キリト・イン・ビーストテイマー   作:クジュラ・レイ

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11:Exterminate ―魔狼龍との戦い―

《守りたい主人(あなた)が、わたしに強さをくれた。それで、こうして傍にいてくれて、指示をくれる。だから、負ける気がしないんだ、わたし》

 

 

 いつもの狼竜形態の時特有の初老女性の声色ではなく、人狼形態の時の少女の声色による《声》。この《声》を狼竜形態の時にも出せるようになったのかとも思ったけれど、それよりも重要なのは、その喋り方が普段のそれではなく、リラン/マーテル本来の喋り方であるという事。

 

 この喋り方の時のリランは心の底からの思いを言っている時だから、今の言葉はリランの心の底からの告白なのだ。それがわかった途端に、心と身体が一気に熱いくらいになり、頬が自然に上がった。

 

 

「あぁ、俺も全然負ける気がしないよ。この気持ちのまま戦って、あいつを倒そう!」

 

《了解した! 振り落とされるなよッ!》

 

 

 いつもの《声》に戻ったリランはようやく身構えて、目の前で第二形態に突入したヴァナルガンドに咆吼し返した。次の瞬間に、その身を紫色に光る模様で包んだヴァナルガンドはリランに狙いを定め、轟音を立てながら突進を開始し、俺達へ迫り来た。が、ヴァナルガンドが走り出したそこでその顔に大爆発が巻き起こり、ブレーキをかけるようにして突進を中止。

 

 咄嗟に後方へ向き直ってみれば、空を飛びつつ矢を放った後の姿勢をしているシノンの姿が見えた。

 

 

「私がいる事を忘れんじゃないわよ、チャラ男!!」

 

「いいぞシノン! そのまま攻撃を続けてくれ!」

 

 

 すっかりリランに注目してしまっていたが、この戦いは俺、リラン、シノン、クィネラの四人で行われている戦いだ。リランは進化する事でヴァナルガンドと互角に戦えるようになっているが、リラン一人だけでヴァナルガンドを倒し切るのは難しいだろう。リランが進化した直後からずっとその項に乗っているけれども、俺も適度に降りて自分の剣で戦わなければ。

 

 ――そう思いつつ背中の剣を一本引き抜いて持ち、取っ手に掴まったそこで、戦況観察に出ていたクィネラが俺の肩に乗って来た。

 

 

「キリトにいさま、チャンスだよ!」

 

「何がわかったんだ、クィネラ」

 

「ヴァナルガンドはあの形態になると攻撃力が上がる代わりに、防御力が低下するの。それにあいつは、リランねえさまの使ってる光属性に弱いよ!」

 

「攻撃力が上がってるけど、俺達の攻撃がかなり効くようになったって事か」

 

 

 ヴァナルガンド自身元から攻撃力が高いため、それに拍車がかかってしまっている事は脅威だけれども、防御力が低下して俺達の攻撃がしっかり通るようになっているならば、今はあいつを一気に倒すチャンスに他ならない。それに、リランが進化する事によって光属性を扱えるようになっているならば、それを弱点としているヴァナルガンドにとって今のリランは、まさに天敵とも言える存在だろう。

 

 現に先程ブレスの撃ち合いに敗北してブレスを受けた時、その後の急降下突撃を喰らった時、ヴァナルガンドは弱点としている属性で攻撃されたかのようにHPを減らし、苦悶の声を上げていた。

 

 ハイリスクが伴うけれども接近して攻撃を仕掛け、尚且つリランに光属性攻撃を使わせる戦法で戦わせれば、この戦いは確実に勝てる!

