幼馴染みは赤龍帝   作:幼馴染み最強伝説

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頭の中で描けているので連続投稿出来ました。

とはいってもはじめのうちですけどねー。


変えられなかった運命

 

俺には二人の幼馴染みがいる。

 

一人は紫藤イリナという亜麻色の髪をしたボーイッシュな感じの女の子。最初の方はずっと男と勘違いしていたけど、もう一人の幼馴染みのお蔭で気づく事が出来た。結構前の事なのであまり覚えてはいないけど、とにかく男が好むような遊びをよくしていた事を覚えている。後、その子の家は何か宗教に入っているのか十字架やら何やらがあった気がする。

 

もう一人は大神智代という銀色の髪を伸ばしたクールな女の子。学園では三大お姉様として知らない奴はいない。容姿端麗、頭脳明晰という単語が非常に良く似合う立ち居振る舞いなのだが、何時も朝に弱く、学園での智代しか知らない皆はきっと驚くに違いない。俺しか知らないというのは地味に嬉しかったりする。腕っぷしも強いし、松田や元浜みたいな奴にも嫌悪感を示さない寛容性(襲われる時は例外らしい)は俺から見ても凄いと思う。俺は同性だから例外。

 

例の如く、智代が蹴り飛ばした二人を担いで教室に帰ると『何時ものあれ』と先生に説明すると遅刻は無しにしてくれた。まあこれも何時もの事だ。

 

俺と智代の席は少し離れていて俺が窓際一番後ろの席に対して智代は窓際だが三つ前の席だ。相変わらず授業は暇なのか外を眺めているのだが、凄く様になっていて、男女問わず視線を奪われている。何で彼氏を作らないのかと聞いてみれば『恋愛に興味がない』かららしい。確かに智代が誰かと付き合っているのは想像出来ない。

 

「おい、聞いてんのか、イッセー!」

 

「……あ、悪い。何だっけ」

 

松田と元浜と話をしている最中だったのをすっかり忘れていた。大抵、人の話は真面目に聞くんだけどな。なんでだっけ?

 

「智代お姉様の生着替え写真とか持ってないかって聞いてんだよ」

 

「幼馴染みのお前なら持ってるだろ⁉︎」

 

ああ、思い出した。こいつらの意味不明な言動に現実逃避してたんだった。

 

「持ってねえよ。幼馴染みだからってそんな事が許されるなんていうのはアニメの中だけだぞ」

 

しかもそういう場合は幼馴染みは絶対にそいつの事が好きだ。誘ってるんだよ、そういうのって。

 

「第一、俺と智代は幼馴染みなだけで付き合ってる訳じゃないんだぞ。そんな事したら空中コンボの餌食だっての」

 

昔一回だけ餌食になったが、走馬灯が見えた。

 

「くそぉ………それがあれば夜のお供には当分困らな「殺すぞこの野郎」あがががが⁉︎頭がぁぁぁぁ⁉︎」

 

血迷った発言をした松田の頭にアイアンクローをする。智代を夜のおかずにしようなんて随分と良い度胸だ。万死に値する。

 

「まさかとは思うが元浜もそんなつもりだった訳じゃないよな?」

 

「あ、ああ。我が家の家宝にするつもりだっただけだ」

 

家宝って其処までする必要はない気もするが、まあいいか。其処は本人の勝手だし。

 

「痛たたた………お前マジで殺す気だっただろ……」

 

「当たり前だ。智代をオカズにするなんて神にすら許されざる行為だ」

 

「お前智代お姉様好きすぎるだろ……」

 

「はぁ?幼馴染みなんだからこれくらい当然だろ」

 

「お前の中で幼馴染みの定義ってどうなってるんだ」

 

「そもそも世間一般での定義がわからない」

 

ていうか、幼馴染みに定義なんてあるのか?単に智代が穢されるような気がしてイラっとしただけだ。もし付き合ってたら殺すぞって言う前に殺してるし、生着替え写真がどうこうの辺りで殴ってるだろ。彼氏の前で彼女をオカズにする宣言とか勇気あり過ぎ。

 

「とにかく諦めろ。俺は死にたくない」

 

「いや、何となくだが、イッセーなら大丈夫な気がするぞ」

 

「それは俺も同意だ。智代お姉様はお前の事凄い信頼してる気がする」

 

「それはそれ。これはこれだ。俺は軽蔑されたくない」

 

何が悲しくて何の得もない事をして、智代の信頼を失わなければならないのか。それだけは絶対にごめんだ。例え俺や智代に恋人が出来たとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兵藤くん!好きです!付き合って下さい!」

 

「え?」

 

あまりに突然の出来事だった。

 

今日は用事があるからと一足早く帰路に着いていた俺に話しかけてきた見知らぬ制服を着た見知らぬ女子。

 

何事かと思えばいきなり告白。それなんてギャルゲ?と大いに聞きたいが、どうやら現実らしい。

 

「えーと、名前はなんていうのかな?」

 

「天野夕麻です」

 

黒髪のスレンダーな女の子は笑顔でそう答えた。おそらく名前を聞いたからOKを出したと思ってるんだろうな。初めから俺の答えなんて決まってるってのに。

 

「天野さん。ごめん、君とは付き合えない」

 

「え?ど、どうしてですか?」

 

やはり困惑している。断られるなんてハナっから思ってなかったと顔に書いている。

 

「俺は君を知らなさすぎるし、こういうのはあれだけど、君は胡散臭過ぎる。俺の事が好きで付き合いたいんじゃなくて、目的の為に付き合おうとしてるって感じがする…………あ、間違ってたらごめんね」

 

俺の言葉に天野さんは下に俯いた。やばっ、泣かせたかもしれない。女の子の告白を断った挙句、難癖つけて泣かせたとあれば社会的に抹殺される前に智代に殺されるかもしれない。そう思った時だった。

 

「ただのお人好しと聞いていたけど、無駄に鋭い餓鬼ね」

 

突然天野さんの口調が変わった。いや口調だけじゃない。顔付きも愛らしさなんて全くない。今まで智代が不良達をぶっ飛ばしている所を何回か居合わせた。その時何十人もの不良が智代と俺を囲っていたが、その時のプレッシャーなんて今に比べれば可愛らしいものだ。

 

「あ、あ天野……さん?」

 

「折角、良い思いをさせてから殺してあげようかと思ったのに………鋭いのが仇になったわね」

 

バッ!

