前々から考えていた物で以前にじふぁんで投稿していました作品、ハイスクールD×D正義の味方を大幅リメイクした物です。と言うより殆ど別の作品であります。
以前の物を期待している方はすみません。しかし私は自分で読み返したところ非常に自己嫌悪に陥りました。なんかくどいなーとか、結局ハーレムじゃん!とか、何だかんだで微妙じゃね?とか他にも色々と。
なので思いきって書き直ししています。そしてこれが第1号です。
前の方が良かったと言う方も、前より期待出来そうって方もよければご感想いただければ幸いです。
「あなたを私唯一の下僕にしてあげる」
この言葉が俺の生の始まりだった。生まれたのでは無い。何故ならこの言葉の前より俺は彼女を知っていたからだ。
「だからまだ死んでは駄目よ。あなたは私の下僕。私の為に生きて、私の為に死になさい」
彼女は俺の恩人だった。彼女は俺の姉だった。そして母で友人で俺にとって唯一の存在だった。故に彼女は俺の全てだった。
「あなたの命は私の為に。あなたの体は私の為に。あなたの全ては私の為にあるの」
だからだろうか。崖から落ちて死にかけていた俺でも彼女の言葉は強く響いてきた。
「今ここに告げる。汝が命は我が為に。剣となり、盾となり、頭脳となって我に支えよ。汝に我が《女王》を授ける。新たな生に歓喜せよ」
この時俺は生まれたのだ。人ではなく悪魔として。そして彼女の下僕として生まれ代わったのだ。
††
特に意味は無かった。理由もなければ慈悲でもない。強いて言うのなら気まぐれだった。
何となくで人間界に出た私は何となく日本へ行き、何となく適当に歩いていた。そして出会ったのが一人の人間の少年。
何処にでもいそうな普通の少年。普通に育ち、普通に育てられ、普通に遊ぶ、そんな普通の少年。
ただ場所が普通とはかけ離れていた。
言うなれば地獄。辺りは炎に包まれ家は焼かれ、大地は裂け、建物も崩れ、悪魔の私から見ても酷い惨状であった。
それは自然の災害。誰かが意図した訳でもない事象。
それは突然の猛威。誰にも予想が出来ない破壊。
それは防げない攻撃。誰もが受けざるを得ない現実。
大地震。
その事象は容易に街を破壊する。その猛威は容易に人を殺す。その攻撃は人や街どころか国すらも容易に傷つける。
私達の様な人より次元の高い存在ならいざ知らず、人の様な脆弱な存在では抗い難い現象である。
そんな場所で私は見た。
一人の少年が今にも死にそうな顔で、されど力強く裂けた大地を踏みしめ、そして歩いている姿を。
私は興味をもった。
別に人の子が生きようが死のうが構わない。勝手に生きて勝手に死ねば良いとすら思う。だがその生きようとする姿に興味を、感心を表さずにはいられなかったのだ。
私には夢がある。いや、あったと言う方が正確である。つまり私は諦めていたのだ。
私の夢には障害が多かった。そして私には力が足りなかった。故に私は諦めていた。
だがこの時に私はそれが如何に愚かであったのかを思い知らされた。矮小な人間が、脆弱な子供が諦めずに生にすがり付いているのに対して私はどうなのか。
自分なりにやったと思う。回りの評価も上々であった。しかし私は必死だったのだろうか。己可愛さのあまり死ぬ覚悟でやったのだろうか。
少年とは必死のベクトルは違うが私は必死だったのだろうか。
それを考えたら興味が湧いた。そして興味が湧いたからには次の行動に移さざるを得なかった。
「あなた、私の声が聞こえる?」
つまり話し掛けた。しかし少年には上手く聞き取れなかったのか足を止め、辺りを見渡すだけ。私の存在に気がついていないようだった。なので私は彼の前に降り立つ事にする。
羽を、悪魔の証明である黒き羽を広げ、少年の前にゆっくり降りた。特に意識したつもりは無いが少年は
「……綺麗」
そう、呟く。それが私自身に対してなのか、それとも私の動作に対してなのかはわからないが、綺麗と言われて悪い気がするわけが無い。それが例え人間の子供であろうと変わるものではない。
「ふふ、ありがとうと言っておくわ」
故に漏れた自然の言葉。自然の言葉だからこそだろう。私は微笑んでいた。
「―――――」
少年の表情に赤みが増した様に見えた。それは周囲の炎によるもので無いことは一目瞭然。何故ならこの場は私の力で守られていて、炎の熱どころか宙に舞う砂や埃どころか風すらも遮断しているからだ。つまりこれは自惚れでは無く、私に見惚れたと言うことだろう。
「ふふ」
