銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(新版)   作:甘蜜柑

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第八章:勇者の中の勇者エリヤ・フィリップス
第75話:チーム・フィリップス復活 801年4月8日~8月 ハイネセンポリス~首都防衛軍基地~ハイネセンポリス


 上院・下院同時選挙から一〇日後の四月八日、ヨブ・トリューニヒト大衆党代表を首班とする新政権が発足した。統一正義党、汎銀河左派ブロック、独立と自由の銀河党(IFGP)、辺境市民連盟の四党を取り込んだことで、上院でもギリギリで過半数を越えた。

 

 トリューニヒト新議長は「頼れる国家」をスローガンに掲げ、「貧困と格差と利己主義と銀河帝国を撲滅する」と言った。優先課題として「国家分裂の回避」「景気回復」「軍事力の再建」「捕虜の早期帰還」「講和交渉中止」の五つをあげ、目標として「強大な軍隊」「手厚い福祉」「完全雇用」「内需主導の経済成長」「銀河帝国との徹底対決」の五つをあげた。あらゆる意味でこれまでの政権とは対照的だ。

 

 新政権では四個の無任所評議員ポストが追加され、閣僚ポストは一五個となった。トリューニヒト議長は四六歳、閣僚の平均年齢は四八歳と近年では最も若い評議会である。初当選したタレント出身議員が入閣する一方で、トリューニヒト議長の側近が要職を占め、他の四党にもポストが配分された。話題性と堅実さを兼ね備えた布陣といえよう。

 

 最も注目される国防委員長には、マルコ・ネグロポンティ大衆党幹事長が就任した。トリューニヒト派のナンバーツーを務め、「トリューニヒト派の総支配人」と称される重鎮だ。三月の選挙では選挙活動を指揮した。国防副委員長と国防委員をそれぞれ二度経験しており、政界有数の国防通と評される。

 

 俺のもとに現役復帰と中将昇進の内示が届いた。トリューニヒト議長が言うには、野党への根回しも済んだという。

 

「言ったとおりになっただろう?」

 

 トリューニヒト議長は陽光のような微笑みを浮かべる。かつて、彼は「選挙に勝ったら現役の中将にする」と言ったのだ。

 

「感謝しようもありません!」

 

 俺は何度も何度も頭を下げる。いつか復帰させてもらえると信じていた。それでも、実際に聞かされると嬉しくてたまらない。

 

「これからたくさん働いてもらう」

「お任せください!」

「頼もしい限りだ」

 

 トリューニヒト議長は満足そうに目を細める。

 

「次の任務はなんでしょうか?」

「首都防衛軍司令官をやってもらいたい」

「首都防衛軍司令官ですか?」

 

 我ながら間の抜けた答えだった。同盟人捕虜の帰還支援か、そうでなければ帝国人捕虜の送還支援を任されると思っていた。

 

「捕虜関係は良識派が仕切っている。セレブレッゼ君を押しこむので精一杯だった」

「なるほど、治安関係なら食い込めるということですか」

「その通りだ。あの連中は大艦隊を動かすのには向いている。だが、テロや海賊を押さえるのには向いていない。そこに我が派の伸びる余地がある」

「かしこまりました。期待に背かぬよう、全力で取り組みます」

 

 俺は口先では格好をつけた。しかし、心臓はゴムボールのように飛び跳ね、腹は強烈な痛みに襲われ、背中や手のひらは汗で濡れている。自分が負わされた責任の大きさを思うと、平静ではいられなかった。

 

 首都防衛軍は首星ハイネセンに駐留する常設統合部隊だ。創設以来、治安維持、災害派遣、実戦部隊への戦力提供を主な任務としてきた。兵員六一万人と銀河最強の防衛システム「アルテミスの首飾り」を有するが、その矛先が帝国軍に向けられたことはない。

 

 戦闘をしないとはいえ、首都防衛軍は暇ではなかった。一〇億三〇〇〇万人というハイネセンの巨大な人口は不安定要因だ。テロや暴動が起きやすいし、普通の惑星なら人が住まないような災害多発地域にも都市がある。非戦闘任務だけでも結構忙しいのだ。

 

「つまり、俺向けの部隊ってことか」

 

 そう結論づけた後、幕僚選びに取りかかった。なにせ六〇万人を抱える大所帯だ。少なくとも前方展開部隊司令部の倍は必要になる。

 

 最初に国防研究所戦略研究部長チュン・ウー・チェン宇宙軍准将に声をかけた。良識派体制で満足していそうな彼が来てくれるかどうか、結構不安だった。

 

「やりましょう」

「本当にいいのか?」

「今の体制は悪くないと思います。しかし、一強体制は良くありません。対抗勢力がいないと、立派な人物でもやることが雑になります。常に敵の目を意識するぐらいがちょうどいいのです」

