銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(新版)   作:甘蜜柑

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第90話:英雄になれなかった男 801年12月28日 インカダ市郊外の星営住宅

 リオヴェルデ星系第三惑星メディアルナは、同盟首星ハイネセンから二日の距離にある。俺とイレーシュ・マーリア准将は一二月二六日にハイネセンを出発し、二八日午前六時にメディアルナへと降り立った。

 

 星都カンタールからリニアと電車を乗り継ぎ、北極圏のインカダへと向かう。インカダはウィレム・ホーランド予備役中将の出身地であり、現住地でもある街だ。俺はホーランド予備役中将の真意を知りたかった。イレーシュ准将は、士官学校に通っていた頃からホーランド予備役中将と仲が悪かったが、「一度会ってみたい」と言って着いてきた。

 

 インカダ駅に降り立った瞬間、世界が真っ白になった。雪が風に乗ってホームの中を舞い踊る。床やベンチには雪が積もり、屋根の端からつららが垂れ下がっていた。巨大な冷凍庫の中に無理やり駅を作ったかのようだ。

 

「寒い!」

 

 情けない悲鳴が俺の口から飛び出した。体がぶるぶると震えだす。歯がかちかちと音を立てる。目に涙がにじんできた。

 

 寒さには十分に備えたつもりだった。耳当てが付いた合成毛皮の帽子をかぶり、合成毛皮のコートの下には厚手の服を五枚も重ね着し、ズボンを二枚重ねて履いた。首の回りにはマフラーを重ね巻きにした。分厚い防寒手袋を手にはめた。重ね着のせいで体が丸っこく見える。それなのに寒いのだ。

 

「寒がりすぎ」

 

 イレーシュ・マーリア准将は呆れ顔で俺を見た。俺と同じような格好だが、体の輪郭はほっそりしている。

 

「あなたがおかしいんですよ。コートの下、二枚しか着てないんでしょう?」

「十分だけど」

「シロン生まれじゃないですか。俺より寒さに弱くないとおかしいですよ」

 

 俺はイレーシュ准将が寒さに強いなんておかしいと力説する。茶産地なんて熱帯か亜熱帯だ。

 

「とりあえず、そばでも食べようか」

 

 そう言ってイレーシュ准将は歩き出した。俺は後を付いて行く。階級が三つ上になっても、プライベートでは教え子のままだ。

 

 売店でインカダそばを三杯食べ、体を温めてから駅を出た。雪色に染まった街並みが目の前に広がる。建物にも道路にも雪が積もっていた。ブーツが足首まで埋もれるほどだ。年末だというのに人通りが少なく、活気が感じられない。

 

「ホーランドはこんな街で生まれ育ったんだねえ」

 

 イレーシュ准将は感慨深げに呟いた。以前と比べると、ホーランド予備役中将に対する反感は薄れたようだ。だからこそ、会いに行くのだろう。

 

 ホーランド予備役中将が住む退役軍人向けの星営住宅は、寒い街の郊外にあった。大きな川のほとりに古びた長方形の建物が連なる。薄汚れた建物の外壁は白い。氷が浮いた川の水は暗色だ。空はどんよりとした灰色に染まり、真っ白な雪が地面と建物を覆う。白黒写真のような光景だ。見ているだけで気分が暗くなってくる。

 

「ここです」

 

 俺は「F棟」というプレートがかかった建物を指さした。だが、イレーシュ准将は入ろうとしない。

 

「一人で行ってきな。私は街に戻るから」

「ホーランド提督に会わないんですか?」

「明日にするよ。こういう話は二人きりの方がいいでしょ」

「確かに」

 

 イレーシュ准将に頭を下げると、俺は一人でF棟に入った。昼の一三時だというのに、やたらと薄暗い。壁はひび割れており、手すりはさび付きがひどく、メンテナンスされていないことが一目でわかる。隙間から入り込んでくる寒風が共用廊下を吹き抜けていく。

 

「こんなところに住んでいるのか……」

 

 ホーランド予備役中将が気の毒になった。宇宙軍のエースだった人の住まいとしては、あまりにみすぼらしすぎる。

 

 俺は首を横に振った。気を抜いてはいけない。不遇だからこそ、俺を騙すのに必死だとも考えられるからだ。追い詰められると人間は何でもする。そのことを前の人生で嫌というほど思い知らされた。

 

 エレベーターらしき扉を見つけたので近寄ってみると、「故障中」と書かれた紙が貼ってある。貼り紙はかなり黄ばんでいた。長い間修理されていないようだ。

 

「仕方ない。階段を使うか」

 

 階段を一つ一つのぼっていく。こんなに寒い建物の中を歩くのは嫌だ。それでも、エレベーターが使えないのだから仕方がない。

 

 六階に上がり、「六〇五号室」と書かれたドアを控えめに叩く。アポを取った時、「インターホンが壊れているから、ドアを直接ノックしてくれ」と言われたからだ。

 

