投稿ペース上げたいですね
シノン「このドア...」
近づいてわかるようにまるで血痕のようだと感じたそのドアには[Pay by Blood.]と刻まれており、まさしくそれを意識しているのだと感じ、私は戦慄した。
シノン(そんなことより...この店の中にっ...!)
私は、はやる気持ちを抑えられず、その思いが詰まった重いドアを力を込めて押した。
シノン「...開かない!!?」
まさか引き戸だったのかと思い、おもいっきり引いてみても結果は同じであった。
私は恥ずかしさもあり周りを確認したが近くには誰も居ないようで安堵の息をもらした。
シノン(というか...どういうことよ、)
自分の前に入っていったはずの男は普通に入っていったように見えた。何かやり方があるのだろうか。
赤色のドアをしばらく見たあと、ふと刻まれた[
シノン「ややこしいシステム採用してんじゃないわよっ...!」
ため息をつきながら少し呆れたがすぐに気持ちを切り替え、ドアを押して店の中に入っていった。
ドアをくぐるとそこは薄暗く、赤い絨毯の敷かれた細長い通路のようになっていて、天井は高くつきあたりに階段の様なものが見える。
その途中の壁にはよくわからない壊れた十字架の絵画などがかけられており、あの荒野の酒場とはまた別の雰囲気を醸し出していた。
シノン(ホントに趣味悪いとこが好きなようね...)
ほとほとあの男に呆れるさなか通路の途中に何か書かれていることに気がついた。
シノン(Please put it on.?)
すると空中にいきなりの黒のローブのようなものが出現した。
シノン「これを着ろってことね...」
黒いローブに身を包んだ私は、嫌な予感を感じながら奥にある[
階段を登り切った先には案の定、棺桶や十字架、はたまたニンニクや薬草まで揃った趣向の凝った店作りになっていて、ここが西洋のオカルトをモチーフにした言わばコスプレバーのような場所であると認識するのは最早なんの苦労もないことだった。
シノン(...となると私は魔女か、そんなこと今はどうでもいいわよっ!)
ローブを深くかぶった私はこの場所を選んだ趣味の悪い男と例のサングラスの男を探すことにした。
かなりの広さを誇る店内の座席は十字架型のカウンター席と、それぞれ間隔が結構空いてしっかりと並べられた机と椅子のテーブル席、天井は3Dエフェクトがかかっていて、まるで天井がなく夜の月明かりの下で会話を楽しむことができるようになっていた。そこでおのおのガヤガヤと会話を楽しんでいるようだった。
シノン(見当たらない...あの狼男風の男でもないし...)
なかなか見つからないことに対し私はイライラしていた。
思い返せば、いわば宿敵の男との対峙の場がこんなふざけた場所になるとは思ってもみなかったし、もしかしたらこんなふざけた場所を喜んで利用するような男に私は負けたのか、と感じざるを得ないこの状況に対して憤りを感じていた。
シノン(だったらなおさら取り返さないと私の気が収まらないわ...っ)
店内を散策していると、八重歯の伸びた客がこちらに声をかけようと近づいてきたが、私の今の状況はホントにそれどころではなく、いつも以上に殺気立っていた。それが表情にも出ていたのかその男は声をかけず逃げるようにその場を通り過ぎていった。
「たしかに...これで丁度いただいた。」
ふと店の右奥、壁際に個室のように仕切りの壁が付けられた席の左側に、よく聞いたことのある声の持ち主が座っていた。
シノン(見つけたっ...!)
右側の席は壁によって隠れて見えないが、確かにそこに例の男がいるはず。そう思い彼女はすでに引き締められた気持ちでその席まで駆けた。
???「迷惑をかけたな。まさかこんなところに呼ばれるとは思わなかったが」
ゴリ「なに、気にしちゃいねぇ。この場所を選んだのには意味があってね」
???「ほう、興味深いな...聞かせてもらえるか?」
ゴリ「あんたは強いようだ...それこそドラキュラ伯爵さ、居場所はわからねぇがどっからともなく
???「...」
無言の彼に対してニヤリと笑った。
ゴリ「そんな人だ...そりゃこっちも試したくなるさ...
