ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花”   作:ナベ白製作委員会

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第七話「赤い閃光、再び」

(ベルリナ君、ぬりえ君を連れて強制クエストキャンセルを掛けて脱出してくれ・・・)

 

「だ、ダメなんですっ!クエストのリセットが掛からないんです、脱出出来ないんです・・・ 」

ベルリナは先程から何度かクエストをリセットを試みていたが、コンソールの反応が全く無かった。

 

「何をしているのかと思えば・・・  ふっ、脱出は出来まい・・・

 私のフィールド内にある限り、特定のフォトンは無効化される、はははっ・・・」

 

「ほぅ・・・ そんなに怯えていると、かわいい顔が台無しだな・・・ ベルレインの巫女よ」

 

「ーーーっ!」

(・・・・? 此奴、なぜベルリナ君が”ベルレインの巫女”だと知っておる・・・)

 

「まぁ、可哀想だが、死んでもらおうか・・・。・・・ やれっ! クリスドラグーン!」

 

ギャオオオーーーーーン!!

 

クリスドラグーンは雄叫びを上げると、鋭利な眼光を輝かせた。

 

振り上げられたその翼がベルリナを殺そうと振り下ろされた時、駆け寄り、ベルリナの前に両手を広げて立ちふさがるぬりえの姿がそこにあった。

 

「ベルリナさんっ! だめーーーっ、きゃーーっ!」

20〜30mは、ふっ飛ばされたぬりえは、フォトンシールドに大ダメージを負った。

フォトンシールドは限界を越え、昏倒・・・その場に倒れた。

 

「ーーーーっ! ぬりえちゃんっ!」

ベルリナは、その瞳に色が戻ると慌てて ぬりえに駆け寄り、その身体を抱いて起こした。

「ぬりえちゃん、ぬりえちゃん! しっかりして・・・・、いまムーンアトマイザを・・・」

 

身体を守るフォトンシールド発生装置は代謝を始めとする全ての生体機能を司るため、

HP-0表示になると身体は全く動かなくなる。

しかし最低限の生命維持装置は稼動しているため、そのままであれば死亡する事はなく、テレパス機能も生きているので、近接会話は可能・・・

フォトンシールド発生装置を高速修復するナノマシンである”ムーンアトマイザー”を投与することでHP-0からの再起が可能になる。

 

フォトンシールド発生装置が破損して昏倒した ぬりえは身体が動かなくなっていたが、

ベルリナに周囲テレパス機能で話しかけた。

(ムーン投げちゃだめです、二重遭難しちゃいますから・・ベルリナさん、逃げて下さい・・・。

私なら大丈夫です、せめてベルリナさんだけでも・・・ お願い・・・)

 

ぬりえの声を聞き、我に返り震えるようにベルリナは立ち上がりクリスドラグーンに向き直った

「ーーーーっ、何やってるの・・・弱気になって・・・ 私、こんな事ぐらいでぇぇぇーーーっ!」

 

ベルリナは長杖を握り直し、両手を前に出し凛と構えた。

先ほどまでと違ってその身体からは、溢れんばかりのフォトンが漲り渦巻いていた。

(乗となれ、痛み・・・・苦痛。燃え盛れ闇の炎・・・・・)

 

たちまち、溢れ出るフォトンのオーラが闇のチカラとなって

クリスドラグーンの頭上でナ・メギドの魔法陣を結ぶ・・・・

 

「ナ・メギドっエクスプロージョン!」

 

ベルリナの叫びとともに炸裂する闇のチカラはクリスドラグーンのフォースフィールドを越えて

大ダメージを発生させた。

 

「グォォォーーッ」

 

9の数字が大量に並んだダメージと共にクリスドラグーンが一撃のもとに大地に蒸発して消えた。

 

(凄いっ!・・・フォトンを吸収し切れずにエネミーが崩壊しおった! 

・・・・ ベルリナ君のフォトンが蘇っている・・・ うーん・・・やはり、ぬりえ君は・・・)

ベルマリアは昏倒したままで戦いを見ながら、ある確信に至っていた。

 

「ちっ、巫女のチカラが蘇ったというのか ・・・・だが、それだけでは・・・なっ!」

ダークファルス・リミネータは離れたところで戦いを見ていたが、

瞬時に空間移送でベルリナの目前に現れた!

 

「フォトンの扱いに長けていても、接近戦には対応は出来まい!」

ダークファルス・リミネータの回し蹴りがベルリナを吹き飛ばす!

