銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(新版)   作:甘蜜柑

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第26話:幽霊艦隊 794年10月下旬~11月22日 イゼルローン遠征軍総旗艦アイアース

 緒戦で圧勝したイゼルローン遠征軍は勢いに乗って前進を続けたが、帝国軍のメルカッツ宇宙軍大将に阻止された。それから二週間、両軍は狭い回廊で一進一退の攻防を繰り広げている。

 

 帝国軍は回廊の正面宙域全体に一万隻ほどの艦隊を展開し、同盟軍も対抗するかのように艦隊を展開させた。狭い宙域に艦艇が高い密度で並んでおり、艦隊単位での機動が難しいことから、一〇〇〇隻単位、一〇〇隻単位の小戦闘が連続した。正面宙域を細分化した数千の戦区を争奪し、疲弊した部隊が後退すると、予備部隊がすかさず穴を埋める。典型的な消耗戦だ。

 

 予備部隊を次々と投入して数の差で押し切るのが消耗戦の定石なのだが、同盟軍の戦力は帝国軍の一・五倍程度に過ぎない。そして、帝国軍には要塞という巨大な兵站拠点がある。互角の回復力を持つ者同士の消耗戦は長期化した。

 

「戦力が少ないからなあ……」

「三個艦隊以上の動員は進歩党が認めないんだとさ」

「それでもNPCが頑張ってくれたら、ヴァンフリートのように四個艦隊動かせた。反議長派が進歩党に乗っかったのが悪い」

「党利党略に軍事を左右されてはたまらんよ。本当にうんざりだ」

 

 遠征軍総旗艦アイアースのあちこちで幕僚達が嘆く。そんな中、ロボス・サークルだけはいつもと変わらず仕事に励む。

 

「あそこに火線を敷かれたら、右側背を直撃されて全軍が瓦解していたところだった。危ないところだったな」

「新無憂宮とやらのサロンで、酒や女にうつつをぬかしている貴族の道楽息子にしては、よくやるじゃないか」

「本戦の準備がなければ、我々が対処するんだがな。当分の間は現場に任せよう」

 

 昼食時の士官サロン、その中央のテーブルに座ったアンドリュー・フォーク中佐ら四人の作戦参謀が宙図を広げて話し込んでいる。先ほど終了した五二〇五戦区の戦闘を批評しているようだ。

 

 隅っこのテーブルは、作戦副主任参謀ヤン・ウェンリー代将の指定席だ。不敗の魔術師はいつものようにぼんやりとした表情で紅茶を……。

 

「本当にフィリップス先輩と関係ないのか?」

 

 向かい側から飛んできた馬鹿でかい声が現実逃避を終わらせた。

 

「ええ、出身地も姓も髪の毛の色も同じで年も近いですが、血縁関係はありません」

 

 うんざりした気持ちを笑顔で隠す。リディア・フィリップス少佐とダグラス・フィリップス中佐の姉弟との関係なんて、これまでに一〇〇回以上は聞かれた質問だ。

 

「そうか、それは残念だなあ」

「ご期待に添えず申し訳ありません」

 

 頭の中で「勝手に残念がってろ」と思いつつ答えた。どうしてこの男は反応に困ることしか言わないのか? フライングボールですべてのポジションをこなせるなんて自慢されても、士官学校の卒業パーティーで泥酔して池に飛び込んで風邪をひいたなんて失敗談を聞かされても、適当に合わせるしかできないのに。

 

「謝るところじゃないだろう。フィリップス中佐は本当に真面目だな」

 

 この男は俺が何を言ってもいちいち感心する。端整な顔つき、きれいにセットされた亜麻色の髪、口元からのぞく真っ白な歯、一九〇センチ近い身長。スポーツマン的な爽やかさを一身に集めたようなルックスが鬱陶しさを増幅させる。

 

「他に取り柄がありませんから」

「酒も博打も女遊びもしないというのも偉いよな」

「もともと興味ないんですよ。ストレスはトレーニングで発散していますし」

「俺も体を動かすのは大好きだぞ。中学校ではフライングボール部とベースボール部を掛け持ちした。どっちもエースでキャプテンさ。今でも暇を見ては体を鍛えてる。でも、遊ばないと発散できない。親父には『結婚したら落ち着く』と言われるけどな」

「お父様のおっしゃることもわかります。ほどほどにしないと、軍務に差し支えますから」

「それはそうだ。しかし、俺は男だぞ? 酒は飲みたいし、博打はやりたいし、女の子とも遊びたい」

「男女の問題なんでしょうか?」

「ああ、そうか。フィリップス中佐は軍務一筋だから、性別は問題にならないんだな」

「意識したことはありません。目の前のことに取り組むだけですから」

「なるほどなあ。意識してるうちは偽物ってことか。本当にストイックだなあ。フィリップス中佐が女性にモテる理由も納得できる。俺の妹もファンなんだよ」

「光栄です」

「テレビの中のフィリップス中佐は爽やかなスポーツマンって感じだけど、実際は求道者だな。あの『拳聖』チュン・ウー・チェンみたいな」

「チュン・ウー・チェンですか?」

 