「なるほど。対抗勢力として俺に期待してるのか」

「どうあがいても、この世から右翼は消えません。ならば、あなたのような人が右翼のトップになるのがベターです」

「君らしい理由だな」

「本音を言いますと、あなたの下で参謀をするのが楽しいのですけどね。あなたは意見をよく聞きますが、丸飲みにはしません。厳しくチェックした上で判断なさいます。ほど良い緊張感をもって仕事に取り組めます」

「褒められたと思っていいのかな」

「もちろんです」

 

 チュン・ウー・チェン准将はにっこり笑い、潰れたパンを差し出した。俺は受け取って口に入れる。程良い潰れ具合だ。こうして参謀長代行が決まった。

 

 副参謀長には、ドーリア星域軍司令官代理サフィル・アブダラ地上軍准将を選んだ。エル・ファシル七月危機で俺の副司令として頑張った。良識派からの評価も高いようで、ヤン大将とは確執があったのに軍縮後も現役に留まった。統合部隊には地上戦のプロも必要になる。

 

 サンジャイ・ラオ宇宙軍大佐を作戦部長、ハンス・ベッカー宇宙軍大佐を情報部長、マー・シャオイェン宇宙軍技術大佐を通信部長、アルタ・リンドヴァル軍医中佐を衛生部長とした。彼らが前方展開部隊にいた時と同じ職である。良識派体制でもいい待遇を受けていたのに、俺の下に戻ってきてくれた。どれだけ感謝してもしきれない。

 

 首都防衛軍に来なかった人もいる。元後方部長アルフレッド・サンバーグ宇宙軍大佐らセレブレッゼ派は、現役復帰したボスを助けに行った。元人事部長セルゲイ・ニコルスキー宇宙軍大佐のように、今の任務にやり甲斐を感じている人もいた。ドーソン系の人材はネグロポンティ国防委員長に呼ばれて国防委員会に行った。別の司令官と縁ができた人、退役して新しい人生を歩み始めた人もいる。

 

「君には世話になった。改めて感謝する。困ったことがあったらいつでも言ってくれ。どこにいても、俺たちは戦友だ」

 

 戻らなかった人には笑顔で別れを告げた。寂しくないといえば嘘になるが、幸せになってほしい気持ちはさらに大きい。

 

 イレーシュ・マーリア宇宙軍予備役大佐に、現役復帰と後方部長就任を要請した。俺の恩師の一人であり、前方展開部隊副参謀長であった彼女は、ラグナロック戦役の後に自ら軍を退いた。その後は故郷シロンに戻って茶産組合の事務員になっていた。用兵家としては今一つでも、相談役としては掛け替えのない人だ。

 

 エル・ファシルからずっと俺の下にいたセウダ・オズデミル宇宙軍大佐を人事部長、フィン・マックール以来の付き合いがあるシャリファー・バダヴィ宇宙軍准尉を最先任下士官とした。この二人に関しては、能力より忠誠心に期待して選んだ。

 

 作戦・情報・後方・人事・通信の各副部長には地上軍軍人を用いた。宇宙軍軍人の部長とのバランスを取ったのである。総務部、法務部、監察官室、広報官室については、長を地上軍軍人、副長を宇宙軍軍人とした。

 

「主要メンバーはだいたい固まった。残ったのは副官だな」

 

 俺は端末を操作して副官候補者のファイルを開くと、名前を身長の低い順に並べ替えた。身長の低い人に悪い人はいない。その中から有能そうな人を探す。

 

「だめだなあ」

 

 俺はマフィンを食べて糖分を補充した。検索対象を高身長者に広げても、いい人材が見つからない。リストに載っているのは、一流半から二流の若手である。一流の若手は主要機関や花形部隊に取られてしまう。

 

 良い副官とは忠実な手足であり、良きアドバイザーであり、人間関係の潤滑剤であり、ボディーガードでもある。だからこそ妥協はしたくなかったのだが。どうやら副官選びに苦労する星の下に生まれついたらしい。

 

 

 

 イレーシュ予備役大佐と一緒に首都防衛軍の下見をした時、副官選びの愚痴がこぼれ出た。弱い部分も恩師には見せられる。

 

「条件を下げても見つからなくて」

「絶対譲れないラインは?」

「コレット中佐の九割程度の力があれば十分です」

 

 本当に必要最低限と思う条件を俺が言うと、イレーシュ大佐は呆れ顔になった。

 

「贅沢すぎる条件だと思うけど」

「そうですかね?」

「知力、体力、人柄が全部あの子の九割でしょ。滅多にいないって」

「理想を言うなら一〇割です。妥協して九割にしました」

「その基準がおかしいのよ。あの子を取れたのは、本当に運が良かったんだから」

 

 完全な正論であった。コレット中佐のスペックは士官学校優等卒業者に匹敵する。本来なら主要機関や花形部隊にいる人材だ。士官学校の成績が最低に近く、父親が軍の名誉に泥を塗った人物だったので、簡単に取れたのだ。

