キリト・イン・ビーストテイマー   作:クジュラ・レイ

199 / 563
10:喪失した者

「リー……直葉」

 

 

 少女の声を受けて、リーファは驚く。かなりの数の屋台が所狭しと並んでおり、無数のプレイヤーが行き交っている祭の中で、自分をアバターの名前ではなく、本名で呼んできたのは、狼の耳を頭から生やしている、自分と同じ金髪で、宝石のような赤い瞳をした少女――兄の《使い魔》であるリランだった。

 

 リランは今、兄達と一緒にこの空都ラインで開催されている祭を楽しんでいたはずなのに、ある時突然自分達の元へやって来たのだ。しかもその時連れていたのはユイだけで、肝心な兄と兄の愛する人の姿はなかった。

 

 その事から、リーファと一緒に祭を楽しんでいた女子達は、リランとユイがはぐれたのではないかと思ったのだが、リランは一切それらを気にすることなく、ただ真っ直ぐリーファの元へとやってきて、いきなり声をかけて来たのだった。

 

 

「ど、どうしたのリラン。おにいちゃん達とはぐれたの」

 

「直葉、頼みがある。今すぐにログアウトして、和人の様子を見てくれぬか」

 

「えっ……なんで。おにいちゃん達、ログアウトしちゃったの?」

 

「そうだ」

 

 

 リーファ/直葉は少し信じられなかった。兄である和人は、今日の祭イベントを終わりまで楽しむと言っていたから、きっと日付が変わるまでログインし続けるつもりのはずだ。この祭イベントをそっちのけて先にログアウトするなど、いつもの和人ならば絶対にありえない。

 

 それに、リランとユイには和人のスマートフォンの連絡先が登録されているから、自分から現実世界にいる和人に連絡する事だって可能だ。何も、自分がログアウトして和人を確認する必要は、無いはず。

 

 

「だけど、リランとユイちゃんなら、おにいちゃんに直接連絡できるんじゃないの。この前だって、おにいちゃんのスマホに電話かけたりしてたじゃない」

 

「それならとっくにやっておるわ。だが、和人のスマートフォンは何度やっても音信不通のままでな」

 

「音信不通って……もしかして、おにいちゃん、どうかしたの……」

 

「それをお前に確認してもらいたいのだ。我らは現実世界に行く事は出来ぬから、和人を確認する事は出来ぬ。そしてこの中で和人に最も近しいところにいるのは直葉、お前だ。だから、頼む。和人を見て来てくれ」

 

 

 そう訴えかけてくるリランの瞳は、真実の光を瞬かせていたし、尚且つ遠くにいる和人を心配しているかのような色も同時に浮かんでいた。これまでずっと過ごしてきた中でわかっているけれど、リランは嘘を言って相手を騙すような事もしないし、基本的に悪ふざけも悪戯もしない。

 

 リランは今、心の底から和人の事を心配しているのだ。これに、嘘はない。

 

 

「リランがそう言うって事は……おにいちゃんに何かあったって事だよね」

 

「……せっかくの祭を台無しにするようで、すまぬ」

 

「……いいよ。あたし、ちょっと落ちてくるね」

 

 

 和人の無事がわかったらすぐに戻ってくれば、そこまで影響はない。そう考えながら、リーファは回れ右をすると、急いで街行くプレイヤー達の間を縫って進み、宿屋へ到達。いつも使っている部屋に入り込んで鍵を閉めると、メニューウインドウを呼び出して操作、手慣れたようにログアウトウインドウを呼び出し、OKボタンをクリック。ふわりとする浮遊感に包まれながらそのまま妖精の世界を脱した。

 

 浮遊感が終わると、そこに広がっていたのはベッドの上で目覚めた時によく見がちである、自分の部屋の天井だった。しかし、その色は闇のように黒くて、いつものそれとは若干異なっている。そのまま目を動かして周りを見回してみれば、天井だけじゃなく、部屋全体も暗くなっている事がわかり、ログインしている間に現実世界の太陽は沈み、夜を迎えていた事を直葉は把握した。