シノン「やっと見つけた......!」
あの日境界線でスコープ越しに見た、今まで散々の頭の中でニヤリと笑い銃弾を飛ばしてきたサングラスの男が、今まさに目の前にいた。
???「...ほう...面白い...」
男は眉間の部分を中指で押しサングラスを上げた。
シノン「さぁ!返してもらうわよっ...私の
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???「...おかしいとは思ったんだ」
深く椅子に座り腕と足を組んだその男は、今の状況を理解しているのかしていないのかわからないがこちらを一度見てから話し始めた。
???「普通ならクレジットの受け渡しはもう少し人のいない場所で行う。周りの連中も馬鹿じゃない」
ゴリ「その通りだ...」
???「あんたの趣味の悪さは噂で聞いていた。これもその一環、と思っていたが...」
まさかね、とローブを身につけた細身の男は続ける。
シノン「私は...ここ最近、ずっとあなたを探していた...。」
シノン「説明してもらうわよっ...!私のヘカートがどこにあるのか、そしてあなたは何者なのか!」
すでに大会の賞品になってしまっているヘカートは何かしらの理由で運営に渡した、もしくはこの男自体が運営という二択にたどり着いていた私は男に向かってそう問い詰めた。
???「ふ...おまえはそんな感じの人か...」
シノン「なにを...っ!」
???「この際だ、教えてやろう」
こちらの返答を待たず男は話す。
???「俺の名前は、モル。スナイパーだ」
名を名乗るサングラスの男の態度はかなりの余裕が伺えて、私はそれが気に入らなかった。
シノン「あなたの名前なんてどうでもいいの!私が知りたいのは...っ!」
モル「この銃の
シノン「っ!!!」
そう言う男の手には、たった今アイテムストレージから具現化したPMG ヘカート Ⅱがその精錬された姿を見せながら掴まれていた。
ゴリ「...こりゃ...」
驚愕する私達を尻目に男は続ける。
モル「いい銃だ...」
シノン「っ...!なんで...?」
今度こそ目の前で起こっていることの意味が本当にわからなかった。
モル「おまえから奪ったんだ...俺が持っているのは当たり前だ」
シノン「違うっ!だって私の銃は...!」
モル「大会の賞品になっていた...」
ゴリ「なるほど...」
何か納得しているような男の姿がそこにはあった。
シノン「なるほどってなによ...!?」
ゴリ「俺達は間違っていた...」
シノン「えっ...?」
ゴリ「デコイを掴まされたってことだ」
ゴリ「シノン...俺達はあの放送の顔写真とヘカートだけであれはお前の銃だと確信し、奪われた銃は運営のもとにあると疑うことなく信じた」
ゴリ「しかし事実はお前の銃が、奪われたということだけだったんだ。」
シノン「てことは...」
ゴリ「そこにある銃が...お前のヘカートってことになる」
シノン「...っ」
私のヘカートがここにある...
その事実は彼女のここ最近の疲弊した心を癒やすのにはもはや十分であり一瞬感極まったが、まだである。まだ取り返していない。その最終目標はもう目前にあるとして彼女は行動に移した。
シノン「モル...とか言ったわよね」
モル「そうだが...」
シノン「私はその銃をどうしても返してほしい...」
モル「...だろうな」
シノン「勝負をしてほしい」
モル「...断る」
シノン「っ...!どうして!?」
モル「当たり前だ。それをして俺になんのメリットがあるんだ?」
至極当然で何も言い返せない。
モル「大体勝負ならこの前着いている。お前はそれに負け武器を奪われた」
それだけだ、という男に対して私は自分の無力さを嫌というほど味わった。
男が持つPMG ヘカート Ⅱ。その姿は手の届くところにあるのに、私は触れることのできない立場にいるのだと痛感させられた。
シノン(っ...わたしは...ホントに弱いっ...)
