クロスアンジュ 二人の天使と竜の輪舞   作:ぬっく~

5 / 6
第5話

「では……殺して下さい……。こんなの……辛すぎます……」

 

「ダメよ。あなたはこの娘たちと同じように戦って死になさい……それがあなたの義務」

 

私はアンジュを無理やり立たせる。

 

「指令。パラメイルがもうありません」

 

「あるじゃないか。アレが」

 

それを聞いたサリアは、あの機体を指していることが分かった。

ジャスミンもそれを聞いてにやつく。

 

 

 

 

「来るのを待っていたよ」

 

ハッチでメイが既に準備しており、それがアリシアの指示であることに気付いたジルはアリシアを見る。

 

「アリシア……」

 

「ジルならこれに乗せると思ってね。前からメイに整備を頼んでおいたのよ」

 

アンジュ、サリア、アリシアはジルと共にある機体の前まで来ていた。

 

「こいつがお前の機体だ」

 

それは錆びついたパラメイルだった。

 

「かなり古い機体でな。老朽化したエンジン、滅茶苦茶なエネルギー制御、いつ堕ちるか分からないポンコツだ。死にたい奴には打って付けだろう。名は……ヴィルキス」

 

女神の像が唯一輝くパラメイル……ヴィルキスにアンジュは見惚れていた。

 

「死ねるのですね……。これに乗れば……。戻れるのですね……。アンジュリーゼに……」

 

それを見届けるアリシアは、そっと目を閉じる。

 

(生きなさい……アンジュ……。私の最愛の妹)

 

アリシアは自分の出番はここまでだった。

メイ達がヴィルキスの発進準備に入ると、アリシアも出撃の準備に入る。

 

 

 

 

「サリア隊! 発進します!!」

 

サリアに続き、新しく編成した第一中隊は、先程のドラゴンのいる場所へと向かう。

アリシアもアンジュの後ろについて行く。

 

「なんでアイツも来てんだよ!? お姉さまを殺した奴と一緒に出撃!?」

 

「殺す……。殺す……。殺す……!」

 

「死ににいくんだってよ アイツ」

 

「「へっ!?」」

 

ヒルダの言葉にロザリーとクリスは驚く。

 

「見せて貰おうじゃないか。イタ姫様の死にっぷりをさ!!」

 

ヒルダは何故かその時は、嬉しくてたまらなかった。

そう言っている内に、目標時点に到達する。

 

「! 来るぞ! 下だ!!」

 

海面にドラゴンの姿があり、それと同時にドラゴンが姿を現した。

ドラゴンの身体の一部に凍結バレットがヒットしており、一撃を当てれば決着がつく。

しかし、ドラゴンも馬鹿ではなく、海面に罠をしかけており、次々とパラメイルに被弾していく。

 

「よっと」

 

アリシアはその罠を回避しつつ、追尾するドラゴンの鱗を打ち落とす。

一方、アンジュはドラゴンに向かって自滅しようとするが、後一歩の所で本能的に避けてしまう。

 

「ダメじゃない……。ちゃんと……ちゃんと死ななくちゃ……」

 

そんなアンジュの後ろから魔の手が伸びる。

 

「きゃっ!!」

 

ドラゴンがヴィルキスを捕まえ、アンジュはその反動で頭部をぶつける。

 

「っ……痛っ……」

 

頭部から血を流し、目の前にはドラゴンがいた。

 

「ひっ……」

 

ドラゴンが口を開いた時、アンジュの頭の中で走馬灯が起こった。

 

「あ。いっ……いやっ……」

 

数々の記憶がアンジュを襲う。

 

「いやっ……」

 

生きなさい。アンジュリーゼ

 

「いやあああああっ!!」

 

一滴の血がアンジュの付けていた指輪に落ちた。

指輪がそれに反応するかのように輝きを増し、ヴィルキスにも異変が起きる。

 

「ようやくか……」

 

アリシアはヴィルキスの異変を目にして、笑っていた。

ボロボロだった機体は殻を破り捨てた様に綺麗な物へと変わる。

 

「生きなさい。アンジュリーゼ」

 

そこから先は、アンジュとヴィルキスの無双だった。

そして、止めを刺した。

 

 

 

 

「ゾーラ……あんたの好きな酒だよ」

 

アリシアはアルゼナルに戻ると、ジャスミンモールからゾーラの好きな酒を買い、墓場の丘まで来るとその酒をゾーラの墓の前に置いた。

 

「あいつ……ようやく覚悟が決まったよ」

 

アリシアは「ふっ……」と笑い、立ち去った。

その日の夜。アンジュが部屋で「不味い!!」と叫ぶ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。