「どちらさんだね?」

「フィリップスです」

「入ってくれ」

 

 二年八か月ぶりのホーランド予備役中将は、別人のようだった。金色の髪は長めでぼさぼさ、端正な顔は肉付きが薄く、平凡な優男といった感じだ。透き通るような青色の瞳には、穏やかな光が宿る。着ているネルシャツは見るからに安っぽい。体は一回り細くなり、かなり痩せたように思われる。かつての覇気はまったく感じられない。

 

 俺は呆然とした。以前とまったく別の人間になってしまったように思えたのだ。見た目は多少変わっているが、俺の知っているホーランド予備役中将なのは間違いない。しかし、中に入っている魂が別物だと感じる。

 

「ご無沙汰しておりました」

 

 内心の動揺を隠し、背筋を伸ばして敬礼をする。

 

「よく来てくれた」

 

 ホーランド予備役中将は敬礼を返すと、俺を室内に通した。足がややふらついている。怪我の後遺症だろうか。

 

 キッチンとリビングを兼ねる部屋を通り抜け、個室へと入った。両側には本棚が並び、正面には大きな窓がある。白一色に統一された壁紙と家具は、病室のような印象だ。明るい感じがするのは整頓されているからだろう。写真がたくさん飾ってあるが、ホーランド予備役中将が一人で写った写真はなく、すべて他の人と一緒に写った写真だ。勲章や賞状は一つも飾られていない。

 

「飲み物は何にする? コーヒー、紅茶、グリーンティーがあるが」

「コーヒーをお願いします」

「砂糖とクリームは?」

「砂糖を六杯、クリームを五杯入れてください」

 

 俺は笑顔を作り、心の中で「あなたはこんな人じゃないだろう」と呟いた。誰に対しても熱いグリーンティーを出し、「私が入れたんだから、うまいに決まってる」と胸を張るのが、ウィレム・ホーランドではないか。

 

 出てきたコーヒーは意外とうまかった。酸味が強くていかにもインスタントといった感じだが、濃度がこれ以上ないほどに適切だ。

 

「味はどうだね?」

「おいしいです」

「気を使わんでもいいぞ」

「本当です。工夫なさったのですか?」

 

 適当にいれても、おいしいコーヒーは作れない。ビューフォート准将あたりは、「砂糖を六杯も入れたら、誰が作っても同じだ」と笑うだろう。だが、単純な味だからこそ技量が物をいうのだ。二年前に亡くなったマーキス兵長が作るコーヒーは、おそろしくまずかった。

 

「何もしていないが」

「感覚でわかったんですね」

「昔から要領をつかむのはうまいんだ」

「あなたは戦場でもそうでした。一目で敵の弱点を見抜いてしまう」

「要領がいいだけだがね」

 

 ホーランド予備役中将の痩せた顔に、自嘲の色が浮かぶ。

 

「そんなことはありません」

 

 俺は即座に否定した。こんな顔をするウィレム・ホーランドなど見たくない。「私がナンバーワンだ」と高笑いしてほしかった。

 

「フィリップス君は優しいな。第一一艦隊はみんな優しい」

「先日は葬儀にメッセージを送っていただき、ありがとうございました。ストークス提督のご遺族も喜んでおられました」

「ストークスさんには世話になった。これぐらいのことはしないとな」

 

 ホーランド予備役中将は小さく笑うと、グリーンティーに口をつけた。ゆっくりと味を噛み締めるように茶をすする。

 

「ホーランド提督らしいですね。安心しました」

 

 俺は本心と嘘を同時に言った。英雄的精神の良い面が残っていたことには安心した。だが、茶の飲み方を見て不安になった。以前なら、二年前なら煮えたぎるような茶を一気に飲み干していたはずだ。

 

 しばらくの間、茶を飲みながら雑談をかわした。政治や軍事の話を振っても、ホーランド予備役中将が乗ってこないので、日常的な話に終始する。「身寄りがないから星営住宅に住んでいる」とか、「病院代で年金の半分が消える」とか、「金がないから酒をやめた」とか、そういう話は聞くことができた。だが、本当に知りたいことは聞き出せない。

 

 俺は切り札を出すことに決めた。ホーランド予備役中将の本心を確かめるには、最適の話題であろう。

 

「第二艦隊司令官に内定しました。第一辺境総軍司令官と兼任ですよ」

「第一一艦隊じゃないのか?」

 

 予想通り、ホーランド予備役中将は乗ってきた。

 

「ドーソン提督に頼まれまして」

「なぜだ? フィリップス君は第二艦隊と縁がないだろう。再建される艦隊の司令官は、OBから選ぶと聞いたぞ」

「ドーソン提督は旧第二艦隊が解散した時の司令官だったでしょう? 第二艦隊を譲ることで、エリヤ・フィリップスが自分の後継者だと示したいんです」

 

