幼馴染みは赤龍帝   作:幼馴染み最強伝説

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レーティングゲーム〜終盤戦〜

「うおおおおおお………ぐへ」

 

「な、なんだ⁉︎」

 

智代に蹴り投げられた俺は新校舎の屋上に着いた。

 

いや、突き刺さったといっても過言ではない。実際頭から刺さった訳だし。智代、頼むから次からは着地の事も考えてね。次も投げられること前提なのかよ。

 

「部長!助けに来ました!」

 

「どう考えても今助けが必要なのは貴方だと思うのだけど」

 

冷静に言われた。そういえば突き刺さったままだもんね。

 

「あー、すみません。引っこ抜いてもらえます?」

 

「え、ええ」

 

取り敢えず部長に引っこ抜いてもらった。まだ朱乃さんは来ていないのか………いや、来てないんじゃなくて体育館を消しとばした時のように溜めを作っているのかもしれない。このゲームが始まるまえに部長が言っていた。『ライザーは絶対に私を投了させようとするでしょうから、まず狙われるのは私ではなく眷属の貴方達よ。だから無理して早く助けに来なくても着実に倒せる手段を取ってちょうだい』って。

 

目の前には無傷のライザーが立っていた。何か微妙な表情をしてこっち見てる。

 

「せ、赤龍帝の小僧か。まさか空を飛んで………はいないよな。どうやってきた」

 

「智代に蹴り投げてもらった」

 

「け、蹴り投げる?人間界には理解不能な日本語が多いな」

 

「問題ない。そんな日本語知ったのは俺もついさっきだ」

 

だからそんな真剣に顎に手を当てて悩まなくていいぞ。そんな日本語存在しないから。智代の日本語辞典にはあるかもしれないけどな。

 

「まあいい。大神智代ならそれなりに面白い闘いが期待できるかと思ったが、貴様では俺と対等に闘う事など到底出来んだろう。そろそろリアスの説得にも疲れてきた。まずは眷属達から消えてもらうとしようか!」

 

ライザーはその手に炎を集める。大した量ではないのだろうけど、喰らえば俺みたいな下級悪魔ではひとたまりも無いだろう。

 

『ああ。不死鳥フェニックスの炎はドラゴンの鱗にも傷を残す。例え禁手になっても喰らい続けるのは得策じゃない』

 

「『プロモーション』!『女王』!」

 

取り敢えずプロモーション。これで俺は最弱の駒から最強の駒になった。全身から溢れるような力が漲ってくる。良し!これでいける!

 

「部長ッッ!」

 

俺は部長に向かって叫んだ。

 

「俺は木場みたいな剣の才能はありませんッ!朱乃さんみたいな魔力の天才でもありませんッ!小猫ちゃんみたいなバカ力もないし、アーシアみたいな治癒の力もありませんッ!幼馴染みの智代は人間なのに悪魔でドラゴンの俺よりも何倍も強いですッ!それでも俺は貴方を!智代を!仲間を絶対に守り通してみせますッ!その為なら俺は神様でもぶっ倒して見せますッ!この赤龍帝の籠手でッ!俺の唯一の武器でッ!皆を守りますッ!輝きやがれぇぇぇぇッ‼︎オーバーブーストォッ‼︎」

 

『Welsh Dragon over booster!!』

 

籠手の宝玉が赤い閃光を解き放ち、周囲を赤い光が覆った。

 

俺の体が真紅に包まれる。

 

ーーー力が。

 

ーーーお前の力が流れ込んでくるぜ。

 

『ああ。使ってみろよ。ただし、二十秒だ。それ以上はお前の肉体が持たん』

 

わかってるよ。言われなくてもな。二十秒でケリをつける!

 

赤いオーラを放ちながら、俺は前へ飛び出す。

 

俺の体は赤い鎧を身に纏っていた。ドラゴンの鎧を纏った全身鎧。

 

全体的に鋭角的なフォルム。籠手は左腕だけではなく、右腕にも着けられている。

 

籠手にあった宝玉は両手の甲、両腕、両肩、両膝、胴体中央にも出現していた。

 

背中にはロケットブースターのような推進装置まで付いている。

 

「鎧⁉︎赤龍帝の力を具現化させたのか⁉︎」

 

その通りだ。今の俺は小型のドラゴンといっても過言ではない。

 

「これが龍帝の力!禁手(バランス・ブレイカー)赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』だ!俺を止めたいなら神か魔王…………後、智代を連れてくるんだな!何しろ、『禁じられしいまいましい外法』らしいからな!」

 

「イッセーの中で智代は神や魔王と同レベルなのね……」

 

部長出来れば其処は気にしないで欲しかったです。

 

何か智代にだけはこの状態でも勝てる気がしない。ドライグはこの状態なら余裕とは言ってたけど、何故だろう?やっぱり日頃、圧倒的な強さを見せつけられてるからかな?

