クロスアンジュ 二人の天使と竜の輪舞   作:ぬっく~

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第4話

「じゃあ、サリア。説明してくれ」

 

「…………」

 

「何があったのかを」

 

「イエス・マム……」

 

指令室ではジルとサリアの二人しかおらず、先程の作戦の報告をおこなっていた。

 

「シンギュラーまで、約一万の所でアンジュが編隊から離脱。目的は自国への帰還。()()を試みましたが不調。ココもアンジュを追って編隊から離脱。その時、直上でシンギュラーが開き、飛来したドラゴンのウロコの直撃を受け、ココ及び、機体は両断。中隊は乱戦状態に入り、ミランダはアンジュを追ったようです。しかし、ミランダは小型ドラゴンの群れに襲われて、死亡」

 

「新兵達にはアリシアが付いていたはずだが?」

 

「はい。アリシアは新兵に群がるドラゴンと交戦……ですが、数があり過ぎて手が回らなかったもよう。逃亡防止の為、アンジュが乗っていた機体のスラスターを撃ち落としますが、不運にもゾーラ隊長と交戦していたガレオン級の攻撃に2機とも巻き込まれ、墜落。戦闘後、近くの浅瀬で機体を発見。機体を回収、両名を収容しました」

 

「うん。こちらが映像と音声で把握した通りだ」

 

「イ、イエス……マム…………(だったら……どうして私に……)」

 

「サリア、お前は副長としての責任をどう思っている?」

 

「…………」

 

サリアは一瞬、悩む。

 

「私が……あの時、すぐに撃っていれば…………」

 

「そうだ……死者は新兵一名のみで済んだかもしれない」

 

「次は……撃ちます……」

 

「それが聞きたかった。サリア、今回からお前が第一中隊の隊長だ。働きに期待しているぞ」

 

「イエス・マム」

 

報告を終えたサリアは指令室を出る。

 

「失礼します」

 

指令室に残ったジルは考えていた。

 

(ゾーラ……『リベルタス』の前にお前を失うことになるとは…………。しかし『指輪』と『あいつ』は残った……。これが……どう出るか……)

 

 

 

 

「運命は決して変わらない……」

 

アリシアは考えていた。

この後、撃ち漏らしたドラゴンと対峙する。

そして、ヴィルキスの覚醒。

 

「……雨が降って来たか」

 

雨が降っていることを確認したアリシアはそのまま、部屋を出る。

向かった先は、墓のある丘。

 

「…………どうして……。今だけ……ほんの少しだけ、マナが使えないだけで……。それだけで……」

 

雨の中、しゃがみ込むアンジュ。

 

「それだけで……こんな地獄みたいな所に……。あまりに理不尽ではありませんか!?」

 

「その通りよアンジュ……」

 

パシャ、パシャと雨の降る中、アリシアは傘をささずにアンジュの元へと歩いてくる。

 

「アリシア……」

 

「この世界は理不尽の塊でしかないのよ……全ては()()()が作ったルールのせいでね」

 

アリシアは手に持っていた3つの花束を墓の前に置く。

 

「それにね。ココなんて、まだ12になったばかりだったんだよ?」

 

「12……」

 

その言葉にアンジュは自分の妹であるシルヴィアと重ねる。

 

「違う……!! シルヴィアとは違います! だって……」

 

「『ノーマは人間ではない』……か?」

 

ジルはアンジュの襟を掴もうとするが、アリシアが止める。

アリシアはここは私がやりますと言わんばかりに、アンジュの襟を掴む。

 

「だったら何? 皇女でもなくなり、マナも使えない、義務も果たせない、敵前逃亡で仲間を殺す。だったらあなたは何?」

 

そして、サリアがドラゴンが見つかったことを知らせに来る。

 

「立ちなさい、アンジュ。この世界は不平等で理不尽……だから『殺す』か『死ぬ』かの二択しかないのよ」

 

アリシアは無理矢理持ち上げ、アンジュの目線を自分に合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それが出来ないのなら……私があなたに呪いと言う名の枷を着けてあげる」

 

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