 

「彼女クラスの人材が都合良く埋もれてるなんて、滅多にない話ですしね」

「なんだかんだ言っても、士官学校の成績は信用できるよ。総合力がないと上位になれないから」

「どうしましょうか?」

「あの子でいいじゃん。前みたいに副官事務取扱ってことにすれば」

「やめときます」

 

 コレット中佐を副官にする気はなかった。ラグナロック戦役が終わった時、彼女の正式な肩書きは「前方展開部隊司令部付・副官事務取扱」だった。佐官は少将の副官になれないからこうしたのだ。同じ手を使えば、中佐でも中将の副官にできる。それでも、彼女だけはだめだ。

 

「背が高いから?」

「違います」

 

 俺は即座に否定した。一八二センチの身長は重大な欠点ではあるが、他の美点を打ち消すほどではない。

 

「だったら何なの?」

「彼女は俺の言うことを聞きすぎるんです。一週間前のこと、覚えてますよね?」

「ああ、あれかあ」

 

 イレーシュ予備役大佐の顔に「だったらしょうがないよね」という文字が浮かんだ。あの場面にいた人は誰だってまずいと思うだろう。

 

 一週間前、イレーシュ大佐の現役復帰祝賀会を開いた時のことだった。俺、イレーシュ大佐、コレット中佐、マー技術大佐、カプラン少佐の五名が四次会まで残り、だらだらと話していた。

 

「もし、命令が間違ってると思ったらどうする?」

 

 俺が話題を振ると、コレット中佐が最初に口を開いた。

 

「命令者は誰ですか?」

「誰でもいい」

「信頼関係によって変わります」

「確かにそうだな。話せる上官とそうでない上官では答えは違う。両方を想定してくれ」

「かしこまりました。では、話せる上官の方から考えます」

「よろしく頼む」

「間違っていると思っても従います」

「根拠は?」

「私にとって話せる上官といえばあなたです。あなたは絶対に間違いません。ならば、間違っているのは疑った私です」

 

 コレット中佐は真顔でぶっ飛んだ答えを出した。

 

「間違ってばかりだぞ」

「あなたのおっしゃることはいつも正解でした」

「それは君の実力だ」

 

 俺が言ったのは単なる事実だった。曖昧な指示や抽象的な助言でも、彼女は足りない部分を補って結果を出してしまう。

 

「私は大した人間ではありません。正しい指示をいただいたおかげです」

 

 コレット中佐の顔には謙遜の色などなかった。本気でそう信じているのが見て取れる。

 

 ラグナロック戦役後、宇宙母艦艦長になったコレット中佐は俺の助言を求めた。俺が統率に関して「プライドを大事にしろ」と言うと、彼女は荒っぽい艦載機乗りの敬意を勝ち取った。俺が部隊運営の基本を教えると、半年で彼女の艦は模範艦となった。俺の助言だけ聞くのは良くないので、「上官ともっと相談しなさい」と言うと、彼女は二人の娘を持つ上官から「私の三人目の娘」と呼ばれるようになった。これらの実績を評価されて、母艦群司令代理に昇格したのだ。

 

 助言を生かせるのは優れた者に限られる。俺に助言を求めた元部下は何十人もいた。その中で成功をしたのは半分しかいない。仮に俺の助言が正しかったとしても、世の中には摩擦というものがある。助言と現実の摩擦を克服する能力こそが重要だろう。

 

「とにかく、俺が間違った指示を出すと仮定するんだ」

 

 俺は強引に話を戻した。コレット中佐の低すぎる自己評価については言いたいこともあるが、話をややこしくしたくなかった。

 

「仮定できません」

「常識的におかしな指示でもか?」

「そのような指示をなさるとは思いません」

「じゃあ、服を脱いで裸になれと言われても従うのか?」

 

 思いつく限り最も非常識的なことを言ってみた。これなら彼女も気づくだろうと思ったのだ。

 

「従います」

「えっ?」

 

 俺とイレーシュ大佐とマー技術大佐は呆然となった。カプラン少佐だけは気にせずにバナナを食べている。

 

「あなたは無意味な指示はしません」

「いや、でも、これはおかしいだろう」

「あなたの指示なら従います。お疑いでしたら、今すぐ命令してください」

 

 コレット中佐のアーモンドのような目が俺を見つめる。その手はブラウスの一番上のボタンにかかっている。命令と同時に脱ぎ始めるつもりだろう。

 

「君が俺を信頼しているのはわかった! 脱ぐな! これが命令だ!」

 

 俺が命令すると、コレット中佐はボタンから手を離した。イレーシュ大佐とマー技術大佐は胸を撫で下ろし、カプラン少佐は残念そうな顔をした。

 