 

 

「リラン、俺は一旦降りる。戦い方はお前の判断にゆだねるけど、なるべくあいつの弱点を突けるブレスとかを使ってくれ。それで俺がスイッチって言ったら――」

 

《お前が後退したのを見計らって攻撃だな、いいだろう!》

 

「よし、行くぞッ!!」

 

 

 俺は両手に剣を構えつつ立ち上がり、そのまま足に力を込めてリランの項から上空へ飛び跳ねた。そしてある程度上空まで飛翔したところで背中に翅を発生させ、滑空。爆発から体勢を立て直したヴァナルガンドの顔元へ飛び込んだが、俺が丁度辿り着こうとしたタイミングで、ヴァナルガンドはその咢を思い切り開き、俺の身体を噛み砕こうとしてきた。思った通りの迎撃だ。

 

 しかし、迫り来たヴァナルガンドの牙の並ぶ口に挟み込まれようとしたその瞬間に、俺は身体を翻しつつドリルのように回転しながら高速上昇して回避、ヴァナルガンドの口がばくんと閉じられたそこで鼻元に着地し、瞬間的に再度ジャンプ。一秒にも満たない滞空時間の中で剣の刀身を下に向け、全身の体重を乗せて落下し、狼の骸骨のような形状の外殻に包まれたヴァナルガンドの顔に剣を突きたててやる。

 

 先程まではしっかりと部位を狙わなければ通る事が無いに等しかった剣の刀身は、するりとヴァナルガンドの外殻に吸い込まれ、刃先はその顔の筋肉に到達し、確かなダメージを与えた。

 

 全身に模様を走らせて攻撃力を上げた代償に防御力を失ったという話は本当であったらしく、一見硬そうに見える部位にさえ剣の刀身が入っていくようになっている。そして、俺の攻撃を受けても先程まではほとんどダメージを受けなかったヴァナルガンドは今、しっかりと《HPバー》を減らしていた。

 

 

(効いてる……ッ!!)

 

 

 これだけヴァナルガンドの防御力が弱体化しているならば、本当に俺達でも勝てる。このまま攻撃を続ければ、この忌まわしき魔狼龍にとどめを刺せるところまで、ステータスで劣る俺達は辿り着いていたのだ。

 

 それを理解した直後、生意気に攻撃を加えてきた虫を払うかのように、ヴァナルガンドはその身体を高速回転させる攻撃に赴いてきたが、それが繰り出された瞬間に翅を生やし、上空へ飛び上がる事で俺は回避する。

 

 その俺と交代する形で、シノンが回転攻撃を終えたヴァナルガンドの顔に飛び込み、俺が着地したのと同じところに着地。弓を下に向けたまま矢を引き絞り、弓矢のゼロ距離射撃をお見舞いする。

 

 先程まではちゃんと部位を狙わない限り弾かれる一方だったシノンの矢も、第二形態突入の弊害によって軟化したヴァナルガンドの頭部に突き刺さり、確かなダメージを与えてHPを削ぎ落した。最早どこを攻撃しても、確実なダメージを与える事が可能となっているのだ。

 

 

「リラン、スイッチ!!」

 

《任せよッ!》

 

 

 シノンが掛け声と共に離脱すると、一旦前線から離脱して様子見をしていたリランが、《大聖剣》と言えるくらいの神聖さと力強さを感じさせるそれに進化した額の角を前方へ突き出した姿勢で走り出した。《大聖剣》の角は風を切って進むうちにその刀身を白金色の光で包み込み、完全にシルエットのようになったその時にヴァナルガンドの元へ到達し、その横腹に勢いよく突き刺さった。

 

 まるでリラン/マーテルの父であるヒースクリフの放っていた、高出力突属性ソードスキル《ユニコーン・チャージ》を彷彿とさせる一撃の炸裂を受けたヴァナルガンドは水平方向に吹っ飛び、そのHPの三本目を失って最後の一本を残すのみとなった。

 

 

「もう少しだ、あと少しだけ、力を振り絞るんだッ!!」

 

 

 リランの攻撃が終了したのを見計らった俺は三人に号令を出しつつ滑空し、ヴァナルガンドの元へ再度向かった。再三の俺の接近をその目で捉えたヴァナルガンドは、怒り狂ったかのように上半身を持ち上げてその前足で叩き潰す攻撃を繰り出してきた。

 

 しかし怒り狂っているが故なのか、それとも第二形態になった弊害が出ているのか、その繰り出しのタイミングはかなりいい加減であり、避けようと思えばいくらでも避けられるような攻撃であった。

