ファンタシースターオンライン2外伝”ナベリウスの白い花”   作:ナベ白製作委員会

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第四話「ベルマリア・ウルフェンシュタイナー」

もともとアークス研修生付属校 は普通の学校とは全く違うカリキュラムで行われている職業学校である。

一応、基礎学科教育も行うが、その主だった教育は次期アークスを担う人材の育成にある。

そのため、基礎学科の教師の他に特別非常勤扱いで高名な学者や研究者が教師として参加している

武器防具の工匠、フォトン工学の権威、体術のスペシャリスト、エネミー研究者などなど・・・

今日、ベルリナが面会に来た”ベルマリア・ウルフェンシュタイナー”も、アークス本部から派遣された一人であった。

 

「おーい、ベルナルドMk-II。珈琲を頼む、いつものやつじゃーっ」

第一研究室と書かれたその部屋に彼女は居た。

声の主は奥のデスクの大きめの柔らかなソファーに腰掛けていたが、その姿が机で見えないほど小さかった。

白衣姿ではあったが、まるで幼稚園児か小学生である。

机と椅子の間にピョコピョコと動く銀髪のツインテールだけが覗いていた。

身長は120cm程度しかないかもしれない・・・・ 赤い瞳が何やら端末の画面を見ていた。

「ベルマリアーっ、珈琲は、少し控えた方が良いんじゃないか、ただでさえ・・・・」

奥の簡易キッチンから、淹れたての珈琲を運んできた男性キャスト・・・身長は170cm程で男性キャストとしては比較的小型な彼は机の上に彼女の注文の品を置きながら続けた・・・

「飲み過ぎは良くないぞ ・・・その貧弱なスタイルが、ますます貧弱に・・・、 ウぐっ」

机の下から結構な蹴りが入って”ベルナルドMk-II”と呼ばれたキャストは、もんどりをうって、コケた。

「いちいち五月蠅いぞ、お主は・・・ ったくぅ。 そんな愚痴言う風にお前を造った憶えはないぞ!」

ベルマリアは置かれた珈琲を一口飲むと、端末画面に再び眼を下ろし、話を続けた。

 

「・・・うーん。親父殿から直接クライアント・オーダーの斡旋が来ているな。当分の講義はベルナルドMk-II、お前に頼むかも知れん。」

蹴られて吹っ飛んでいたベルナルドMk-IIは起き上がり、ベルマリアが見ていた端末の画面を少し覗き込みながらいう。

「本部長(ボス)自らの依頼とは、またデカいヤマでも来てるのか?それともアレか?33歳独身女性に見合いの話でも・・・」

「ドゥッ!!」

再びベルナルドMk-IIに鋭い蹴りが入って彼は吹っ飛んだ。 ・・・が構わずベルマリアは話を続ける、

「いや、無理に受けなくても構わんらしい ・・・・じゃが、調査同行の依頼は本部側では無く、担当アークス側から出ているようじゃ」

えっ? という顔をしながらベルナルドは食い入るように端末を覗きこんだ。

「も、もしかして、それって、べ、ベルリナちゃん・・・・」

・・・・・ピンポーン。 そのとき、部屋のチャイムが鳴った。

「噂をすれば、依頼主のアークス御一行が到着したようじゃな・・・ どうぞー、開いてるぞー」

・・・・ごくっ。ベルナルドMk-IIは聞こえるぐらいの音で唾を飲んだ。

 

研究室の自動の引き扉が開いて、ベルリナと零号が入ってきた。

「こんにちは先生。お久しぶりです、今日は頼み事が有って・・・・ きゃっ!!」

挨拶をしていたベルリナは尻を触る手の感触にびっくりして思わず声を上げた。

「うーん。白のエンゼルパフュームかぁ・・・ ピンクの見せパンとは言え、この手触り、フリル最高だな・・・ ふむむ~。」

音も気配も無い内にベルナルドMk-IIがベルリナのスカートを捲り上げていた。

「このスタイル、張り、ベルリナちゃん最高だ、実にけしからん・・・」

「ちょっ、ベルナルドさん、やめて下さい。見えちゃいますーーっ!!」

ベルリナが顔を真赤にしながらスカートを押さえ叫んだその瞬間、ベルナルドMk-IIの顔面にベルマリアが投げた分厚い本が直撃した。

「ぐはっ!!」

ベルナルドMk-IIは吹っ飛び、そのまま部屋の外までゴロゴロ転がっていった。

「何をしとるのじゃ、このセクハラ・キャストがっ!、連行されたいのかお主は ・・・ったく、いい加減にしろっ!」

零号もアイテムパックからいつの間に出したか?長銃の銃身をグリグリとベルナルドMk-IIの腹に押し込んでいた。

「ベル姉ちゃん、コイツ殺っちゃって良いよね、・・・良いよね?」

 