 このようなことがあったので、コレット中佐を副官候補から外した。彼女を評価しているからこそ、俺の後を追うだけで終わってほしくない。追いつき追い越してほしかった。チーム・フィリップスに戻すにしても、広い世界を知ってからだ。

 

「師匠と弟子みたいだね」

 

 イレーシュ予備役大佐が母親のような笑みを浮かべる。

 

「初めて育てた部下の一人ですから」

「君は私を追い越した。彼女もいつか君を追い越すよ」

「俺はまだまだです」

「とっくに追い越してるって。私は冴えない大佐、君は当代の名将なんだから」

「そんなことはおっしゃらないでください。自分の器量はわかっています。部下や戦友に恵まれただけの凡将ですよ」

「君とコレット中佐は似た者師弟なのかもね」

「俺はあんなに自己評価が低くないと思いますが」

「もし君の一人称で書かれた小説があったら、読者はエリヤ・フィリップスが凡将だと思うんだろうねえ」

 

 イレーシュ大佐が遠くを見るような目つきで俺を見る。

 

「俺の評価は置いときましょう。とにかく副官を決めないと」

「カプラン君は?」

「副官に一番向いてないタイプじゃないですか」

「まあね」

「やっと外に出せたんです。戻ってこられては困ります」

 

 俺は軽く眉をしかめた。エリオット・カプラン少佐は意欲も能力もなかった。プライベートで付き合う分にはいいが、部下にするのは嫌だ。伯父のカプラン国務委員長に対し、「彼はリーダーシップがある。指揮官に向いている」とアピールし、艦艇勤務へ追いやることができた。

 

「じゃあ、誰にする?」

「ええと……」

 

 頭の中に浮かんだのは、妹のアルマ・フィリップス地上軍大佐だった。能力は飛び抜けている。俺を尊敬しているという悪癖はあっても、盲信はしていない。身長と階級がもっと低くて血縁者でなかったら理想の副官だ。

 

「あんな感じです」

 

 俺は視線を数メートルほど先に向けた。癖のないまっすぐな赤毛、きれいな卵型の顔、乳白色でつやつやした肌、ぱっちりとした目、ぴんと伸びた背筋。まさしく妹……。

 

 違う、あの女性は妹ではない。今の妹は染めるのをやめたが、ゆるいウェーブがかかっている。身長はもっと高い。では、一体何者なのか。

 

「ユリエ・ハラボフ大尉?」

 

 イレーシュ大佐が懐かしい名前を口にした。

 

「ご存知なんですか?」

「統合作戦本部にいた頃にね。接点は全然なかったけど。私は人事部、ハラボフ大尉は情報部だったから」

「俺とも古い知り合いなんですよ」

 

 俺は心の中で「いい知り合いではないけど」と付け加えた。七年前、俺とハラボフ大尉の間には確執があったのだ。

 

 ユリエ・ハラボフ大尉はドーソン中将の副官を務めた女性だ。前任者の俺は無神経なことを言って、悩んでいる彼女を怒らせてしまった。しかし、七年も経てば時効だろう。彼女も憲兵隊での挫折からとっくに立ち直ってるはずだ。今頃は大佐か准将になっているに違いない。

 

 ところが、ハラボフ大尉に声をかけると気まずい空気が流れた。俺が少将なのに対し、向こうは少佐で予備役軍人徽章を着けている。だいぶ前に予備役へと編入されたらしい。予備役訓練で基地に顔を出したようだった。

 

 家に帰った後、ハラボフ予備役少佐が予備役に編入された理由を調べた。すると、ある知人から「無能だと評判が立って何度も左遷された」と聞かされた。

 

 さらに詳しく調べるうちにとんでもない事実が判明した。無能の評判の元はこの俺だったのだ。いい加減な人が「ハラボフは英雄フィリップスと仲が悪い。きっと無能なのだ」と言いふらし、トリューニヒト派軍人が真に受けた結果、ハラボフ予備役少佐は四年前に予備役となった。

 

 俺は罪悪感に駆られた。知らなかったとはいえ、俺がハラボフ予備役少佐の軍人人生を終わらせたようなものだ。ダーシャはシトレ派の名将との不仲から無能と思われた。それよりずっと不幸な目に遭わせてしまった。

 

 おそらく向こうは俺と話したがらないだろう。そっとした方がいいと思わないでもないが、それでも謝罪の意思があることだけは伝えたい。断られて当然、対話に応じてもらえれば儲け物と考えた。

 

 意外にもハラボフ予備役少佐は対話に応じてくれた。ただし、通信画面の映像をオフにして欲しいという条件付きだ。俺は喜んで受け入れた。

 

「お久しぶりです。どのようなご用件でしょうか?」

 

 ハラボフ予備役少佐の声は七年前とあまり変わらなかった。

 

「今日は――」

 

