ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花” 作:ナベ白製作委員会
翌日、ベルリナと零号は招集を受けアークス本部に出頭していた。もちろん、調査隊護衛の報告書の提出と今後の予定の事であった。
アークスの活動はリアルタイムでモニターされているので本来、報告など要らなかったが、形式として顔出しが義務付けられていた。
アークス本部は今の凍土エリアの危険度を考慮してアークス登録されている学者の同伴でベルリナと零号に再度調査の依頼を行う事にしたのだった。
「・・・・ 以上がナベリウス政府管理局からの依頼だ。よろしく頼む、ベルリナ★プファンクーヘン、ベルリナ試作零号機 BP-01」
アークス本部の本部長”マーク・ウルフェンシュタイナー”は二人のアークスに調査依頼を言い渡した。
アークスに出される依頼は手持ちの端末で管理統括が行われる。依頼は個人的なものから企業からのもの、今回のような惑星政府から出されるものまである。
・・・が、本部から直接言い渡されるケースは最重要事項となり、他の依頼より優先度が上がるのであった。
「あ・・・・、お願いが有ります、良いですか?」
直立のまま指令を聞いていたベルリナは、ちょこっと右手を少し上げた。
「ん? 何かね・・・?」
本部長は”何かまずかったか?”というリアクションで答えた。
「あのー、その随行する学者さんですが、出来れば、先生をお願い出来ませんか?」
ベルリナの”先生”という言葉に零号が”ビクッ”と反応した。
”えーっ?”という表情さえ伺える・・・
予め答えがわかっていたかのような反応と共に、本部長は言った。
「ん?、あぁ・・・先生とは”ベルマリア”のことかね?」
「はいっ!」
ベルリナは頷くと明るく答え、その受け答えに何故か、あからさまに”嫌そうな顔”をする零号であった。
「うーん。まぁ彼女の都合次第であるかな? 本部としては問題ない・・・ 問題ないな。 直接、お前たちが交渉してみるんだな・・・。ただし任務遂行開始期限は3日後だ。」
「はいっ!」
「あ・・・あと、ベルマリアの承諾があれば、連絡を頼むー、すまんっ」
(思わず、ベルリナはクスクスと肩を震わせるのだった)
そしてベルリナ姉妹こと”ナベリウスの白い花”はアークス本部をあとにしたー。
「・・・と、言うわけで、3〜5日程、私と零号ちゃんはナベリウスの調査依頼を・・・・ ええ、そうです。」
ベルリナは差し当たり、今回のクライアントオーダーの内容を自分たちのチームリーダーに報告していた。
チームというのはアークスの小規模集団の名称であり、”ナベリウスの白い花”と言われる二人も、大規模作戦などでチーム全員参加で作戦に当たる事も多い。
「では、そういうことで・・・ はい、お願い致します。経過詳細はチームのビジフォンに転送しておきますので・・・・ 」
ベルリナは通信を切ると、一息ついた。
「さて、当分チームの皆とは別行動ね・・・・ 零号ちゃん、頑張らなくっちゃ!」
「・・・ねぇ、ベル姉ちゃん・・・ やっぱり、せ、先生連れて行くの?」
区画移動用のテレポーターにピョンと飛び乗った零号がベルリナに振り向き、問いかけた。
「零号ちゃんは何故、そんなに先生を嫌うの? お母さんみたいなものじゃない? それに先生は凄い人だよ?」
ベルリナは転送区画を”アークス研修生付属学校”に設定してテレポーターを起動し始めた。
「うーん・・・凄いのは判るんだけど、だって、あれだよ。先生ってばメンテナンスとかいって僕の身体を毎回、いじくり回して、目が覚めたら、パーツが勝手に変わってたりするんだよ。あれ嫌なんだよー」
ブブブーン。
転送装置が起動し始めたー。
「あら、私はメンテの度に、可愛い零号ちゃんが見れて楽しいけどなーっ」
・・・・ブーン。
転送装置が青白く光ったと同時に二人のアークスの姿は光の中に消えていた。
ベルリナたちがいるアークスシップは、小惑星規模の一つの巨大な宇宙船である、その内にアークス本部、アークスが住む居住区、各種研究施設、一般市民が住む市街地などがある。
ベルリナたちが向かった”アークス研修生付属学校”はアークス居住区そばにあった。
その名の通り次期アークスを担うための人材育成を執り行う施設で、通う年齢層は地球でいう高校程度になっている。付属を高成績で卒業出来たものだけが実践勉強が出来る本校へ進学出来るのだ。
ベルリナたちは正門のセキュリティゲートを歩いて通り、校内に入った。セキュリティは市民IDを自動で認識ロギングするタイプだった。
「さて、今は授業中だろうし、先生の研究室で待たせてもらおうかしら?」
ベルリナたちはそう言うと校内の研究棟に向かって歩き始めた。
「ベルリナさんっ!」
不意に、実技グラウンド脇を歩いていたベルリナ姉妹にグランド内から声が掛けられた。
グランド内で実技教習をしていたと思われる少年が先生に何かを告げると、こちらに向かって走ってきた。
「あら、ベルモント君じゃない、実技演習なの?」
そう言うベルリナの前まで走ってきた赤い眼鏡の少年は興奮気味だった。
「はいっ、・・・あ、聞きましたよっ! スノーバンサ・バンシーを単独で撃破したんですってね? 凄いです!」
「そうだよ、しかも最大侵食核付きの奴だよ、凄いだろうっ!」
・・・・ズイっと身を乗り出した零号が、胸を張った。
「いやぁ、本当に凄いなぁ・・・ ベルリナさんは、憧れちゃうなぁ・・・・」
(・・・・あれ、倒したの僕なんだけど、聞いてないなベルモント。)
何故かムスっとなる零号を他所にベルリナはベルモント少年に訊ねた。
「ところで、・・・・先生は、授業中かな?」
ベルモントと呼ばれた少年は西に振り返り遠くの建物を指さし言った。
「ベルマリア先生に御用ですか? ・・・・先生は研究室じゃないかな、今、授業は無かったと思いますけど・・・」
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