 

『XX』

 

おっと、カウントダウンが始まった!余裕ぶっこいてる時間はねえよな!

 

背中のブースターを噴かせて、ライザーへと突進する。

 

「ぐわっ‼︎」

 

かなり距離が近かった事もあり、爆発的な加速力で凄まじい速さを得た俺のタックルをもろに受けたライザーは吹っ飛んだ。その時にバキバキと骨が折れたり、砕けたりするような音が聞こえた。

 

『XⅨ』

 

「喰らえ、ライザァァァァァァ‼︎」

 

俺は指先に魔力を集めて、吹っ飛んでいくライザーに向けて放つ。

 

俺の指先から離れた魔力は極大のサイズになり、ライザーと森を飲み込んだ。

 

ドオオオオオオオオオォォォォォォォォォンッッ!

 

『XⅧ』

 

凄え………これが赤龍帝の籠手の本来の力なのか?

 

『いや、これはまだ片鱗に過ぎん。赤龍帝の力はもっと強力で危険なものだ。今のお前が………いや、永遠に知る必要はないかもしれんな』

 

?どういう意味だよ、それ。

 

『さあな。それよりもまだ奴は立っているぞ』

 

『XⅦ』

 

ドライグの言う通り、超巨大なクレーターの出来た中心でライザーは立っていた。相変わらずの無傷だ。……いや、そんなはずは無い。多分、再生しただけだ。さっきはタックルだけで骨を砕いたし、魔力の一撃は完全にライザーを消しとばしたはずだ。

 

炎の羽を広げたライザーは再度俺の前に降り立った。

 

「………驚いたな。さっきの一撃。最上級悪魔ですら無事では済まんだろう。正直侮っていた、すまなかったな、赤龍帝の小僧。否、兵藤一誠。はっきり言ってお前を嘗めすぎていた。だからここからは俺も全力で相手をさせてもらおうッ!鳳凰とフェニックス!不死鳥フェニックスと謳われた我が一族の業火!その身で受け燃え尽きろ!」

 

ライザーが両腕を広げるとライザーを包んでいた炎が肥大化し、炎の鳥となり、宙を舞った後、一直線に突っ込んできた。

 

あれを食らうとタダじゃ済まないんだったよな!けど、後ろに引くわけにはいかない。部長やアーシアがいるんだ!それにここに来て後退の二文字は存在しねえよな!

 

「てめえのチンケな炎でやられるわけねえだろ!」

 

俺の赤いオーラを纏った拳とライザーの炎を纏った拳が激しくぶつかり合う。

 

凄まじい熱量だ。鎧がなけりゃ、余波だけで黒焦げになってる!

 

「まだまだぁ!」

 

『XⅥ』

 

もう一方の拳でライザーの顔面を殴る。するとライザーも同じように俺の顔面を殴り抜いた。

 

「「がはっ!」」

 

ごぼっ。

 

その一撃で俺の口から血がこぼれた。

 

くそっ!なんて重い一撃だよ。これが奴の力だってのか………でもこれくらいならっ!

 

「こんな一撃!智代の蹴りに比べたら毛程も効かねえよ!」

 

ダメージから素早く回復した俺はライザーの横腹に回し蹴りを叩き込む。骨の折れる音が聞こえるが、ライザーはその場で留まり、炎の一撃を浴びせてきた。

 

鎧越しにでも伝わってくる程の凄まじい熱量と一撃に今度は俺が吹き飛ばされた。

 

『XⅤ』

 

マトモに喰らったってのに消し炭になってない。やっぱこの鎧は凄えって事だ。

 

この状態になってもライザーと俺には戦闘経験っていうデカい差がある。今すぐには埋められないどうしようもない差だ。でも!でもよ!それは負けていい理由にはならないんだよ!

 

俺は籠手の一部に隠していたものを手のひらにセットし、再度仕掛ける。

 

ガゴッ!

