メタルマックス 終わりの始まりのその後が終わらなかった世界 作:KR410
標高が高く、狭い場所だった。
と言っても、人間のサイズからすれば、遥かに広大な土地である。
この大地の果ては、お決まりの人跡未踏の山岳地帯と、底なしの大地の裂け目によって隔絶されている。
しばらくは、この町にも滞在する事になりそうな「フリフリ」。
「タイシャー」の補給物資は、なかなか良質な物ばかりだったが・・・・・。
おやじ 「な、なんじゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
甲板のようなボディーを持つ、小型陸上戦艦のような、そんな 遥か彼方の「かなた」の世界の住人ですら、衝撃的なフォルムの大型戦車「フィリファリーテ」。
おやじは、驚きのあまり椅子から転げ落ち、腰を抜かしていた。
彼には、「フリフリ」が凶悪なモンスターにでも見えていることだろう・・・・・。
姫子 「おやっさん、おやっさん! あたしらだって、ほら、あたしたち!」
おやじ 「ほあ? はぁ~~~??????」
アル 「俺だよ! 補給を一括で注文した『フィファリーテのアル』だよ」
おやじ 「ふぃるふぁるたーる?」
姫子 「『フィリファリーテ』! 『フリフリ』だって」
おやじ 「ふりふり? 不利不利?、フリフリ? フリフリ・・・・・」
おやじ 「あー!!! この間のにーちゃんとねーちゃんじゃねーか!」
姫子 「だから、言ってんじゃん!」
おやじ 「あんたら、何てモンに乗ってんだあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
アル 「す、すまねー、おやじさん・・・・・」
かなた 「ごめんなさい、脅かす気は無かったんですよ・・・・・」
姫子 「ちょっと、おやっさん!!! これは、あたし達のれっきとした戦車なんよ!」
姫子 「おやっさんも、ハンター相手に商売してるんなら、常識なんてモンがいかに虚しいもんか知ってんでしょ!!!」
おやじ 「・・・・・」
おやじ 「そりゃー、ねーちゃんのゆう通りだがよ・・・・・」
姫子 「だったら、さっさと仕事しなくちゃ! こんな美人のお得意様を待たせちゃまずいよね、プロとして♪」
おやじ 「・・・・・」
おやじ 「い、いらっしゃい」
アル 「おやじさん、ほんとすんません」
かなた 「ごめんなさい、おやじさん」
呆然とするおやじの店で、無事に?物資を受け取った。
そして、メギとニコラを残し、次の町の探索に出かけた3人。
何しろ、この町ではハンターのライフライン、弾薬の補給が出来いのだから。
アル 「姫子のセールストークも捨てたもんじゃないな♪」
姫子 「当然です! 今、巷を騒がすフリフリ交渉担当『姫子』さんですからね♪」
かなた 「なんだかんだ言って、おやじさんも立ち直ってたもんね」
装備屋のおやじから、ついでのおまけをさせて、頂いた膨大な書類が机の上に置かれている。
かなた 「これで、モンスターの識別がだいぶ楽になるよね!」
アル 「モンスターより、町のみんなから撃たれるんじゃねーかって、ヒヤヒヤだったけどな♪」
その書類の山には、
周辺地図、モンスターリスト、代表的な戦車のシルエットなどと、
補給リスト、町の要人リスト、町で起こった事件などの、内外の情報が可能な限り集められていた。
店のおやじからしても、零細だが金払いの決して悪くない「カンパニー」のお得意様を獲得するための条件としては、まっとうな取引だと感じたようだ。
手に入れたおまけは、彼女たちの予想以上に詳細で膨大だった。
姫子は、得意気にメインシートに座り、あまり得意ではない、操縦桿を握っていた。
なぜ、彼女が運転しているのか?
それには、深い、とてもふか~い理由があったそうな。
かなた 「それにしても凄い量だよ! おまけでこれだけの情報を仕入れるなんて凄いや」
姫子 「交渉のコツはね、引いたと見せて押す事よ! って、ラスの受け売りなんだけどね♪」
アル 「ついでに、敏腕交渉担当の『姫子部長』がデータの整理を手伝ってくれると嬉しいんですけどねー」
姫子 「部長は、今 それどころではないの! ほらほら、二人とも、がんばって!」
姫子さんの苦手な事。
デスクワーク、・・・・・
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隣の町、「オーター」。
「タイシャー」の町から道なりで200km離れているらしい。
おやじの地図には、あまり、町が記されていなかった。
この辺りに、町は多くないようだ。
その日の夕方。
彼らは、順調に行程の中ほどまで到達していた。
「オーター」への道中には「リバースリバー」と呼ばれる渓谷が広がっている。
その谷の入り口で・・・・・。
かなた 「ねー、アル・・・・・、子供がいるよ?」
アル 「何言ってるんだ?」
かなた 「ほら、そこに」
荒野の車外に、気がつけば「フリフリ」の傍らに子供が歩いている。
アル 「なに! なんだと? どこから出てきたんだ?」
アル 「ちょっとストップ、ストップだ! 姫子」
姫子 「・・・・・・・・・・」
アル 「姫子?」
姫子 「いやだ! このまま突っ切るよ、嫌な予感がする・・・・・」
アル 「!」
アル 「なに、ダダこねてんだ! 子供がいるんだぞ! 遭難者かもしれねーだろ!」
かなた 「あああぁぁぁぁぁぁ!!!」
姫子 「うわあぁぁぁぁぁぁぁ! あぶなあぁぁぁぁぁぁいいいいい!!!」
子供の一人がフリフリの進路上に飛び出してきた!