 俺は詳細な説明を付け加えた。

 

「ああ、なるほどな」

 

 ようやくホーランド予備役中将は気づいたようだ。政治音痴は以前と変わらない。

 

「そういうわけで、第一一艦隊司令官は未定になったんです」

 

 俺は「未定」を強調し、「第一一艦隊司令官のポストが空いてるぞ」と遠回しに伝える。ホーランド予備役中将に野心が残っているなら、興味を示すはずだ。

 

「ペクさんがいるだろう」

 

 ホーランド予備役中将は、旧第一一艦隊の元B分艦隊司令官の名前をあげた。

 

「ペク提督は『自信がない』といって辞退しました」

「生え抜きから出せないとなると、よそから呼ぶことになるな」

「トリューニヒト派はマスカーニ提督、良識派はアッテンボロー提督を第一一艦隊司令官にしたいようです」

「どっちに決まっても嫌だな」

「第一一艦隊OBはみんなそう思っています。いっそ、予備役のOBを推薦しようって意見も出てますよ」

 

 俺はさらに餌を追加した。

 

「OBにそんな権限はないだろう」

「今回はOBの意見が重視されるんです。伝統ある艦隊が復活したと印象付けるには、旧艦隊の伝統を引き継ぐ人材を司令官にしないといけません」

「しかし、モディセレさんが復帰しても、一年しかやれんぞ。来年で定年だからな」

 

 ここまで言われても、ホーランド予備役中将は「私がやる」とは言わない。あまりに反応が鈍すぎる。頼まれなくてもやりたがるのが、ウィレム・ホーランドという人なのに。

 

「あなたがいるじゃないですか」

「私はやらんよ。メールに書いただろう? 復帰する気はないと」

 

 ホーランド予備役中将は静かに言い切る。

 

「よそからちゃんとした人を呼んでくれ。第一一艦隊は思い出の部隊だからな。めちゃくちゃにされたくない」

「努力いたします」

「パエッタさんを呼んだらどうだ? トリューニヒト派でもあの人だったら構わんぞ。あれほど軍人らしい軍人は滅多にいない」

「お嫌いではないんですか?」

 

 俺は目を丸くした。ホーランド予備役中将とパエッタ中将の不仲は有名だ。

 

「嫌いじゃないさ。相性は悪いがね。あの人は自由にやらせてくれなかった」

「パエッタ提督はうちの副司令官になりますよ」

「艦隊司令官にしないのか? トリューニヒト派では数少ない実戦派じゃないか」

「良識派が認めません。現役復帰に反対する人すらいます。花形の正規艦隊司令官は無理です」

 

 俺はため息をついた。軍部良識派やリベラル勢力から見れば、パエッタ中将は『政治屋と組んで無用の戦を起こした男』だ。レグニツァの大敗が未だに尾を引いていた。

 

 良識派の勢力は今もなお強大である。イゼルローンを攻略したヤン元帥は、俺と並ぶクーデター鎮圧の功労者だ。セノオ少将のように市民軍で活躍した人もいた。自派の不始末を自ら片づけた形になる。反戦・反独裁市民戦線(AACF)とは、講和・軍縮の理想を共有する盟友であり、人脈的な繋がりも強い。以前ほどの力はないものの、トリューニヒト派と拮抗しうる存在だ。

 

 派閥の勢力よりも厄介なのが個人的な名声だった。市民は発言内容よりも発言者の名前を重視する。良識派には市民から英雄視される人物が何人もいた。「ヤン提督が反対している」と聞けば、市民は無条件で「あの件は間違いだ」と考えるだろう。「ビュコック提督が反対している」と聞けば、市民は「あの件は間違いかもしれない」と疑問を抱くはずだ。トリューニヒト議長は世論を気にする人なので、鬱陶しいと思っても、無視することはできない。

 

 こうした背景があったので、俺はパエッタ中将を副司令官として引っ張ることができた。良識派は当然のように反発した。だが、市民は「フィリップス提督の人事」というだけで納得するので、政治的な障害にはならないのだ。

 

「頭の固い連中だ」

 

 ホーランド予備役中将は苦笑いを浮かべた。以前なら豪快に笑い飛ばしただろう。

 

「彼らのおかげでパエッタ提督を登用できました。感謝したいぐらいです」

「フィリップス君は前向きだな」

「突撃ばかりしていましたから」

「総軍司令官になったらそうもいかんぞ」

「ワイドボーン中将を参謀長にして、チュン・ウー・チェン副参謀長との二頭体制にしました。作戦能力がぐっと上がりますよ。参謀の智謀は掛け算ですから」

 

 俺は右手の拳を握って親指を上に向ける。

 

「そんなことができるのか? ワイドボーン君は統合作戦本部の作戦部長じゃないか」

「俺とワイドボーン提督は友人です」

「なるほど」

 