 俺は軽く首を傾げた。チュン・ウー・チェンと言われたら、イースタン拳法の名手ではなく、前の世界の名参謀を思い浮かべてしまう。

 

「見た目じゃなくて雰囲気だぞ? チュン・ウー・チェンは身長が二メートル近くて顔は野性味にあふれている。フィリップス中佐は背が小さいし、体はひょろいし、顔も子供みたいだ。見た目なら全然違う」

 

 越えてはいけない一線を男はあっさり越えた。

 

「実際に見ないとわからないこともあるもんだ。まさか、フィリップス中佐がこんなに小さいとは思わなかった。末の弟が中学三年なんだがな。それと同じくらい小さい。あ、いや、弟は中学生としては普通の身長だぞ? 中学生よりも小さいとか、そんなことは言ってないから誤解しないでくれ」

 

 男は一つのセリフの中で三度も「小さい」と言った。俺は必死で笑顔を作る。

 

「わかっています」

「しかし、この世には『小さな巨人』って言葉もある。フィリップス中佐の武勲を思えば、小さいこともまた勲章だよ。君の真の偉大さがようやく分かった。こんなに小さいのに頑張ったんだからな」

 

 男は「小さい」と繰り返す。あてつけのように思えてくるが、悪気は感じられない。それが余計イラッと来る。

 

「ありがとうございます」

 

 忍耐力を総動員して笑った。身長を気にしていることを悟られてはならない。これは最重要機密なのだ。

 

「ワイドボーン先輩、小さい小さい言い過ぎですよ」

 

 俺の左隣に座るダーシャ・ブレツェリ少佐が男をきっと睨みつけた。男はにわかにたじろぐ色を見せる。

 

「おいおい、フィリップス中佐は沈着剛毅と言われてるんだぞ? 身長なんか気にするような器量じゃないだろ」

「そういう器量なんです」

 

 ダーシャはきっぱりと断言した。まったくもって正しいのだが、あまり言わないで欲しい。

 

「まあ、ブレツェリがそう言うならそうなのか。俺が悪かった」

「先輩はいつも一言多すぎます。他人が気にしてるところを無意識にえぐるでしょう?」

「悪気はないんだぞ? それはわかってるだろ?」

「無自覚ってことですよね? いっそう悪いです。そんなんだから振られてばかりなんですよ」

「それは関係ないだろう。繊細なフォーク中佐だって出兵前に振られたそうじゃないか」

「あれだけ仕事中毒だったら、どんないい人だって振られます」

「そうそう、俺が振られたのも仕事が忙しくて……」

「パドルー少佐は『がさつ過ぎてうんざりした』っておっしゃってましたけど」

「なんだよ、ネリーから話聞いてたのかよ」

「ええ、先輩のどこが鬱陶しいのか、一晩中聞かされました」

 

 たじろぐ男にダーシャが追い打ちを掛ける。実に胸がすく眺めだ。彼女が左隣に座っていたことに初めて感謝した。

 

「す、すまん」

「気をつけてくださいね」

 

 ダーシャは男に釘を差した後、くるりと俺の方を向く。

 

「ごめんね、エリヤ。ワイドボーン先輩はずっとガキ大将だったからさ。無神経なのよ。でも、悪い人じゃないから勘弁してあげて」

「別に気にしてないよ」

 

 爽やかに笑った。本当はとても気にしていたが、そんな素振りを見せるのはみっともない。それにダーシャが男をやり込めてくれたから、わだかまりも残っていない。

 

「フィリップス中佐、本当にすまなかった」

 

 しきりに謝る男は、ダーシャの士官学校での先輩にあたる第一〇艦隊A分艦隊参謀長マルコム・ワイドボーン宇宙軍代将。戦略立案や理論研究で業績を挙げた軍令のトップエリート。前の世界では記憶に無い名前だが、今の世界では「一〇年に一人の秀才」「作戦の鬼才」ともてはやされている。

 

 同盟軍の戦略中枢である統合作戦本部作戦第一課の生え抜きのワイドボーン代将は、第一課上級課員、作戦企画係長、第一課長補佐を歴任し、一昨年の末から昨年の末まで課長職にあった。訓練で仮想敵を務めるアグレッサー部隊の司令が唯一の指揮官経験。前線に出るのは今回が二度目。多士済々の七八七年度卒業者の首席で、ヤン・ウェンリー、ジャン=ロベール・ラップ、ガブリエル・デュドネイと並ぶ出世頭だった。