 俺は悪評の元を作ってしまったこと、不遇に陥れてしまったこと、トリューニヒト派が悪評を信じてひどい仕打ちをしたことを謝った。

 

「そうですか」

 

 ハラボフ予備役少佐はそっけなく答えた。

 

「取り返しの付かないことをしてしまった。できる限りの償いをしたい」

「何をなさるおつもりですか?」

「経済的な償いも名誉回復の手伝いもする」

「名誉回復の手伝いって何でしょう?」

「訴訟したいなら証人に立つし、費用も出す。軍人としての評価を取り戻したいなら、相応のポストを用意する」

「相応のポストとは」

「俺は首都防衛軍司令官に内定した。だから、首都防衛軍の幕僚職はすぐ用意できる。時間は少しかかるけど、うちの派閥が抑えてる国防委員会のポストもある」

「でしたら、首都防衛軍の幕僚を希望します」

「いいのか?」

 

 俺は聞き返してしまった。選択肢として示しただけで、彼女が俺の下で働きたがるとは思わなかったからだ。

 

「七年前の失敗を取り返します」

 

 静かな決意に満ちた声だった。七年前、彼女は俺を意識しすぎて失敗した。もう一度俺と関わることで克服しようというのだ。

 

「悪いのは俺だ。変なプレッシャーをかけてしまった」

 

 俺は真っ暗な画面に向かって頭を下げる。かつてのハラボフ予備役少佐は、「あなたの後任を務めるのは大変です」とため息をついた。それに対し、俺は「雑な仕事したせいで苦労させてすまない」と答えたのである。後になって無神経だったことに気づいた。

 

「お気になさらないでください。私が閣下に及ばないのは事実でしたから」

「そんなことは……」

 

 反射的に否定しかけた時、過去の光景を思い出した。ダーシャ、スコット准将、ベッカー大佐の三人から、ハラボフ予備役少佐への対応を批判された時のことだ。

 

「――たぶん、彼女はフィリップス少佐に敵わないと思ってたんですよ」

 

 ベッカー大佐の言う通り、ハラボフ予備役少佐は俺に敵わないと思っていた。

 

「フィリップス少佐は変に謙遜し過ぎなんです。ほどほどにしないと嫌味ですよ。もっと自然体でいいんです、私みたいにね」

 

 ダーシャの言う通り、俺の謙遜はハラボフ予備役少佐に対しては嫌味になる。

 

 大事なのは俺がどう思っているかではなかった。ハラボフ予備役少佐がどう思っているかが大事だった。

 

「いや、確かに君は俺に及ばなかった。それでも、嫌味を言うのは間違いだ。部下を持ってみてわかった。自分よりできる人間なんて滅多にいるもんじゃない。辛抱強く接することが大事だと学んだ」

 

 俺は「できない人の気持ちがわからなかった」というストーリーを演じた。

 

「憲兵隊での君はいい仕事をしたと気づいたよ。憲兵司令官室は仕事をしやすい環境だった。君のことを思い出すたびに、『こういう仕事ができる部下が欲しい』と思ったもんだ。自分と比べたら物足りない。けれども、部下としてなら大満足だ」

「お気遣いは結構です」

「本気で言っている。五年前のエル・ファシルに君がいたら、俺の苦労は半分で済んだ」

 

 この言葉に嘘偽りはない。ハラボフ予備役少佐クラスの幕僚が一人でもいれば、かなり楽になった。

 

「わかりました」

 

 真っ暗な画面の向こうから無機質な声が返ってくる。今の一言にハラボフ予備役少佐がどんな意味を込めたのかはわからない。

 

「首都防衛軍で働いてみるか?」

「条件が二つあります」

「なんだ?」

「役に立たないと思ったら首にしてください。そして、この通信の内容は秘密にしてください」

「理由を聞いてもいいか?」

「実力で認めていただかないと、評価は取り戻せませんから」

 

 罪滅ぼしの気持ちだけで接してほしくないということか。士官学校を一六位で卒業したエリートらしい矜持だ。

 

「承知した」

「喜んでお引き受けします」

 

 こうしてハラボフ予備役少佐の現役復帰と副官代理就任が内定した。彼女が「本当に認めた時に正式な副官にして欲しい」と言うので、今は代理止まりだ。新生チーム・フィリップスの陣容は整った。

 

 

 

 四月二三日、俺は現役復帰を果たし、宇宙軍中将・首都防衛軍司令官となった。

 

「眠れる獅子が目覚めた!」

「勇者の中の勇者が現役復帰!」

「トリューニヒト議長、テロとの戦いに切り札を投入!」

 

 マスコミは凄まじい盛り上がりを見せた。エリヤ・フィリップスの名前は、予備役にいる間に大きく膨れ上がった。今では戦争の英雄であると同時に、ペンション・アーミーで活躍した退役軍人支援活動家であり、オウミ裁判やラグナロック戦犯裁判にも関わった政治的軍人でもある。復帰しただけでサプライズなのだ。