 

 

「もう夜か……」

 

 

 そう呟くと、直葉はベッドから起き上がって、頭に付けているアミュスフィアを外して枕元に置いた。そしてそれから間もなくしてベッドから降り、軽く頭の中を回して、戻ってきた理由を思い出す。

 

 本来ならば、直葉は妖精の世界にログインして、中で行われている祭りを楽しんでいる予定だった。そうでもあるにもかかわらず現実世界に戻って来たのは、兄の相棒であり、自分の友人であるリランに、兄の和人の様子を見てこいと頼まれたからだ。今から兄の部屋に行き、その様子を確認して、何もないとわかれば、すぐさま妖精の世界に戻って、引き続き友人達と祭を楽しむ事が出来る。

 

 それに、こうしている間にも皆は自分の事を待っているだろうし、和人の事を心配してもいるはずだ。皆の心配を解きほぐすためにも、早く和人の様子を確かめなければ。

 

 

(早く行かなきゃ)

 

 

 直葉は心の中で呟いて頷くと、部屋の明かりも灯さずにドアへ向かい、開いて廊下に出る。母はまだ帰って来てないのだろう、家の中は森閑としていた。あまりに静まり返っているものだから、兄もいないのではないかと一瞬思いそうになったが、直葉は首を横に振って壁のスイッチを押し、廊下の灯りを点け、兄の部屋へ歩みを進めた。

 

 それから数秒程度で、直葉は兄の部屋の前に辿り着く。中央部分に自分がショッピングモールの店でオーダーして作ってもらった、《Kazuto》という文字の書かれた木製の札が垂れ下がっているドアの向こうからは、一つの人の気配が感じられる。この部屋の中に和人がいるのは間違いなさそうだ。

 

 それを確認するなり、直葉は拳を軽く握って、ドアをノックしながら声を出す。

 

 

「おにいちゃん、いる? あたしだけど」

 

 

 こんこん、とリズムよく二回ノックして声をかけても、返事は勿論の事、何かが動くような音さえも聞こえてこない。だが、確かに部屋の中に人の気配は感じられるから、和人がこの中にいる事だけは間違いない。もしかして、眠っているのだろうか。

 

 

「おにいちゃん、おにいちゃんってばー」

 

 

 もう一度ノックと声をかけをしてみるが、やはり反応は帰ってこない。眠っているのかもしれないけれど、その様子をしっかり確認しなければ、リランからの頼みごとを果たす事は出来ない。ここは一つ、和人の部屋に直接入るしかなさそうだ。

 

 

「おにいちゃん、入るよー」

 

 

 そう言って、直葉は和人の部屋に通ずるドアを開いた。中は明かりが点いておらず、窓から差してくる街灯の明かりのみが、部屋を薄らと照らしているだけだった。そのままぐるりと周囲を見回してみれば、兄がよく使っている机、その上に置かれているデスクトップパソコンと、プリンターが目に付いたが、いずれも動いておらず、沈黙を貫いていた。

 

 そしてその近くに、兄がいつも使っているベッドがあり……そこに兄はいた。しかし、兄は寝ておらず、ベッドに座りながら、スマートフォンを片手に項垂れていた。その異様な光景に、直葉はほんの少しだけ目を見開いた後に、兄である和人に近付いた。

 

 

「おにいちゃん、起きてる……?」

 

 

 声をかけてやると、兄はそのままゆっくりと顔を上げて、目を合わせてきたが、そこで直葉は驚く事になった。兄の瞳は赤く腫れており、目じりには涙が光っていて、頬には涙が流れた跡がくっきりと残っていたのだ。それを見るなり、直葉は慌てて兄の元へ駆け寄る。

 

 

「ちょっ……おにいちゃん、どうしたの。どうして、泣いてる、の」

 

 