 

 だが、俺はそれを回避しようとせず、ヴァナルガンドの目の前で急停止して両手の剣を十字の形になるように構える、特殊な防御姿勢を作る。そしてその十字を描いている両手の剣にヴァナルガンドの凶悪な前足が触れたその刹那に、傍から見ても黙視できないであろう速度で構えを解除、両手の剣を振るって迫り来た前足を弾き返した。

 

 攻撃を受けそうになった時にタイミングを合わせて使う事で相手の攻撃を弾き、相手に大きなダメージを与えつつ攻撃を止めさせる、二刀流カウンターソードスキル《スペキュラー・クロス》の直撃を受けたヴァナルガンドは大きく仰け反り、一時的にその動きを止めた。直後に、ヴァナルガンドの悲鳴に混ざってシノンの声が聞こえる。

 

 

「これでどうかしらッ!!」

 

 

 ヴァナルガンドが俺にターゲットを向けて周囲が見えなくなっていたのを逃さなかったであろうシノンは、いつの間にかヴァナルガンドの右方向に来ていた。

 

 そしてヴァナルガンドが俺のソードスキルを受けてほんの少しだけ動きを止めた瞬間に上空へジャンプし、ヴァナルガンドの身体を飛び越えて着地するまでの間に、その背中に矢の雨をお見舞いした。

 

 ケットシーの特徴の一つである身軽さを最大限に生かした、高速かつ連続的に弓矢の攻撃を受け、背中が剣山のようになったヴァナルガンドはその場に倒れ伏す。

 

 

《キリト、とどめを行くぞ! 来るのだ!!》

 

「わかった!!」

 

 

 《声》を頭の中に響かせた俺は翅を広げ、《声》の発生源であるリランの項、《ビーストテイマー》を乗せるための鐙のような部位へ飛び乗り、外から見ても鎧の一部にしか見えないが、中からは全方がよく見えるキャノピーのような突起の中へ入り、ハンドルのような取っ手を掴み、リランの音速に耐えられる姿勢となる。

 

 

「リラン、ぶちかませ!!」

 

《これで終わりにしてくれる!!》

 

 

 リランは肩から生える巨腕の畳んで脇を閉めると、前腕部と同化する巨大武器の噴出口から白化熱を爆発的に噴出させ急加速、ほぼ一瞬で上空へ到達し、流星のように空を飛翔する。

 

 その勢いのまま空を飛び回る中で、リランは全身に白化熱エネルギーを纏い、白化熱エネルギーで構成される流星そのものになり、やがて狙いを地に伏すヴァナルガンドに定めて急降下を開始した。

 

 あまりに早すぎるためなのか、キャノピーに隠れる俺からは全てがゆっくり動いているように見え、リランさえも非常にゆっくりヴァナルガンドに迫っているように見える。

 

 ヴァナルガンドの《HPバー》は既に四本目になっていて、その残量も半分を切っていて、弱点属性の大技を喰らえば一瞬でその全てを失うくらいになっている。それを自覚しているのか、リランが迫りゆくその中で、ヴァナルガンドはむくりと顔を動かして目の中にリランの姿を捉え、《声》を送ってきた。

 

 

《ちょ、ちょっと待って、まさか、オレが……!?》

 

 

 ピッチがそのままになっているけれども非常にスローな《声》は、この戦闘が開始される直前まで聞こえており、オーディンが死んだ時にもう一度聞く事になったロキの《声》だった。

 

 ロキはフェンリルと融合してヴァナルガンドという強力な存在になったうえに、オーディンを殺害する事に成功して俺達を追い詰めていた。その戦況が一気にひっくり返り、今自分がとどめを刺されようとしているのが信じられないのだろう。

 

 北欧神話でのロキは悪戯好きで、魔物を次々と生み出し、最終的にはオーディンを殺害するフェンリルを生み出し、巨人の邪神とも言われる。だが、そんなロキも最終的にヘイムダルという神と戦い、相打ちになる形でその命を落とす事になっており、北欧神話最大のトリックスターと言われるロキも最後には死ぬようになっている。