ベルリナの運動神経はアークスとしては並のレベルでしかなかった。

 

「きゃーーっ!」

フォトンシールドがイエローに成る程のダメージをベルリナは食らったが、即時に跳ね起き

瞬時に短杖に持ち替え振りかざした。

 

「そんな近接攻撃ぐらい・・・ ギ・フォイエ・タイフーンっ!  」

周囲に業火が渦巻き、接近しようとしていたダークファルスを巻き込んで燃え盛った!

怯んだのをみて、ベルリナは短杖でダークファルス・リミネータに殴りかかった。

 

ドゥーーン!

巻き起こる法撃爆発!

 

「ぐくっ、ダメージがデカいな・・・さすがはベルレインの巫女か、だがしかし・・・」

ベルリナの殴りを受け流し、短杖の法撃爆発から逃れたダークファルス・リミネータは

その拳でベルリナの杖を弾き足元に爆発に似た衝撃波を発生させる。

 

「防壁の・・・ くっ速い・・・・」

ベルリナはナ・グランツで防御しようと思ったが、その攻撃の余りの速さに対応しきれずに衝撃波を受けた!

 

「〜〜〜っ!!」

吹き飛ばされ、ダウンしたベルリナのフォトンシールドはレッドゾーンに達していた。

 

「ええぃ、死ねぃ!」

 

立ち上がったベルリナの頭部めがけてダークファルス・リミネーターの回し蹴りが繰り出された!

 

(だめっ、間に合わない・・・ アレを食らったら、さすがに持たない・・・)

ベルリナは瞬時に短杖を両手で持ち防御の体勢に入ったが・・・

 

「そんな防御では持たぬわ・・・・ さらばだベルレインの巫女っ!」

 

「ーーーー!!」

 

ベルリナにトドメの蹴りが入る瞬間、それを受け止める、一筋の赤い閃光がベルリナの目の前に走った!!

 

「ーーーーっ!! ーーーー、お姉ちゃん大丈夫っ!?」

 

ーー それは、真紅のベルリナ試作零号機であった。

 

ダークファルス・リミネータの蹴りを、手に持った双機銃で弾き飛ばした主は、守るように両手を広げて立ちベルリナを守り叫んだ!

 

「ぜ、零号ちゃんっ!!」

 

目を伏せていたベルリナは顔を上げ、輝く瞳でベルリナ試作零号を見上げた。

アムドゥスキアの柔らかい光を受けて、光り輝く零号の機体からは

強く紅いフォトンのオーラが溢れ出ていた。

 

「大丈夫? お姉ちゃん、先生・・・・ 畜生ーーっ! よくも皆をこんな目に合わせたなっ! 許さないぞ!!」

零号は、全力でダークファルスに立ち向かった。

それは、まだ6割程度の動きであったが、以前の零号とは比べ物にならない速さだった!

 

「お前が、話に聞いた試作零号機か・・・確かに手強そうだ・・・がっ!」

ダークファルス・リミネータは受け止められた拳を、無理やりの剛力でねじ込み、

零号を圧倒しようとした。

 

その拳を躱し、零号の双機銃がフォトン弾を撃ちだした!

バババン、ババババッ!!

撃ち出されたフォトン弾を右腕で薙ぎ払い更に迫る、ダークファルス。

 

その時、零号の視野モニターは赤くアラート警告が鳴り響いていた。

(フォトンコンデンサ の制御がまだダメなのか・・・ バランサーもズレてるな・・・・ 

第一、慌てて来たからフォトンアーツを何にも覚えて無かったよ、ははっ ・・・・)

フォトンアーツの使えない零号の攻撃力は、それでも一般レベルを超えた攻撃力があった。

 

そんな中、普通に戦っているように見える零号の動きが異常な事に気づいた者がいた・・・

(まだ、調整し切れてないじゃろ・・・ あれ、大丈夫なのか?)

昏倒して動けないベルマリアは即座に通信回路を開いてベルナルドMk-2と通信を始めた。

 

「・・・やはり、バカ零号は、そっちに向かったんだな・・・ 俺もすぐ到着するから何とか耐えてくれ!!」

ベルナルドMk-2の通信が切れるとベルマリアは零号の戦闘を見守った・・・

(すまん頼む、何とか、持ちこたえてくれ・・・零号・・・、

ベルリナ君、今のうちにムーンを投げて・・・・ いや、今は投げるな、そのまま戦え!)

ベルマリアは、ぬりえを一瞥し、ベルリナに告げた。

 

「えっ? 何で・・・ あ、はいっ 了解しました。 行きますっ!」

 

ビーッ・ビーッ!

鳴り響くアラートを無視して零号は立ち向かっていた・・・

 

「どうした?・・・ バランサーがイカれているのか・・・? フラフラじゃないか? お前・・・ 殺るっ!」

ダークファルス・リミネータは笑うと零号のふらつく足を掴んで投げ飛ばそうとした。

 

「させない! サ・フォイエ! 」

そこにベルリナが割り込み、サ・フォイエを撃ち出しながらロッドで背後から殴りかかった。

 

グォン、ドグァーーン!

