キリト・イン・ビーストテイマー   作:クジュラ・レイ

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06:迫りくる脅威

           □□□

 

 クラインを治療した後、キリト達は93層のボスの攻略を完了し94層に進出した。

 

 しかし94層は93層よりもさらに狭いものだから、すぐさま迷宮区にまで辿り着いてしまい、ボス部屋に到着。そこですぐさま攻略会議を開いて、リランの力を使いつつボスと戦闘し、これを撃破。ついに攻略組は茅場晶彦が正体を明かすはずだった95層に辿り着いたのだった。

 

 そこでキリト達は95層の攻略を他の者達に任せて、ひとまずアインクラッドのプレイヤー達の観察を行う事にした。クラインの一件があってから、どこかおかしい動きをしているプレイヤーがいたのであれば連絡してほしいと、キリトは他の攻略組の者達に頼み込んだのだが、初日から次々と相談が寄せられてしまい、至る所に飛んでいく羽目になった。

 

 しかし、キリト達が驚く事になったのは、依頼が沢山来た事だけではなかった。実際に連絡を受けて飛んで行ってみれば、ある日まで言わなかった事を言い出すようになっていたり、まるで別人になってしまったかのような症状を抱えた者達がそこで待ち構えており、案の定というべきか、皆揃ってリランが《疑似体験の寄生虫》の存在を訴えたのだ。

 

 リランがその項に噛み付いてみれば、皆クラインの時のように元に戻り、決まって混乱の症状を起こす。今まで見た事がなかったような事件。これが一件だけだったのであればどうって事なかったが、この一週間で確認された事件の数はおよそ50以上。

 

 50人以上のプレイヤーが《疑似体験の寄生虫》に取り憑かれ、有りもしない記憶を植え付けられて、あらぬ行動をさせられていたのだ。それを除去するだけでも、キリト達は攻略に使う時間を使う事になってしまい、層が狭いにもかかわらず時間がかかってしまったのだった。

 

 しかも恐ろしい事に、事件の数は日に日に減るどころか増えていき、あるプレイヤーを《疑似体験の寄生虫》から解放したとしても、また別なプレイヤーが《疑似体験の寄生虫》に取り憑かれる。完全なる鼬ごっこで、キリト達が圧倒的に不利な状況に追い込まれていたのだ。

 

 だがキリトはそれに屈する事無く、リランと共に各地を飛び続け、疑似体験に苛まれる者達を治療していったのだった。その間、残されたアスナ達は攻略組をまとめ上げて戦いを続け、すっかり短くなってしまったフィールドや迷宮区を攻略したのだった。

 

 

 

 そんな日々を続けて数日。アスナは突如としてイリスに呼び出されて、ユピテルと共に教会を訪れたのだった。いつもならば詳しい事情が添えられているというのに、特にこれといった事情が書かれていないイリスからのメッセージを受け取ったアスナの中には一抹の不安があったが、相手はイリスだからという事で何とか信頼し、ここまで来たのだ。

 そんなアスナを、イリスは教会の入り口で出迎えてきた。

 

「やぁアスナ。来てくれてありがとうね」

 

「イリス先生、何の用事ですか。今日はボス戦があるんですけれど……」

 

「うぅむ、階層が狭くなってるから、攻略開始からボス戦到達まで短いね。今日で95層のボス戦だから、一週間後には96層の攻略&ボス戦かな」

 

「はい。でも、イリス先生の言ってた《疑似体験の寄生虫》っていうのはどんどん増えていってるみたいです。このままじゃ、攻略どころじゃない状況になってしまいます」

 

 イリスは周囲を見回した後に、アスナに小さく言った。

 

「それなんだけどねアスナ……ここまで来たからにはある事をするしかないと思うんだ」

 

「ある事?」

 

「あぁ。だけどここで聞かれたら拙い。ひとまず、教会の中へ」

 