 

彼女の背中から黒い羽が生えたかと思うと彼女はバサバサと飛び、俺を冷たい瞳で見下ろしていた。

 

何だよあれ……何かの演出か?

 

「予定が少し狂ったけど……まあいいわ。さようなら、兵藤一誠くん」

 

ブゥン。

 

ゲームの起動音よりも重たい音が空気を揺らす。

 

耳鳴りに等しい音を立てながら、光が天野さんの手に集結し、一本の槍のようなものができた。

 

あれが何なのかはわからない。けど、一つだけわかる事がある。

 

ーーーあれが当たったら俺は死ぬ。

 

逃げなければいけない。今すぐにでも。

 

だというのに足が竦んで動かない。目前に迫った死の恐怖に身体が硬直しきっていた。

 

天野さんが手にしていた槍を投げようとしたその時ーーー

 

「伏せろ、イッセー!」

 

聞きなれた声に頭が理解するよりも早く、身体が勝手に動いた。

 

咄嗟に身を伏せると背中に一瞬だけ重さを感じるが、すぐに消える。顔を上げて天野さんの方を見てみれば彼女は智代に思いっきり蹴り飛ばされ、壁にぶち当たっていた。

 

「逃げるぞ、イッセー!」

 

天野さんを蹴り飛ばしてすぐに智代は俺の元へ走ってくるとそう告げた。何が何だかさっぱりわからないが、智代がそういうのだから逃げなければいけないのだろう。

 

「わかっーーー危ない‼︎」

 

智代と共に逃げ出そうとしたその時、天野さんがその手に創り出していた光の槍を智代に向けて投げようとしていた。智代の全力の飛び蹴りを受けて意識があるなんておかしい。そう思うよりも早くに俺は智代を突き飛ばした。

 

ドン!

 

そして天野さんの投げた槍は智代ではなく、俺の腹部を見事に貫く結果となった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかっーーー危ない‼︎」

 

イッセーの手を引いて、すぐさまこの場から離脱しようとした時、そのイッセーに突き飛ばされた。

 

そして俺を突き飛ばしたイッセーの腹部には一本の光の槍が突き刺さっていて、それが消えたと同時に腹部にポッカリと穴が空き、数秒遅れで血が噴き出した。

 

「あ……あ…あ」

 

上手く言葉を発する事が出来ない。あんなに血が噴き出してはイッセーが死んでしまう。

 

何故イッセーが死ななければならない?それが原作の流れだから?

 

違う。イッセーがこの槍を受けたのは俺を庇ったからだ。流石に少しは時間が稼げるなんて堕天使を相手に人間の常識で考えたからだ。油断なんてしていい筈がないのに。

 

「人間の分際で私を蹴り飛ばすなんてふざけた真似をした貴方は殺してあげようかと思ったけど…………放っておいた方が面白そうね。永遠に悔いなさい、自分が殺した男の事を」

 

近くに歩いてきでそう言い放ったレイナーレの言葉が凄く遠いものに聞こえる。こいつの言う通りだ。私の所為でイッセーは今血だまりに倒れている。でも、原因を作ったのは誰だ?そもそもイッセーを殺そうとしたのはどこのどいつだ?

 

ドクンッと俺の中で何かが脈動した。

 

状況こそ違うが、六年前と同じ感覚だ。自分に対する怒りと相手への怒りがせめぎあって、それが相手に対する憎悪或いは殺意になった。

 

パキパキっとまるで何かが凍りつくような音がする。そうだ、あの時もこうして俺の足元から急激に周りが凍り始めたんだ。まるで○カメが○るの○スデスの能力みたいに。

 

「驚いたわ。まさか貴方も神器持ちだったとはね。私への怒りで目覚めたというところかしら?」

 

イッセーの傷口に手を当てて、意識すると血が流れている部分を凍らせることが出来た。これで一時的に止血は出来た筈だ。後は………この女を殺すだけだ。

 

「死ね」

 

「死ぬのは貴方よ……ッ⁉︎」

 

レイナーレが創り出した槍ごと手を凍らせる。其処から徐々に全身を凍らせていこうとするが、その前にレイナーレはもう片方の手に槍を創って俺にではなく、地面に投げつける。

 

それの所為で視界は遮られ、その隙にレイナーレは俺の目の前から姿を消していた。殺し損ねた………いや、それよりもイッセーだ。早く駒王学園に連れていかなければ!

 

「堕天使が妙な動きを見せているかと思ったら………へえ、面白いことになっているじゃない」

 

倒れ伏したイッセーを抱きかかえ、駒王学園に戻ろうと振り返った時、俺の目の前に現れたのは鮮やかな紅い髪の女子だった。

 

 

 

 

 

 

 





一応能力の一端発動。この時点で神器名が分かる方も分からないいらっしゃると思いますが、次回名前を出すのでその時にわかります。

なんやかんやでイッセー悪魔化は不可避のイベント。まあ、憑依系でもない限り無理ですよねー。

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