功助side
くっ、まだ少し頭と胸あたりが痛むが、店番を代表が任しっぱなしもダメだからな。そろそろ戻るか。
「霞〜!そろそろ戻るぞ!」
「ええ、分かったわ」
保健室から出て、他のクラスが店を出している廊下を通って教室へと戻る。
ドンッ
「あたっ⁉︎」
「きゃ⁉︎」
前から来た通行人に当たってしまった。今のは結構強い衝撃でぶつかったので、当たった人が倒れ込んでいる、見た感じツインテールの女子生徒のようだ。
「ほら功助、ちゃんと謝らないと」
「わかってるよ、すまないな、俺の前方不注意だった」スッ
俺はその子に手を差し伸べる、その子も俺の手を握った。
「いたたた、す、すいません」ガシッ
「あんた、大丈夫・・・って、ん?」
その子は、俺をじっと見つめた。一体何がしたいんだ?
「・・・こ、功助ちゃん⁉︎」
俺の名前を知ってる?なんで?しかも”ちゃん”って言ってるし。
「君は誰だ?なんで俺の名前を?」
俺がそう答えると、何やら困ったような表情を浮かべる。
「えぇ〜⁉︎私のこと覚えてないの⁉︎しょうがないなあ、私の名前は、安城美影(あんじょうみかげ)よ」
「安城・・・美影・・・美影?あ!俺ん家の裏側の家の⁉︎」
俺が言うと、やれやれとした顔で美影がこちらを見る。
「もぉ〜!そんな簡単に忘れないでよね!一応功助ちゃんと私は、”許婚”同士なんだし!」
「「はい?」」
俺に続き、霞までもが疑問を持つ。
「安城さん、私は今功助と付き合ってるのよ。許婚といえ、あまり二人の間のことは、首を出さないでね」
「そうなんだ、すまんな美影」
少し申し訳なくなってなんとなく謝ったが、許婚とかいたっけ?そんなことを考えていれば、美影の周りからオーラが漂っている。
「ぬあんですって〜〜!功助ちゃん、あなたは私を裏切ったのね⁉︎」
「はいい⁉︎裏切った覚えもないし、そもそも許婚の件すら知らないから!」
このあと、なんやかんやと言い合った。
明久side
僕たちは今、葉月ちゃんの情報を元に僕たちの教室を汚い場所扱いした犯人を探している。今向かっている場所は、Aクラスの教室。
「雄二、犯人いると思う?」
「俺にはもう大体予想がついてるけどな」
「え?誰?」
「ま、見てからのお楽しみってやつか、とりあえず中に入るぞ」ガラッ!
やっぱり、見た感じAクラスの教室は広いなぁ。しかも喫茶店か、この部屋でサッカーができると思う。
「・・・いらっしゃいませ、ご主人様」
そこには、Aクラスの代表、霧島翔子(きりしましょうこ)が立っていた。
「霧島さん!」
「あ、翔子」
霧島さんは雄二に近づき、耳元でボソッと言った。
「・・・ご主人様、今日は帰しません」
「翔子、もう帰っていいか?」
そんな会話を聞いていたら、前から2人の女子が来た。
「あら?Fクラスの問題コンビじゃない、ここに何か用?」
「本当だ!何かあったの?」
その2人は、秀吉の姉であり、Aクラスのトップ10に入る木下優子(きのしたゆうこ)さんと、普段はすごく活発で、すごく性欲が強い工藤愛子(くどうあいこ)さんだった。
「いや、ここのクラスに少しだけ用があってね」
答えた瞬間、中央付近の席から声が上がった。
「それにしてもこの喫茶店は綺麗でゆっくりくつろげるぜ!」
「2年Fクラスなんか注文すら取りに来ないもんな!教室も汚ねーし料理もまずいし、行くやつの気がしれないぜ!ハハハハハ!」
あいつらは!あのハゲ夏川とモヒカンの常村か!
「あいつら!嘘ばっかり並べて」ガタッ!
「待て明久」
勢いよく立った僕に、雄二が呼び止めた。
「雄二!このまま言われっぱなしでいいの⁉︎」
「いいわけないだろ、だから頭を使えって言ってるんだ、翔子、メイド服を貸してくれないか?」
「・・・わかった」パチンッ
え?今ボタンを外す音が。
「な⁉︎翔子⁉︎」
霧島さんは、自分の着ているメイド服を脱ぎ始めた。まずい、昇天する。
「・・・雄二が欲しいって言ったから」
「お前のじゃない!替えがあったら貸してくれってことだよ!」
「・・・今持ってくる」スタスタッ
あ、危なかった。雄二もため息をもらしている。
「でも雄二、なんでメイド服なの?」
「明久、お前が着るんだ」
「はい?」
〜お着替え中〜
自分では実感ないけど、お返しはしてやる!
「いやー全くとにかく汚いよな!」ゲラゲラ
「その教室がある旧校舎自体が古いし、当たり前だろ!」ゲラゲラ
この二人、五月蝿い。ここは早めに出よう。
「お客様」
「あー?なんだよ?」
ハゲか、五月蝿い。
「け、結構可愛いな」
こっち見んなモヒカン。
「掃除をしますので、少々どいてもらってもよろしいでしょうか?」
「ああ、そうか」スッ
ここで、仕掛ける!
ギュッ
俺はあることのためにハゲに抱きつく。
「お?なんだ?俺に惚れたか?」
その減らず口も、叩き潰す。
グッ!