 ホーランド予備役中将はこの説明で納得した。頭は切れるが単純なので、複雑な話は苦手なのである。

 

 参謀長人事の裏には複雑な事情があった。ワイドボーン中将は俺の友人であり、国家非常事態委員会(SEC)メンバーとして功績をあげた人物だ。彼を作戦部長に留めておくと、ドーソン・ワイドボーン・フィリップスのラインが、トリューニヒト議長を凌駕しかねない。ワイドボーン中将を外に置きたいトリューニヒト議長の思惑と、優秀な参謀がほしい俺の思惑が重なり、大物参謀長が誕生した。

 

「しかし、大丈夫なのか?」

「何がです?」

「君は揉め事が苦手だろう。パエッタさんとワイドボーン君を用いたら、良識派を刺激するぞ」

「構いません。どう転んでも仲良くできない相手です。だったら、とことんやりますよ」

 

 俺は涼しい顔で答えた。良識派と敵対することは織り込み済みだ。自分なりの計算はあるが、ここで話すことではない。

 

「フィリップス君、コーヒーのおかわりはどうする?」

「お願いします」

「甘いものも持ってこよう」

 

 そう言ってホーランド予備役中将は出て行った。この部屋に入った時と同じように、頼りない足取りだ。

 

 俺は目をつぶって考えた。今のホーランド予備役中将には野心が感じられない。「復帰を考えていない」というのは事実だろう。ほっとする一方で、寂しいとも感じる。「反省してほしい」「元気でいてほしい」という相反する感情があった。

 

 ホーランド予備役中将がキッチンから戻ってきた。カップ二個と大きな蒸しパンが乗った皿二枚を、不慣れな手つきでテーブルに置く。

 

「甘い物は好きだろう」

「はい」

「この蒸しパンはジャンボ・マンジューといってな。インカダの銘菓なんだ。甘ったるいぞ。小豆のペーストがぎっしり詰まっているんだ」

「おいしそうですね」

 

 俺はジャンボ・マンジューを見た。小豆のペーストは大好物だ。

 

「ゆっくりしていってくれ。せっかく来たんだ。すぐ帰るのもつまらんだろう」

「お言葉に甘えさせていただきます」

 

 俺はうれしそうな表情を作り、ジャンボ・マンジューにかぶりついた。だが、心の中は沈み切っていた。ホーランド予備役中将の柔和さの中に、不吉なものを感じる。エネルギーが尽きかけているように思えてならない。

 

 ジャンボ・マンジューを食べる俺に対し、ホーランド予備役中将は優しいまなざしを向けた。老人が孫を見るような目だ。三九歳の壮年とは思えないほどに枯れ切っている。

 

「ホーランド提督」

 

 俺は空になった皿を置き、姿勢を正した。

 

「何だね?」

「妻の最期についてお話しいただけませんか」

「それが本題かね」

 

 ホーランド予備役中将の表情が引き締まる。

 

「はい」

「メールに書いたとおりだぞ」

「同じ話を聞かせてください。直接話さないと、伝わらないものがあるでしょう」

 

 俺はまっすぐにかつての上官を見つめた。

 

「わかった。私は好きなように話す。判断は君に委ねよう」

 

 ホーランド予備役中将は軽く目をつぶった。脳内に散らばった記憶の断片を集めているように見えた。一分ほどの沈黙の後、目を開けた。

 

「今日は八〇一年一二月二八日か。あれから二年が過ぎたのだな――」

 

 七九九年五月五日一六時四八分、ホーランド機動集団の旗艦ディオニューシアは、至近距離からの直撃弾を受けた。炎と衝撃波が艦内を蹂躙した。

 

 気がついた時、ホーランド中将は崩れた機材に埋もれていた。体中が激しく痛むものの、致命傷ではない。

 

「生存者はいるか!」

 

 返事はなかった。部下は即死したか、致命傷を負ったかのどちらかであると思われた。壁面を炎が覆う。破壊された電子機器から火花が散る。赤色灯が視界を真っ赤に染める。ディオニューシアは巨大な火葬場と化しつつあった。

 

「本艦の核融合炉で爆発が生じました。乗員は直ちに避難してください。繰り返します。本艦の核融合炉で爆発が……」

 

 核融合炉の爆発を伝える機械音声が響いた。脱出できる見込みは薄いだろう。死は間近に迫っている。

 

「これも天命か」

 

 ホーランド中将は小声で呟いた。死ぬことが恐ろしいとは思わない。ずっと生死のぎりぎりで戦ってきた。勝者が生き残り、敗者が死ぬのが戦場の摂理だ。ラインハルト・フォン・ローエングラムに敗れたのは天命である。ならば、敗者は潔く死のう。天命を受け入れるのも英雄の度量というものだ。

 