 

 本人の自己申告によると、彼の家は六代続いた軍人家系なのだそうだ。祖父のデクスターは宇宙軍退役中将・第九方面軍元司令官、父のヒューゴは宇宙軍中将・国防委員会事務局次長、叔父のクインシーとフランクリンは宇宙軍准将、その他の親戚もみんな士官や下士官として勤務しているらしい。

 

 何の衒いもなく家系を誇り、自慢話も失敗談も包み隠さずに語る。坊ちゃん気質と体育会系気質を掛け算したのがワイドボーン代将だった。悪人ではないが暑苦しい。

 

「気にしていませんから」

 

 よそ行きの微笑みを作った。

 

「ありがとな。フィリップス中佐は軍人の中の軍人だ。性格がさっぱりしている」

 

 ワイドボーン代将は盛大に勘違いしたまま立ち上がった。

 

「ブレツェリ、そろそろ行くわ。参謀長会議が始まるからな」

「ワイドボーン先輩、参謀長会議の議題って幽霊艦隊対策ですよね?」

「今や前線部隊の頭痛の種だからな。放置したら士気に関わる」

「頑張ってください」

「ああ、言われなくてもそのつもりさ。あいつにとっては他人事でも、俺達にとっちゃ差し迫った脅威だからな」

 

 ワイドボーン代将が刺を含んだ視線をサロンの隅に向ける。そこにいるのはぼんやりとした顔で紅茶を飲むヤン・ウェンリー代将。

 

「あの人、いつも士官サロンにいますよね。いつ仕事してるんだか」

 

 ダーシャが嫌悪を露わにすると、ワイドボーン代将は苦々しげに唇を歪めた。

 

「あいつはああ見えて要領がいいんだ。最低限の仕事だけ片付けてるんだろうよ。士官学校にいた頃も追試には恐ろしく強かった。教官が『普段からあれくらいの集中力を発揮していたら、首席だって狙えるのに』と言ってたもんさ」

「それは想像つきますけどね。不真面目なくせに才知だけが並外れてるって最悪でしょう。一三日戦争を起こした北方連合国家軍のマイダン、ラグラン事件を起こした地球軍のジュオーなんかと同類です。何をやらかすか分かったものじゃありませんよ」

 

 ダーシャは才知に溺れて国を滅ぼした参謀の名を例にあげる。前の世界のアンドリュー・フォークのような人々だ。

 

「軽薄な才子なんてものは派手に失敗すると決まってる。俺達はこつこつと努力を重ねればいい。どちらが正しいかは時間が証明してくれる」

 

 ヤン作戦副主任を軽薄な才子と決めつけるワイドボーン代将。ダーシャもそれに頷く。じゃがいも料理店でドーソン副参謀長とトリューニヒト先生が交わした会話を思い起こさせるやりとりだ。

 

 彼らは間違っている。ヤン作戦副主任は用兵の天才だ。真面目かどうかなんて基準で測るべきではない。俺みたいな凡人は小さな仕事をして、ヤンみたいな天才は大きな仕事をすればいい。人それぞれ役目が違う。それをはっきりさせよう。

 

「軍人は結果がすべて。ヤン代将は大きな仕事のできる方です。真面目かどうかなんて基準で測るのは良くありません」

「ああいう奴でもかばおうとするなんて、本当にフィリップス中佐は人格者だな。でも、俺には無理だ」

 

 ワイドボーン代将は頑なにヤン作戦副主任を認めようとしなかった。彼らの間にある因縁を思えば無理強いもできない。

 

 士官候補生時代、ワイドボーン代将は風紀委員長、ヤン作戦副主任は有害図書愛好会の中心メンバーとして対立していた。また、前の世界の戦記に「士官学校でヤンと艦隊戦シミュレーションで対戦して惨敗した同期の首席」と言うのが登場する。そんな端役の名前なんていちいち覚えていなかったが、どうやらワイドボーン代将がその首席らしい。

 

 有害図書委員会にいたブラッドジョー中佐によると、ワイドボーン代将は上級生や保守派教官からの受けが良かったものの、一言多いところが災いして、同級生や下級生からは好かれなかったそうだ。おかげで生徒総隊長のポストを、有害図書委員会初代委員長のラップ代将に取られた。ラップ代将は誰もが知るヤン代将の盟友だ。

 

 人間的にも水と油だろう。ヤン作戦副主任は学者肌で内向的、反骨精神が強く、嫌々軍人をやっている。それに対し、ワイドボーン代将は体育会系で外向的、軍人家系に生まれたことを誇りに思っている。どう見ても対立する以外の結末が見えない二人であった。

 

 別れ際、真夏の太陽よりも眩しい笑顔を浮かべたワイドボーン代将が、俺の右肩を親しげに叩いた。

 

