「~~~~♪ ~~~~~~♪」
ミスルギ皇国にあるミスルギ邸のベランダで10歳ぐらいの少女は皇家に伝わる“永遠語り”を歌っていた。
その歌に合わせて風は彼女の金色の髪をなびかせながら祝福する。
「お姉さまぁ!」
部屋から一人の少女が入ってくる。
歳からして5歳の少女だった。
「アンジュリーゼ……」
私と同じ金色の髪を持つ妹………アンジュリーゼ。
「今日は“永遠語り”を教えてくれる約束です」
「そうだったね」
あれから10年……物語は筋書き通りに進んだ。
私と言う存在以外は。
「もうすぐ……始まる」
「お姉さま?」
「ん? 何でもないわ」
妹に心配されながらも、妹を膝に座らせ“永遠語り”を歌う。
「「~~~~♪ ~~~~~~♪」」
私は転生者。
この世界ではイレギュラーな存在。
前世の記憶を持ちながらこの世界に生まれた。
アンジュリーゼの姉として。
「「~~~~♪ ~~~~~~♪」」
だから、これが最後。
アンジュリーゼ達と居られるのが……
「お姉さま?」
「ん?」
「なぜ泣いておられるのですか?」
「っ! 何故なんでしょうね」
いつの間にか涙を流していた。
これが最後と思うと……
「アンジュリーゼ」
「はい」
「どんなことがあっても生きなさい」
「? それはどう言うことですか?」
「きっと解る時が来るわ」
そう言って私は部屋を出た。
アンジュリーゼが姉を見たのがそれが最後だった。
◇
「お父様、お母様」
「ん? アリシアか」
「どうしました?」
ミスルギ皇国皇帝だある父と皇后の母がいる部屋に私はいた。
そして、私はある事を話始めた。
「もう、分かっているのでしょ?」
「なにを?」
「私が……」
この世界でもう一つ、イレギュラーな存在がある。
それが……
「ノーマだってことを」
「……っ」
その言葉に二人は顔色を変える。
そんなことを気にせずに私は話を続ける。
「私が知らないとでも、思っていましたか?」
「いつから……気付いていたのだ?」
「5歳の頃からですかね」
父の質問に答える。
本当のことを言うならばその前から気付いていた。
「言わなかったのは、アンジュリーゼの為、そしてあの事の為」
「まさか……」
「ええ、アンジュリーゼも“ノーマ”だってことは、私も知っている」
皇室がいままで隠してきた真実を話した。
それを聞いた父と母は表情を隠せなかった。
「私は行きます……アルゼナルへ」
「ほ、本気か……」
「ええ、本気です」
その言葉に父は立ち上がる。
それが、私が出来る物語の修正。
「私の事は死んだ事にしといてください。それでは……」
「ま、待ちなさい!」
「今までありがとう」
それを残して、私は部屋を出た。
そして、次の日。
ある報道が流れた。
“アリシア・斑鳩・ミスルギが転落死”
その報道に多くの人は驚いた。
もちろん、アンジュリーゼもだ。
だが、二人が出会うのは11年後のあの場所だった。
11年後
「~♪ ジャスミン、いつものを頂戴」
「はいよ」
アルゼナルの一角にあるジャスミンモールで新聞を買う金色の髪を持つ女性。
食堂でいつものように彼女は呼んでいた。
「あんたいつも渋いことをやっているわね」
「別にいいでしょ? ゾーラさん」
第一中隊の隊長であるゾーラはヒルダ達を連れて来ていた。
そして、ある記事に目が止まった。
「ゾーラ……」
「ん? なんだ?」
「明日は嵐になるかもよ……」
「そうかい」
「それと、姫様が来る」
「……そう」
それを言い残して、食堂を後にする。
新聞にはこう書かれていた。
〝ミスルギ皇国第一皇女、アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギの洗礼の義まで明日”
「再び、物語が始まる」
二人の歌姫が出会うまで、あと少し。
再び出会う二人は、この世界に何をもたらすだろうか。
今は誰も知らない。