「おぼっ⁉︎」
僕はハゲの腹を強く絞め、
「くたばれぇぇ!」ズドォォ!
「ごばぁぁ!」
ジャーマンスープレックスをハゲにお見舞いした。だが、
「痛った!き、貴様はFクラスの吉井⁉︎」
くそ!浅かった!こうなったら、
「このハゲの人が私の胸を触りました!」
「な⁉︎俺は触ってないぞ!そもそもお前は男だし」
ドドドドドドドド!
「え?」
廊下から地響きが伝わってくる。そして、
ガッターーン!
勢いよくドアが開いた。そこには、息を切らせた功助が入ってきた。
「ハア、ハア、ゆ、雄二!こんなところにいたのかよ!」
功助の前にハゲとモヒカンが出てきた。
「誰だお前は!話の途中だろうが!」
「空気読めよ全く!」
そう大口を吐いたが、
「「ハゲとモヒカン邪魔!」」バキッ!
「「ぶべらっ⁉︎」」
ドスン!
功助に思い切り殴られ、ハゲとモヒカンは力なく息絶えた(生きてます)。
「なんだこのハゲとモヒカン、なんかムカつく」
功助、僕と同じ意見だよ。
「てかあんた、大丈夫か?」
え?僕に気づいてないの?
「いや、あの、僕明久」
僕がそう言うと、功助が首をかしげた。
「まあいいや、とりあえず言っておかなければいけないことがあってな、明久と雄二、屋上に来てもらえるか?」
「店もあるから、手っ取り早くな」
僕たちは屋上へ向かった。
功助side
愛華・・・俺はやっぱり大馬鹿野郎だよな。お前を守れなかったのに、お前のことを全部話そうとしてるんだぜ。自分でもバカバカしい。でも、
「それで、なんだ話って」
雄二が俺に問いかけた。
「明久も雄二もここで聞いてもらいたい、俺の過去の話を」
「なんで過去のことなの?」
だろうな、それが普通だ。
「明日の試験召喚大会に響くだろうからな」
「試験召喚大会に?」
明久が疑問を浮かべる、まあ無理もない。
「死んだ妹・愛華のことだ」
「妹?」
「功助、なんで死んだ妹が試験召喚大会に響くと判断したんだ?」
「さあ、なんでだろうな。だが、葉月の姿を考えるだけで体が震えてきやがる」
俺はもう隠すことなく、全てを打ち明かそうと思う。
「なんで葉月ちゃんを考えて体が震えるのさ?」
「・・・俺の妹にそっくりだからだ」
「え⁉︎(はあ⁉︎)」
二人とも驚きを隠せないような顔をしている。
「俺の妹・愛華はな、殺人グループに殺されたんだ」
思い出したくない。けど、このまま黙っとくわけにもいかない。
「な、なんで?」
「・・・俺の頭脳はな、ガキの頃から高校生と同じような脳細胞を持っていたから、全国で基本1位だったんだよ。雄二、答えは見えたか?」
俺が雄二に問いかける。
「なるほどな。つまりお前の妹も頭が良かったのか?」
「まあな、俺の一家だけ頭がいいということで、超大手の会社の社長が俺たちを自分の養子にしてくれって親に言ったんだ」
「それで、親はなんて言った?」
「勿論反対したさ。けど、その社長は思い通りにいかなかった事に怒りを覚えて、先に両親を撃ち殺しやがった。しかも何で撃ったと思う?機関銃だぜ?」
「「なっ⁉︎」」
明久と雄二がびっくりしたような声を上げる。
「俺は友達と遊んでたからいなかったけど、当時持ってた携帯に電話がかかってきたんだ。『妹を返して欲しければ、近くの公園に来い』って」
「それで、どうなった?」
「・・・その公園に駆けつけて、妹は銃を向けられていた。俺が来るところを丁度処刑するシーンにしたかったんだろ。俺は、精一杯の力を出して走って妹を助けようとしたけど、もう頭を撃ち抜かれてた。犯人の社長とその事件に関わったやつは全員逮捕されたが、俺の身寄りもなくなった」
俺はこの話をしていくうちに、胸が苦しくなってきた。泣きたい、けど、泣くことなんてできない。
「俺は強くなんてねーよ、俺は家族すら守れない、弱者だ」
「・・・・・」スタスタッ
俺がそう言うと、明久が近づいてきた。
バキッ!
そして、俺の顔を殴り、胸ぐらを掴む。
「目を覚ませ功助!君は本当に何もかも守れないのか!」
「・・・俺はもう、誰も助けることは出来ない」
「君にはもう、守るべき相手がいる!岩崎さんがいるじゃないか!」
「!!!!」
そうだ。俺は、妹を守れなかったことで自分の使命を忘れていた。しかも、その現実から逃げていた。
「功助、岩崎さんをずっと守ればいいじゃないか。今の姿を愛華ちゃんが望んでるわけないじゃないか!」
そうか。俺のやるべきことは、霞を守ること。
「・・・すまん、明久」ポタポタッ
「泣かない功助!」ニコッ
俺って、こんな男友達ができたの、初めてだった。中学でも、ただ遊ぶだけの友達はいたが、相談相手は霞しかいなかった。ありがとう、明久。お陰でやるべきことが見つかった。
読んでくれた方、ありがとうございました!ここ最近、家の整理で投稿する時間がなかったので、書く暇ができてよかったです!次回は、待ちに待った、試験召喚大会の開催です!では、また!