ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花”   作:ナベ白製作委員会

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第十話「咥えさくらんぼ」

翌日、ベルリナ、零号、ベルマリアの3人はぬりえを連れてエクストリーム部屋に来ていた。

 

「さて、ぬりえ君、お主の身体特性を測るため、少しデータを取らせてもらうぞ、前回のダークファルス戦のデータで、ある程度情報は揃っちょるんじゃが今回は対策パーツ製作用の特性データ情報を取りたいんじゃ」

ベルマリアはエクストリームのコンソールをカチャカチャと操作しながらぬりえとベルリナを見た。

「あと・・・その際、ベルリナ君にも結構な負荷が掛かると思われるので、キツくなったら言ってくれ、今回はスキャニングだけで実戦闘じゃないからのう・・・」

 

・・・ピッ、ピッ

ベルマリアが設定を終えたのか顔を上げてベルリナに微笑んだ。

 

「はいッ、先生!」

ベルリナとぬりえは声を合わせてベルマリアに返事した。

 

「今回はぬりえ君だけが戦ってくれまいか? ベルリナ君は待機。

多分、アシミレーションが発生するはずじゃが、気にせずぬりえ君は戦ってくれ」

ベルマリアは右手を上げて”GO!サイン”を出した。

 

”エネミーを30秒以内に倒せ”

フィールド上に”ウーダン”や”ガルフル”が湧き始めた。

短杖を握ったぬりえはテクテクと駆け寄り、そのまま殴りかかった。

 

ポカッ・・・

少し鈍い音がしたが、ダメージは非常に小さく法撃爆発も殆ど起こっていなかった。

「あれ?あれ? ・・・きゃーっ!!」

コテン!

ガルフルの跳びかかり反撃を食らって尻餅をつく、ぬりえ・・・

 

「ぬ、ぬりえちゃん! 大丈夫?」

手を伸ばし、慌てて駆け寄りそうになるベルリナ・・・  ベルマリアが声を掛けた

「おーい、ぬりえ君。そんなに緊張しなくていいぞー。気楽にいけーっ!」

 

 

「あうぅぅ・・・」

ぬりえはお尻の土を払って、モソモソと立ち上がった。

(落ち着け・・落ち着け・・・ 前みたいやれば良いんだ。・・・あれ? 前みたいに・・って、どんなだっけな?)

ぬりえは短杖を握りなおして、再び構えた!

(前回は・・・ 確か、ベルリナさんの戦闘を思い出しながら・・・こう!)

 

「ーーーーっ!」

その瞬間、ベルリナに軽い貧血にも似た感覚が襲ってきた。

 

「ラ・フォイエっ!」

ぬりえが叫んだ瞬間、イニシャライズされたエネミーに火炎の爆発が起こった。

キューン・・・ドゥーーン!

 

ギギギ・・・ 

命中したエネミーは瞬時に燃え尽き消滅した。

 

「や、やった・・・やった、やった! ・・・あっ、ご、ごめんなさいベルリナさん。大丈夫ですか?」

命中して喜ぶぬりえは、ほんの少し顔色が悪くなったベルリナに気づいて ハッ! っとなった

 

少し下を向いていたベルリナは徐ろに顔を上げ笑顔で応えた。

「大丈夫だよ、ぬりえちゃん。先生!続けて下さい!」

 

「おーけー! それじゃぬりえ君、ベルリナ君、次いくぞぃ!」

ベルマリアは戦闘エリア外の端末から、スクリプト実行し、エネミーを次々沸かせた。

 

----- お昼前 ------

 

ボギューーン!!

ステージ上のエネミーが一掃され、辺りに静寂が戻った。

 

「・・・・よしっ、皆、ご苦労じゃった。終わりじゃ」

ベルマリアは収集したデータを暗号化し、自分の研究室へ転送した。

データ送信した後、続けざまに何かのコマンド打ち込み始めた。

 

・・・と、その時、

「お姉ちゃんたち、ご苦労さまーっ。昼食はフランカさんのお店に予約入れてあるからね! 皆で行こう!」

零号が少し汗をかいている二人にタオルを持ってフィールド上に駆け寄った。

 

「あら、零号ちゃん、ありがとう・・・ そんな事より少しシャワーでも浴びたい気分だわ、・・・ねっ? ぬりえちゃん!」

「零号さん、あ、ありがとうございます。・・・ですねベルリナさん!」

落ち着いてさっぱりした顔のぬりえとベルリナ。

 

「お姉ちゃんたち、何だか息合ってて終盤は上手く行ってたみたいだね。僕もチョッとババンと暴れたくなっちゃったよ! あははっ!」

 

シュタッ!

零号は腰から双機銃を出すとクルクルと手の中で回し始めた。

 

「そういえば、零号さんも最終調整終わったんでしたっけ?」

ぬりえは汗を拭きながら零号に話しかけた。

 

「そだよー。昨日の夜に終わってるよ! ・・・もう、ダークファルスでもルーサーでも何でも来い!・・って感じ? あはははーーーっ」

 

(・・・・にひっ)

それを横目に見ていたベルマリアが、ニヤリ っと笑うとポチッと何かのキーを押した・・・

その瞬間、禍々しい声がステージに響くー。

 

「さあ始めるぞ、猛き闘争をな!」

 

-- ファルスヒューナルを倒せ --

 

「・・・・えっ?」

しばし、固まる3人・・・

 

「まぁ、ワシらがメシ食っとる間に稼働チェックしておいてくれ、零号っ! ・・・うけけ

さぁ、行こうか!ベルリナ君、ぬりえ君」

スタスタと、エクストリームを後にするベルマリア・・・・

 

「あ、ははは・・・ 零号ちゃん、頑張って!」

「頑張って下さい、零号さん!」

 

ベルマリアの後を追うように退出する二人・・・

 

「えーーっ! 何だよーっ! 僕だけ置き去りなのかよー?