 

 その他にもサプライズ人事が連発された。反同盟派として名高いジェラントート星系のクロウチェク前首相を議長上級顧問に登用し、辺境との和解を強調する。テレビでお馴染みの右派文化人ヴァーノン教授ら右派人士十数人を、議長補佐官として迎え入れ、右派色を強く打ち出す。右派新聞『シチズンズ・フレンズ』論説委員から抜擢されたファン=デイク議長報道官、大手軍需企業ヘンスロー社会長から起用されたヘンスローフェザーン駐在高等弁務官らも注目を集めた。

 

 トリューニヒト議長は行動もサプライズに満ちている。応援Tシャツを着て立見席からプロフライングボールを観戦し、コンサート会場でファンと一緒にペンライトを振り、大食いコンテストに飛び入り参加して準優勝に輝き、市民の親近感をくすぐった。テロで殉職した警官の葬儀に足を運び、児童養護施設を訪れて子供たちと一緒に食事をとり、優しさを示すことも忘れない。

 

 その一方で脇の甘さを示す事件が起きた。選挙で勝った翌日に、二〇歳の大衆党新人議員が飲酒運転で事故を起こし、議員辞職に追い込まれた。その三日後には九五歳の大衆党新人議員が失言して批判を浴びた。その後も新人議員のスキャンダルや失言が連続した。地方首長や地方議員だった新人議員の中には、当選前の汚職疑惑を掘り返された者がいる。

 

 四月下旬、トリューニヒト議長は、フェザーンが提案した銀河経済復興計画「ルビンスキー・プラン」を受け入れる意向を示した。積極財政の資金を調達する目処がついたのである。ただし、進歩党と財政官僚が激しく抵抗しており、しばらくは論戦が続くだろう。

 

 帝国とは講和交渉を打ち切る方向で話を進めている。実のところ、帝国は打ち切りに前向きだった。講和条約を結んだ場合、同盟を対等の国家と認めなければならない。そうなると、帝国の国家としての正統性が揺らぎかねないのだ。移民の完全自由化、相互軍縮協定も受け入れ難かった。こうしたことから、休戦協定に留めたいとの合意ができつつあった。

 

 一方、同盟国内の講和派は交渉継続を強く主張した。彼らから見れば、講和交渉は同盟社会を軍事負担から解放するチャンスなのだ。

 

 トリューニヒト派と反トリューニヒト派は激しく対立した。戦争終結と軍縮を望む軍部良識派、改革継続を求める国民平和会議(NPC)と進歩党、戦争に反対する反戦市民連合、財政均衡にこだわる財政官僚、行政改革と講和交渉を主導した国務官僚、移民導入を進める人的資源官僚、貿易中心の経済を作りたい経済官僚が、緩やかな反トリューニヒト同盟を組んだ。財界・学界・マスコミの改革派がこの同盟に力を貸した。

 

「トリューニヒトは時計の針を逆行させようとしている!」

「逆行させて何が悪い! 改革は我々を豊かにしたのか!? 貧しくなっただけではないか!」

「改革前の同盟は腐りきっていた! 民主主義への信頼は失われていた! クーデター未遂が一年に五回も起きる時代に戻りたいか!?」

「腐っていても飯は食えた! 今は何もないぞ!」

 

 両派は激しい論争を繰り広げた。どちらにも根拠がある。トリューニヒト派の言うように、改革は経済を酷く痛めつけた。反トリューニヒト派の言うように、改革前の同盟は腐敗と混乱の極みだった。それゆえに言葉では決着が付かない。

 

 トリューニヒト派は議会を掌握し、反トリューニヒト派は主要官庁を掌握している。一見した限りでは、トリューニヒト派の方が優位に見えるだろう。しかし、実際は互角に近かった。

 

 政治家と官僚の関係は一筋縄ではいかない。制度の上では、政治家が方針策定と意思決定の担当者であり、官僚は政策の立案・実行の担当者だ。政治家が「こういう方針で行く。政策案を作ってくれ」と言うと、官僚は方針に沿った政策案を作って提出する。政治家が提出された案を承認すると、官僚は下部組織に政策を伝えて実施させる。司令官と幕僚の関係と言えばわかりやすい。

 

 官僚は政策のプロとして政治家に助言を行う。これもまた司令官と幕僚の関係に近い。政治家の方針がおかしいと思えば、プロとして反対する。政策案を示す時は、プロの視点からメリット・デメリットを伝える。

 

 官僚が「無知な政治家が変なことを言っている」と思い、政治家が「官僚は政治がわかっていない」と思うと対立が生じる。政治家が官僚を説得して意見を変えさせることもある。逆に官僚が政治家を説得できることもある。それが無理なら力勝負だ。政治家に力があれば官僚の「助言」を拒否できるが、力がなかったら「助言」に屈服させられる。組織を握っているのは官僚だ。官僚を動かせないなら組織も動かせない。