そんなこんなで、ベルリナたちはベルマリアの研究室の長ソファーに対面で座りなおしていた。

「いやぁ・・・本当にスマン。あんな変態に仕上げたつもりは無かったんじゃが。・・・あとで調整しておくわい」

哀れベルナルドMk-IIはフォトンケーブルでぐるぐる巻きにされた上、ボロ雑巾の様に床に転がされていた。

「本当だよ・・・ 今度やったら、確実に殺るから」

零号の眼は据わっていた。

 

ずっと顔を真赤にしてスカートを押さえていたベルリナが、しどろもどろに話を始めた。

「あ、あの・・・ 先生、み、見ました?」

「ぱんつか?」

「ち、違いますっ! さきほど送信した資料ですよーーっ。・・・くうぅぅぅ」

ベルリナは更に真っ赤になって俯いた。

ベルマリアは手持ちの端末を少し見て、切り替えた真面目な顔で話を始めた。

「ナベリウスの初期エリアにもダーカーが出現し、凍土の浅いエリアにして高いダーカー侵食度・・・。じゃが、ベルリナ君、お主が言いたいのは別にあるのじゃろう?」

「はい・・・っ」

ベルリナは不安げな顔になり答えた。もう先ほどまでの笑いの空気は無い・・・ ベルリナは更に言葉を続けた

「良く判らないんですが、何だか、こう・・・ 操られてる、そういう雰囲気というか・・・ 周りの空気が変なのです。」

「ふむ・・・・」

ベルマリアは持っていた珈琲カップをソーサーに置くと、零号に向き直った。

「零号、お前は何か感じたか?」

長いソファーの縁に腰掛け、脚をブラブラさせていた零号はその場でスッっと立ち言葉を繋げた。

(・・・? 、ベルマリアが一瞬訝しげな表情をした。)

「うーん。操られてるかどうかは良く判んなかったけど、いつもの侵食エネミーと雰囲気が違うのは、感じた・・・」

ベルマリアは手元の端末の情報に再び目を落とし、しばらく考えて目を上げた。

「・・・よしっ、分かった、お主たちの調査に同行しよう。ただ出発は明後日で良いか? ちょっと準備があるのでな?」

ベルリナの顔がパァーッと明るくなり、大きな声で返事をした。

「はいっ、先生ありがとうございます。宜しくお願い致しますー。」

つられて微笑んでいたベルマリアは急に顔を少し赤らめて言った。

「あ、あとな、親父殿への連絡はそっちでやっておいてくれぬか?」

クスクスと肩を震わせながらベルリナは頷いた。

 

「さて、それじゃ家に帰って調査の準備しよ、ベル姉ちゃんっ!」

零号がベルマリアの研究室をあとにしようとした時、ベルマリアがキツ目の声で零号に声を掛けた。

「おい、零号。お主、脚をどうかしたのか?」

その声に”ぎくっ”となる零号。ベルリナは何の事か判らず”・・・?”という顔をした。

「何だよ、何でもないよっ!」

あからさまに怪しい零号の様子・・・

「零号、ちょっと工房まで来い、お主、脚を損傷してるじゃろ!」

「・・っ!」

ベルリナはびっくりした顔で声を荒らげた。

「ほ、本当なの零号ちゃん?!」

ベルマリアは手持ちの端末をヒョイとかざして言った。

「多分、このバンサーと戦った時に受けた傷ではないか? 資料にはダメージを受けたとは書いて無いが、・・・見た目にアライメントが狂っておる」

「大丈夫だよっ! ちょっと歩きにくいかもだけど、どうって事無いよっ!」

零号は顔を赤くして怒るように叫んだ。

やれやれ・・・ という顔をしてベルマリアは諭すように言った。

「お前は大丈夫かも知れぬ、じゃがその為にベルリナ君や、その他の者が危険になる可能性があるのじゃ、それでも良いのか、お主?」

「ーーーーっ!」

大好きな姉の名前を出された零号は完全に意気消沈してしまった。

 

「まぁ、悪いようにはせんて、いつものアレじゃ、調査の出発を一日遅らせたのは、このためじゃ、フヒヒっ・・・・」

ベルマリアの顔がいたずらっ子のように見えた。




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