 

再度互いの拳が顔面に鋭く入り込み、大きく仰け反る。

 

「そんなもの!効くーーー」

 

ゴバッ!

 

不敵な笑みを浮かべていたライザーの口から大量の血が吐き出された。俺の一撃はライザーにとって………いや、悪魔にとって致命的な一撃だった。当然だ。俺の手にはこいつが握られてるんだからな。

 

俺は手を開いて持っているものをライザーに見せた。

 

「十字架!十字架だと⁉︎」

 

そうだよ。悪魔の苦手アイテムの一つ、十字架だ。

 

『XⅣ』

 

「うちの『僧侶』は元シスターでね。奥にしまってたのを借りてきたのさ。十字架の効果を神器で高めて殴れば、いくら上級悪魔で不死鳥フェニックスのあんたでもそうそう癒せないだろ?」

 

「バカな!十字架は悪魔の身を激しく痛めつける!如何にドラゴンの鎧を身につけようと手にすること自体が愚の骨頂ーーーま、まさか!」

 

その時、ライザーは初めて俺の左腕の変化に気づいた。

 

全身がドラゴンの鎧になってるからわかりにくかっただろうが、近くで見れば気づくだろう。

 

無機質の質感に見える全身鎧とーーー、生きているかのように脈動する左腕との差が。

 

「籠手に宿るドラゴンに……自分の左腕を支払ったのか……?それがその馬鹿げた力の理由か………ッ!」

 

「ああ。そうだ。俺はてめえに勝つ為に、この力を得るために左腕を支払った。もうこの腕は悪魔の俺のものじゃなくてドラゴンの腕だ。だから悪魔の弱点は関係ない!」

 

『XⅢ』

 

「そんなことをすれば二度と元の腕には戻らない!お前はそれがわかっているのか⁉︎」

 

「それがどうした」

 

『XⅡ』

 

くだらない話をしている間にもカウントダウンは刻まれていく。残るは十二秒。これならやれる!

 

「俺みたいな奴の腕一本で智代と部長が守れるんだぜ?こんなに安い取り引きはないだろ?」

 

「………イカれているな。だが、その覚悟。俺はお前を始めて畏怖した。まだ心の何処かでは慢心していたのかもしれん。だからたった今から俺はお前を対等な敵と見なす!死んでも恨んでくれるなよ!」

 

ゴォォォォォ‼︎

 

ライザーを纏う炎がより一層強くなった。これがあいつの本気か!鎧纏ってなきゃ、碌に近づく事すら出来ないだろうな。

 

「俺は死なないし、絶対に負けない!必ず守るって決めたんだからな!」

 

「その意気だ!久しぶりに昂ぶってきたぞ!兵藤一誠!」

 

空中で俺とライザーは激しい肉弾戦を繰り広げる。ライザーの一撃はどれもこれも重い!打たれ強くなかったら今頃俺は地面に伏している。ライザーは俺の左腕の一撃のみを的確に躱して、それ以外は喰らったり、防いだりしていた。

 

『XⅠ』

 

「どらぁ!」

 

「ごふっ!」

 

俺の左拳がライザーの腹部を捉える。だが、ライザーは喰らいながらも俺の左腕を掴み、ニヤリと笑った。

 

「この距離。この一撃なら!鎧を纏っていたとしても無事では済まんだろう!一撃で戦闘不能にしてやる!回復されても厄介なのでな!」

 

ライザーは大質量の炎を右手に凝縮し、それを俺めがけて放とうとする。ライザーの言う通り、この距離で喰らえばただじゃ済まない。そう思った時…………一筋の光がライザーの右腕だけを消しとばし、凝縮されていた炎の魔力はコントロールを失って爆発を起こした。

 

『X』

 

さっきのは雷の一撃!って事は…………

 

「ここぞという時に溜めを作っておいた甲斐がありましたわ。下手な威力ではダメージは与えられませんもの」

 

「チッ。『雷の巫女』か。忘れていたな、これがレーティングゲームである事を」

 

ライザーは空に浮かび、うふふと笑っている朱乃さんを見て、舌打ちする。朱乃さんのお蔭で助かった。助かったけど………

 

「十字架は奪った!これ以上使用されれば俺の敗北を必至だ。だが、これさえなければ、俺は勝てる!」

 

爆発の瞬間、ライザーは俺の手に握られていた十字架をダメージ覚悟で奪ったんだ。

 

『Ⅸ』

 

ライザーは十字架を宙に投げるとそれを炎で消し去った。これで十字架による攻撃は使えないし、カウントダウンも半分を切ってる。早くしないと…………

 

「ライザー・フェニックス様の『兵士』二名、『騎士』二名、『戦車』一名、『僧侶』一名。リタイア」

 

「何だと⁉︎」

 

グレイフィアさんのアナウンスにライザーが驚愕し、運動場の方を見る。つられて俺も運動場を見ると、其処に広がっていたのは氷漬けにされた元運動場と呼ぶべき場所だった。智代がやったのか?凄いなんてものじゃないぞ!あれ!