 死を受け入れる気持ちになった時、炎の中から人影が現れた。副参謀長ダーシャ・ブレツェリ代将である。

 

「司令官閣下! ご無事でしたか!」

 

 ダーシャが機材を動かそうとしたが、ホーランド中将は首を横に振った。

 

「私に構うな。生存者を連れて逃げろ」

「司令官を助けるのが幕僚の仕事です」

「ハイネセンを出発して以来、私は一〇〇度戦って一〇〇度勝った。それなのにこのざまだ。天命としかいいようがない」

 

 ホーランド中将は差し伸べられた手を振り払う。己の生涯を英雄らしく終える。その以外のことは頭の中になかった。

 

「戦いはまだ終わっていません! 味方がまだ戦っているじゃないですか! この戦いが敗北に終わったとしても、再戦の機会がめぐってきます! その時にローエングラム大元帥を討ち果たせばいいんです!」

 

 ダーシャはホーランド中将の両肩をつかみ、必死の形相で訴えた。騒ぎを聞きつけた生存者が集まってくる。

 

「もういいんだ。私はローエングラム大元帥には勝てない。天がそう定めたのだ」

 

 ホーランド中将は力なく息を吐いた。終わりにさせてくれと言いたかった。肉体の傷は致命的ではない。だが、心が完全に折れてしまった。折れた剣に存在価値などない。潔く死ぬのが筋ではないか。

 

「何が天命ですか! あなたは指揮官なんです! 勝利の栄光も敗北の不名誉も背負う! それが指揮官の務めです! 勝てないなら、生存者を一人でも多く収容しましょう! 敵の追撃を防ぎましょう! できることはたくさんありますよ!」

 

 ダーシャの言葉は諫言というより、叱責であった。普段の礼儀正しさをかなぐりすてるほどに、彼女は必死だった。他の部下もすがりつくように懇願する。

 

「卑怯者にならずに済んだ。感謝する」

 

 ホーランド中将は自分の逃げを自覚した。敗北を受け入れたつもりだった。しかし、潔く死ぬことはできても、敗者として生き延びることはできなかった。常勝のプライドがそれを許さなかったのだ。

 

 ダーシャと部下五名がホーランド中将を引っ張り出し、航行可能な唯一のシャトルに乗せた。シャトルが飛び立った直後、ディオニューシアは大爆発を起こし、宇宙の塵と化したのである。

 

 話し終えた後、ホーランド予備役中将の視線が動いた。そして、一枚の写真の前で止まった。移ってる顔ぶれから、ホーランド機動集団司令部の集合写真であることがわかった。

 

「ダーシャ・ブレツェリ、リュー・メイユ、アントニア・ノールズ、ネーメト・エルジェーベト、マレナ・メサ、カール・フォン・グリンメルスハウゼン……。この六人が命の恩人だよ」

 

 この人の悲しむ顔を見るのは初めてだった。夜の水面のように静かで穏やかだ。

 

「フィリップス君、あの辺りにある写真は機動集団の写真だよ。懐かしい顔ばかりだろう?」

「はい」

「みんな、私が殺したんだ。写真に写っている連中だけじゃない。ホーランド機動集団の戦死者二一万三〇〇〇人も私が殺した。帝国領遠征軍の戦死者三七二六万八〇〇〇人を死なせたのも私だ」

 

 ホーランド予備役中将は申し訳なさそうに目を伏せる。肉付きの薄い顔には深い苦悩があった。細くなった体には罪悪感が張り付いていた。戦後の二年をどんな思いで過ごしたのかは、想像するまでもなかった。

 

「私は英雄になりたかった」

 

 ホーランド予備役中将はため息とともに声を吐き出す。

 

「私は何でもできた。私の頭は教えられたことをすぐ覚えた。私の体は教えられた動きを完璧にこなした。私の直感は要点を一瞬で見抜いた。何をやっても一番だった。競争で負けたことは一度もなかった。自分は選ばれた存在だと思ったよ。『人にできることは何でもできる。ならば、人にできないことをやるために生まれたに違いない』と信じた」

 

 自分を誇る様子はまったくなかった。あまりに自然すぎるからだろう。世の中には、食事をとるような感覚で一番になってしまう人種がいる。人から評価されることに慣れているので、自慢する必要もない。アンドリュー・フォークやマルコム・ワイドボーンがそうだった。

 

「とんだ勘違いだったがね。本物を目にすればわかる。ラインハルト・フォン・ローエングラムの前では、私などちっぽけな存在だった。人より要領がいいだけなのに、自分を特別だと勘違いしていたんだよ」

「…………」

「私は英雄ではなかった。三七年かけて幻を追いかけてきた。幻のために大戦を起こし、多くの人間を死に至らしめた。弁解のしようもない」

 

 それは悲痛な告白であった。生涯をかけて追い求めた夢は幻だった。多くの犠牲を出したのに、何一つなしえなかった。そんな事実を認めるのは死ぬよりも辛いことだ。

 

