ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花”   作:ナベ白製作委員会

38 / 48
アムドゥスキアの白滅龍編
第一話「真白ぬりえ」


ベルレイン事件が解決しルーサーが消息不明になった半月後

そして今より2日前の平和な日々を取り戻しつつあるアークスシップ 02番艦”ウル”での出来事であった。

 

 

「はいっ! 以上です。それでは宜しくお願い致しま〜す」

 

その日の午後、ベルリナはベルマリアに頼まれた”零号の最後のパーツ”の申請に

アークス本部の資材課カウンターに来ていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜♪

 

無事申請も終わり、彼女は上機嫌でベルマリアの待つ研究室に戻ろうとしていた。

 

「さーて、夕飯は何を作ろうかしら? 少しショッピングして帰ろうかな・・・」

そう言うと区画移動用のテレポーターに乗るためベルリナは本部を出ようとしていた。

 

・・・と、その時。ベルリナの背中から大きな声が聞こえてきた。

 

「なぜですか!? どうしてダメなんですか!!」

 

結構、幼い感じの女の子の声だった、振り向いてベルリナは声のする方を見た。

広い本部の受付けカウンターに小柄な17〜18歳ぐらいの娘が身体に似合わない大きな声で

本部の総合受付カウンターにしがみつくようにして叫んでいた。

彼女は研修候補生の制服姿だった。

 

「・・・・ん?」

ベルリナはカウンター内にトコトコ歩いて戻って娘を気にした・・・

 

「君・・・だって、まだ候補研修課程じゃないか! それでは単独渡航の許可は出せないよ、判らないかね?

来週には研修課程を終業するんだろう? それまで待ちたまえ・・・」

受付けカウンターの男は至って冷静な対応で娘に答えた・・・・が、

 

「来週じゃ間に合わないかもしれないんです。直ぐに行かなくちゃいけないんです!

お願いですから許可を出して下さいっ! お兄ちゃんが・・・」

 

カウンター近辺の人たちは全て、その娘を見ていたが、状況が判らないからのか見て見ぬふりだった。

 

「許可は出せないよ! ・・・・君ねぇ。余りしつこいと、研修生称号も剥奪されかねないよ? いいのかね?

・・・・ったく、わからない娘だなぁ・・・」

受付カウンターの男も対応が億劫になったのか、語尾の口調に棘が混じり始めていた・・・

娘は男の対応に不機嫌になったのか、真っ赤になって俯き大きな声を上げた。

 

「んっーーーーもう、いいですっ!」

 

娘はスタスタと早足で本部を出て行った。

ベルリナは何故か気になり、彼女の跡を歩いて付いて行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

彼女はブロック移動のテレポーターを忙しなく乗り継ぎ何処かに向かっていた。

「あっ! あの娘・・・まさか・・・」

こっそり後ろについていたベルリナは、彼女が何処に向かっているのかに気づいた。

 

娘はアークスゲートロビーに到着し、自分のアークスカードをキャンプシップ発艦申請端末にかざした。

端末は一瞬、考えこむように止まり、次の瞬間画面にアラート表示と共に音声ガイドが流れた

 

「このアークスカードの権限では発艦申請できません、条件を確認の上、もう一度・・・・・」

 

「ちょ、何よコレっ、みんな、誰もわかってくれないなんてっ! むかつくーーーっ!」

娘は怒りの余り端末の画面を思い切り右手の握りこぶしで殴ろうとした・・・

・・・が、その腕は白い細い腕で掴み止められた。

 

「ーーーーーーーーっ!!」

驚いた彼女は自分の腕を止めた手の主を睨んだ

碧い瞳にブロンドの髪、そんなに力が有るように思えないその手はしっかりと彼女の腕を止めていた

 

「・・・・だめだよ、そんな乱暴に機械を殴りつけたら、綺麗な手、怪我しちゃうよ・・・・」

 

余りのことに、びっくりして言葉を失った娘であったが、急に瞳に色が戻り、

ベルリナに噛み付くように喚きだした。

 

「誰ですか?あなた!? ほっといてくださいよ、私、アムドゥスキアへ行かなくちゃいけないんです!!」

 

「アムドゥスキア? なんでまた・・・・? でも、あなた研修生だよね、研修中は・・・・」

大きな叫び声にも臆さずベルリナが聞いたが

 

「また、それですか! ほっといて下さい! 時間が無いんです! お、お兄ちゃんが・・・本当に死んじゃう・・・」

娘のオッドアイの大きな瞳からボロボロと涙が溢れだした・・・・・

 

ベルリナは娘を柔らかく抱きしめて、頭を撫でた・・・

「本当に死んじゃう? ・・・・・うーん。良くわからないけどお役に立てるのかな?・・・・

私はナベリウスの白い花、ベルリナ★プファンクーヘンと、言います。良ければお話聞かせて?」

 

「・・・・・・!!」

肩を震わせて声を殺して大泣きしていた娘が・・一瞬固まったかと思うと

ビックリするように顔を上げてベルリナを丸い眼で見た。

 

「えっ、えーーーっ!! べ、ベルリナさんって、あ、あのナベ白の? ・・・ですか?」

 

マジマジ見られて、少し恥ずかしそうに眼を泳がせたベルリナだったが、

「そ、そんなビックリされるなんて、何か有ったのかな・・・? 確かにそのベルリナだけど・・・」

 

そういうと、ベルリナは自身のアークスカードを娘に出して見せた。

それを穴が開くほど見る娘・・・・

 

「ほ、本当だ・・・本物だ、凄い!!本物だ・・・。ナベ白・・・ ベルマリア先生とかも居るんだ・・」

娘は暫く俯いて固まっていた・・・が。急に顔を上げるとベルリナの両手を掴んで大きな声で叫んだ

 

「お、お願いします! 助けて下さい。ベルリナさん! 貴女なら兄を助けられるはずです」

痛いぐらい握られた手を気にしながら・・・ベルリナは視線を泳がせ続けた・・・

 

(あれ?! 私、また何かマズイことしちゃった・・・・?)