 アスナはイリスに導かれるまま、教会の中へ入り込んだ。そして、ユリエールが初めてやって来た時にも利用した応接室に入り込み、そこで改めてイリスの話を聞いた。

 

「それで先生。ある事ってなんですか」

 

 イリスはアスナに向き直った。その表情は少し険しいものに変っていた。

 

「あぁ。君達の活躍から、数多くの《寄生虫》が駆除された事がわかってるけれど、この《寄生虫》には恐らく母体のようなものがあると思うんだ。もはや連中と鼬ごっこをしたって意味はないし、こっちが不利な状況に陥れられる。こうなったら根元から叩くしかない」

 

「根元という事は……先生達の言う《ムネーモシュネー》の本拠地に行くって事なんですか」

 

 イリスは腕組みをして頷いた。

 

「そうだとも。かつての《笑う棺桶》の時のように、本拠地を叩いて全滅させるしかない。あれの全滅はこのアインクラッド全体にいる《寄生虫》の絶滅にも繋がる。アインクラッドは残す事数層だ、このまま突っ切るには不安要素をすべて排除しなければならないだろう」

 

 これまで二年以上の戦いを続けて、ついに攻略組は95層へ辿り着いた。ここまで来たからには、一気に残りの数層を全ての力を投入して通り抜けていき、ラストボスのいる100層に辿り着くしかない。だが、《疑似体験の寄生虫》はそんな自分達を紛れもなく邪魔している存在であり、それを生み出している者達は更なる脅威だ。

 

「そうですね……だけど、《疑似体験の寄生虫》の工場といいますか、彼らの本拠地がどこにあるのかわかってないんですよね……その辺りに関してはどうするべきなのか……」

 

「彼らはプレイヤーを狙っているから、すべてのプレイヤーの目の前に現れる危険性がある。だが、それは同時に寄生虫の産み主に会うチャンスでもある」

 

「と言いますと」

 

 アスナの言葉に、ユピテルが何かに気付いたようになった。

 

「もしかして、誰かを囮にするって事?」

 

 イリスは少し驚いたような顔をして、ユピテルの方に顔を向ける。

 

「おぉ、ユピ坊は思い付いたのか。やはり私の息子なだけある」

 

「えぇっ!? 誰かを囮にする……ですって!?」

 

 アスナは驚きはしたものの、その作戦が最も合理的な手段であるとすぐに気付いた。確かに危険ではあるものの、誰かが囮になって《疑似体験の寄生虫》の産み主を誘い出し、出て来たところを捕まえて尋問すれば、《疑似体験の寄生虫》の巣へいけるかもしれない。

 

「た、確かにその方法はいいかもしれないけれど……でも、どうやって?」

 

「誰かが囮になって一人でフィールドを歩き、その一人を囲む形で隠蔽スキルの高いプレイヤー達が潜伏し、様子を見続ける。そして《疑似体験の寄生虫》の産み主らしきものが来たところで飛び出して襲い掛かり、捕まえて吐かせる……そういうところかな、ユピ坊」

 

 息子の言いたい事を悟ったようにイリスが言うと、ユピテルは頷いて見せた。流石にユピテルの考えをここまで読む事が、出来る事を想像していなかったアスナは、思わず二人にもう一度驚いてしまった。

 

「隠蔽スキル……確かキリト君やシノのんが、そのスキルを上げてたっけ。いや、確かシリカちゃん達もそんな感じだったっけなぁ……」

 

 隠蔽スキルを上げている者は攻略組の中にもかなりの数が確認できている。それらを総動員してこの作戦を展開知れば、ひょっとしたらイリスとユピテルの言っている事が現実となるかもしれない。徐々に、自分の中に確信にも似た気持ちが沸き上がってきているのをアスナは感じ取る。

 

「思い当たるプレイヤーがいるのであれば、やるしかないな。疑似餌を振り回して他の魚を誘い出し、それを捕食する……名付けて提灯(ちょうちん)鮟鱇(あんこう)作戦ってところだ」

 