「君に会って良かったよ。見栄えと要領だけのいわゆる『英雄』だと思ってたけど、いい意味で裏切られた。君みたいな奴が本当の英雄であるべきだと思う。頑張れ!」

 

 笑顔を作ってワイドボーン代将を見送ったが、内心では釈然としない気持ちが渦巻いた。どうしてヤン作戦副主任を嫌う人ばかりが周囲に集まってくるのだろうか? ますます関係修復から遠ざかってしまうではないか。誰にも気付かれないように小さくため息を吐いた。

 

 

 

 イゼルローン回廊には幽霊が出る。どこからともなく現れた一二〇〇隻ほどの幽霊は、誰も予想しなかった方角から同盟軍に襲い掛かり、短時間で三桁にのぼる艦艇を破壊して、援軍が来る前に姿を消す。その神出鬼没ぶりから「幽霊艦隊」と呼ばれるのだ。

 

 一一月五日、初めて将官の戦死者が出た。一一〇〇隻を率いる第一〇艦隊D分艦隊副司令官アーノルド・ウェルトン准将が、ほぼ同数の敵に側面から奇襲を受けて戦死した。

 

 一週間後の一一月一二日、一〇〇〇隻ほどの敵部隊と遭遇した第七艦隊C分艦隊二二〇〇隻は、司令官アッタポン・マッカロム少将と戦力の半数近くを失った。陽動に引っかかって戦力を二分したのが仇となったのだ。

 

 一週間で二人の提督が戦死した。その事実が遠征軍の戦意に深刻な影響を与えた。ウェルトン准将もマッカロム少将も無能とは程遠い。配下も精鋭だ。同盟軍正規艦隊所属部隊の戦力指数は、同数の帝国軍主力艦隊所属部隊の一・三倍と言われる。それがいとも容易く壊滅させられた。

 

 正規艦隊(レギュラー・フリート)の名が示す通り、同盟軍の一二個艦隊はすべて常設部隊で、指揮官の階級、所属する部隊の規模、指揮系統などが厳密に定められている。再起不能の部隊が廃止されたり、補充部隊が編入されたりすることもあるが、基本的には同じ部隊構成で戦う。

 

 一方、帝国軍の主力艦隊は、銀河連邦軍の任務部隊(タスク・フォース)制度を引き継いだ。常設されているのは一八個の主力艦隊司令部、八〇個の分艦隊司令部のみ。任務ごとに戦闘部隊と呼ばれる数百隻から一〇〇〇隻程度の部隊が司令部のもとに配属され、艦隊や分艦隊を形成する。だから、帝国軍の艦隊や分艦隊の戦力規模、指揮官の階級にバラつきが見られるのだ。

 

 前の世界のアスターテ会戦を例にあげよう。ローエングラム上級大将の艦隊司令部の下に、メルカッツ大将、シュターデン中将、フォーゲル中将、ファーレンハイト少将、エルラッハ少将の分艦隊司令部が臨時に配属される。そして、分艦隊司令部のもとに少将や准将が率いる戦闘部隊が集められて、二万隻の艦隊が編成された。

 

 固定的な編制の同盟軍艦隊は運用の柔軟性に欠けるが、いつも同じ部隊と一緒に戦うために結束力が強く、連携も取りやすい。

 

 任務部隊編制の帝国軍艦隊は結束力に欠ける。それに帝国軍士官の持病ともいうべき功名心と協調性の低さが加わり、連携もまったくできない。だが、必要に応じて様々な規模の部隊を柔軟に編成できる強みがあった。

 

 対帝国戦争を正規戦とみなす同盟軍、対同盟戦争を地方反乱とみなす帝国軍の戦争観の違いが編制の違いとなって現れている。帝国政府が同盟軍より自軍の反乱を脅威と捉えているのも、戦術レベルで不利な任務部隊制度が存続してきた要因だった。

 

 こういった事情から、同盟軍正規艦隊所属部隊は絶対的な質的優位を持つ。一〇〇〇隻程度でほぼ同数の同盟軍部隊を立て続けに壊滅させた幽霊艦隊の指揮官は、恐怖に値する存在だった。

 

「次は自分の番ではないか」

 

 将兵は口々にそうささやき合った。神出鬼没の敵ほど恐ろしいものはない。幽霊艦隊への恐怖は瞬く間に全軍に伝染した。

 

「さすがの幽霊艦隊もグリフォンには敵わないさ」

 

 ある者は「グリフォン」の異名を取るウィレム・ホーランド少将の華麗な用兵に期待を寄せた。

 

「永久凍土に触れたら、幽霊だって凍りつくに決まってる」

 

 別の者は守勢に絶対的な強さを誇る「永久凍土」ライオネル・モートン少将の名を挙げた。

 

「ダイナマイトが吹き飛ばしてくれるだろうよ」

 

