功助side
「はあ、一応島田からは返してもらったが姫路が見当たらん。あいつどこ行きやがった?」
雷神の腕輪同様返してもらわなければ意味がない。正直景品として出すのも馬鹿げてるが、カオルババアが言うなら仕方ないか。
「どうすっかな、探すのめんどくさくなってきた」
仕事の疲れと勉強の疲れがダブルでのしかかる。
「ああ、霞。俺にパワーをくれ!お前のウルトラプリティースマイルを見せてくれぇぇ!」
少々気持ち悪い言葉を発してしまったがここはスルーしてくれ。しかしなんで俺は腕輪の件を許してしまったんだ?何かが腑に落ちない。どの存在が原因なんだ?妹の葉月か?いや、考えるのはよそう。今はただ、姫路から返して貰えばそれでいい。
タンッタンッタンッ
誰かが走ってくる音が聞こえる。すると廊下の奥から、姫路が猛ダッシュしてくる。
「姫路からこっちに来るとは、探す手間が省けた、ラッキーラッキー。姫路ー、腕輪をさっさと返」
「死んでください!」
ギラッ!
姫路が左手に何か持っていた。それは、
「マチェット?(鉈)」
ブンッ!ブンッ!
「のわっ⁉︎」シュン!
マチェットが俺の髪の毛を掠め、姫路は容赦なくそれを振りかざしてくる。しかも恐ろしく新品のマチェットで、切れ味も抜群だ。
(こいつ、とち狂ったのか?)
姫路はマチェットをブンブン振り回すが、相手が悪かったな。
ガシッ!
「きゃっ⁉︎」
「どっせいっ!」ドスッ!
俺は姫路の攻撃を上手く避け、彼女の左手を掴み旧式一本背負いで投げた。もちろん手加減はした。中学の時に不良を本気で投げたら相手の背骨が粉砕骨折したからな。
「うぅ・・・」
やっぱり暫く起き上がれそうにないな。
「さあ姫路、質問だ。なんでお前は今俺にマチェットで切りかかってきた?しかもまたこんな鋭利なものを、斬った場所が悪けりゃ死ぬぞ?」
「あなたを殺せば、腕輪の事がばれないと思ったからですよ!」
はあ、そんなことかよ。あとこいつ今殺せばって言ったか?
「最初に言っておく、俺を殺すなんて考えないほうがいい。お前が殺す前に、俺がお前を殺してるからな。そもそもこのマチェットはどこで手に入れた?」
「・・・通販です、とびきり切れ味のいいやつを買いました」
姫路といい島田といい、なぜここまでして試験召喚大会に勝ちたいんだ?意味がわからんな。
「お前はなんでそこまでして勝ちたいんだ?」
「景品の、プレミアムチケットが、欲しいんですよ。どうしても」ポツッポツッ
なんか泣き出したし、めんどくさっ。
「だったら実力で上がって来い。セコイことをして勝っても意味はねぇ」
「何も知らないくせに!知った口を聞いて、楽しいですか⁉︎」
はあ?何逆ギレしてんの?そのまま相模湖に沈めたろか。
「腕輪は返します、でも諦めませんから!」
そう言って腕輪を外した後、姫路は去っていった。
「はっ、わっけわかんねー。って第2試合目が始まるし!急がねーと!」
俺はダッシュで試合会場へ向かった。
少し経過・・・
「功助、遅かったわね。どうしたの?」
「心配するな霞。それよりも、次の相手は?」
「木下姉弟よ」
なるほど、一人はAクラスの木下優子か。あともう一人は秀吉か。秀吉には気をつけないとな。
「よし、行くぞ」
「ええ!」
会場にて・・・
『赤コーナー!2年A・Fクラス!木下優子、木下秀吉!』
『青コーナー!2年AAクラス!瀬良功助、岩崎霞!』
やはり、さっきより人が多いな。まあ二回戦なんだし、当たり前か。
「あなたが瀬良功助ね。稀に見る天才と聞いたけど、フェアになりましょう」
秀吉の姉ちゃんって、結構律儀だなぁ。まあ、試合である以上手加減はしないからな。
『それでは教科は”英語”!始め!』
「英語かぁ、英語は苦手なのよね」
・・・え?え、英語?
「よし!準備はいい?功す・・・てあなたなにやってるの?」
俺は、無力だ。
「なんで、四つん這いになってるの?」
なんで四つん這いかって?それは、苦手だからだ。
「「「サモン!」」」
木下優子 394点
木下秀吉 217点
岩崎霞 159点
「あーやっぱり、英語はだめね。早く功助も召喚しなさい」
「・・・サモン(ボソッ)」
瀬良功助 18点
「「「「「え?」」」」」
会場全体がぽかんとした空気になった。だよねー、そうだよね。
「あ、あなた。勉強は?」
「・・・するまでもない、諦めてるから。てか苦手だからしゃーねーだろ⁉︎」
「ってダメでしょ!どうするのよ!」
「し、しゃーないしゃーない!パーフェクトで勝てばいいんだよな!」
そうは言ったものの、霞はやはり信用していないようだ。仕方がない、本気を出すか。
「安心しろ、久々に本気を出す」
「・・・信じていいのね?」
「ああ、1分で終わらせる!」
俺は本気なら絶対的自信がある。Aクラスでも20人相手でも勝てる自信がある。まあ、明久には勝てんかったがな。
「功助よ、お主の本気はどのくらいなものかの?是非とも儂と手合わせ願いたい」
「ああ、いいぜ!」
30秒後・・・
「止めだ!」
「ぬお!しまった!」
ドシュッ!