 

 大衆党には官僚を動かせる政治家が少なかった。総議員の八割以上が新人議員、入閣経験者はトリューニヒト議長ただ一人である。NPCでは中堅だったネグロポンティ国防委員長やカプラン国務委員長ですら、大衆党では大ベテランだった。他の与党のうち、統一正義党、汎銀河左派ブロック、IFGPは野党暮らしが長く、国政レベルの政務には疎い。辺境市民連盟のNPC離党組に、副委員長や委員の経験者がいる程度だ。これでは官僚を動かすなどおぼつかない。

 

 トリューニヒト派は政策論争で敗北を重ねた。各委員会内部の議論では、知識も人脈もない委員が官僚に翻弄された。議会においては、経験の浅い委員長や副委員長が、経験豊かな旧与党議員に圧倒された。

 

 国防委員会ではやや優位に立っていた。国防に詳しいネグロポンティ国防委員長が上に立ち、政策通の国防委員長補佐官ロックウェル予備役中将が脇で支える。トリューニヒト系の国防族議員が副委員長や国防委員を務める。国防委員会官僚との政策議論では苦労しなかった。

 

 問題は統合作戦本部であった。議長の軍事面における助言機関なので、軍隊の運用について決定的な発言力がある。シトレ門下の戦略家に対し、戦略議論で太刀打ちできる政治家はいなかった。市民は統合作戦本部にいるラグナロックの英雄たちの味方だ。軍全体が政治家との付き合いを避ける方針なので、懐柔することもできない。統合作戦本部の「助言」に対抗する術はなかった。

 

 トリューニヒト派は手持ちの資源に望みをかけた。議長の出身母体である同盟警察、その上部組織である法秩序委員会、そして辺境の親同盟派だ。

 

 五月一日、同盟警察は大規模な治安回復作戦に取り掛かった。辺境各地の星系警察から航路警備部隊を借り受け、艦艇二万二〇〇〇隻と地上戦闘要員一五〇万人が集まった。これらの兵力は星系警察配下なので、議会や軍部の同意がなくても動かせる。

 

 この作戦は「辺境正常化作戦」と名付けられ、同盟警察保安担当副長官チャン警視監が総指揮官に任じられた。リムゼーヌ星系航路保安隊司令官ドーソン警視監、ヤム・ナハル星系航宙警備隊司令官ワイドボーン警視監、サンタ・バルバラ航宙警察隊司令官パリー警視監の三名が実質的な指揮をとる。彼らは同盟軍の予備役将官でもあった。

 

 シヴァ星域からイゼルローン回廊に至る宙域に、軍艦や戦車を有する「警察」が雪崩れ込んだ。圧倒的な武力が反同盟武装勢力や宇宙海賊を押し潰す。主力を叩いた後は数万人の「武装警察官」が掃討作戦にあたる。親同盟派と反同盟派の内戦はすべて収まった。同盟体制からの分離を模索していた星系は大人しくなった。ほんの三か月で辺境の二割が静まったのである。

 

 市民は目の覚めるような戦果に大喜びした。ドーソン警視監、ワイドボーン警視監、パリー警視監の三名は一躍英雄となった。部隊レベルや個人レベルでの勇者は数えきれない。マスコミは辺境正常化作戦の英雄たちを褒め称え、ドキュメント番組や特集記事を量産する。

 

 もちろん、負の側面もあった。周到に住民を避難させたとはいえ、数千人の民間人が巻き添えになって死に、それに数倍する負傷者が出た。可能な限り人が住んでいる場所での戦闘は避けたが、それでも広い地域が焼け野原と化した。武装警察官による暴行や殺人も起きた。一〇〇個以上の有人惑星で戦ったにしては少ないが、それでも被害者がいることには変わりない。

 

 多大な被害に対し、政府は可能な限り誠実な対応をとった。損害を受けた自治体には莫大な補償金が降り注いだ。死傷者に対する補償も迅速に行われた。罪を犯した武装警察官は速やかに処罰された。この作戦に命運を賭けたトリューニヒト派は、神経質なまでに気を使ったのである。パトリオット・シンドロームの時とは正反対の対応は話題を呼び、市民は「トリューニヒトは変わった」と感じた。民間への被害は、結果としてトリューニヒト議長の評価を高めることとなった。

 

 相対的に評価を落としたのが軍部だ。市民を巻き込むことを恐れて、反同盟武装勢力討伐や内戦への武力介入に消極的だった。地方部隊はすべて住民保護と流通確保にあてられた。おかげで辺境は騒乱状態でもほとんど死者を出さずに済んだ。それでも、人々は軍にやる気がないと感じ、やる気をみなぎらせた「警察」を歓迎した。

