ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花” 作:ナベ白製作委員会
ベルマリアは今日の学科講義を全てベルナルドに任せて、ベルリナと一緒に工作資材を買い込みに出かけていた。
ーーーピンポーン。ばーーんっ!
午後になってベルマリアが研究室に駆け込むように帰ってきた。
「おかえりー! ベルマリア。今日の全ての講義は俺様が無問題で終了させたぜー
やっぱ、俺様天才だな。しっかし、今どきの学生って奴は人の言うことを全く聞かな・・・ おわっ!!」
「おらっ、邪魔だ!どけ!」
急いで帰ってきたベルマリアはベルナルドMk-2を吹き飛ばすように工作室に一直線に駆けて行った。
「うわっ、あにょ!! ズベしっ」
ベルナルドMk-2は突き飛ばされ、もんどり打って転がった。
「ただいまー・・・ ってベルナルドさん? あらあら酷いわねぇ。うふふっ」
ベルマリアと一緒に買物に行っていたベルリナは
ふっ飛ばされたベルナルドMk-2を覗き込み心配?していた。
ベルナルドMk-2はモソモソと立ち上がると工作室を見やってー、
「何だよベルマリアは・・・ まぁ判るけどな。・・・何かを作りたくてウズウズしてる時の表情だったし」
・・・といいつつ立ち上がったベルナルドMk-2にベルリナが話しかけた。
「ああいう時の先生って、まるで子供みたいだよね、うふふっ」
「おーい、ベルリナく〜〜ん、ちょっと手伝ってくれぇーい!!」
奥の研究室からベルマリアの声がする・・・
ベルリナとベルナルドMk-2は呆れたような顔をしながらクスクスと笑った。
「・・・ あ、はいはい、今行きますよー」
------------------------------
ベルマリアとベルリナが研究室に篭ったきり・・・それから2〜3時間が過ぎた頃、
「帰ったよー、おねーちゃーん!」
「ただいま戻りました・・・」
研究室にぬりえとその付添で一緒だった零号が学校から帰ってきた。
ぬりえは要警護対象人物という扱いのため零号が常に付いていた
・・・と、工作室から騒がしい声が聞こえる・・・
「・・・ん? 何?」
零号は気になって工作室を覗こうとした・・・ その時。
「おうおう!、ぬりえ君、よーく帰って来たのう・・ ふひひぃ・・・」
何だか悪戯したくて仕方ない子供のような笑みでベルマリアが飛び出してきた。
ワキワキ動く指がぬりえの顔に迫る勢いだった。
「・・・・なっ、なんですかベルマリア先生・・・」
たじろいだ ぬりえの顔が疑心で暗くなる・・・
「まぁまぁ・・・ 先日言っていたフォトン整流器が完成したんじゃよ! 久しぶりの傑作じゃ!まぁ、きたまえ! ぬりえ君!」
ベルマリアは子供のように大はしゃぎでぬりえを研究室に引っ張ってゆく。
------------------------------
ベルマリアの手に赤いものが乗っていた
「さくらんぼ?」
ぬりえの口から自然に疑問符が出てきた。
ベルマリアがぬりえとベルリナに差し出したものは見た目「2房のさくらんぼ」だった。
「どうじゃ? よ~く出来とるじゃろう?
ふたりとも・・・それぞれ、それの柄の部分を口に咥えてくれんかのう?」
「これを・・・・?!」
意味も分からず、疑いもせず、さくらんぼの柄の部分を咥えてみる二人
一旦咥えると、アクセサリ登録され無理に咥えなくてもそのままの位置に固定された。
「あらっ?」
ベルリナは一瞬、力が抜ける感じがしたが、しばらくすると元に戻り・・・
ぬりえは咥えた瞬間、何かが流れこんでくる感じがしたがすぐに何でもない状態に戻った。
「何ですか?これは?」
二人は同時に声を上げた。
「充電完了じゃな? うーむ。ひとことで言うとベルリナ君のフォトンの流れを整流してぬりえ君へ安定供給するためのフォトン・コンデンサじゃな」
・・・・・・
ベルリナとぬりえはさくらんぼを咥えながら
「・・・????」
疑問符だらけになっていた。
「まぁ、実際に試してみようかのう? さぁさ、早く早く〜」
そういうとベルマリアはVR実験室の扉を開け二人を押し込んだ。
------------------------------
ーー 翌朝 ーー
「うわぁ〜〜、大きなビルだなぁ・・・」
手をかざし、見上げた零号が溜息のようにつぶやいた。
ナベリウスの白い花の一行はマシロ工業本社ビルの正門に来ていた。
マシロ工業最高責任者であり、真白ぬりえの祖父にあたる”真白光雄氏”に面会するためだった。
面会は以前から申請していたので、今日、問題なく会えるようであった。
「さて・・・。どこから切り崩して行こうかの・・・?」
ベルマリアは腕を組み小さな身体で高いビルを見上げた。
そして、思い出したように・・・
「あ、そうじゃ、面会中は”ぬりえ君のアシミレーターの件”は内密にしてくれ、みんな?」
ベルマリアの提言にベルリナが質問した。
「身内なのだから報告しておいたほうが良くないですか? 先生。」
「うーむ・・・。今の会長にアシミレーターの件が露呈するのはマズイ気がするんじゃ・・・」