 その破壊力から「ダイナマイト」と呼ばれるモシェ・フルダイ少将の名を挙げる者もいた。

 

 ホーランド少将、モートン少将、フルダイ少将の三提督は分艦隊司令官の中でも別格だ。普通の分艦隊司令官は一年か二年おきに転任するが、彼らは大きな出兵があるたびに出征部隊に転任して戦う。現役宇宙軍軍人の中で分艦隊司令官時代にこういう扱いを受けたのは、ラザール・ロボス、ジェフリー・パエッタ、アレクサンドル・ビュコック、ウランフの四名のみ。三提督の戦闘力がどれほど高く評価されているかが伺えよう。

 

 しかし、総司令部は一つの分艦隊に任せる気など無かった。神出鬼没の幽霊艦隊を倒すには、全軍で当たらなければならないと判断した。

 

 本来は遠征軍の頭脳にあたるロボス・サークルが対策を練るところだが、彼らはイゼルローン要塞の攻略計画に忙しく、幽霊艦隊までは手が回らない。そこで総参謀長ドワイト・グリーンヒル大将は、別の者に幽霊艦隊対策を任せた。

 

 この流れは『レジェンド・オブ・ザ・ギャラクティック・ヒーローズ』『獅子戦争記』と似ている。第六次イゼルローン遠征において、帝国軍のラインハルト・フォン・ミューゼル少将率いる分艦隊は、同盟軍の分艦隊を次々と壊滅させた。

 

 万全な状態の正規艦隊所属部隊を真っ向勝負で壊滅させた帝国軍指揮官は、前の世界ではラインハルト一人。ラインハルト配下で最優秀のジークフリード・キルヒアイス、オスカー・フォン・ロイエンタール、ウォルフガング・ミッターマイヤーでさえ、そこまででたらめな破壊力は持っていなかった

 

 前の世界のラインハルト分艦隊は三〇〇〇隻、幽霊艦隊は一二〇〇隻前後と戦力に大きな開きがある。しかし、こんな凄い用兵家が他にいるとは考えにくい。戦力が少ない理由は良くわからないが、俺やラインハルトが「エル・ファシルの英雄」と呼ばれる世界では、そのくらいの違いは誤差のようなものだろう。

 

 とりあえず、作戦参謀のアンドリュー・フォーク中佐に「もしかしたら、これは帝国のエル・ファシルの英雄の仕業かもしれない。名前を調べてみるべきじゃないか」と話した。用兵に詳しい彼ならば、なにか悟るところがあるかもしれないと期待したのだ。しかし、冗談として流された。

 

 その次の日、上官の副参謀長クレメンス・ドーソン中将に同じ話をした。戦功がほとんど無い彼だが、用兵には詳しいし、総司令部での発言力も大きい。幽霊艦隊対策に生かしてもらえることを期待したが、反応は悪かった。

 

「何か根拠でもあるのか?」

 

 ドーソン副参謀長が胡散臭げに俺を見る。

 

「ミューゼルはエル・ファシル脱出で恐るべき知略を見せました。あの男は奇襲の天才です」

「駆逐艦乗っ取りと艦隊用兵と何の関連性がある? 馬鹿なことを言うな」

「調べていただければ、きっと分かっていただけると思います」

「ネットの検索とはわけが違うんだぞ? 人と予算と時間を遣う。貴官の言う通り、ミューゼルが幽霊艦隊の指揮官だったとしようか。それに何の意味がある?」

「幽霊艦隊対策の参考になるかと」

「だから、指揮官の名前をどう参考にする? 名前が分かれば勝てるのか?」

「相手がミューゼルと分かれば……」

 

 ここで俺は言葉に詰まった。相手がラインハルトと分かったところで何の意味もないということに気付いたのである。

 

 奇襲を破るには、敵が仕掛けてくるポイントとタイミングを正確に察知する必要がある。前の世界で読んだ戦記には、ラインハルトが奇襲で勝ったことは書かれていたが、仕掛けたタイミングとポイントは書かれていなかった。作戦立案に活かせるような精度の情報は、ラインハルトの作った作戦案、同盟軍の戦闘詳報にしか書かれていないだろう。どっちも当時は非公開情報だった。

 

 また、帝国軍には五万人の現役将官がいるが、同盟軍が研究対象とするのは中将以上の五〇〇〇人に限られる。同盟軍の准将にあたる少将、代将にあたる准将まで研究対象を広げたら、人手がいくらあっても足りないからだ。同盟軍はまだラインハルトのデータを蓄積していない。結局のところ、名前が分かるだけでは何の意味も無かった。

 

「貴官はメルカッツに勝てるか?」

 

 ドーソン副参謀長が思いがけないことを言ってきた。

 