 和人は、やってきた妹の黒色の瞳と、自らの赤く腫れた目をあわせた後に、ようやくその閉ざされた口を開いて、言葉を紡いだ。

 

 

「スグ……俺のやるべき事……なくなった……」

 

「え……」

 

「俺の使命……やらなきゃいけない事……大切な人……全部なくなっちゃった……」

 

「なくなった? え、え、どういう事なの、おにいちゃん……」

 

 

 そこで、直葉は和人のスマートフォンに、明かりが点いたままになっている事に気付く。もしかしたら、これが元凶なのか――そう思うと、直葉は和人に声をかけて、スマートフォンを手に取り、その画面に目を向けたが、そこで絶句した。

 

 スマートフォンの画面に表示されていたのは、メールの画面。送り主は和人の大事な人であり、アインクラッドに居た時には義理の姉にもなった朝田詩乃。そしてメール本文には――明らかに和人を傷付けるに十分な悪罵と、もう関係を終わらせようという、詩乃から送られてきたとは思えないような文章が書かれていた。

 

 

「ちょっと、なにこれ……詩乃さんからのメール……!?」

 

「……」

 

「おにいちゃん、これって、これってどういう事なの。詩乃さんと何があったの!?」

 

 

 慌てながら問いかけると、和人は薄らとその口を開き、非常に小さな声で、言葉をもう一度紡いだ。

 

 

「スグ……俺、お前にも話してない事がある……詩乃にも、話してなかったんだ……」

 

「えっ……」

 

 

 直葉は以前、和人は詩乃を助けるために、詩乃の記憶を自分の頭の中に入れていたという、普通では考えられないような話を、和人から前に聞いている。

 

 初めてその話を聞いた時には、和人が悪い冗談を言って、からかおうとしているのではないかと思ったものだけれど、その話をした時の和人は真剣そのもので、目はリランの言う真実の光というものを宿していた。だからこそ、直葉は和人の中に詩乃の記憶があるという話を、真実であると信じた。そして同時に、兄は二人の分の記憶を持っている事によって、愛する人をより深く愛する事が出来る人なのだと、直葉はどこか誇りに思った。

 

 だが、冷静になって考えてみれば、人間というのは基本的に一人分の記憶しか収容できないくらいの頭しか生まれ持っていない。機械やUSBメモリみたいに、何ギガバイト、何テラバイトもの情報を記憶できるようには、始めから出来ていないのだ。

 

 そんな数バイトくらいの容量しか入らない頭しか持っていない人間という種である和人が、詩乃の記憶を持つという事は、人間が生来持っている、変えようのない限界を超えた事をするという事。当然そんな事をすれば、悪影響や異常に晒されるに決まっている。

 

 そしてそれの通り、今の今まで、その悪影響にずっと晒されてきて、自らの精神を蝕まれてきたと、和人は言った。だけれど、和人はそれにじっと耐えて、誰にも話さないでいたのだ――これまで誰も知らなかった真実を知った直葉は、冷や汗流れてくるのを感じつつ、信じられない話をする兄に言う。

 

 

「じゃあ何……おにいちゃんが急に料理が出来るようになったのも、人混みを避けるようになったのも、銃の出てくるドラマとか映画を見なくなったのも、全部詩乃さんの記憶の影響のせいなの」

 

 

 和人は何も言わずに頷いた。出来る事ならば、嘘だと言ってもらいたかったし、からかわれているだけだと、直葉は思いたかったけれど、直葉の願望を無駄だと言わんばかりに、和人の黒色の瞳は、和人の《使い魔》がよく言う、真実の光を灯し続けていた。和人は何一つ嘘など言っていないのだ。

 

 それを察した直葉はほんの少しだけ黙ってから、もう一度和人に問う。

 

 

「それを、詩乃さんに、話したの」

 

「そうだ……そしたら、詩乃は俺の目の前から消えた。慌ててログアウトして、電話をかけても、応じてくれなかった。それで……このメールが来た……」

 

 