「ありがとうございました」

 

 俺は頭を下げると、ぬるくなったコーヒーに口をつける。糖分ではなく水分がほしかった。話を聞いているだけだったのに、のどが乾ききっていた。

 

「許してくれとは言わんよ。私にはそんな資格はない。君の妻と部下を死なせたんだからな」

 

 ホーランド予備役中将の表情は恐ろしく柔和だった。俺が罵ったとしても、甘んじて受け入れそうな雰囲気がある。

 

 何かがおかしいと思った。心から後悔しているのは間違いない。だが、彼の柔和さには後悔と別の成分も混じっている。その成分がどういうものなのかは想像できた。気分が重くなってくるのを感じた。

 

「どうした? そんなに私の顔が気になるのか?」

「いえ、あれが気になりまして」

 

 俺はとっさにホーランド予備役中将の背後を指さす。

 

「ただの本棚だぞ」

「本が入っていないでしょう」

 

 話題を逸らすために指さした本棚は、よく見ると変だった。本は一冊もなく、同じ形のクリアファイルが隙間なく詰まっていた。どのファイルにも、「GO-二」「FA-四」など二文字のアルファベットと数字が記されており、名前順に並んでいるようだ。

 

「あのファイルは何です?」

「戦死した部下の名簿だ」

「そうでしたか」

 

 俺は納得した。戦死者の名簿を手元に置く人はいる。ホーランド予備役中将のように、部下と親密な関係を築くタイプならあり得ることだ。

 

 しかし、そうなると別の疑問が生じてくる。他の本棚も名簿がぎっしり詰まっていた。一〇万人を超える戦死者のデータをなぜ紙で保管するのか? これほど膨大なデータを保管する場合、普通は電子化するものだ。狭い船室暮らしに慣れた艦艇乗りなら、間違いなくそうするだろう。この家の間取りは一DKと思われる。唯一の個室の収納スペースを無駄遣いするなんて、非効率としか言いようがない。

 

「電子化なさらないのですか?」

「手書きだからな」

「どういうことです?」

「戦友会から借りた電子名簿を手で書き写した」

 

 ホーランド予備役中将が一冊のファイルを開いた。

 

「凄いですね」

 

 俺は目を大きく見開いた。戦死者の姓名、階級、所属部隊、役職、年齢、戦死場所、戦死年月日などがすべて手書きで書かれている。

 

「別のも見るか? 好きなのを取っていいぞ」

「ありがとうございます」

 

 俺は「BU」と書かれたファイルすべてを取り出す。

 

「あった」

 

 姓名:ダーシャ・ブレツェリ 階級:代将たる宇宙軍大佐 ※死後、宇宙軍准将に昇進 所属部隊:ホーランド機動集団司令部 役職:副参謀長 年齢:三〇 戦死場所:ヴァルハラ星系 戦死年月日:七九九年五月五日

 

 胸の中が熱くなった。ただの文字列のはずなのに温もりを感じる。手書きの文字が生命を吹き込んでくれた。そんな錯覚を覚える。

 

「手書きはいいぞ。『こいつはこういう奴だったな』とか、『こいつはここで死んだのか』とか、そんなことを思いながら書く。そうすると、そいつが側にいるような気持ちになるんだ」

 

 ホーランド予備役中将が微笑んだ。とても穏やかで儚い微笑みだった。

 

「他のも読ませていただいてよろしいですか?」

「構わんぞ」

「遠慮なく読ませていただきます」

 

 俺は次々とファイルを取り出し、必死になってめくる。懐かしい部下がそこにいた。頼もしい戦友がそこにいた。

 

「フィリップス君、ずいぶん嬉しそうだな」

 

 ホーランド予備役中将が読み終えたファイルを片付けながら笑う。

 

「嬉しくないわけがないでしょう」

 

 俺は笑顔で返した。この部屋で初めて心から笑った。

 

「喜んでもらえて何よりだ。まだ半分しかできてないがね」

「半分でも一〇万人です。ここまで書くのは大変だったでしょう。なぜ手書きの名簿を作ろうとお考えになったのですか?」

「忘れないためだ」

 

 ホーランド予備役中将の顔から笑みが消える。

 

「私は根っからの軍人だ。だから、軍人としてのやり方を貫く。部下のことを絶対に忘れない。寝ても覚めても部下のことを考える。最後まで彼らを背負い続ける」

「あなたらしい答えだと思います。部下は上官に自分を知ってほしいと願うものです。彼らを気にかけ続ける。それこそが何よりの供養になるでしょう」

 

 俺は納得した気持ちで頷いた。

 