「メルカッツ提督ですか?」

「そうだ。イゼルローン回廊を塞いでいるメルカッツだ」

「いえ、勝てません」

 

 俺は即答した。ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツと言えば、前の世界でも今の世界でも銀河屈指の名将だった人物だ。俺ごときが勝つなど想像するだけでおこがましい。

 

「ほう、貴官なら勝てると思ったのだがな」

「なぜそう思われたのでしょうか?」

「貴官は敵の名前が分かれば勝てると言う。我が軍でメルカッツの名前を知らない者は一人もおらん。そして、統合作戦本部も宇宙艦隊総司令部もメルカッツを徹底的に研究してきた。このアイアースのコンピュータにも、メルカッツとの戦闘記録はすべてインプットされている。貴官は敵の名前が分かれば勝てると言う。ならば、メルカッツに勝つなど容易いではないか? 違うか?」

「か、勝てません……」

「自分がどれほど馬鹿なことを言っていたか、理解できたか?」

「はい……」

「子供向けの小説なんかでは、敵将の名前が分かれば、軍師とやらが『ほぉーう! 敵将はあやつですかぁ? それならこうすれば勝てますぞぉー!』などと言って勝つらしいがな。作戦とはそういうものではないぞ! 物語と戦争を取り違えるな!」

 

 圧倒的な嫌味の洪水。全面降伏以外の道は残されていなかった。笑い話として流してくれたアンドリューがどれだけ親切だったかを思い知らされた。

 

 結局、ヤン作戦副主任が幽霊艦隊対策を命じられた。他の幕僚から「非常勤参謀」と陰口を叩かれてはいるが、同盟軍はただの怠け者が二七歳で代将になれるような組織ではない。グリーンヒル総参謀長に期待されるだけの実績が彼にはあった。

 

 ほんの一日でヤン作戦副主任は作戦案を提出した。彼が動かせる人員はせいぜい二人か三人程度だろう。それなのに幽霊艦隊の行動パターンの分析、今後の行動の予測、必要な戦力の算出、同盟軍が取りうる選択肢のシミュレーションを一日で済ませてしまった。とんでもない処理能力だ。前の世界では奇策ばかりが印象に残る彼だったが、スタンダードな作戦立案にかけても抜群だった。

 

 天才の偉業を目の当たりにした俺は感動に震えたが、どういうわけか不快に感じた人もいる。その最たるものがドーソン副参謀長だった。

 

「要するに普段は怠けているということだろう」

「ヤン総括参謀はしっかり仕事をなさいました。結果を出すのが軍人の仕事。問題ないのでは」

「それは違うぞ」

「どこが違うのでしょうか?」

「軍人に怠けていい仕事など無い。どんなに小さな仕事でも疎かにしてはならん。事務手続きが一日遅れるだけで、弾薬が届くのが一日遅れるかもしれん。そして、弾薬が一日遅れたせいで死ぬ兵士もいる。軍隊では怠け者は殺人者なのだ。まして、参謀は全軍を指導する立場。手を抜いたらどれほど多くの兵士が死ぬことか。できないのならまだしもやらないのは犯罪だ。貴官の言うような才能がヤンにあったとしたら、なおさら許し難い」

「しかし、用いられない才能は発揮できません」

 

 俺は必死で擁護した。才能には使いどころというものがある。ヤン作戦副主任に小さい仕事をさせるなど、蚊を叩くのに爆弾を使うようなものではないか。

 

「ヤンが用いられていない? 何を言っておるのだ? 作戦副主任といえば、作戦部門のナンバーツーではないか。仕事などいくらでもある。作戦情報の収集、命令の伝達、下級部隊との調整。こういった細かい仕事を丁寧にやるだけで、部隊の動きは改善され、ひいては犠牲も抑えられる。作戦立案以外をやりたくないなど、自分勝手もいいところだ」

「しかし、作戦立案では結果を出しておりますし……」

「結果は出せるだろうな。あいつは要領がいい。直接指導したことはないが、間接的に関わったことはある。本当に要領がいい奴だった」

「それなら……」

 

 ドーソン副参謀長の顔が怒りで真っ赤になっているのに気づき、慌てて舌を止める。だが、既に手遅れだった。

 

「ここまで言っても、理解できんのか!? 私はヤンの才能ではなく人間性を問題にしているのだぞ!? たとえブルース・アッシュビーのような才能があったとしても、奴は信用に値せん! 貴官は『大きな仕事だけを選んで、要領良く功績を稼ぐような輩を認めろ』と言いたいのか!?」

「い、いえ、そんなつもりはありません」

「あるだろう! 結果を出せば小さな仕事をしなくてもいい。そう言っただろう!?」

「は、はい」

「ああいうのに憧れているのか!? あれがかっこいいとでも思っているのか!? フィリップス中佐、貴官を見損なったぞ!」

「小官が間違っておりました!」

 