「ガキィィィィィンンン ギャギャギャギャギャァァァァァ!!!」
フリフリは緊急停車。
停車と同時に「アル」と「かなた」は慌ててハッチを開ける。
姫子 「まって! ちょっと待てって言ってるだろぉーーーーー!!!」
姫子の制止を振り切り二人は出て行った!
アル 「おーい! 大丈夫かー!!!」
かなた 「怪我はないかー?」
子供 「・・・・・・・・・・」
かなた 「きみ! 大丈夫? どこも怪我はない?」
子供 「・・・・・・・・・・」
しかし、無表情で立ち尽くす子供の顔からは、生気が感じられなかった。
姫子 「アルゥゥゥゥゥ!!! かなたを連れて逃げろおぉぉぉぉぉ!!!!!」
そう絶叫して、姫子はハッチを閉じた。
アル 「!?」
アル 「かなたぁぁぁぁぁ!!!」
かなた 「ほんとに怪我は・・」
子供 「・・・・・・・・・・、(ニヤリ)」
アル 「ふせろおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
かなた 「え!?」
かなた 「ぐふぅ!!!」
不意に、後ろから アルの激しいタックルをくらった かなた。
そのまま10mほど引きずられてから投げ飛ばされた!
爆 「ドゴオォォォォォォォォォォォンンンンン!!!!!」
発 「オオォォォォォォンン!」
・・・・・・・・・・
子供が爆発した・・・・・。
跡形もないほどに大爆発した・・・・・。
・・・・・・・・・・
かなたは、仰向けで倒れていた。
現実を飲み込めないで・・・・・
体が痛い。
タックルの痛みだろうか?
ぶん投げられたときに打ち所が悪かったんだろうか?
それとも、あの爆発のせいだろうか?
爆発?
・・・・・・・・・・
かなた・唖然 「・・・・・・・・・・」
かなた・呆然 「・・・・・・・・・・」
かなた・涙 「・・・・・・・・・・」
少年の目には涙が溢れていた、衝撃の大きさに感情のコントロールが追いつかない。
姫子 「アルゥゥゥゥ!!! かなたぁぁぁぁ!!!」
姫子さんの声だ、慌てた声が聞こえる、珍しいな・・・・・
姫子 「アル! かなた! 返事をしてよぉぉぉぉぉ!!!」
かなた 「・・・・・・・・・・」
その、心配そうな、普段と違う声色の 姉さんの声で、少しだけ現実の世界に引き戻される。
かなた 「い、いたたたた・・・・・」
かなた 「ひめこさ・・・・・、姫子さん・・・・・、姫子さぁぁぁぁぁぁぁんんん!!!」
姫子 「かなたぁぁぁぁぁぁ!!!」
姉の気配で現実感を徐々に取り戻すと、自分にかぶさって腹這いで横たわる アルに気がついた。
かなた 「・・・・・・・・・・」
かなた 「アル?」
かなた 「アル! 大丈夫、アル!」
アル 「・・・・・・・・・・・」
かなた 「しっかりして! アル! アルー!!!」
姫子も爆発の直後、反射的に駆け出していた。
姫子 「かなたぁぁぁぁぁ!!!!!」
姫子 「だいじょぶなのね! かなた!!!」
かなた 「アルが、アルの意識がないよ!」
姫子 「・・・・・・・・・・」
姫子 「心配ない、気絶してるだけ」
だが、そう言う彼女に安堵の表情はない。
姫子 「かなた、動けるね! ついておいで、逃げるよ!」
かなた 「・・・・・、ごめんなさい」
姫子 「泣いてる暇はないぞ! 話は後でね♪」
姫子はアルを抱えて、かなたはバキバキの体を引きずって「フリフリ」に戻っていった。
くすぶった炎で燃えていた「フィリファリーテ」の艦首。
かなたは、この光景を生涯忘れないだろう・・・・・
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車内に戻った3人。
姫子 「かなた、体は大丈夫なんだね?」
かなた 「あちこち痛いけど、大丈夫」
姫子 「なら、運転して、後退するよ!」
かなた 「うん、わかった」
姫子は、アルを床に寝かし、怪我の具合を調べると覚醒の処置を手際よく施していた。
かなた 「姫子さん、アルは大丈夫だよね?」
姫子 「大丈夫だから、運転に集中しな!」
かなた 「う、うん」
しかし、「フリフリ」の退路は、人間爆弾もどき達によって塞がれていた。
かなた 「姫子さん、人が! 人がぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
姫子 「あれは、人じゃない! トリガーを引きな!」
かなた 「で、でも・・・・・」
姫子 「迷ったら、やられるよ! かなた!!!」
かなた 「・・・・・」