「遺族には自己満足だと言われるがね」

「遺族と交流なさっておられるのですか?」

「部下を知るためには欠かせんだろう。君にメールを送ったのもその一環だ」

「批判の方が多いでしょうに」

「返事の九割以上は批判だ。それで構わない。勝って称賛を浴びるのが当然なら、負けて批判を浴びるのも当然だろう」

 

 ホーランド予備役中将は事も無げに言い切った。当たり前のように聞こえるが、誰にでもできることではない。

 

「あなたはやはり英雄です。英雄としての名声は失いました。しかし、心の持ちようは英雄そのものです」

「私は普通の人間だよ。ローエングラム大元帥と戦ってわかった。あれが本物の英雄なんだ」

「選ばれた者でなくても英雄になれます。少しの責任感、少しの勇気、少しのプライド、少しの向上心さえあれば、誰だってなれるんです。あなたには英雄たる資格があります」

 

 俺は「誰だって」を強調した。二か月前、ハイネセンに大勢の英雄が現れた。非凡な者も平凡な者も英雄になった。誰の中にも英雄的精神の卵が眠っているのだ。

 

「フィリップス君、君は私の責任を問いに来たんじゃないかね?」

「俺が責める必要はありません。あなた自身より厳しい批判者はいないでしょうから」

「私が私を責めたところで、自己満足にすぎんぞ」

「責任を取ってほしいというのも俺の自己満足です。少なくとも、俺はあなたのやり方に満足しています。それに……」

 

 ここで言葉を一旦切った。続きを言うべきかどうか迷ったが、思い切って言うことにした。

 

「長くないんでしょう?」

「わかっていたのか」

 

 ホーランド予備役中将は暖かい表情になった。その暖かさはかつて燦然と光り輝いた太陽の余熱だ。

 

「放射線障害ですね?」

「核融合炉の爆発に巻き込まれたんでな」

「どうしてそこをぼかしたんです? 隠さなくてもいいでしょう」

 

 俺はほろ苦い気分になった。放射線障害とわかっていたら、反省していなくても許せた。他の遺族だって批判の手を緩めるはずだ。

 

「手加減されたくないんでな」

「普通は病気のふりをしてでも、憎まれたくないと思うんですけどね」

「多くの兵士が私を英雄だと信じて散っていった。みっともない真似をしたら、そいつらが『自分はこんなくだらん奴のために死んだのか』と嘆くだろう」

 

 ホーランド予備役中将はすべてを失ったのに、矜持だけは失っていない。勇気や智謀よりずっと貴重な資質ではなかろうか。

 

「余命はあと何年ですか?」

「二年前、医者に『余命五年』と言われた。今は余命三年ということになる」

「どう答えればいいんでしょうね。良かったというべきなのか、残念だというべきなのか」

 

 俺は判断に困った。助かったのは幸運だった。しかし、余命が三年しかないのは不幸だ。西暦二三〇〇年代に癌の治療法が確立されると、放射線による病気は著しく減少した。だが、一度に大量の放射線を浴びてしまうと、手の打ちようがない。余命を伸ばすのがせいぜいだ。

 

「私は運が良かったと思っているよ」

 

 そう言うとホーランド予備役中将は立ち上がり、窓の前で足を止めた。

 

「来てくれ」

「はい」

 

 俺も窓の前に立つ。気づかないうちに日光が強くなっていた。

 

「あの川はリオ・ブランコ川だ。古代スペイン語で『白い川』という意味でね。雪が降ると真っ白になるんだ」

 

 ホーランド予備役中将が窓の外を指さす。雪景色の中を大きな川が流れていた。氷の浮いた水面に冬の日光が反射し、白銀色の輝きを放つ。まさしく「白い川」である。

 

「きれいな眺めですね」

 

 俺はリオ・ブランコ川を食い入るように眺めた。雪とは縁のない人生を送ってきた。故郷パラディオンは雪が降らない街だ。ハイネセンポリスやオリンピアは、年に数回しか雪が降らないし、真っ白になるほど積もることもない。それ以外の勤務地は温帯か亜熱帯だった。氷の浮いた川を見るなど初めてだった。

 

「私は一五歳までこの街で過ごした。いつもうんざりしていたよ。リオ・ブランコなんて、ちっぽけな惑星の地べたに貼りついた小川だ。こんな川のほとりに住みたくなかった。天空に飛び出したかった。星の大河を自由に泳ぎたかった」

 

 ホーランド予備役中将は、リオ・ブランコに優しいまなざしを向ける。

 

「しかし、すべてを失った時、リオ・ブランコがどうしようもなく懐かしくなった。だから、この部屋にしたんだ。川沿いは家賃が安いしな」

「よくわかります」

「君にはわからんだろう」

「知り合いにお爺さんがいましてね。故郷にいられなくなった人なんですが、いつも帰りたいと言ってたんです。不思議ですよね。いい思い出がないのに帰りたいなんて。でも、そういうものなんだと思います」

 