瀬良功助 18点
木下秀吉 0点
一応勝ったが、途中でくしゃみをしてくらいそうになった。今度から気をつけよう。いやしっかし、
「霞はやっぱり強えな。圧倒的だ」
木下優子のランスは直線上なら無類の強さを誇るが、守りにはかなり不向きなのだ。残念ながら霞と戦うには圧倒的に不利だ。一方霞は、
「一発一発を無駄にしないでほぼ確実に当てていってる」
霞の武器・ツインリボルバーは、威力が高い分、かなり反動が大きいため扱いが難しいのだが、彼女は悠々と使いこなしている。
(おそらく、俺の中では明久の次に強いな)
そして、木下優子の点数が0になった。
『勝者!2年AAクラス、瀬良功助!岩崎霞!』
ふぅ、なんとか勝てたか。今回は危なかったな、気をつけねーと。
「功助、もうあの点数は無しね」
「あ、ああ。悪かったな」
俺は東京大学の試験を受けたが、数学と英語だけ10点未満だった。まあ当たり前って言ったら当たり前だな。
「さて!この後が明久たちの試合だな。客席からしっかり見させてもらうぜ」
「功助、仕事」
「仕事?後からでいい」
ズンムッ!
「うおおおお!いってぇぇ!」
久々の足潰し!痛い、痛すぎる!
「ほら、行くわよ」
「うぅー、はい」
俺は強制的に教室に連れて行かれた。
明久side
「沙也加、準備できた?」
「ちょ、ちょっと待って!髪の毛を止めないと」
沙也加は最初の試合で髪の毛を結構気にしていた。
「オッケー!いいよ!」
「ん、準備できた?って」
(な!な⁉︎)
沙也加の髪の毛を止めた姿を見て、見惚れてしまった。いつも髪の毛を下ろしているから、ギャップがすごい。
「明久?どうしたの?」
「え?あ、いや、なんでもないよ!ははっ!」
絶対ごまかしきれてない、そろそろ切り替えよう。次の相手は、AAクラスコンビの琴無千鶴さんと桂木翔真君か。翔真君にはこの前ショッピングモールの屋上で世話になったからね。
「よし!行こう沙也加!」
「うん!」
『赤コーナー!2年F・AAクラス!吉井明久、蓮見沙也加!』
『青コーナー!2年AAクラス!琴無千鶴、桂木翔真!』
琴無さんは功助の次に頭が良い。でも、召喚獣の操作技術なら僕が勝る。沙也加は互角だが、桂木君には注意だ。そして1番来てほしくない教科は、数学だ。
「沙也加ちゃん!本気でやらせてもらうわ!」
「無論、俺もな」
2人が挨拶を交わしてくるが、表情から見て余裕らしい。
「明久、私が千鶴ちゃんの相手をするからあなたは翔真君の相手をして」
「わかった!」
桂木君の武器はスナイパーライフル。遠距離はほぼ最強に近いが、近距離には向かない。確かに僕たちの方が有利だ。だが、
「教科は”数学”!始め!」
⁉︎不安が的中か!
「「「「サモン!」」」」
琴無千鶴 726点
桂木翔真 1970点
「くっ!」
吉井明久 796点
蓮見沙也加 902点
差は、歴然だった。
「明久、勉強頑張ったね」
「うん!一回戦は僕の苦手科目だったから、いい点じゃなかったけど」
ここで、桂木君が話しかけてきた。
「おーい、この戦いで負けた方は罰ゲームってことにしないか?」
罰ゲーム?まあ、面白そうだけど。
「どうする沙也加、意見に乗る?」
「そうだね」
「桂木君!その話に乗る!」
一応乗ってはみたものの、どんな罰ゲームなんだろう。
「オーケー!負けた方は、ペアと皆が見てる前でキスな!」
へ?
「え?えぇ⁉︎」
「な⁉︎なんですって⁉︎み、みんなの前でキ、キキ、キス⁉︎」かあああああっ
沙也加の顔が一瞬で紅に染まった。さすがにこの罰ゲームは想定外だった。
「はははっ!どうだ明久!沙也加!これならいけるだ・・・ろ?」ギュッ
桂木を千鶴さんが引っ張ってる。どうしたんだろう?やっぱりいざ負けた時の対応かな。
「ど、どうしたんだ?千鶴?」
「あ、あの、その、キ、キスしよ?」
・・・・・え?
(何言ってるの琴無さん⁉︎まさか、まさかとは思うけど⁉︎)
「私、その、翔真のことが好き!付き合ってください!」
「・・・・・(スッ)」
ここで、桂木君が手を挙げた。
「棄権・・・します」
え?えぇぇぇ⁉︎
「翔真、い、いいの?棄権までして」
「いいんだよ。お前とキスできるならな」
え?ちょっと待って、なにこのラブコメ展開。結局二人で去っていったけど。じゃあ罰ゲームの件も無し?
『勝者!赤コーナー!2年F、AAクラス!吉井明久、蓮見沙也加!』
「沙也加、不戦勝だったけどよかったね」
「うん、そう、だね」
沙也加の顔が動揺してる。じゃあ僕も後で沙也加としよっかな。
「次の相手は、えぇっと、・・・功助たちだ!」
「本当⁉︎・・・あんまりいいところで当たらなかったね」
できれば決勝で当たりたかったけどなあ、仕方がないか。おそらく、実質的には次の試合、準決勝が本当の決勝と言っていいだろう。
「功助たちには、勝ちたいね」
「うん、じゃあもどろっか!仕事もあるしね!」
「うん!じゃあまた後で!」
ここで、僕たちは離れた。この後、あの女2人の罠にはまることも、僕たちは一切感じていなかった。
次回も少し投稿が遅れる可能性があります!バドミントンの試合が重なってるものでwでは、また!