 

 捕虜交換事業で軍部は有能さを示した。オーディン政府の求めに応じ、四月初めに復員支援軍を増員したのが功を奏している。

 

 増援を派遣するにあたり、統合作戦本部次長ヤン大将が復員支援軍の新司令官に任命され、旧第一三艦隊系部隊を率いた。トリューニヒト議長の意向によるものだ。

 

「ヤン君は勝手なことをしない男だ」

 

 理由を問われると、トリューニヒト議長はそう答えた。しばしば、復員支援軍配下の部隊が反乱者を勝手に支援する事件が起きた。同盟軍人はオーディン政府よりも、平民や親同盟勢力に共感を覚える傾向が強い。その点、ヤン大将は冷静だ。ラグナロック戦役において、ヤン大将は自由を尊重する立場から選挙介入を禁じ、内乱の種になると親同盟派住民への武器供与を止めた。こういう人物ならば安心できるというわけだ。

 

「きっとヤン君は任務を果たすだろう。すべてが終わった時は、元帥号と統合作戦本部長の地位をもって報いたい」

 

 トリューニヒト議長は全幅の信頼をヤン大将に示した。もっとも、俺が真意を聞くと、「統合作戦本部長を一期やらせて引退させれば、三年で軍から追い出せる」との事らしい。現本部長のボロディン大将を引退させる口実にもなるそうだ。政治家は恐ろしいことを考える。

 

 恐ろしいといえば、遠征推進派の大物の微罪逮捕が相次いだ。〇・五キロのスピード違反で逮捕された者、引っ越した当日に「居住地と免許証に記載された住所が違う」と言われて逮捕された者すらいる。相当な数の警察官が遠征推進派に張り付いているのだろう。遠征絡みの汚職摘発に繋げるのが真の狙いだと思う。それでも、強引すぎて怖くなる。

 

 憂国騎士団のテロは衰える気配を見せない。テロを取り締まるべき同盟警察公安部が放置しているのだ。公安部といえばトリューニヒト議長の出身母体であり、保安担当副長官が統括する「保安警察」の一部だ。ノンフィクション本『憂国騎士団の真実』には、保安警察・極右政治家・憂国騎士団が繋がっていると書かれていた。もしかしたら事実なのかもしれない。

 

 活動が派手になれば失敗も多くなる。憂国騎士団もその例外ではなかった。アッテンボロー少将に撃退され、ラグナロックの英雄を攻撃したことで市民の怒りを買った。この件以降、彼らはラグナロックの英雄を批判することすらやめた。八六歳の戦犯ルチオ・アルバネーゼ退役大将を襲った時は、隊員四人が老人一人に叩きのめされてマスクを剥がされた。支部が爆破されたり、隊員が何者かに襲われたりもした。

 

 一方、首都防衛軍は多忙を極めた。毎日のように新しい兵士が入ってくる。予備役部隊に編成替えされていた部隊が現役部隊に戻される。司令部は事務作業に追い回された。

 

 兵力を減らすのは政治的に難しく、兵力を増やすのは物理的に難しい。兵士が一人増えたら、一人分の衣服、一人分の食事、一人分のシーツ、一人分の装備が必要になる。一万人増えたら、ベッド一万台、食事一万食、シーツ一万枚、装備一万セットを調達することになるのだ。兵士は部隊に組み込み、適切な訓練を施し、規律を叩きこまないと戦力にはならない。

 

 できあがった部隊をどこに配置するかも難しい問題だ。首都防衛軍の場合、適切に配置しないと市民が困る。どこで災害やテロが起きてもカバーできるように配備する。

 

「旧第六地上軍の基地を使えるかどうか、交渉してくれ!」

 

 俺はマフィンを片手に指示を飛ばす。忙しくなると脳みそが糖分を求める。おかげでマフィンを食べる量が倍に増えた。

 

 こうした作業の間にも事件は起きる。俺が司令官になってから三か月の間に、三度の災害出動と一度の治安出動を経験した。六月の巨大台風が特に酷かった。災害派遣を指揮した功績で勲章をもらえたほどだ。一段落するまではマフィンを食べる量が三倍に増えた。

 

「お兄ちゃんはセンジュカンノンだそうだよ」

 

 マフィンを俺より多く食べる妹が変なことを言った。

 

「センジュカンノン?」

「ブッキョウって言う古代宗教の神様。千本の手があるんだって」

「なんだそりゃ」

「仕事がめちゃくちゃ早いから」

「早くしないとみんなが困るじゃないか。首都防衛軍は一〇億人の守りだ」

 

 俺は“一〇億人の守り”を強調した。首都防衛軍は前線に出ることはないが、艦隊よりもずっと直接的に市民を守る仕事だ。頑張るほどトリューニヒト議長の人気も上がる。忙しいけれども、やり甲斐は大いにあった。


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