どーも、幼馴染み最強伝説でーす☆
意図せずしてハイスクールD×Dの二次創作物が消えてしまったので、新しいものを書こうと思い、TS主人公ものにしてみました。
絶賛ISの執筆が難航しているので此方を執筆しているだけなので、IS執筆の目処が立てばISの方を優先しますのであしからず。それではどうぞ。
プロローグ
長い長い夢を見た。
それは失われた己の記憶であり、既に自分ではない死した自分の記憶。
何かを成した訳でもなく、何かを成そうとした訳でもない。ただ、時の流れに身を任せて怠惰に過ごしていただけの時間。
劇的、と呼ばれる事が起きたのはそもそも大学生になりたての頃。ただでさえ年齢的にかかるのが珍しい心臓病を患った時にもう手遅れだった事なだけだった。
あまりに呆気なさすぎる死の宣告は自分に死の実感を与えるよりも早くに命を奪い去った。それが幸福だったのか、不幸だったのかは定かではない。何故ならーーー
「おーい朝だぞ、起きろ」
「………ぅん、後一時間」
「長っ⁉︎そんなに待ってたら遅刻するわ!早く起きろ」
「………お前は私のお母さんか……?」
「幼馴染みだ。ほれ」
幼馴染みから差し出された手に俺はまだ僅かに残る微睡みを捨て去り、手を握る。
「相変わらず朝起きた時は凄いな。寝癖は酷いし、服もはだけてるし」
「……すぐに準備するから下で待っててくれ」
「おう。幼馴染みとはいえ、
起こしに来るのは良いのかと問いたいところだが、こいつのお蔭で何とか皆勤を継続出来ているので文句はいえない。
寝癖を直し、パジャマから俺の通う駒王学園の制服に着替えて、下の階に降りて顔を洗って歯を磨き、幼馴染みの待つリビングへと向かう。
「待たせたな」
「お、今日は五分きったな。女子とは思えないスピードだよな」
「こういうのは慣れだ。一年もしてたらこれくらいは出来る」
「そういうもんか?」
「そういうものだ」
昨日の内に買っておいたあんぱんが二つ入った袋を取り、これまた昨日の内に準備しておいた鞄を持つ。何時も寝過ごした時のために準備は万全だ。もっとも何処ぞのお人好しのお蔭で絶対に寝過ごす事はないが。
「何時もより余裕があるし、今日は歩いて行けそう………あ、忘れてた」
「?どうした?」
「おはよう、智代」
「ああ、おはよう、イッセー」
俺がこの世界に転生を果たしたのはもう約十七年前の出来事だった。
病死した筈の自分が赤子として転生した時、走馬灯でも見ているのかと錯覚したがそもそも大学生の筈の自分が赤子の姿になっている事と感触がある事にすぐに走馬灯でも夢でもないと気がついた。
しかし、転生とはいってもよくある二次創作物みたいに神様と話した記憶はないし、特典的なものをもらったような記憶はないので、輪廻転生はしただけで前世の記憶があるだけの普通の人間なのかと思ったが、そういうわけにはいかないらしい。
六年前に一度だけ妙な力を使った事があったのだが、あの時はイッセーはいなかったので知っているのは俺だけだ。監視されていたのなら話は別だが。
それはさておき、名前で大体の人は察していると思うが、俺が転生を果たした世界の名は『ハイスクールD×D』。エロとバトルが入り乱れる面白い話……程度で済めば良いのだが、バトルの方は常に死線ばかり。初めは大して強くもない中級堕天使に始まったかと思うと次はフェニックス。お次が古の堕天使でその次が神滅具なんて物騒なものを宿しているくせに魔王の血を宿すとかいう才能に溢れた戦闘狂。回を増すごとにどんどん敵の立ち位置がえげつないことになっていくのだ。そしてその話の中心たる主人公と呼ばれる存在が我が幼馴染み。イッセーこと兵藤一誠なのだ。
まだ目覚めてはいないが『赤龍帝の籠手』と呼ばれる十秒ごとに宿主の力を倍にしていく規格外の力を宿し、何かとイレギュラーを起こしまくり、その度に敵味方問わず敵の度肝を抜くのだが、そのイレギュラーの九割は眼福もののエロい展開。普通ならひっぱたかれそうなものだが、それが戦闘の最中であり、覚醒のカギみたいなものなので従来のラノベ主人公とは一風変わってラッキースケベではなく、なんというか合法。まあラッキースケベもあるが、その時はご多分にもれず手痛いお仕置きを喰らう。自称エロと情熱で生きる男らしい。
