸発する!
モクモク・・・・ 一面に水蒸気が立ち込める。
「・・・・・くっ、どうだ? 零号、行けるか?」
ダメージを食らいながらもガードで凌いでいたベルナルドが零号に通信した。
「何とか行けそうだよ! 次、行くから、もう一度頼むよ!」
零号は最大出力のブーストを掛けるため脚部ホバーをパーシャル状態にして
右腕のみの牽制程度の射撃を行いながら前に出た。左腕は使えない・・・
「何が飛び出してくるか判らんからのう・・・ 嬢ちゃん気を付けていけよっ!
それでは・・・ 始めるかの!」
ジグが言葉を掛けると同時に深く腰を落とした状態からー
「ハートレス・インパクトっ!」
目視不可な速さでベルレインの足元に接近すると同時に目にも留まらぬ正拳を繰り出した。
その威力は凄まじくベルレインの積層シールドの半分を消し去る程であった。
「ホールディングカレントっ!」
ベルナルドの繰り出したワイヤードランスはベルレインの両角を捕らえフォトン電撃を加え始める・・
グォォォーーーーツ
一瞬、怯んだベルレインだったが、その眼が赤く光ると額のクリスタルが大共振を始めた。
「それっ!行くぞっー。リミットブレイクっ! 出力120% デッドアプローチっ!」
ヒュィィーーーーン、ガキィィーーン。
コンマ一秒・・・
零号の全身が真紅に染まった、次の瞬間、ベルレインの共振クリスタルの周囲のシールドが薄くなった。
コンマ二秒・・・
突っ込む零号、その背後からリサのウィークバレット弾が零号の真横をすり抜けて共振クリスタルに着弾した。
コンマ三秒・・・
シールドを突破しようとしている零号目掛けて何かが上から突っ込んできた!
それはベルレインの背中のタテガミが先鋭化して無数に突き立てられたものであった。
その動きは正確で、まるで生き物のように零号目掛けて突き刺そうとしてきた。
ガシュッ!! ガシュッ!! ビュンッ!ビュン!
「クッ!! そんなモノで・・・・」
零号の頬をかすめ、手足を削る毛槍を躱しトルネード状態で突っ込む!
コンマ四秒・・・
毛槍が零号の部位を破壊し零号の突入速度が鈍った。
「零号っ!」「嬢ちゃんっ!」「零ちゃんさんっ!」
零号のパーツが派手に吹き飛んだ!
サポートの三人が叫ぶ中、ベルレインの衝撃波が零号の目前で発生を始めた
「負けるかっ!喰らえっ、サテライト・エイムーーーっ!」
ドゥーーーン!!
コンマ五秒・・・ 零号とベルレインの攻撃は、ほぼ同時にクロスした。
モクモクと上がる硝煙で周りが見えなくなった・・・
ーーーーっ。
全員が固唾を飲み込む中、ベルレインの額に取りついている零号の姿が有った・・・
「零号・・・ 行けたか?! 」
ベルマリアがスコープ越しに零号を確認した。
ベルレインのクリスタルは半壊状態ながら辛うじて可動はしていた。
零号を内部に取り込んだまま出力低下しながらも積層シールドを展開していた。
「くっ、イテテっ・・・」
零号の右脚部は膝下が壊れ右腕も半壊し、銃を持っていた手先は無かった。
「大丈夫か零号っ!」「嬢ちゃんっ!」「零ちゃんさんっ!」
その時、ベルレインの向きがベルリナとベルマリアの方向に向き直り、大きく咆哮を上げた。
(修復のためのチカラが欲しい・・・ 欲しい・・・・ お前だーーーーっ)
「きゃうんっ!」
幾分、回復していたベルリナはもんどり打ってその場に倒れた。
もだえ苦しむベルリナ・・・・
「ベルリナ君っ! くそっ回復のために、もう一度ベルリナ君を取り込もうというのかっ!歌にファンジは効かないというのかっ!」
ベルマリアは腕だけで這ってベルリナを庇うように前に出た。
全員が攻撃を始めるが、ベルレインのシールドは張られたままだった。
「ダメだ、攻撃が完全には通らないっ!」
ベルナルドも全力でクリスタル部を攻撃した。
だが、シールドは以前より弱くなったとはいえ、攻撃は少しのダメージしか通らない。
零号は半壊したボディのままで立ち上がった・・・
「くそっ まだ、いけるっ・・・ させるかーーーっ!! バレットスコールっ!!」
零号は唯一残る、咥えた単機の双機銃でベルレインのクリスタルに弾丸の雨を降らせた。
バババババッ、ばきばきっ・・・・
クリスタルが大きく割れ始めた。
(うっとおしいザコが・・・ 死ねっ!!)
ベルレインの声が聞こえたのと同時に零号目掛けてベルレインのタテガミの毛槍が襲いかかる。
ビュン!ビュンビュン!!
それは、左右の腕に刺さり、左脚部を吹き飛ばし、口に加えていた双機銃も弾き飛ばされた。
ガシッ!!
零号は残る脚部や腕部を貫かれベルレインの額部に磔られるように押さえ込まれた。
「くそっ、 ・・・・お姉ちゃん・・・・ お姉ちゃん!」
零号の機体はダメージが大きく出力が大きく落ち、ボディも青に戻った。
「きゃーーーっ!!」
ベルリナの姿が透け始める・・・・。
「この野郎っ!!そうはさせるかーーーっ」
残る三人が全力で攻撃を開始した、ベルレインのシールドは、あと一枚・・・というところで貫通出来ない。
「くそっ!! 打つ手は無いのか・・・」
ベルマリアは動けない自分を情けなく憎んだ・・・
(くそ・・・・ダメだ、もう僕には、お姉ちゃんを守る術が無い・・・・・・)
黒くスクラップのように磔にされていた零号・・・
零号の視界のLIMIT BREAKの文字も黒くブラックアウトしていた。HPも尽きた・・・
そのブラックアウトした文字の横に同じくブラックアウトした濃赤の「alert」の文字をみた零号はそれに気づいた
(手持ちの武器は・・・・ いや、有る・・・ まだアレが残ってる・・・)
「先生、後を、お姉ちゃんを頼みます、みんな、ゴメンっ・・・・」
零号の身体から急に光とチカラが消え、何やら機械的なアナウンスが始まった。
「フォトンシナプス、カイジョ、カクユウゴウロ、サイダイシュツリョクヘ・・・ サイシュウ ニンショウカクニン
ベルリナシステム、キンキュウテイシ タダチニ、ホンキ ヨリ30km イジョウ ハナレテクダサイ・・・・ キケンデス・・・」
「まてっ、零号。それはダメだっ、 止めろーーーーっ」
ベルマリアの声が凍土の岩肌に響いた。
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