「有効な方法だとは思いますが……本当に上手く行くんでしょうか」

 

「上手く行く事を祈ってやるしかないよ。キリト君辺りに相談してみてくれ」

 

 これほどまでに重要な作戦は、キリトの相談なしにこなす事は不可能だろうし、それにキリトならばこの作戦をもっと強いものにしてくれるかもしれない――今までキリトの戦い方を見てきたアスナの中には、そんな強い思いがあった。

 

「わかりました。それはそうと先生、わたしとユピテルを呼び出した理由ってなんですか」

 

 イリスはきょとんとしたような顔をした後に、苦笑いした。

 

「あぁそうだった。考えていた事を言ったら忘れてしまっていたよ。

 ちょっとの間、ユピ坊を私のところに預けて欲しいんだよ」

 

「ユピテルを、ですか」

 

「そうだ。ユピ坊がどんな状態なのか、アスナはわかるだろう」

 

 ユピテルはこうして平然としているけれど、その身体と精神は一度膨大なエラーによって崩壊してしまっているし、それにユイと違ってカーディナルシステムに繋がれたままだから、システムに何かあった時は真っ先にそれの影響を受けてしまう危うい状態にある。

 

「わかりますが……最近不調は確認できてませんね」

 

「ふむそうかい。だけどねアスナ、これからこの子が深刻なエラーに見舞われないと言う事はないし、身体の中に何かしら抱えている可能性もあるんだ。

 そういうものを発見して対策を立てておくために、ユピ坊を私の下に一旦預けて欲しい。いや、今回一回だけじゃない、層を一回超えるごとに私に診せてほしいんだよ」

 

 イリスはユピテルの製作者であるから、ユピテルの事は一緒に過ごしている自分よりも良く知っている。不具合の兆候などもわかっているだろうし、ひょっとしたら今だって、自分ではわからない兆候が出ているのかもしれない。

 

「確かに先生はユピテルを作った人ですから、わかる事もあるでしょうけれど……なら、それをわたしに教えてくださいませんか。出来る事はわたしの方で……」

 

 イリスはすぐさま首を横に振り、顔を向ける。その時、イリスの表情がもっと険しいものになっている事にアスナは気付き、

 

「……技術屋に戻った時の私の言う事は一般人にはわからないわ。それとも貴方は、高校や大学受験の時にそう言う勉強をしたとでも言うの」

 

「……いいえ」

 

「何かを学ぼうとする心意気はとても素晴らしいわ。でもね、貴方は完全な素人。無知識人なの。そんな貴方にユピテルが何とかなると思う?」

 

「いいえ」

 

 あまりに凛とした声に、アスナは叱られている子供のように縮こまる。次にどんな言葉が飛び出してくるのかと思っていたその時に、アスナは頭に若干重みを感じて、顔を上げた。そこにあったのは、先程とは全く違う、穏やかな表情を浮かべているイリスだった。頭に乗っているのは、イリスの暖かい手だ。

 

「なら、私に任せなさいな。大丈夫、すぐに終わるからさ」

 

「……はい」

 

 アスナは大して何も言えず、ただ頷くしかなかった。直後、アスナはユピテルの手を離し、その背中に当てる。

 

「ユピテル、ちょっとの間イリス先生と一緒だけど、大丈夫?」

 

「大丈夫だよ」

 

 アスナから手を離されても笑っているユピテル。以前はいなくなればすぐに泣いてしまうし、イリスを怖がるような子だったのに、今は泣きそうもない。ちゃんと成長できている事がこんなところでも分かって、アスナは嬉しさが心に付きあげて来たのを感じた。

 

「そっか。じゃあかあさん、ちょっとキリト君達のところに行って来るね」

 

「わかった」

 

 ユピテルは頷くと、そのままイリスの下へ歩いた。その手をそっと、イリスが握る。

 

「診察は一時間程度あれば十分終わる。その間、君はキリト君の下へ行って、さっきの作戦を話してくれ」

 