 真実を話した後に、起こり得た全てを吐き出すと、和人は両手で頭を抱えて、より深く項垂れた。まるでこの世の全てに絶望しているかのようなその仕草に、直葉は小さな声を上げる。

 

 

「俺のせいだ……俺が、俺がこの事を隠さないで、すぐに詩乃に話してれば、詩乃を傷付ける事だってなかった……詩乃は俺が隠し事をしてたから、幻滅したんだ……俺は詩乃を裏切ったんだ……。

 いや、そもそも俺がもっと強ければ、俺の心がもっと強ければ、詩乃の記憶の影響を受ける事なんてなかったんだ。そのせいで、俺は、詩乃を裏切って、傷付けて、幻滅させて……」

 

 

 涙声になって震えて、何度も自分を責める言葉を紡ぐ和人。普段の兄からは考えられないような今の姿に、直葉は驚きつつも、胸がずきずきと痛むのを感じた。まるで兄が仮想世界で振るう剣が飛んできて、刺さってきているようだ。

 

 その胸の痛みに耐えつつ、直葉は何とか言葉を紡ごうとしたが、全くと言っていいほど言葉が出てこない。いつものように頭の中を回して、ボキャブラリが保管されている場所を開き、言葉を出そうとしても、何も出てこないのだ。

 

 あまりに言葉が出てこないものだから、その代わりに和人の身体を抱き締めてやろうとも考えたが、直葉の身体は動こうとせず、和人に触れる事は出来なかった。いや、全身で和人に触る事を躊躇っていると言った方が正しいのかもしれない。

 

 今、兄の身体に触れるべきなのか、触れてはいけないのか、抱き締めてやるべきか、和人の愛する人でもない自分がそんな事をしていいのかと、いくつもの躊躇(ちゅうちょ)が次々と湧いて出てきて、直葉の身体を、腕の自由を奪い去る。

 

 いくつもの感覚と思いに邪魔されて、声も出せず、行動を起こす事も出来ず、ただ沈黙を貫く事しか出来ないでいると、和人は体育座りの体勢になって、尻元の掛け布団を捲り上げて手に持つと、そのまま頭から被って、姿を隠してしまった。兄がただの布団の塊になってしまったところで、直葉はようやく声を発したが、直後に布団の塊から声が聞こえてきた。

 

 

「ごめんスグ……一人に……させてくれ……お願い……だ……」

 

 

 絞り出したような声による兄の切望を耳に入れて、直葉はしばらくの間立ち尽くしていた。こんなふうになった兄を見るのは初めてだ。兄はいつの日だって、自分の前では強気で、心強くて、弱音を吐かない、大袈裟に例えるならば素敵な王子様のような人だったというのに、今はこんなに項垂れて、このままどこまでも深く落ちていきそうになっている。どう考えても、危機的状況であるというのに、直葉は和人を元気づけるような言葉を思い付く事は出来ず、

 

 

「……わかったよ……」

 

 

 そう一言言って、暗い兄の部屋を後にし、廊下に戻った。廊下は電灯を点けっぱなしだったから、部屋から出てくると、薄橙色の明かりに照らされたが、直葉の心は一向に明るくなどならない。先程の部屋の中のような、暗がりに囚われたままだった。

 

 まさか、和人があんなふうになってしまうなんて――。

 

 

「……おにいちゃん……」

 

 

 ふと、そう呟いたその時、直葉は手元に何かがある事に気付いて、目の前まで持ってきた。それは、和人から一時的に借りる予定だったはずの、和人のスマートフォンだった。黒いボディに黒いプラスチックケースに収納されている、和人の愛用スマートフォン――うっかり返さないで、そのまま部屋の中から出てきてしまっていたのだ。

 

 その画面には、和人の大切な人だった人からのメールが映し出されている。本当にあの詩乃から送られてきたモノなのか、何かの間違いなんじゃないかと思ってしまいそうなくらいに、和人への裏切りへの怒りと激しい幻滅が大きく表現されている、文章がその内容だ。