またもや暗い思考の渦の入り口に立たされた私は、過去のトラウマがフラッシュバックし底の見えない闇に身を任せる準備をしていた。
そこに
ゴリ「そういえば、なんでお前は賞品になったことを知っていた?」
シノン「っ...!」
モル「...ほう」
ゴリ「プレイヤー個人への通知はまだ来ていない...あの放送を見ていたということはあの大会へ興味があったということ以外ありえない。」
モル「...面白い考えだ」
ゴリ「さては、参加するつもりだな?」
モル「...どうだか」
その男は初見から常に冷静でそれは今も変わりないがそこに若干のノイズが混じっている感じがした。それは同じスナイパーとしての感のようなものがそう告げていた。
シノン「大会に出るのなら...そこで決着をつけてちょうだい」
シノン「もしこっちが優勝したら返して」
モル「なぜそうなる...」
シノン「あなたは私を倒して銃を奪った。だから私はあなたを倒して銃を取り返す!」
モル「言ってることが滅茶苦茶だ...」
話にならない、と呆れる男に向かって坊主の男が言う。
ゴリ「だが気持ちは分からんでもないんだろ...」
モル「...なんだと?」
ゴリ「お前のその銃の持ち方...。それは相手に敬意を払ってる時の持ち方だ」
シノン「っ...!」
ゴリ「しかも銃自体をいたわるような持ち方をなぜ奪った奴の前でしているんだ?」
モル「...なんのことか言ってる意味がわからんな」
そういうと男はアイテムストレージにPMG ヘカート Ⅱをしまった。
ゴリ「俺の勝手な憶測だがな」
モル「...」
モル「...まぁ、返してやらんでもない」
シノン「っ...!」
モル「その代わり付け狙われるのはごめんだ...おれは事を荒立てたくない」
シノン「...どうすればいいの?」
モル「そうだな...条件は何でもいいが...」
モル「では今後、この世界にINしないでほしい」
シノン・ゴリ「!!!」
モル「そうすれば、おれも付け狙われる心配はない」
ゴリ「おいおい...」
シノン「あんたっ!そんな条件飲めるわけないじゃない!」
モル「なぜだ?返して欲しいんだろ?」
モル「もちろん他のアイテムやクレジットは置いていってもらう」
シノン(こいつっ...!)
この男の性格の悪さを感じた私の中では嫌悪感と憎悪の感情がひしひしと蠢いていた。
ゴリ「シノン、諦めろ。こいつには何言っても通じねぇ」
ゴリ「こういう性格のやつには何しても無駄さ」
半ばあきらめの感情を持ってしまった彼に対して私は自分の中のフラストレーションをぶつけた。
シノン「私がどうとか、こいつがどうって事じゃないの!どうしてって言われてもわからないけど、今、私がわかるのはどうしても取り返さなきゃダメって事だけなのよ!」
ゴリ「...」
ゴリ「とは言ってもな...」
どうしたもんか、という表情の男は困り顔をのぞかせていた。
モル「...シノン、とか言ったな」
シノン「っ...!」
睨みつける私を見ることなく男はサングラスを上げながら続ける。
モル「気が変わった。...勝負を受けよう」
シノン・ゴリ「っ!!!」
モル「そちらの察しの通り、俺は今回の大会に出るつもりだ。そこで決着をつけようじゃないか」
シノン「っ...」
ゴリ「...おい...俺の目玉は飛び出てねぇか?」
こちらを向いてそう聞いてきた彼に対して、それはこっちも聞きたいわ、という表情で返したが現状こちらの出した条件が通った事に対して驚きを隠しきれなかった。
モル「そっちのチームが優勝したらあの銃を返そう、俺のチームが勝ったら...まぁまたその時にこちらの要求を聞いてもらおうじゃないか」
ゴリ「...奴はジキルとハイドか?」
シノン「待って...。わかったわ、その条件で勝負しましょう」
モル「決まりだ...」
モル「せいぜい...予選落ちしてこちらの気を削がないようにしてくれ...」
シノン「大きなお世話ね...」
驚きもあったが私はようやく銃を取り返す目処が立ったことに対して、単純に嬉しかった。いわば宿敵のこの男はかなりの技術を持ち合わせいてすごく強いが、その男に勝てればヘカートを取り返せるばかりか自分の強さの証明、はたまた更に強くなれ得る。そんなことを感じた私はやる気に満ちていた。
この擬似的な月明かりの下でもその力強い気持ちは本物あると言い切れる私がいたのであった。
モル「...っ...そろそろ潮時のようだな...」
ゴリ「なぜだ?」
そう話す男たちの声が聞こえた刹那、一瞬遅れてサングラスの男が感じた気配を私も感じ取った。
シノン「っ!ゴリッ!!避けてッ!!」
そこにはなんと彼の頭目掛けて一直線に伸びてきている殺気があった。
それはまるで
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シノン「っ!ゴリッ!!避けてッ!!」
慌てて彼の座っていた椅子ごと思い切り蹴りとばした。彼の頭へと飛んできた一発の銃弾が倒れゆく彼の頭のほんの数mm横を音だけを残して通過していき壁に弾痕を残した。
ゴリ「!?なんだってんだ!?ここは街ナカだぜ!?」
椅子と机一緒に倒れこむ彼のもとに飛んできた
ゴリ「ぐわぁッ!!う、動けねぇ...っ!」
シノン「っ!誰!?」
仕切りから飛び出た私は店のカウンターの横からすぐ隣りの階段の部分へと逃げようとするローブの影を捉え、急いで後を追う。
シノン(こっちは銃が使えないッ!どうする!?)