本来の俺の性別なら特に気にする必要はないどころか、寧ろお礼を言いたいところなのだがそうは問屋が卸さない。先程の会話で分かったとは思うが俺は転生したものの、所謂TSなる物に陥ってしまい、事今に至るまで女として過ごしてきた。つまり俺はイッセーのラッキースケベと覚醒イベントの射程圏内に入ってしまっているという事だ。それに気づいた時は大いに焦りを覚えたものだが、生憎と感性の大半が男のままなので別にひん剥かれてもあまり羞恥心を感じなかったりもする。実際、覗き騒動があっても恥ずかしさも怒りも覚えないし、寧ろ学園の女子のレベルの高さから鑑みるに共感してしまうし、何よりこの世界のイッセーは俺が原因かどうかは知らないがエロくない。変態三人衆なんて不名誉なあだ名はつけられていないし、女子から毛嫌いもされていない。イッセーの覚醒イベントの根源たるエロスが無いのは嬉しいような問題なような気がしなくはないが、それはそれ。俺が頑張っていくほかない。
とはいえ、此処まで苦労したものだ。転生して言葉が話せるようになった時は以前のような口調だったのだが、現在世界一周旅行に旅立っている両親に口調は当然のことその他の仕草まで矯正された時の記憶は今でも軽くトラウマだ。笑顔が怖いって本当にあったんだな。まあ、その割には変な輩に襲われた時のためにと色々と叩き込む辺り、微妙なところだが。そんな訳で俺は何処となく男らしさがある少女として確立された訳だ。
校門をくぐると凄まじい歓声が聞こえる。毎度毎度凄くうるさい。鼓膜が裂けそう。
「毎日毎日、よくもまあ朝からこんなに大声をあげていられるな」
「仕方ないんじゃないか?智代の学園での人気を考えたら」
「駒王の三大お姉様だったか?私はそんなタイプじゃない」
「だな。お姉様っていうより姉御って感じだ。実際にそう呼ばれてるわけだし」
「呼ばれたくて呼ばれているわけじゃない」
駒王学園での俺の立ち位置はなんと原作ヒロインであるリアス・グレモリーと姫島朱乃と同じ立ち位置なのだ。その理由はというと大人びた雰囲気(精神年齢が三十超えてる)と不良に絡まれていた学園の生徒を助けた(実力行使で)からだ。その所為で生徒からはお姉様と呼ばれ、不良からは姉御と呼ばれる始末。前者はともかく後者はまんま智代じゃねえかと思ったが自分の事なのでなんとも言えない。
『待てぇぇぇぇ‼︎』
ふと女子数名の大声が聞こえたので、そちらに振り向くと剣道着を着た女子数名と坊主の男子と眼鏡の男子が殺伐とした雰囲気で鬼ごっこしていた。
「ん?あれは松田と元浜じゃないのか?」
「本当だ。あいつらまた覗きか。懲りねえよな」
ははは、原作のお前の姿を見せてやりたいよ。まあ、あれはあれで兵藤一誠の個性でもあるわけだし、欲望に忠実なのは嫌いじゃない。
それはそうと二人共、こっちに来てないか?どんどん近づいてきている気がするんだが…………
「うおっ⁉︎あれは大神智代お姉様じゃないか⁉︎」
「二つ続けて朝からラッキー!だが、どうする松田よ。このままではぶつかってしまうぞ!」
「問題ない!このままぶつかって「あ、ごっめーん☆」と言いつつ、ラッキースケベを装えば、あの良く育ったおっぱいに触れるぞ!」
「成る程。ではこのまま天国まで直行だ!」
「お前達が直行するのは天国ではなく地獄だ」
鞄をイッセーに投げ渡し、姿勢を低くして二人に肉薄し、松田、元浜と蹴り上げる。そしてそのまま空中に浮いた二人を吹っ飛ばさない程度に蹴りを浴びせ続ける。
「出たっ!智代お姉様の空中コンボよ!」
わああ………っと再度大きな歓声が上がる。因みに今二十コンボ目に到達したので最後に思いっきり蹴り飛ばした。それこそキラーンていう擬音が出そうなくらい。
「ラッキースケベなら許すが、意図して触ってくるのは許さない」
「いつ見ても智代の空中コンボは凄いなぁ。見ていて惚れ惚れするよ」
「大した事じゃない………それでイッセー。今日も行くのか?」
「まあな。あんなでも一応ダチな訳だし。て事で荷物任せて良いか?」
実を言うと俺があの二人組を蹴り飛ばすのは今に始まった事ではない。今日で十八回目だ。その度にイッセーはあの二人を拾いに行ってくれている。初めは俺が拾いに行こうとしたのだが、イッセーが「智代に拾いに行かせるわけにはいかない」と言って何が何でも俺に拾い行かせるのを良しとしなかった。ウチの幼馴染みは強情だ。
「ああ。では先に教室に向かっているから遅れるなよ」
そういう感じに何時ものやり取りをして、俺はイッセーと自分の鞄を持ち、教室に向かった。
因みに本人は知らない事だが、イッセーは裏で『駒王の良心』と呼ばれ、どんな人種でも分け隔てなく接する事から、木場に負けず劣らずの人気があるのだが、本人は気がついていなかったりする。
そんな訳でプロローグ終了。
以前とは違って、いきなり原作から始めました。不定期更新になるものなので開始前から書くと何時原作を始められるかわからないので。
オリ主は自分がどんな力を持っているか正確に知りません。『何か力持ってるな』くらいの認識です。どんな神滅具かは既に決めていますのでお楽しみに。オリ神器ではありません。