またも笑みがこぼれる。やはり悪い気がしない。寧ろ愉快ですらある。それはこの地獄よりなおも地獄の世界において異端だったかもしれない。だが私にとってはお似合いだ。何故ならこの身は悪魔。悪魔にとって地獄は家。ならこの地獄の様な光景は、やはり私にはお似合いだろう。そしてそんな私に見惚れる少年も
「あなた、生きたい?」
「――――――!!!!」
私にはお似合いなのだろう。
「生きたいのなら私が生かしてあげる」
「………………ぃ」
「何?しっかりと答えなさい」
気をつけなくては聞き取れない程の声量。この地獄で傷付き、今にも倒れそうな子供には酷な事なのかもしれない。しかしだからこそ聞きたかった。彼の声で、彼の意思で私は聞きたかったのだ。
「…………ぃ……ぃ」
「まだ聞こえないわ。炎の音に消えるような意志なんて用は無いの。風に吹かれる覚悟など興味が無いの」
もしかしたら既に喉が焼かれているのかもしれない。さっきの綺麗と言った言葉はなけなしの力で、意図せずに紡がれた奇跡だったかもしれない。だがそんな奇跡覆して見ろと言わんばかりに、私は少年を煽る。
そして少年は
「――――い゛ぎだい゛!!!!」
言った。その声は酷いものだった。予想通りさっきのがなけなしの力で紡がれた言葉だったのだろう。声はがらがらで、でも力に、生きたいと言う意志に溢れた力強い言葉。
それを聞いた私はやはり笑ったのだろう。そして告げた。
「確かに聞いたわ。ならばあなたの願いを叶えましょう。でも私は悪魔。人間のあなたの願いを叶える変わりに、あなたは私に対価を払う義務がある」
言外に何を払うのか問う。別に特別な物を求めた訳では無い。それこそ命を差し出されたところで本末転倒だ。でも私は知りたかった。この少年はその矮小な身で何を支払うのか。どれだけの覚悟を決める事が出来るのかを。そして少年は答える。
「……ぉ姉ざんがぼじい゛……のは、何゛?」
聞こえにくい声ではあったが確かに聞いた。事もあろうに少年は逆に問うてきたのだ。″欲しい物は何か″と。つまりこの少年は対価を払うつもりなのだ。しかし欲しい物はと問われたところでこの少年に私の欲する物を用意出来る筈もない。故に聞く。
「あなたに出来る最大の物を寄越しなさい」
この場で出来る最大の物。つまりは彼の命。勿論本当に取るつもりは無いがその覚悟があるかを問うていた。つまり私のために命を使えるかと言うのが大切なのである。
「……れば…………無理」
その答えに私は正直落胆した。なんだ、その程度なのかと。しかしそれも一瞬の事。
「でぼ!おでの゛……ごでがだのおでを!お姉ざんにあげぅがら!」
助けて、と少年は言った。つまりそれは私が求めていた物。だから私は
「ふふふふふ。あはははははははは!」
笑った。これ以上ない声で、腹を抱え、優雅さも何もかもを捨て去り笑った。
何だ、出来るじゃないかと。こんな子供にも出来るじゃないかと。そして諦めて、何も差し出さないでいた私自身がこの少年より矮小であることに憤り、呆れ、そして滑稽で笑った。
茫然とする少年は次第に落胆の表情を浮かべ始める。彼はきっと駄目だったのだと思ったのだろう。その表情は歳もあり可愛らしく、そして私の母性を刺激し、同時に嗜虐心をも刺激した。少し苛めてやろうかと脳裏をよぎるがこれは契約。悪魔は契約に関して真摯でなくてはならない。故に何とか笑いを抑え、無理矢理表情を整え、されど微笑みは浮かべながら答える。
「良いでしょう。あなたのこれからを対価に今のあなたを救ってあげる」
それを言った瞬間に少年は崩れ落ちる。死んだ訳では無い。安心して緊張の糸が切れたのだろう。体力的にも精神的にも疲弊していたのだから仕方ないのだけれども、些か気が早い。まだ現状に何の変化も無く、私との口約束のみ。もし私が嘘をついたらどうするのか。そんな事は勿論しないが。
「ふふ」
またも笑みがこぼれる。
少年を抱き上げたさいに見えた少年の顔。煤にまみれ、所々におった火傷に切り傷と打撲傷。されどその表情は安心しきった笑顔。わかっているのだろうか。この子はある意味命よりも重い存在その物を私に寄越したのだ。もしかしたら今より遥かに辛い思いをするかもしれないのに。
そんな少年が滑稽で、どこか愛しく感じるのだから私も熱にやられたのだろうか。
まぁどうでも良い。今は気分が良いから気にしない事にした。
「さて、もうこんなところに用は無いわ。これが私にプラスになるかはわからないけど暇潰しくらいにはなって頂戴ね」