 俺は自分の経験を架空の「お爺さん」の話として語る。前の人生で年老いた時、故郷パラディオンに帰りたいと思った。家族に裏切られ、友人に見捨てられ、逃げるように出て行った街なのに、それでも懐かしくてたまらなかった。

 

「地に落ちて初めて分かることもある。地べたに貼りついて生きるのも悪くない。そのことを知っただけでも、生き延びた甲斐はあった」

 

 ホーランド予備役中将はとても満ち足りた顔をしていた。それが何を意味するのかは明らかだった。彼の人生は本当の意味で終焉を迎えつつある。

 

 この人を失いたくないと痛切に思った。ダーシャが生かした人だ。ダーシャを知る人だ。上官だった人だ。同じ戦場を生き抜いた人だ。過ちを率直に認めた人だ。誇りをもって敗北に向き合った人だ。俺が前の世界で見た物を見た人だ。ようやく真情に触れることができた人だ。それなのに死ぬなんて寂しすぎるではないか。

 

「ホーランド提督」

「なんだね?」

 

 ホーランド予備役中将はこちらを向いた。窓から入ってくる日光のせいで、表情は見えない。

 

「第一一艦隊司令官をやってみる気はないですか?」

「やらないと言っただろう」

「一期二年で構いません。ホーランド機動集団のような精鋭を作ってください。次の戦争は早くとも五年後ですから、実戦はたぶんありません」

「余命三年というのは、『三年以内に死ぬ確率が五〇パーセント』という意味だぞ。明日死ぬかもしれないんだ」

「逆に言うと、三年以上生きられる可能性も五〇パーセントなんですよ。医学は日々進歩しています。一世紀前なら一年以内に死亡するほどの被ばく量が、今なら一〇年は確実に生きられる水準になっています。正規艦隊の艦隊病院なら、公費で最先端の医療が受けられます」

「何が言いたいんだ?」

「俺はあなたに長生きしていただきたいと思ってるんです」

「なぜだ?」

「ダーシャが命と引き換えに助けた人だからですよ」

 

 俺は機動集団司令部の集合写真を指差した。中央の一番目立つ場所で、笑顔のダーシャがピースサインをしている。

 

「ダーシャの分も戦ってください。そういう責任の取り方もあるはずです」

「しかし、私は……」

「ジェリコー参謀長の分も戦ってください。ソリアーノ大佐の分も戦ってください。ソレル中佐の分も戦ってください。ラヴィルニー中佐の分も――」

 

 旗艦と運命を共にした幕僚の名前を片っ端からあげる。

 

「彼らは戦いたくても戦えないんです。彼らが守ろうとした国を代わりに守る。どうです?」

「…………」

「見てください」

 

 俺は別の写真を指差した。機動集団の部隊長が集まった写真だ。

 

「写っている七人のうち、生き残っているのは俺とあなただけです。他の五人はヴァルハラで死にました」

「…………」

「俺たちが頑張らなくてどうするんです! ハルエル提督の代わりに戦いましょう! エスピノーザ提督の代わりに戦いましょう! バボール提督の代わりに戦いましょう! ヴィトカ提督の代わりに戦いましょう! オウミ提督の代わりに戦いましょう!」

「ハルエルたちの代わりか……」

「そうです! そして、戦死者二一万三〇〇〇人の代わりです!」

 

 俺はホーランド予備役中将の仲間意識に訴える。

 

「凡人には凡人のやりかたがあります。軍人なんてほとんどは凡人です。凡人だけど必死で戦ってるんです。あなたが英雄でなくても、できることはいっぱいありますよ」

 

 むしろ、英雄でないウィレム・ホーランドにこそ期待したかった。前の世界では敗北と同時に死んだが、この世界では生き残った。敗北を知ったウィレム・ホーランドは、より大きな提督になるかもしれない。天の頂上と地の底を両方知っているのは稀有なことだ。

 

「私は冬バラ会だぞ。戦犯中の戦犯だ」

「流れは変わっています。中心メンバーでなかったあなたなら大丈夫です」

「少し考えさせてくれ。いろんな人に相談したいんでな」

 

 ホーランド予備役中将が承諾したのは、三日後のことだった。ルグランジュ大将の一言が決定的だったようだ。

 

 英雄になれなかった男は、第一一艦隊司令官として現役に復帰する。奇しくも前の世界で率いた艦隊と同じ艦隊を率いることとなった。違うのは敗北を知り、地の底を知っているということだ。翼を失ったグリフォンは四本の足で地を歩く。その先に何があるのかは誰も知らない。




新版を作った最大の理由の一つは、このエピソードでした。本来は要塞VS要塞の後に入れるはずだったのですが、伏線が足りなさすぎることに気づき、ホーランドとの絡みを増やす必要を感じました。また、要塞VS要塞の後では遅すぎました。長年温めていたエピソードを披露することができ、喜びに堪えません。

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