受付窓口でIDチェックを済ませた、ベルリナ、零号、ベルマリア、そして、ぬりえの4人は出迎えに来た自走の送迎オートボットに連れられてテレポーターに乗った。
テレポーターは目的の会長室にターゲットしてあったようで、すぐに会長室前にワープアウトした。
無機質で清潔感のある飾り気の無い通路を少し歩き、2mの高さは有ろう重厚な木製の扉の前に揃って立った一行。
「お客様、こちらからお入り下さい・・・ 会長、お客様をお連れ致しました・・・」
案内のオートボットから流暢な音声合成が流れオートボットは通路の脇に消えた
・・・やや間が有った後、今どき珍しく
ギギギィ〜〜っ
・・・と、その重そうな扉が観音開きに奥に開いた。
「ふむ・・・」
室内を確かめるようにキョロキョロしながら中に入るベルマリアたち・・・
30畳程度の思ったより狭い会長室の中に入った、余りゴテゴテした装飾や美術品も多くない
シンプルな部屋だった。・・・そんな彼女らに部屋の奥から声が掛かった。
「ようこそ、アークスの諸君。・・・ぬりえも、久しぶりじゃな」
奥のバカでっかい卓にどっしりと控えた老人がしっかりとした大きな声を掛けた。
「・・・今回は面会ありがとうございます。チームナベリウスの白い花、
チームマスターのベルマリア・ウルフェンシュタイナーと申します。」
ベルマリアは日頃と違い、よそ行きの丁寧な挨拶をした。
大きな椅子に腰掛けた老人はベルマリアを値踏みするような視線で確かめた
「・・・ほう、君がマークの娘さんか・・・まだ若いようだが、かなりシッカリしているように見受けられるな・・・ そして・・・」
視線を向けられたベルリナは少しびっくりしたようにキョロキョロしたあと、凛と姿勢を正し、
「私はベルリナ★プファンクーヘンと申します」
丁寧にお辞儀をした。
「僕はキャストの零号です、よろしくです・・・」
高尚な場に慣れてないのかギクシャクしていた零号続いて
「お久しぶりです、お祖父さま・・・」
ぬりえがスカートをつまみ、慣れた礼をした。
「ふむっ・・・」
老人はその場で立ち上がり左手を机につくと、顔を上げた。
「わしがマシロ工業CEOの真白光雄じゃ、今日は何用な話しかな?」
浅黒く彫りの深い顔、余程の苦労人と見えるその顔立ちと鋭い眼光が大企業のトップである証明にも思えた。
紫のシックな袴姿の真白会長は丁寧な挨拶をしたが・・・
(隙が無いのう・・・ この爺)
(凄いプレッシャーを感じる人・・・)
(目が怖いぞ、このおじいちゃん)
到底フレンドリー・・とは言えない空気だった。
そんな中、ベルマリアがチーム責任者として会話を始めた。
「・・・ 私たちは現在、本部の指示で先日起こったアムドゥスキアの集団心身消失事件の調査に当っています」
真白会長は聞かれることを知っていたような態度だった。
「あぁ・・・ あの件か」
会長は机を離れ、近くの応接ソファーまでユックリと歩み近づき、
「まぁ、立ち話もなんじゃ、掛けたまえ・・・ 来客にお茶の用を頼む」
皆に座を勧めたのちインターフォンにそういうと、自らも腰掛けた。
ベルマリア一行も軽く頭を下げ、マシロ会長を取り囲むようにソファに腰掛けた。
真白会長は、まるで事務仕事のような口調でサラリと言う
「その件は、公安に任せてあるはずだ? 今更、アークスの出番も有るまい?」
「はい、そういう案件なのですが、今回、お孫さんの”真白ぬりえ”さんから調査オーダーを受けまして
、正式にアークス当局としても調査に当たる事となりました。」
ベルマリアは、あくまで公な口調で対応した。・・・が、
「だって、お兄ちゃん、今も目覚めないし、わたし、わたし・・・」
ぬりえは急に兄を思い出したのか泣きそうな表情になって大きな声を出した。
「ぬりえ、お前も一人前を目指しておるのなら、そのような取り乱しはイカンな・・・」
真白会長は極めて冷静・・・ というか冷淡にぬりえに言い放った。
「だって、おじいちゃん・・・・」
「お前も一人前になったのなら、交渉の場で”お爺ちゃん”は無かろう? しっかりせい!」
言われたぬりえはシュンとなったが、それを庇うようにベルリナが口を開いた。
「今回の依頼は、わたしがぬりえちゃんに推薦依頼を掛けました、ぬりえちゃんの勝手な依頼では有りません。
その上で、幾つかお聞きしたい事が有りまして、本日お邪魔させていただきました。ご協力頂けると当方としても助かります」
ベルリナの口調は非常に丁寧ではあったが、どこか少し棘を含んだものだった。
「”ベルレインの巫女”ベルリナくん・・・だったかな? よかろう、私も一度、君たちには会いたいと思っていたんじゃ、私からも幾つか聞きたいことが有るのだが、構わんかな?」
(なぜそれを知っているの!!)
ベルリナはその場で少し身を退いた。
真白会長の目は興味というより何かを探るようなものだった。
「なぜ知っているのか? という顔をしておるな・・・ わしもこういう仕事柄なのでのう、ふははっ・・・」
(C)SEGA PHANTASY STAR ONLINE 2