ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花”   作:ナベ白製作委員会

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第八話「戦う、ぬりえ」

「はははっ、迂闊じゃった、マシロ・・・ 真白。何で気付かなかったんじゃろう、クククっ・・・」

ベルマリアはその場で声を殺し笑い始めた。

 

「ど、どういうことですか・・・? 先生・・・ まだ正規にも成ってないぬりえちゃんに戦えって?」

ベルリナは短杖を握りなおして一応、待機状態になった。

 

「フォトンアシミレータ・・・ と言っても・・・理解無理じゃな? すまぬここはワシを信じて言うとおりにしてもらえぬか? ベルリナ君!」

ベルマリアはベルリナを宥めるようにニッコリ笑った。

 

「で、でも・・・・ うー・・・ わかりました。待機します、指示出して下さい・・・」

ベルリナには到底理解出来ない状況ではあったが、ベルマリアの言うことなのだから何かあるのだ・・・と身を引いた。

 

「い、いや・・私はどうしたら良いんですか、ベルマリア先生?」

オロチアギトを握ったまま、ぬりえはベルマリアに縋るように尋ねた・・・が、

 

「いや、ぬりえ君はそれで、ワシらの代わりに戦うんじゃよ・・・」

ベルマリアはアイテムパックからヤミガラスを取り出しのんびりと装備した。

 

「えぇーーっ、そんなの無理ですよ、わたし抜刀とか使ったこと無いし!、クラスの落ちこぼれだし。

第一、私のステータスで装備できるわけない・・・・ あれ?」

 

ぬりえは装備ステータスを再確認した、そこには装備済みを表すライブなオロチアギトのアイコンがあった。

 

「何を言っているのか、知らんが早々に片付けさせてもらうぞー!」

会話に呆れたダークファルス・リミネータの拳がぬりえに迫った・・・

 

「きゃーーっ!」

ぬりえは身をこわばらせたが、それを見たベルマリアは、とっさに大声を上げた。

 

「ぬりえ君、ジャストガードじゃ! さっき見たじゃろう、コレじゃ!」

ベルマリアは手持ち装備のヤミガラスでジャストガードのモーションを取った。

 

「あ・・・」

それを見たぬりえは、先程までのベルマリアの戦いを脳裏に浮かべた・・・

(ジャストガード・・・)

ぬりえの髪からデューマンの角が少し顔を出した・・・

 

ガキーンッ!!

迫る拳は目視不可な速さであったが、ぬりえの抜いた抜刀がそれよりも早く拳撃を弾き返した!

 

「・・・くっ、弾き返した? だとぉ・・・LV1表示の分際で・・・」

後ずさったリミネーターは拳を構え直し、再び突進して来た。

 

「ぬりえ君!二連ハトウ、グレンテッセンじゃ!」

なぜか少し苦しそうな顔をしたベルマリアがぬりえに向かって叫んだ!

 

「・・・」

ぬりえの瞳は瞳孔が開いた状態で、意識を集中しているためか、無表情な状態であった。

 

「ぬりえちゃん・・・。 先生、一体どうなってるの? これ・・・うっ・・・・」

堪らず、声を上げた・・・ベルリナ。

 ぬりえが構えたその瞬間、強烈な目眩を感じた。

貧血にも似た感覚だった・・・

 

「サ・フォイエっ!」

叫んだのはベルリナでは無かった・・・ ぬりえが素手から発生させたテクニックだった。

それは素手から発生されたレベルのものでは無かった、ベルリナが使う高レベルの術式だった。

 

「術式レベルは高いようだが、戦い慣れてないようだな、小娘っ!」

リミネータはサ・フォイエのダメージを最小限に抑えつつ、音速の拳を繰り出した・・・が、

 

「二連波濤! 紅蓮鉄線!」

ぬりえはサ・フォイエの発動途中から腰のオロチを目視不可な速度で伐り出した!

 

ドバシューッ!!

凄まじい二連の斬撃の渦と共にリミネータに音速で斬りかかる、ぬりえ。

リミネーターは二連波濤を防ぐのが精一杯で紅蓮鉄線の斬撃をモロに食らい後ずさった。

 

「な、何なんだ、コイツは・・・まるで2クラスを同時に使っている。 何も出来ないだけの種だと聞いていたが・・・」

片膝を付いて立ち上がるリミネーターは、ぬりえを睨みつけた。

 

「ど、どうなってるの? 先生? ぬりえちゃんは、いったい・・・」

激しい目眩を感じながらベルリナはベルマリアに尋ねた。

 

「覚醒したんじゃよ、フォトンアシミレータとして・・・な。」

ベルマリアは既に決着が付いている戦いをみて、抜刀を収めた。

 

「さすがに、分が悪いか・・・・ 今日は準備もしてないからな。ーーーーさらばっ!!」

そう言うと、リミネーターは立ち上がり、短く舌打ちして、その場から亜空に消えた。

 

辺りにまた静けさが戻る・・・・

 