 アスナは頷き、ユピテルに手を軽く振った後に、教会を出て第1層の転移門を目指した。その最中、キリトに言われて向上させた索敵スキルを全開にしたが、なにも引っかかる事はなかった。

 

 

 

       ◇◇◇

 

 

「これで……60件目……」

 

 俺達は攻略を一旦やめて、《疑似体験の寄生虫》に寄生されてしまったプレイヤー達の下を訪れ、リランの力を借りて《駆虫》していた。

 

 全てのプレイヤーに共通している事はリランが言っていた通り、遠くから見ても黒い蠢きのようなものが確認出来る事、ある時を境に妙な言動を取るようになった事、そして最後は、たった一人で行動していた時がある事だ。

 

 この事から、俺は一人でフィールドや街に出ないようにとプレイヤー達に呼びかけたのだが、やはりかつての俺のように一人になってしまうプレイヤーは多く、そこを突かれて《疑似体験の寄生虫》に憑かれてしまうケースが多いようだ。

 

 しかし、既にクラインという《疑似体験の寄生虫》の被害者を知っている俺は、もうあのような被害者を出したくないという思いに駆られ続けており、例え増え続ける《疑似体験の寄生虫》の勢いに負けそうになっていたとしても、リランとシノンを連れて、《駆虫》を行い続けるしかなかった。

 

「くそ、日に日に被害者の数が増えてってる……このままじゃいつになっても終わらない……」

 

 ぼやいた俺に、シノンが小さく言う。

 

「きりがないわ。私達を上回るペースでイリス先生の言う寄生虫が増えていってるんだから……私達だけじゃ手の施しようがないわ」

 

「と言っても、リランしか駆虫する方法はないんだろう。一体なんでリランだけなんだ……せめて俺達がその力を持つ事が出来れば、もっと速度を上げられるはずなのに……」

 

 シノンが顎元に軽く手を添えて、独り言のように呟く。

 

「そもそも、この現象そのものが謎すぎるし、あまりに唐突過ぎる出来事だわ。何故《疑似体験の寄生虫》なんてものが現れたのか、そしてなんでアインクラッドにそれが広まりつつあるのか、産み主は何のためにこんな事をしているのか、どうしてリランがそれを取り除く事が出来るのか……わからない事がいっぺんに押し寄せてきてる……」

 

 言われてみればそうだ。この《疑似体験の寄生虫》の騒ぎは、クラインを皮切りに突如としてアインクラッド全体に広がり、拡散を続けている未知の現象であり、発生した原因、そもそも何ものによるものなのかも、そしてその理由も動機も完全に不明のままだ。

 

 何とかして突き止めようとしても、犯人らしき存在は確認できておらず、いつの間にか姿を消したプレイヤーが《疑似体験の寄生虫》に寄生されて戻ってくるというパターンがほとんどだ。誰一人として、疑似体験の寄生虫の産み主の姿を確認できていない。そして今も尚、《疑似体験の寄生虫》の産み主は、アインクラッドのプレイヤー達にそれを憑かせてるのだろう。

 

 俺達に出来る事はこの《疑似体験の寄生虫》の今日を取り除いていく事であり、それが唯一出来るのは俺の<使い魔>であるリランのみという事なのだが、これもまた不明だ。

 

 リランは寄生虫に憑かれた者の項に噛み付く事によって、プレイヤーの疑似体験を無効化する事ができ、尚且つリランだけが、疑似体験を受けているプレイヤーとそうでないプレイヤーを見分ける事が出来る。

 

 一体何が要因で、リランが《疑似体験の寄生虫》を確認でき、それを治療できるのか。本人に聞いてもわからないと答えるだけで、真実というものは一切確認できなかった。

 

「俺にもわからない事でいっぱいだ……この世界で何が、起きようとしてるんだよ……」

 

《ぐ、ぐぅ》

 