 

 そのロキにとどめを刺すという北欧神話のヘイムダルの役割を、リランが果たそうとしているのだ。それも相打ちにならず、一方的に。

 

 

「お前の負けだ、ロキ」

 

 

 リランの出すスピードの中で呟いたその直後に、リランはヴァナルガンドを巻き込みながら地表へ激突。リランが衝突したところを中心に、あまりの熱量故に白以外の色を失った大爆発が巻き起こり、白化した火柱ならぬ火塔が空高く立ち上った。その白化爆炎の発生の直後に、リランは空へ巻き上がる白火の塔を昇るように急上昇し、やがて飛び出して、スピードを緩めつつ火塔からある程度離れた地上に着地した。

 

 あらゆるものを溶かし消滅させる熱、普通の生物ならば耐えられないであろう速度が完全に緩んだところでキャノピーの中から出たその時には、現実では絶対に怒る事がないであろう恐ろしさと神々しさ、美しさを混ぜ合わせたような外観の巨大な白き炎の塔は、跡形もなく消え去っていた。

 

 そこで俺はすぐさま倒すべき敵の姿を見つけるべく周囲を見回すが、どうやっても見つける事はできなかった。あの火塔は倒すべき敵ヴァナルガンドに衝突したリランが起こしたものだから、その中心部にはヴァナルガンドがいたはずなのだけれども、今は周囲を見回してもヴァナルガンドの姿は確認されないのだ。

 

 しかし、火塔の発生源、爆心地とも言えるそこにもう一度目を向けてところ、異形の狼龍ではなく、地に倒れ伏す人影があるのがわかった。目を凝らしてみれば、その人影の正体は全身傷だらけでぼろぼろの赤オレンジの服を着た青年であるのが把握でき、更にその青年の正体さえも容易に掴めた。

 

 俺はリランの項から飛び降りると、シノンとクィネラを呼び寄せて、四人一緒で青年に歩み寄る。青年は仰向けになって倒れていたが、服がぼろぼろになろうとも残っている帽子が目元を隠しているため、目元だけは把握する事が出来ない。

 

 

「嘘だろ……オレが、オレがここまでやられるなんてッ……」

 

 

 倒れている青年はロキだった。ヴァナルガンドとしてやられてもフェンリルだけが消滅して、ロキ自身はギリギリ消滅せずに済んだらしい。だが、ヴァナルガンドの時に受けたダメージはそのままロキにも響いていたようで、その結果として、もう逃げる事さえもできない満身創痍になっているようだ。

 

 

「ロキ、ここまでだ。散々世界と神々を引っ掻き回すのも、これで終わりだ」

 

「おいおい、それは困るよ。オレだってまだやりたい事あるんだって、見たい物だっていっぱいあるんだって。だから見逃してくれよ、可愛いお嬢さんがたぁ。今までやった事、全部謝るし、オレが手に入れた力とか富とかも全部上げるからさぁ!」

 

 

 これまでの余裕はどこへやら、命乞いをしつつシノンに顔を向けるロキ。このクエストの一番最初、ロキを助けるか否かの選択をする事を迫られたけれども、どうやらここでもその選択肢が発生しているらしい。先程は俺が選択肢を選んでいたけれども、今回はシノンが選択肢を選ぶようになっているようだ……が、ロキに迫られたシノンの目は非常に冷ややかで、既に答えを出しているようなものだった。

 

 

「……リラン。あんたのブレスで消し炭にしてやって」

 

《承知した。どのみちこいつを助けても助けなくても、ろくな事にしかならぬからな》

 

 

 ロキにチャンネルを合わせないで《声》を放ったリランは、どすどすと歩いてロキの元へ行き、やがてその口でロキの上半身を銜える。ついさっきオーディンにやった事をそのまま返される皮肉な状況になるなり、ロキは足をバタバタと言わせた。

 

 