 反射的に頭を下げた。本当は憧れていたし、かっこいいとも思っていた。小事にこだわらず本質を捉える眼力こそがヤン・ウェンリーの偉大さなのだ。しかし、ここでそれを言うのは自殺行為に等しい。

 

 ドーソン副参謀長は愛憎が激しい人だ。好かれたら徹底的に世話を焼いてもらえるが、嫌われたら徹底的にいびられる。怒りを買うのは何としても避けたかった。

 

 思えば憲兵隊副官時代に取りなした人は、みんなドーソン副参謀長が気にいるような真面目さや素直さを持っていた。しかし、ヤン作戦副主任はそういった要素と対極にいる。自分の発言がどう転んでも怒りを買うだけだと今更ながらに気付いた。大恩ある恩師と崇拝する偉人の共闘など、最初から無理だったのだ。

 

 必死で謝り続けた結果、ようやくドーソン副参謀長の怒りは解けた。しかし、それで終わりではなかった。

 

 その翌日、グリーンヒル総参謀長がヤン作戦副主任の作戦案を会議に提出したが、ドーソン副参謀長が強硬に反対した。他の幕僚も反対に回り、作戦案は不採用となった。前の世界で採用された案が採用されなかったのだ。

 

 同じ日に士官サロンで紅茶を出さなくなった。アイアース艦内の売店や自動販売機で売られていた缶入り紅茶やペットボトル入り紅茶がすべて回収された。

 

 二日後、ドーソン副参謀長が提出した作戦案が賛成多数で採用された。立案者は第一〇艦隊A分艦隊参謀長のマルコム・ワイドボーン代将。ドーソン副参謀長が士官学校教官を務めていた時に目をかけた教え子であった。

 

 

 

 一一月二二日、ライオネル・モートン少将率いる第一〇艦隊B分艦隊二四〇〇隻は、一二〇〇隻ほどの敵と遭遇した。言うまでもなく幽霊艦隊だ。

 

 俺は総旗艦アイアースの広大な司令室で、他の幕僚とともに戦いの成り行きを見守っていた。司令官席に座るロボス総司令官はいつもと変わらずどっしりと構える。右隣に立つグリーンヒル総参謀長は真剣な顔でスクリーンを見つめていた。俺も彼らもみんな観戦者だった。作戦立案者のワイドボーン代将が移乗している第一〇艦隊旗艦パラミデュースがこの作戦の司令塔だからだ。

 

 人々は緊張しているが、それよりも期待が大きいように見えた。この作戦を立案したワイドボーン代将は「作戦の鬼才」と呼ばれる気鋭の作戦参謀。実施するモートン少将は「永久凍土」の異名を取る叩き上げの闘将。この二人の名声が期待を高める。

 

 俺だけは不安を感じた。ライオネル・モートンといえば、前の世界の戦記では高く評価されていたものの、ヴァーミリオンでナイトハルト・ミュラーの突撃の前に記録的な損害を出して敗死した人物ではないか。そして、マルコム・ワイドボーンなんて名前は記憶に無い。そんな二人が天才ヤンを差し置いて天才ラインハルトに挑む。負けの兆候としか思えない。

 

 七年以上前にボケた頭で読んだ本の内容なんてだいぶ忘れた。トリューニヒト先生やアンドリューのように直に接すれば上書きされる。それでも上書きされない部分のイメージは根強い。

 

 モートン少将の分艦隊が両翼を広げて包み込もうとした隙に、幽霊艦隊は薄くなった中央へと突入し、陣形の弱い部分に攻撃を集中して突破口を開いた。そして、まっしぐらに分艦隊旗艦アルゴスを目指す。誰もが興奮で手に汗を握る。俺だけは破滅の予感に冷や汗を流す。

 

 幽霊艦隊がアルゴスに迫ったかに思われた瞬間、前からレスヴォール少将のC分艦隊、後からサントン少将のD分艦隊、上からワーツ少将のA分艦隊、下から司令部直轄部隊が出現した。混乱していたように見えたモートン少将の両翼は、整然と列を作って左右から幽霊艦隊を挟み込もうとする。ワイドボーン代将の作戦は見事に的中したのだ。

 

「やったぞ!」

 

 司令室は歓声に包まれた。座っていた者も興奮して立ち上がった。ロボス総司令官とグリーンヒル総参謀長だけは古強者だけあって落ち着いている。ヤン作戦副主任はいつもと変わらずぼんやりした表情を崩さない。

 

 幽霊艦隊は前後左右からの十字砲火を浴びて百隻近くを失った。第一〇艦隊は幽霊艦隊を逃すまいと包囲の環を縮めていく。

 

「撃てば当たるぞ!」

「奴らは幽霊じゃない! 人間だ!」

 