オロチアギトを構えていた、ぬりえはそれを確認した途端、

急に魂が抜けたようにその場に人形のように倒れた。

 

慌てて駆け寄り、ぬりえを支えるベルリナ・・・

「先生、ぬりえちゃんは・・・」

 

ユックリと歩み寄りながらベルマリアが語り始めた。

「フォトンアシミレータ・・・・ フォトン吸血鬼とでも言えば良いのかのう・・・

ワシもすっかり忘れておったわい、真白光雄・・・・ アシミレータ理論の提言者」

 

「アシミレータ理論? 吸血鬼?」

ベルリナは自分の腕の中で気を失い瞳を閉じているぬりえをジッと見つめた。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

-- 過去 --

 

-- 惑星テラ・ウルフェンシュタイン研究所 --

 

「うん!? 何を読んでいるんだベルマリア・・・」

 

丁度、珈琲を入れてきたベルナルドMk-2は 手持ち端末で何かを無心に読み耽るベルマリアに声を掛けた。

 

ーーカチャリ。 珈琲が良い香りを立てながらデスクに置かれる。

 

「あ、あぁ・・・ これか・・・?」

ベルマリアは置かれた珈琲をずずずーっと、啜りながら、画面から目をようやく離した。

 

「いや、なに・・・先日有ったフォトン学会の発表会で出された報告に面白いものがあってのう・・・」

ベルマリアは妙に嬉しそうであった。

 

「ふーん。ベルマリアが嬉しそうにしてるってことは・・・・今までに無い何かだな?」

ベルナルドMk-2は近くによってベルマリアの持つ端末の画面を覗きこんだ。

 

「フォトンアシミレータに関する考察? なんだこりゃ?」

 

珈琲をすすっていた、ベルマリアはカップをコースターに置くと、ベルナルドMk-2に話し始めた。

 

「自身にフォトンを扱う能力は無いが、他人の体内に有るフォトンの流れを汲んで自身の物とする事が出来る特殊な種族構成の事らしい・・・ まぁ、遺伝子的に不可能では無さそうだが、現実には有り得ないようなフォトン理論じゃ」

 

手持ちの端末をベルナルドMk-2に手渡すと、ベルマリアは話を続けた。

「まぁ、もし実際に起こりえるのだとしても、不安定かつ実用とは思えないが・・・この論文を書いた”真白光雄”という人物が言うには、それを人工的に作り出す事で、誰にでも安定してフォトンを利用した機器を扱うことが出来るようになると」

 

「ふーん。俺には何が面白いのか良くわからないな、余り実用とは思えないぜ・・・ はははっ」

ベルナルドMk-2は端末をベルマリアに返すと、両手を上げて笑った。

 

「そうじゃな・・・ ワシも現実には考えにくいのじゃが。気になっている部分があるんじゃよ。」

ベルマリアは受け取った端末を少し操作すると論文のページを幾つかめくり、ベルナルドMk-2に見せた。

 

「ほら、この参考データの欄じゃ・・・ 何か気づかんか?」

ベルマリアはいたずらっ子のような顔でベルナルドMk-2を覗きこんだ。

 

「えーっ、そんなこと言われたって、俺様キャストだけど数字は苦手だぜ、くぅ〜〜っ」

頭を掻くベルナルドMk-2に向かってベルマリアは無い胸を張り話し始めた。

 

「フォトンは単なるチカラでは無い、その内に術者の技術や知識といったモノを含む光子力場の糧じゃ

それを吸血鬼よろしく、他人から吸収できるのだとしたら・・・

 一人の人間が同時に複数のクラスを使い分ける事が出来るということじゃ・・・・しかもーー」

 

「ズブの素人でも百戦錬磨の達人クラスに成れる・・・と?」

ベルマリアの瞳が嬉しくてキラキラしていることにベルナルドMk-2は気づいていたが、あえて答えに乗った。

 

「そうじゃ、じゃが・・・ この参考データの数値が、あまりに良く出来過ぎておる・・・・、それが気になるんじゃ」

ベルマリアは再び手持ちの端末が表示する数値を眺める・・・

 

「・・・出来すぎ?」

ベルナルドMk-2はその意味が理解できずに尋ねた?

 

ベルマリアは、徐ろに顔を上げ真面目な顔で呟いた。

「そうじゃ、仮想理論の筈なのに、まるで既にサンプルが居るかのようじゃ・・・・ 」

 

 




※アシミレーション【同化】
1.異なる性質•態度•思想などが、感化されて同じになること。また、感化して同じにさせること。「現地の風習に—する」「他民族を—する」

2.知識などを取り込んで、完全に自分のものにすること。「西欧の文化を—する」

3.生物が外界から摂取した物質を、特定の化学変化を経て、自己の成分あるいは有用な物質に合成する反応。植物の光合成など。アナボリズム。同化作用。↔異化。

(C)SEGA PHANTASY STAR ONLINE 2
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