鬼達が斬る!(仮)   作:小鳥遊 虹

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我々、鬼の力を手にし内外の敵を屠りし者。

ヒトが腐敗させしこの時代。

朽ち果てた国に跋扈(ばっこ)する、正義で裁けぬ悪を()つ。

己の為に善を()つ。


我ら全員、殺戮暗殺者ーーー東方鬼々


第1話

闇の中を駆ける1人の男。

今宵(こよい)の私のターゲット。

気配の殺し方や身のこなしから、かなりの手練れであることは容易に把握出来るが、そんなものは関係ない。

 

「この情報を急いで革命軍の同士達に──」

 

「そんなの私が認める訳ないじゃん♪」

 

闇に紛れ上空から飛来(ひらい)する私に気付き、後ろに飛び退く男。

うっかりしていた。声を出すのは失敗だったか。

男の前に立ち、進もうとしていた道を(ふさ)ぐ。

初撃を外した私はナイフを男に突きつけて獰猛(どうもう)な笑みを浮かべる。

閃くナイフの刃を間一髪(かんいっぱつ)でかわした男は状況を理解し、背を向けて走り出した。

敵に背を向ける行為はよく馬鹿にされるけど、それは相手の攻撃を防げる、ある程度実力がある者に限った話だ。この状況で下手な小細工や反撃を考えずに、瞬時に逃走に全力を注いだ判断は素晴らしいと思う。

 

「クハッ♪ 逃がすと思ってんの?」

 

とは言え、それで逃げられるかどうかというとそうでも無いのだが……。

逃げようとする男の足を斬りつけて(けん)を切り、蹴り飛ばして壁に叩きつける。

運が無かったね。あらゆる面で私の方が格上だったということだ。

 

「正義が正義のままで終わるなんてありえない」

 

身動き一つ出来ない男から視線を外さない。

悔しそうに唇を噛みしめ、私を睨みつける男を嘲笑う。

 

「あなたで最後。無駄な抵抗ご苦労様、反乱軍の諜報員さん。手柄を他の奴に譲ってやる気も無いから、生け捕りにはしないであげるよ」

 

「くそっ何で東方の鬼共(おにども)が王都に出て来ているんだ!」

 

「そんなのエスデス将軍が北に遠征に行ったからに決まってんじゃん」

 

何を分かりきった事を。ん? 反乱軍って私達が東から出て来ない理由知らなかったの?

エスデス将軍と私達って思考回路が似ているんだよね~。で、私達はあの大臣と仲が悪い。

かといって戦いになれば殉職者(じゅんしょくしゃ)が許容量を超えそうだから、東に籠もって一切(いっさい)の接触を()っているんだよ。

逆に言えば、エスデス将軍さえいなければうっとうしい豚でしかないので、こうやって出て来て好き勝手やってもあの大臣にはどうしようも無いって訳なのだ。

 

自分たちでも不思議なんだけど、力が全てだと思っているにも関わらず、皇帝への忠誠心が無いって訳でも無いんだよね。

だからこうやってコイツらみたいのや犯罪者を捕らえては、皇帝に褒めてもらいに宮殿へ顔を出しに行くんだけど。

男の首を切り取った私は、頭を掴んで袋にしまう。

男の仲間を含めて全部で10個。

普段は大臣が捕まえれなかった者を私達が捕らえたと、大臣の無能ぶりを強調しつつ報告して、大臣を()き下ろすんだけど、今回は趣旨(しゅし)を変えてみよう。

 

「ふんふん♪ ナイトレイドってのとも戦ってみたいなぁ」

 

恍惚(こうこつ)の笑みを浮かべる私は、血で真っ黒になった手で生首の大量に入った袋を持って、鼻歌混じりに拠点へ戻る。

流石に血が全身にこびりついたこんな血まみれの格好で皇帝様に会いに行くわけにもいかないしね。

う~ん、出来れば風呂に入りたいな。用意して貰おうっと。

 

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