「クッ!!」

ロッドから巻き起こった法撃爆発はイニシャライズされ、零号には関与せずダークファルスのみに命中した!

その威力はベルリナ本来のチカラ以上の破壊力があった。

(完全にフォトンのチカラが戻ってる・・・・ これなら、守れる!)

 

「小賢しいわ!」

ダークファルス・リミネータは法撃爆発に怯みながらも零号に殴りかかった!

 

「当たるもんかっ イッケーっ!!」

零号は殴りを躱すとスタイリッシュロールからフォトン弾を大量に撃ちだした。

 

ババババッ!

ダークファルス・リミネータは左手を広げてフォトン弾を全て受け止める。

「その程度かっ! 小娘っ! オオーーッ!」

 

ダークファルス・リミネータは左拳を地面に叩きつけた! 

その地面から吹き上がる業火が零号とベルリナを襲う!

 

「させないっ! 防壁のナ・グランツ!」

ベルリナの身体を起点に光の圧力が業火を押し返す!

 

(やっぱり、凄い・・・ ベルリナさん。 これが・・・本物)

ぬりえはアークスの戦いを見ながら震えていた。

 

その瞬間ダークファルス・リミネータはニヤリと笑い、右腕を出しチカラを込めた!

「喰らえぃ!メテオストーム!」

 

その瞬間、ナ・グランツの障壁の内部、ベルリナの目前から大量の小型力場が発生

そこからベルリナに向けて小型メテオが降り注いだ!

あわててミラージュエスケープするベルリナだったが目前から発生したメテオでは躱しきれない

 

「きゃぁーーーっ!」

ベルリナはメテオに撃たれ、吹き飛んだ・・・ 

元からシールド係数が落ちていた事もあってベルリナはその場で昏倒した。

 

「お、おねえちゃんっ! くそーーーっ! よくもやったなっ!」

ビーッ!ビーッ!ビーッ!

(フォトンコンデンサ.ノ.イジョウハッセイ....マモナク.キノウテイシ.....)

出力を上げる零号・・・ しかしその自視界のステータスは更に赤黒くなっていた。

 

それを見ていたベルマリアは考え込んだ・・・

(今の零号だけでは、あのダークファルスには勝てないじゃろう・・・ 

もう、最後の手段に出るしかないか・・・)

ベルマリアはぬりえを見て、そしてウィスパーで全員に発信した。

 

「零号、ムーンを投げてくれ、あとは私を信じて任せろ!

 復活と同時にベルリナ君は即時バックアップで後方待機じゃ」

 

(あ、はいっ!)

「わかったよ、あとは頼んだ、先生!」

零号はムーンアトマイザを空に投げた・・・ そのモーションは隙だらけだった。

 

「バカなのか? お前・・・ 喰らえ!」

ダークファルス・リミネータの渾身の拳がムーンアトマイザを投げている無防備な零号に直撃し

零号は盛大に吹き飛ばされ、フォトンシールドに大ダメージを受け昏倒した。

(いてて、まぁムーン投げろって言われた時点でこうなるのは分かってたんだけど・・・ いてーーっ!)

 

ムーンアトマイザの光が辺りを包み、ベルリナ、ベルマリア、ぬりえの三人がHP半分で復活した。

「レスタっ! シフタ!デバンド!」

ベルリナは即座にバックアップを掛けた・・・ がそのチカラは通常のアークス並みに戻っていた。

(あれ? また、チカラが出ない・・・ なんで?)

 

「間違いない・・・これは フォトン・アシミレーター・・・・」

ベルマリアは頷き立ち上がると、ダークファルスに向き直った。

 

それを見ていたダークファルス・リミネータは、ケタケタと笑いながらベルマリアに指を差した。

「何度、蘇ろうとも同じ事だぞ・・・ たとえ全員で掛かって来たとしてもな!」

そういうと、その握り拳を構え直した。

 

それを聞いたベルマリアは大笑いを始めた。

「カカカッ・・・ 何を言っておるダークファルスの兄ちゃん、戦うのはワシらじゃないぞぃ!」

 

その瞬間、その場に居た全員が「えっ!?」となった。

 

「戦うのは、ホレ、そこに居る”ぬりえ君”だけじゃ!」

ベルマリアは、自らの”オロチアギト”をぬりえに投げて渡した。

 

慌ててオロチアギトを受け取った、ぬりえは周りをキョロキョロし、我に返った・・・

「え、え!?  えーーーーーっ!!! わ、私だけ?」




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