 

 

「……そうだ」

 

 

 つい注目してしまっていたけれど、今はこんなものを見ている場合ではない。ひとまず、和人の様子を確認できたから、この事をリランに伝えなければならない。それに、人の精神を治療する能力を持ち、尚且つそういう事に関する解決策を出す事も得意なリランならば、これからどうするべきかを教えてくれるはず。

 

 ……だけどそれならば、もっとそれを得意としている人が一人いる事を、直葉もまた、知っていた。

 

 

「今なら……」

 

 

 直葉は自分の部屋に戻りつつ、和人のスマートフォンを操作する。自分の使っているそれとは機種が違うため、操作にも多少の違いがあったものの、メールを閉じる事はすぐ出来たし、目的のアプリケーションを起動させる事も出来た。そのアプリケーションとは電話帳だ。

 

 和人の家族や友達の連絡先が並んでいるが、直葉はそれらを一切気にすることなく進んでいき、やがてとある名前を見つけたところで止まった。和人の大切な人である詩乃の専属精神科医をかつて勤めていて、今はAI研究者をやっているという、SAOに居た時にもゲームクリアのために助力してくれた人、芹澤愛莉。仮想世界では《イリス》と名乗っているその人の名前を、直葉は選択する。

 

 

(イリス先生なら……)

 

 

 今の和人を元気にする方法を教えてくれるかもしれない――そんな淡い希望を抱きながら、通話開始ボタンを押して、直葉は耳元に和人のスマートフォンを近付けた。その時には、直葉は自分の部屋に戻って来ていた。

 

 スマートフォンの中でぷるるという聞き慣れた呼び出し音が繰り返し鳴らされる。それを聞く中で、直葉は早く出てよと願ったが、そんな直葉を無視するように、呼び出し音が繰り返されていき、やがてそれが十回目に到達した時、途絶える。

 

 

『ただいま電話に出る事が出来ません。そのままお待ちになるか、後程かけ直してください』

 

 

 電話に出てくれたのはイリスではなく、携帯電話会社が設定している機械音声のメッセージだった。たまに聞く事がある、あまり聞き心地の良くない音声を耳にした直葉は溜息を吐き、耳元からスマートフォンを遠ざけ、目の前に持って来る。

 

 以前からイリスはAI研究で忙しくて、電話をしたところ出てくれないという話は聞いていたので、こうなる事はある程度分かっていた。だけど、こういう時くらい、電話に出てくれたっていいではないかと、直葉は思わずにはいられなかった。

 

 

「……仕方、無いよね」

 

 

 直葉はバックボタンをクリックして電話帳へ戻ると、今度こそ目的の人物の名前を選択して、通話ボタンをクリックして、同じように耳元にスマートフォンを持って来る。あまり長い事聞いていたくない呼び出し音がまた繰り返されたが、二回ほど鳴ったところで止まり、声が聞こえてきた。

 

 

《もしもし、和人か!》

 

 

 聞こえてきたのは、自分に和人の様子を見てくるように頼んだ、和人の《使い魔》であるリランの声だったが、リランは和人の名を呼んでいる。そういえば、今使っているのは和人のスマートフォンだから、電話をかければ、相手は和人から電話がかかって来たと思うのが当たり前だ。

 

 直葉は少しのすまなさを抱きつつ、仮想世界(むこう)にいる和人の《使い魔》の少女に、話しかけた。

 

 

「……リラン、あたし。直葉だよ」

 

《む……直葉だったか。その様子だと、和人に接触できたようだな》

 

「うん、出来たよ」

 

《それで、和人は今どういう状態だったのだ》

 

「……うんと、ね」

 

 

 先程見て聞いてきた、和人の常識では考えられないような事態の話。それを語ろうとすると、胸の中がまたずきずきと痛んだが、直葉は立ち止まっていけないという衝動に突き動かされ、今の和人の状態を、起きた事を、全てリランに話した。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。