頭ではわかっていた。
だが、子供の姿で歩き回るモンスター。
少年にためらいがないわけがない。
かなた 「あれは、モンスターだ、モンスターなんだ! ちーくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
トリガーに手をかけるも、それでも引くことは出来なかった。
姫子 「撃てぇぇぇ!!! かなたぁぁぁぁぁ!!!」
かなた 「だめだ、やっぱり撃てないよ!!!」
「フリフリ」には、戦闘支援システムとして、至近距離での自動迎撃機能も搭載されている。
散々無駄弾をばら撒くため、「破産システム」などの別称で呼ばれている、ハンター達からは不評な機能だが、いざとなれば限定的全自動射撃も可能だった。
だが、やっぱり、それも出来ない。
いや、彼の性格から、それはもっと困難だったかもしれない。
姫子 「撃たないんならそれでもいい、けどね」
かなた・涙 「・・・・・」
姫子 「今、キミは何をするべきなのかな?」
かなた 「・・・・・」
酷い顔で、ひどく混乱中の主人公。
少年は混乱しながらも、激しく叱られる事を予想とゆうか期待とゆうか、想像していた。
彼は、ハンターとしては、精神が弱気すぎる。
良く言えば優しい、悪くとればあま過ぎだった。
「ごめんなさい」の口癖も、そんな彼の性格からなのかもしれない・・・・・
そんな今も頭の中では、姫子とアルへの「ごめんなさい」が渦巻いていた。
しかし、予想していなかった姉の優しい言葉と声。
不思議と気分が落ち着いていく。
姫子 「メギだったらどうするだろね?」
姫子 「ニコラだったら?」
かなた 「・・・・・・・・・・」
姫子 「『アイアンギャング』は何で解散したのか覚えてる?」
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海賊ガレリア お尋ね者の日常
第7話 交渉人
砂塵の荒野を時速50kmで歩く「軍艦ブロント」
その第一艦橋では、大勢の人間が 「海賊ガレリアのマーチ3」を歌っていた。
一同に、不安が無い訳は無いのだが、それでも全艦に溢れる笑顔。
個人個人、一人一人にいたるまで、彼らは「ガレリア」の名を誇っていた。
何となくだが、「ブロント」の表情も楽しげで、誇らしげだ。
彼らが、とある街の近くを移動していると、見慣れた役所仕様の装甲車が近づいてきた。
たいち 「てっくん、装甲車がひとつ近づいてきます」
ティク 「1台だけ? ラスさん、どうしましょうか?」
レイト 「さっそく、お出ましか!」
レイト 「1台で俺たちとやろうってのか? いい度胸だな!」
ラス 「装甲車1台? 戦闘が目的とは思えませんよ」
レイト 「わからねーぞ、超兵器とか物凄い大仕掛けの罠とか仕掛けてるかもしれねーだろ!」
ティク 「う~ん、無いとは言い切れませんよね」
ラス 「そうね、わかりました」
警報「ワーン ワーン ワーン ワーン」
ラス・マイク 「野郎ども!!! 戦闘用意だーーー!!!」
ラス 「敵は装甲車1台、脅威レベルSSで対応準備」
勇者 「いいか、お前ら!」
勇者 「戦闘になっても、今までどおりだ、何もかわらねー!」
勇者 「『ガレリア』の看板に喧嘩を売ってくるってんなら容赦する必要はねー」
勇者 「どんなハンターでも、どんなカンパニーでも、オフィスでもおんなじだ!」
ティク 「あれ? あのくるま、オフィスの装甲車みたいですよ」
勇者 「ほー、自分の手で引導を渡しに来たってのか! おもしれー♪」
ラス 「そんなわけ無いでしょ」
ティク 「どうやら、戦闘の意思は無いようですね」
たいち 「この戦力比で戦争を挑むなんて、どっかの勇者ぐらいのものだよ」
勇者 「みんな、気を抜くな! どんな悪辣な罠を仕掛けてるか知れないぞ!!!」
ラス 「みんな、戦闘態勢解除、警戒態勢で待機して頂戴」
勇者 「おいおい、勝手なことするんじゃねーよ」
たいち 「マっさん(マスターのマスター)、あれのどこに脅威があるって?」
装甲車は500mほど離れた場所で停車した。
そして、くるまから降車した人間が一人、こちらに向かって歩いていた。
どう見ても軽装で。
マっさん 「わからねーだろ、とにかく!!!」
マっさん 「アイツがなん・・」
ラス副長 「艦長、どうしましょう」
ティク艦長 「そうですね、1度、停車してみましょう」
たいち航海長 「了解、かんちょー!」
ラス副長 「そうね、いいわよ。 了解です♪」
ただのマっさん 「・・・・・・・・・・」