 同盟軍は幽霊艦隊が幽霊でないことを知った。白日のもとにさらされた幽霊はたちまち消え去るだろうと信じた。俺もそう思った。この瞬間、本の記憶を現実が上書きした。

 

 幽霊艦隊は十字砲火に晒されながらもすぐさま陣形を再編した。そして、直撃を巧みに避けながら包囲網の一角を目指す。寄せ集めの帝国軍とは思えないほどに洗練された動きだ。

 

「あの提督をここで殺さなければ、後々の憂いになる」

 

 その認識をどれほど多くの人が共有しているか、俺にはわからない。ただ、第一〇艦隊旗艦「パラミデュース」で采配を振るうアル=サレム中将とワイドボーン代将は共有していた。司令部直轄部隊と四つの分艦隊がそれぞれ予備戦力を投入して、最後の仕上げにかかる。

 

 一か月近く無敵を誇った強敵も風前の灯のように思われた。そんな時、グリーンヒル総参謀長の表情が険しくなった。

 

「総司令官閣下、第一〇艦隊司令部を呼び出してください。予備戦力の投入を中止させなければ、まずいことになります」

 

 一体何を言っているのかと思った。ここで包囲を緩めたら、幽霊艦隊を取り逃がしてしまうではないか。

 

「総参謀長、どういうことかね?」

 

 ロボス総司令官が司令室にいる者すべての疑問を口にする。

 

「敵は幽霊艦隊だけではないということです。回廊正面に展開している第一〇艦隊がすべて幽霊艦隊にかかりきりになっている。他の敵から見れば絶好のチャンスです。そして、正面の敵は老練なメルカッツ提督。この機を見逃すとは思えません。予備戦力を戻して備えさせるべきでしょう」

 

 グリーンヒル総参謀長の説明が疑問を氷解させてくれた。狭い回廊で一度に展開できる正面戦力は一個艦隊が限度。最前線の第一〇艦隊がすべて幽霊艦隊に集中したら、他の敵に備える部隊がいなくなってしまう。これは確かにまずい。

 

 ロボス総司令官は大雑把だが頭脳の回転は恐ろしく早い。あっという間に予備戦力の投入中止を決断した。

 

「よし、第一〇艦隊司令部を呼び出せ。『こざかしい敵将の鼻柱さえへし折ればそれで良し。細事にこだわってイゼルローン攻略の大目的を忘れるな』と伝えろ。予備戦力を元の位置に戻せ。メルカッツに備えさせるのだ」

 

 指示を受けた通信士が第一〇艦隊司令部を呼びだそうとした瞬間、オペレーターが叫んだ。

 

「正面の敵が攻勢に出ました!」

 

 メルカッツ艦隊が第一〇艦隊に砲撃を浴びせた。グリーンヒル総参謀長の進言、ロボス総司令官の決断は適切だったが、ほんの少しだけ遅かったのである。

 

 堅実なメルカッツ大将は密集状態の第一〇艦隊に遠距離から砲撃を叩き込みつつ、単座式戦闘艇「ワルキューレ」五〇〇〇機を宇宙母艦から発進させた。遠距離から飛んでくるビーム、至近距離からワルキューレから放たれたウラン二三八弾が同盟軍に襲いかかる。

 

「第五艦隊! 第一〇艦隊を援護せよ!」

 

 ロボス総司令官が指示を出すと、第一〇艦隊の後ろに控えていた第五艦隊が動き出した。第五艦隊司令官アレクサンドル・ビュコック中将は、副司令官ハリッサ・オスマン少将に二個分艦隊を与えて援軍に向かわせる。

 

 援軍は回廊の外周ギリギリに沿って前進し、危険宙域と第一〇艦隊の隙間を素早くすり抜けていった。作戦参謀出身のオスマン少将ならではの艦隊運用だ。

 

 第一〇艦隊司令官ジャミール・アル=サレム中将の本領は組織管理であって、戦術能力はどうにか及第点と言ったところだが、声をからして全軍を督励し続けた。いち早く態勢を立て直したモートン少将が、駆逐艦と単座式戦闘艇「スパルタニアン」を繰り出し、帝国軍のワルキューレを食い止める。

 

 オスマン少将が到着すると、メルカッツ大将は素早く艦隊を後退させて距離を取り、第一〇艦隊は危機を免れた。

 

 この日の作戦は、幽霊艦隊に三〇〇隻から四〇〇隻程度の損害を与えた代わりに、第一〇艦隊が八〇〇隻の損害を出す結果に終わった。幽霊艦隊に損害を与えたことを評価する者もいれば、敵の倍以上の損害を出したことを批判する者もいる。

 

 いずれにせよ、この作戦以降は幽霊艦隊が出現することはなくなった。「当初の目的は一応達成された」とする点においては、すべての者が一致するところだった。


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