・・・おっと、ヒューナルってば人が話してる時に殴ってくるんじゃない!

何だよお前・・・ちょ、強くない? ちょーーーっ」

零号の声が広いエクストリーム部屋に響いた。

 

------- 昼食 フランカ'sカフェ -------

 

「さて、ぬりえ君のフォトンアシミレートも概ね把握出来たし、対策パーツの製作も始めたんじゃが・・・・ずるずる〜〜っ」

カフェなのにウドンを食べているベルマリア・・・

考えながらお箸を空中で閉じたり開けたりしているーー

 

それを見ながらパスタを頬張っていたぬりえが聞いた。

「もぐもぐ・・・マリア先生、まだ何か問題でも? ・・・うんぐっ」

ぬりえは食べながら話していたため語尾が変になっていた。

 

「もう、ぬりえちゃん食べながら話すの、はしたないよー。・・・でも先生、一体何を悩んでるんですか?」

ベルリナはドリアっぽいものをスプーンで”はふはふ”しながら食べていた。

 

「あー? まぁ色々有ってなぁ・・・ アシミレートの対策基礎パーツは、いま工房の自動工作機が作っているんじゃが・・・ ごくん。まぁ・・・意匠の問題じゃな。」

ベルマリアはウドンを飲み込むと、またお箸を動かし始めた。

 

「はぁ・・・ 意匠ですか?」

ぬりえは食後のフルーツパフェに手をつけ出した。

 

「先生、私も何か装備しないといけないんですか? ・・・ごちそうさまでした。」

ベルリナはテーブルに手を合わせペコリとお辞儀した。

 

ウドンを食べ終えたベルマリアは食後の珈琲をズルズルと すすりながらー

「そうじゃなぁ・・・今のところ送受信機的なモノを考えておるからベルリナ君にも装備して貰うことになるじゃろう。将来的には超小型化出来ると思うんじゃが、自動工作機の試作なので、それなりの大きさが有る事と・・・ 粘膜装備が必須で、ゴニョゴニョ・・・・」

ベルマリアには珍しく語尾が怪しかった。

 

「何ですか?せんせー」

ベルリナは無邪気な顔でベルマリアに迫った・・・が

 

非常に困った赤い顔でベルマリアが小さくつぶやいた。

「・・・だから、粘膜装備が必要だから経口するか、お尻の・・・に装備するか・・・ごにょごにょ」

 

「なんだよー。せんせー、珍しくハッキリ言わないなんてさー ・・ゼイゼイ」

そこに零号が帰ってきた。

 

「・・・よっ!、おかえり零号。」

ベルマリアは切り替えて妙な薄ら笑いを浮かべていた。

 

「”よっ!”・・・じゃないよ先生! なんだよ、あのヒューナルは! 通常の三倍近いスペックじゃないか! 死ぬかと思ったよ!」

零号はあたふたと手をフリフリ、訴えかけていた。

 

「あーん? もう普通のヒューナルでは相手にならんじゃろうから、ちょっと細工しておいたんじゃよ、かかかっ!」

ベルマリア、・・・もう悪戯っ子の微笑みである。

 

「弱点属性なし、次元移動あり、ツイン投擲大剣のヒューナルなんて初めて見たよ! 勘弁してよ!プンプン!」

零号は捲し立てまくっていたが・・・

 

それを見てクスクス笑っていたベルリナが零号をみてつぶやいた

「あはは、でも零号ちゃん。凄く嬉しそうな顔してるね!」

ベルリナも楽しそうに笑っていた。

 

「・・・・うん。まぁ良いんだけどさ。おかげでジグおじさんの銃も大体、感覚判ってきたし」

満更でも無い表情で零号も皆と同じテーブルに腰掛けた。

 

と、その時・・・・

「うん?、ぬりえ君。それ・・・・は?」

ベルマリアは”ガタっ”と立ち上がって、ぬりえの口元を指さした。

 

口元をホイップクリームで真っ白にしながら

「・・・ん?あ、コレですか”さくらんぼ”ですね。もちろんコピー品らしいですけど。

昔はこんな食品が普通に有ったんですね、あはは」

ぬりえがケタケタと笑いながらさくらんぼを咥えながら答えた。

 

「送信、受信・・・・・うむ。それじゃ!それを頂こう」

急に大声を上げてベルマリアがピョンピョン飛び跳ね出した。

 

「子供みたいですね? 先生も食べたいんですか? 甘いもの、苦手だと思ってましたよ?」

ぬりえは近くのウェイトレスを呼ぼうと手を上げ掛けた・・・

 

「いや、違う違う。意匠の事じゃよ、これは良いな・・・うんいいぞ。」

 

”咥えさくらんぼ”

 

 




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