 頭の中に響いてきた《声》で、俺は肩に乗っている駆虫薬の役割を果たす切り札、リランに顔を向けた。

 これまで様々な表情を見せてきたリランだが、その顔には今、苦悶しているかのような表情が浮かんでいる。

 

「お、おいリランどうした!?」

 

《あ……ななな、なんでもない、ぞぞ》

 

「り、リラン!?」

 

 明らかに喋り方のおかしいリラン。その《声》のチャンネルが向けられているのか、シノンが俺と同じように驚いたような反応を示す。

 

「ど、どうしたのよ、リラン。あんた、顔真っ青じゃないの」

 

《ななななんんでもないぞぞぞ。我は、普通だ、ほら、寄生虫を、とりのぞぞぞくぞ》

 

 リランの喋り方、そしてその言葉を耳にした俺の中に、75層で姿を消したヒースクリフの姿が映し出される。あの時もヒースクリフはバグったように言葉を連呼して、まともに話す事が出来なかった。今のリランは、それに酷似している。

 

「リラン、まさか、お前……!!」

 

《なんでもないぞ。なんでもないから、大丈夫ぶぶぶぶぶぶだだだだ》

 

 もしかして、《駆虫》はリランにかなりの負荷を与えてしまう行動だったのではないだろうか。だからこそ今リランは、こんなふうになり始めているのでは――今まで平然とやってきた行為がかなり拙い行為だったのではと思い始めた俺の背中に、悪寒が走る。

 

「駄目だリラン! 《駆虫》は止めだ!」

 

《な、なににににを、言っておるかかかか》

 

「あんた、自分がどんな状態なのかわかってるの!? 今だってまともに喋れてないじゃない」

 

《だからと言って、これをやめてはならぬ。このままでは、世界は《寄生虫》で溢れてしまう。ほら、早く次の場所に行くぞぞぞぞ》

 

 自分がこんなになって尚、まだ行動を続けようとするリラン。だけど、このままリランの望むがままの行動を取らせてしまっては、リランの身に何が起きてしまうなど考えるに容易い。《寄生虫》を除去できないのは悔しいが、リランの身に大事があっては元も子もない。というか、もうリランに大事は起き始めているのかもしれない。

 

「くそっ、くそ、なんなんだ! なんなんだ、この世界に起きてるこれは!」

 

 思わず大きな声でぼやいてしまったその時、目の前にメッセージが届いた事を通知するウインドウが姿を現した。また新たな被害者かと思いながら目をやってみれば、そこにあったのはアスナの名前だった。

 

「あ、アスナ……?」

 

 俺はさっとウインドウを展開し、中身を読んだ。

 

『キリト君へ

 イリス先生の協力により、《疑似体験の寄生虫》に対する有効な作戦が建てられました。

 聖竜連合と風林火山、その他ギルドの、寄生されていない人達を血盟騎士団本部へ集めましたので、至急本部へ赴いてください』

 

 全部読み終わる前に、俺は《疑似体験の寄生虫》に対抗する作戦というのに引っかかった。今まで俺達が取っていた作戦は、リランを使って《駆虫》を続けるという事だったけれど、このメッセージを読む限り、それに代わる作戦が建てられたと見える。

 

 俺は文面をオールフリーにしていたため、シノンとリランも文面を確認できており、俺と同じように声を上げて驚いた。

 

「新たな作戦が……出来たのか!」

 

「本当に!?」

 

《本当にか!》

 

 リランが弱ってきている今は、従来の作戦を続けるのが難しい状態だった。

 しかし、新たなる作戦が建てられたのだとわかったのであれば、こうしてはいられない。

 

「シノン、リラン、血盟騎士団本部へ戻るぞ!」

 

「えぇっ!」

 

《あぁぁぁ、あぁ!》

 

 俺達は周囲に気を配りながら、血盟騎士団本部を目指して走り出した。

 きっとこの次の作戦にあるのは、《疑似体験の寄生虫》達をばら撒く悪鬼の棲処に突入する手段だろうという確信が、俺の中にはあった。

 

 

 


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