階段へと走るさなか、前方に道を塞ぐように配置されたテーブルの上に狼男をつなぐための鎖が置かれているのが目に入った。テーブルに差し掛かった時、鎖に手をつき宙返りをしながらテーブルを越えつつ鎖を手に持つ。その時には謎のローブは前方の階段の部分を降り始めていた。
シノン(せめて顔だけでもッ!)
階段の部分に辿り着いた私は鎖を回しながら階段を駆け逃げる謎のローブに向かっておもいっきり鎖を投げつける。その鎖がローブの片足に当たりローブはバランスを崩し転倒した。
シノン(...いけるッ!)
階段に踏み入れた私は階下の通路で起き上がろうとするローブに掴みかかろうと隼のように階段を駆け降りた。
すると謎のローブがグレネードのようなものを取り出しこちらに向かってそれを投げつける。
シノン(しまったッ...)
空中で回るグレネードから大量の煙が噴出し階段下の通路まで何も見えなくなった。
シノン「ゴホッ、待ちなさいッ!!」
しかし私の声を聞くはずもなくもちろん返事は帰ってこない。
距離感を頼りに通路を進み続け、開いたドアとうっすらと見える外の光が見えた。急いで外へ飛び出した頃には謎のローブの姿どころか人影すら見当たらない状態だった。
シノン「ケホっ...一体...なんなのよ...」
空を仰ぐ私の後ろに、痺れがとれたのか体躯のいい男が息を切らしながら現れた。
ゴリ「大丈夫か!?シノン!」
シノン「それはこっちのセリフよ...」
ゴリ「はぁはぁ...奴は?」
シノン「だめよ...顔もわからなかった...というかホントに大丈夫?」
ゴリ「へっ...スター・ウォーズの続編をみるまでは死ねねぇよ...」
シノン「はいはい、わかったわ...あいつは?」
ゴリ「...痺れてたからよくわからねぇが、どうやら裏口から逃げたようだぜ...」
シノン「...そう」
ゴリ「でもなんにしろ良かったじゃねぇか、おまえの銃を取り返せるかもしれねぇ」
たいしたもんだ、と男は頷く。
シノン「...私はなにもしてないわよ、男って気まぐれなものね...」
ゴリ「一緒にしてもらっちゃ困るぜ、男ってよりスナイパーがじゃねぇか?」
シノン「わたしが撃ち込んであげようか?」
ゴリ「...Sのオーラってか、フォースを感じるぜ」
シノン「バカなんじゃない?」
先ほどの緊張もあってか彼のジョークを心地よく感じてしまった私もバカなのかもしれない。
ゴリ「それはさておき、シノン」
シノン「なに?」
ゴリ「おまえも大会に出ることになっちまったが、放送でもあったように受付は今日の0時までだ。優勝しなきゃいけないし、ペアはどうするんだ?」
俺はもう申し込んじまった、と続けた男はこちらを心配そうに見ていた。
シノン「ああ、それ?一応心当たりはあるのよ」
ゴリ「ほう...いったい誰だ?」
シノン「一応リアルでも知り合いなんだけど...」
ゴリ「新か?あいつなら...」
シノン「いいえ、違うわ」
シノン「見た目は女みたいだけど、意外としっかりしてる奴よ」
かつてこの世界で協力し、そして大会で同時優勝したことのある同級生を私は再びこの世界へと連れてこようと決意していたのであった。
続きます。
次回は現実の描写多めでいく予定です。
需要あるかはわかりませんが...