と、思い、改めて彼女を見た。

 

真っ白な肌に茶橙の髪、青とエメラルドの綺麗なオッドアイ・・・ デューマンか・・・

(スタイルいいな・・・この娘・・ でもこの娘、フォトンが・・・)

背こそベルリナより少し低いものの、ボリュームのある胸と腰

 

「そうだね・・・まず事情を聞きましょうか、手伝えるかどうかはその後で・・・」

ベルリナは話を始めようとしたが、その言葉を遮るような大きな声で彼女は叫び

 

「私、ぬりえ。 ”真白ぬりえ”と言います。Ship08からお兄ちゃんに会うために、此処、Ship02に来ています!

直ぐにクライアントオーダー出せる準備をして、出なおして来ますので待ってて下さいっ!」

そう言うと一目散に何処かに駈け出した。

 

「・・・・ちょ、あ、あの・・・・?」

余りの突貫っぷりにベルリナは面食らいながら呼び止めようと右手を上げたが、彼女は全力で駆けていく。

 

・・・と、突然ピタリと駆けるのをやめ止まる彼女。 

振り向いて頭を掻きながらベルリナに振り返ったー

「あ、はは・・・いけない。フレ申請出しておくの忘れてた・・・」

手元操作でその場の空中に端末画面を出し何やら操作をした。

 

・・・と、ベルリナの自視界上にCAUTIONアイコンが点灯した。チェックすると、それは彼女からのフレンド申請であった。

 

「ベルリナさん、宜しくお願いしますね、準備したらベルリナさんのホームにお邪魔しますので!! それじゃ!!」

そういうと、ぬりえは一目散に区画移動用のテレポーターに消えた。

 

余りのことに、立ち尽くしていたベルリナ・・・。ぬりえからのフレンド申請を受諾して

改めて、彼女、ぬりえのアークスカードを見た。

 

「真白ぬりえ:アークス候補研修生3年・・・ 今週卒業なのか・・・。」

 

ベルリナはページを繰って個人プロフィール欄を見た。

 

「マシロ工業最高責任者”真白光雄”氏のお孫さんなのか・・・・ 

・・・・・ん? マシロ工業って? あれ? どこかで聞いたような・・・ えーっと、何だっけな?」

ベルリナは思い出せないまま、ベルマリアの待つアークス研修生付属校 第一研究室に帰った・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「あ〜ん?! 何言っとるんじゃ。・・・今、手に持っとるそれじゃよ!・・・・よし、ベルリナ君、それをくれ!」

ベルマリアは零号の本体の配線を繋ぎながらベルリナを横目で見た。

 

言われたベルリナは自分が手に持っていた

零号用のアッセンブリパーツをマジマジと見てから、ベルマリアに手渡した。

 

「これ?」

ベルリナは頭に「???」を浮かべながら聞き直した。

 

ベルマリアは手渡されたパーツを手際よくキャストボディ内部に組み込んで顔を上げたー

 

「マシロ工業・・・ フォトンパーツの超大手メーカー兼ベンダーじゃ、アークス公認で公営取引最大手でも有る、

アークスシップ群ナンバー1の大手企業と言って良い」

 

それを聞いたベルリナは眼を丸くして驚いた。

「ふぇぇーーっ、そ、それじゃこの、フォトンシールド発生装置とか?」

 

「うむ。そうじゃな・・・。大半のアークス製品はマシロ工業製じゃ

まぁ、 製品は確かなもの・・・ じゃが、まぁ企業的には色々と黒い噂もある・・・」

ベルマリアは汗をタオルで拭きながら近くのソファに腰を下ろした。

 

ベルリナは”ぬりえのアークスカード”を出して確認しながら、首をひねった・・・

「・・・うーん。 なんでそんな ご令嬢さんがアークスなんてやっているのかな? 

しかも見た感じ・・・」

 

ベルナルドMk-2が入れた珈琲を傾けながらベルマリアが言葉を続けたー

「それほどのフォトン適正者でも無かった・・・ と?  ずずずずーーーっ」

 

「そうですね・・・チカラは感じませんでした。デューマンっぽかったですけどね」

ベルリナはアークスカードに貼られている顔写真を眺めながら、考えていた。

 

「真白ぬりえ・・・・デューマン・・・・ねぇ・・・・」

ベルマリアは零号の図面を確認しながら珈琲をすすっていた。

 

(お兄さんが本当に死んじゃう・・・・ ってどういう意味なんだろ?)

ベルリナはぬりえのアークスカードを再び眺めながら昼間の出来事を思い出していた・・・・




(C)SEGA PHANTASY STAR ONLINE 2
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。