「わぁぁぁっ! お願いだよ、なんでもするから、なんでもあげるから、助けてよぉ!!」

 

「ロキ、これまで何も言わないで来たけれど、そろそろ言うわ。

 ……許しなら地獄で鬼に乞いなさい」

 

 

 シノンが言い放ったのと同時にリランは空中にロキを放り投げ、瞬間的に体内の白化熱エネルギーを加速させ、口内より迸らせた。白以外の色が失われるほどの熱で構成された光線はほぼ照射されたのと同時にロキへ到達し――北欧神話最大のトリックスターであり、このクエストでは大ボスを務めた邪神は、純白の灼熱光線の中に消えた。

 

 間もなくして、このゲームでボスなどがHPをゼロにされた時、無数のポリゴン片となって消える時の音が聞こえてきたが、リランの放つ白き光線は消滅エフェクトさえも呑み込み、その輝きを奪い尽くしたのだった。

 

 純白の光線の照射が終わると、ロキが消滅したところに《Congratulations!!》というボスが撃破された事を祝福する文字が出現し、構成していた主を失った黒紫の空間は元の草原地帯に戻った。空の色も異様な色から、普通な色を取り戻している。

 

 

 そしてその中にたたずんでいた、黒紫の空間の中で進化を遂げた狼龍はその身体を白金色の光に包み込み、シルエットとなった次の瞬間に別な姿となって、身に纏う光を弾けさせた。ほぼ全身を白金色の豪勢な鎧で包んでいた狼龍が変えた姿は、金色の長髪と頭にある一対の白金色の毛で構成された狼耳と尻元にある狼の尻尾が特徴的な、戦闘服に身を包んだ少女。

 

 その光景を最初から最後まで見ていた俺は、自然に口角が上がるのを感じ、少女の名前を呼んだ。

 

 

「……リラン」

 

 

 金髪狼耳の少女――リランは振り返り、その紅玉のような瞳に俺の姿を映しながら、頷いた。リランはようやく進化する事が出来た。それも、とんでもないくらいに強大な狼龍へと。

 

 あれだけの強さを持っている《使い魔》に進化する事が出来たのだから、胸を張って皆のところへ帰る事が出来るし、もし他の《使い魔》達と強さの競争をする事になったとしても、余裕で勝利する事が出来るだろう。勿論、シャムロックの連中と戦う時になっても、今のリランならばしっかりと勝つ事が出来るはず。

 

 その事がよくわかっているのだろう、リランのその顔には、全ての不安や心配ごとを振り払ったかのような笑みが浮かんでいる。その笑みにつられたのか、俺の隣にいるシノンと元の姿に戻っているクィネラもまた、微笑んでいた。

 

 

「リラン、やったわね。ついに……」

 

 

 リランはもう一度頷くと、俺の元へと静かに歩いきた。そして俺の事を見上げながら、静かに声を出した。

 

 

「キリト。これでまた我は、お前の事を守れるか」

 

「当たり前だ。さっきだって思い切り戦えて、俺の事を精一杯守ってくれたし、実際に守れてたじゃないか。間違いなく良い進化をしたよ、お前」

 

「だが、我がそうする事が出来たのは、全部お前が手伝ってくれたおかげだ。お前が我を進化させようと必死になってくれたから、我は進化する事が出来たのだ。キリトだけではない、シノンもクィネラも、最後まで我に協力してくれた。全部お前達のおかげだ」

 

 

 攻略からわざわざ抜けて協力してくれた家族達を見まわしてから、もう一度俺に向き直り、リランはにっこりと笑った。

 

 

「ありがとう、三人とも。それで……あなたがわたしの《ビーストテイマー》で本当に良かったよ、キリト」

 

 

 悩みの解消に成功して、心の底から言ってくれた《使い魔》は、俺の胸の中に静かに飛び込んできた。俺は胸へやってきたかけがえのない《使い魔》のその身体を受け入れ、抱き締めたのだった。

 

 




元ネタ

・Exterminate → 水樹奈々さんの楽曲。持っている方はリラン進化後の戦闘にどうぞ。

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