 

「大神智代の仕業か?俺を蹴り飛ばした時もそうだったが、彼女だけはお前たちの中で一線を介した強さがあるな。此方に来ていないのは相性で分が悪いと踏んだのか?妥当な判断だと言えるな。あれは確かに強力だが、俺を倒すには程遠い。兵藤一誠を此方に送り込んできたのは正解だな」

 

あれだけの威力でもライザーは倒せない⁉︎いや、それでもダメージはあるはずだ!今までのやり取りでライザーも疲弊しているはず!俺が倒れるか、ライザーが倒れるか、二つに一つだ!

 

『Ⅷ』

 

何度目かの肉弾戦。ライザーに突っ込み、殴り合いをするが、十字架がない分、ライザーはさっきみたいに躱したりしない。腕で防いでくる。俺も防いだりはしてるけど、再生するライザーと違って着実にダメージが蓄積されていっている。早く倒さないと!

 

「焦っているな、兵藤一誠。攻めあぐねているからか?だがな、ゲームではその焦りが命取りだ!」

 

ライザーは俺の拳をかいくぐると俺に抱きつき、そのまま新校舎の屋上に突っ込んだ。

 

凄まじい衝撃に俺の口からは大量の血がこぼれた。そしてーーー俺の身体から包んでいた鎧が消失していた、

 

鎧が解除されてる⁉︎

 

おい!どういうこった!まだ時間はあるだろ!

 

『ああ。だが、想像以上にダメージを喰らいすぎた。残ったお前の体力では鎧を維持出来なかった』

 

……ったく、またこういう肝心な時に限って、俺ってやつは。

 

ライザーは俺の近くに降り立つと見下ろしながら言う。

 

「どうやら想定よりも早くに鎧が無くなったらしいな。俺としては好都合だ。もう少し闘いを味わいたかったが、それはまた今度だ。今はお前の主を倒してこのゲームを終わらせる。流石の俺も疲弊しすぎた」

 

俺を一瞥するとライザーは部長の元へと向かう。

 

クソ!行かせちゃダメなのに!身体がダメージで思うように動かねえ!

 

「やらせません!」

 

「リアスに『雷の巫女』。残念だが、俺の眷属には強力な君達も先程の赤龍帝程ではない」

 

ライザーは朱乃さんの攻撃を炎の壁で防ぎながらそう言う。

 

「いくら私や朱乃がイッセー程ではなくても、貴方も防がなければならない程に精神が疲弊しているわ!それなら私達でも十分よ!」

 

「確かに、俺は先程の赤龍帝との闘いでかつてないほどに疲弊している。だが、リアス。君や『雷の巫女』を倒すくらいならまだ余りあるくらいの力は残っている。これでもゲームではそれなりに場数も踏んでいるんだ。未経験の君に推し量られる程度の体力、精神力しか持ち合わせていないわけじゃない」

 

部長と朱乃さんの一撃をライザーは一薙ぎで無効化した。嘘だろ…………いくら二人共、疲れてるって言ってもあんな簡単に………

 

詰み(チェックメイト)だ、リアス。後数日あれば、其処に寝ていたのは俺だったやもしれんな」

 

ライザーは炎を手に出すと部長達に向けて放とうとする。

 

身体さえ動けば!あいつと部長達間に立って盾になるくらいは出来るのに!

 

『ククク、身体さえ動けば、か。お前、あの娘に渡されたものが何かわかっていないようだな』

 

渡されたもの?小瓶の事か?それがどうしたってんだ!

 

『飲んで見ればわかるさ。だが、今さら遅いかもしれんがな』

 

ドライグの言う通り、ライザーの一撃は今まさに部長達めがけて放たれた。

 

間に合わなかった。とそう思った時、突如として炎が消え失せた。

 

「何とか間に合ったみたいだね」

 

そこに立っていたのは両手に氷で出来た刀身の剣と円状の特殊な刃を生やした魔剣を持った木場の姿だった。あいつってやつはここぞという時に出てきやがる!かっこいいったらないよな!