たいして期待はしていない。既に私は少年から得た答えがあったから。だからこの少年を救ったのは本当に気まぐれでしかない。言わば犬猫を拾った物に近いだろう。だがある種の予感があった。この子はきっと―――――
そんな予感を抱きながら私は立ち去る。
地獄より地獄の様な世界を。
崩壊する街と、人々の悲鳴を背に。
一人の少年と予感を胸にして。
†
少年の傷は直ぐに癒えた。別に特別な事をした覚えはない。普通に手当をしただけだ。だがそれで十分だった。念の為に全ての傷を癒す秘薬、フェニックスの涙を用意したが必要無かった。元々傷自体は大した事は無かったからだ。あの場においては危険だけれども場所さえ整えば回復は時間の問題であるからだ。
そして傷が癒えると彼は直ぐに行動に移した。と言っても出来る事などたかが知れている。私の為にと花を摘んできた。私の為にと進んで掃除をした。私の為にとお茶を入れ、菓子の用意をした。
他愛ない事だけれども私は感心した。彼が契約を履行しようと動いているからだ。
彼は歳にして5歳ほどの幼子。まだ親に甘えていても可笑しくないどころか自然な年齢。契約はおろか約束すら守れるかどうかといった思考力。それなのに彼は契約を履行しようと動いている。
勿論子供故に限界はある。食事をして満腹になれば眠くなるし、疲れれば眠くなる。マナーにしても滅茶苦茶でナイフやフォークの持ち方すら微妙。されど不思議と不快では無かった。
微笑ましいとすら思える。それは私に支える使用人達も同様で誰も少年を咎めたりなどしない。寧ろ世話をやく者もいたほどで私自身見ていられずにしたことがある。幼子がこれ程までに母性を刺激するとはしらなかった。しかし少年も直ぐに覚えていく。次第に世話をやく回数が減っていった。それは少し寂しい気分になったが、同時に成長を喜んだものである。
それからも少年は動き続ける。己に出来る精一杯を私に与え続けた。相変わらす出来る事などたかが知れている。それでも少年は動き続ける。そんな少年に私は愛着が湧いたのだろう。ある日少年が崖から落ちた時私は衝撃を受け、気が付けば走り出していた。そして私が少年を見つけた時には既に虫の息。腕や足はあらぬ方向に向き、瞳の焦点は合っていない。内心慌てていた私は念の為に持ち合わせていたフェニックスの涙を使用しようとして踏みとどまる。
血迷った訳では無い。秘薬の使用を戸惑った訳でも無い。ただどうせならと思った。
彼は私に存在その物を差し出した。つまり彼は私の物だ。ならばその楔はより強固な物である方が良い。
私は懐から二つの駒を取り出す。それはチェスの駒を模倣した特殊道具《
特に何かをした訳では無いが《王》の駒は私が意識を改めた瞬間に浮き上がり、私の胸に埋まり消えた。しかし存在は感じる。私の中に入り、溶けて交わったのが理解できたのだ。
成る程と納得した。これが《王》になることなのだと。そして駒の使用方法も何となく理解した。だから
「あなたを私唯一の下僕にしてあげる」
これは契約の証。
「だからまだ死んでは駄目よ。あなたは私の下僕。私の為 に生きて、私の為に死になさい」
契約の対価はまだ続いているのだから死ぬことは許されない。
「あなたの命は私の為に。あなたの体は私の為に。あなた の全ては私の為にあるの」
故に唱えましょう。この言葉を。私達の契約をより強固にする言葉を。
「今ここに告げる。汝が命は我が為に。剣となり、盾とな り、頭脳となって我に支えよ。汝に我が《女王》を授け る。新たな生に歓喜せよ」
さあ、唱えた。だから起きなさい。己が足で立ちなさい。悪魔となったのだからそれしきの怪我で死にかけるなど私の名において許さない。この―――
「カテレア・レヴィアタンの名において命ずる。シロウ立ちなさい!」
そして少年、シロウは立ち上がった。折れている手足を無視し、痛いであろう痛覚を遮断し立ち上がった。今にも泣き出しそうな様子なのにそれを堪えて。
いかがでしたか?以前の物よりは無理無く世界に溶け込ませたつもりですけど。まぁ軽いネタばれですがシロウの性格は以前とあまり変わりませんが主義が変わります。勿論能力に関しても大分変わってきますがそこはあまり気にならないと思います。
前のを読んでくれていた方でもっとこうしたら良かったなどありましたら気軽に言ってください。採用するかはさておき参考にはさせていただきたいので。
それでは長々と失礼いたしました。