 

「リアスの『騎士』か?魔剣使いだとは聞いていたが、まさか複数所持しているとはな。それに防がれるとは思わなかった」

 

「『炎凍剣(フレイム・デリート)』と『風凪剣(リプレッション・カーム)』。二つ同時に魔剣を使用したのは久しぶりですよ」

 

「そうか。だがもう一撃。防げると思わんことだな」

 

「重々承知しています……ですから」

 

ライザーめがけて土塊が飛んでくる。ライザーはそれを一瞬で消し炭にしたが、その土塊の背後から現れた小猫ちゃんがライザーに拳打を浴びせる。怯んだところを木場が剣戟を浴びせるもライザーは全身から炎を噴き出す事で二人を弾き飛ばした。

 

「………やるな。まさかここまで追い詰められるとは思わなかった。今回のゲーム、非公式とはいえ、本来のものと何ら遜色ない好ゲームだった。誇っていい。間違いなく、将来的にお前達は公式のゲームでも十分に上位に食い込める。今回は経験不足だっただけだ、恥じるような事ではない」

 

「誇るとか………恥じとか………そういうのはどうでも良いんだよ………ッ。ここで負けを認めたら………部長も…………智代も、お前に取られちまう。それだけはダメなんだ………俺が死ぬような事があっても!二人を渡す訳にはいかないんだよッ!」

 

「ほう………尚も立ち上がるか。その根性、気迫、お前には才能なんてものは全くと言っていい程に感じられんが、伸び代はあるな。このゲームが終わった後で俺がみっちり鍛えてやる。だからもう寝て………ん?待て、何故お前が『フェニックスの涙』を持っている⁉︎」

 

ライザーは俺の持つ小瓶を見てそう叫んだ。そういや、そんな名前だったっけ、これ。

 

あれだけ焦ってるって事は何かあるんだよな。

 

「くっ!やらせるかっ!」

 

炎の翼を広げて、ライザーが突っ込んで来る。

 

「ーーーそれは此方の台詞だ。ライザー・フェニックス」

 

パキパキという音を立てて、ライザーの足が地面に固定され、下から蹴り上げられる。

 

「ギリギリ間に合ったみたいだな、イッセー」

 

新校舎の屋上を蹴破って現れたのは智代だった!皆、揃いも揃って出てくるタイミング良すぎだろ。お蔭で助かったけどな。

 

「サンキュー、智代」

 

「私達の間に礼など必要ないだろう?」

 

俺は小瓶の中身を口に入れる。

 

口の中に液体が広がったと思うと先程までのダメージや疲労が嘘のように身体から引いていく。なんだ、こりゃ?

 

『フェニックスは不死の特性を持った悪魔だ。その体液はどんな深い傷も治すと聞く。おそらく名前通り、その小瓶に入っていたのはフェニックスの涙だろう。お前の体調はゲーム前と同じくらいに戻ったぞ』

 

マジか!よっしゃ!もう一回なれるか?あの状態に!

 

『ああ。一つの代償で二回目を使用するのは負担が大きい。カウントは半分の十秒だ。それで大丈夫だろう』

 

「十分だよ、もう一回行くぜ!オーバーブーストォッ!」

 

赤い閃光の後に再度全身を赤い鎧が包み込み、力が漲る。

 

「智代!」

 

「わかっている!」

 

並び立った俺と智代は同時にライザーへと肉薄し、アッパー、そして蹴りを浴びせる。

 

氷姫の牢獄(アブソリュート・プリズン)‼︎』

 

智代の叫び声と共に地面から突き出た無数の氷柱がライザーの両腕両足を貫き、空中に固定した。

 

これなら全身全霊を込めた一撃が撃てる!

 

全部の魔力を拳に集中!後の事は考えない。ただこの一撃にかけるだけだ。

 

「おおおおおおっ‼︎」

 

俺は左拳に溜めた全魔力を空中のライザー向けて放った。放つと同時に俺の鎧は解け、そして視界一杯を覆い尽くした一撃はライザーを飲み込んだ。

 

『ライザー・フェニックス様。リタイア。勝者、リアス・グレモリー様です』

 

そのアナウンスが聞こえたのを聞き届けると俺は意識を失った。

 

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