メタルマックス 終わりの始まりのその後が終わらなかった世界 作:KR410
新興、未発見、それ以外にも、資源採取、重要拠点、アンダーグラウンド、その他の事情により地図に載らない町は多い。
胡散臭い村の噂、実際に胡散臭い町。
「戦車」と口にするだけで半殺しに遭う村もあると聞く。
この期に及んで、人同士の争いも後を絶たなかった・・・・・
谷底に出現した町。
寂れて廃れて、生活観が感じられない。
傾いたタワーにワイヤーが張り巡らされ、それがテントやバラック小屋の構造材として利用されているようだ。
それらのテントにも人気(ひとけ)は感じられない。
外周は、安普請でボロっちいが鉄の壁が覆い、間違いなく町か、町だった形跡があるのだが。
姫子 「町が見えてきたね♪」
かなた 「うん」
姫子 「・・・・・」
姫子 「だけど、アレは町かな? モンスターにやられてるかも? もしかして盗賊がいるかもね!」
かなた 「まだ、気を抜くなってことでしょ?」
姫子 「・・・・・」
姫子 「う~ん、そうなんだけど、そうじゃないんだ・・・・・」
かなた 「・・・・・?」
姫子 「アハハハハ♪ あたしもあんまり言葉にするのは得意じゃないからねー」
姫子は かなたに、自分の経験からのサバイバルの心得、要点を伝えようとしていたが、かなたの性格が自分より遥かに真面目、馬鹿正直と言った方がいいか、そんな感じなので、うまいことニュアンスが伝わらずに、口調とは反対に真剣に悩んでいた。
半端に教えて、半端に解釈されると命にかかわる問題だけに。
だけど、・・・・・、結局、グダグダだった。
そもそも、戦闘スタイルも才能もまったく異なるタイプの2人。
姫子の言う事が かなたにピンとくるはずも無い。
姫子 「どんな地獄でもね、諦めずにゴチャゴチャやってれば、意外と何とかなるもんなんだよ」
かなた 「ゴチャゴチャって?」
姫子 「何も思いつかなくても、とりあえずゴゾゴゾしてればね、何かのきっかけが掴めるってゆうか」
かなた 「・・・・・」
姫子 「・・・・・」
姫子 「あー!!! とにかくね、これだけは覚えときな。 戦闘中に止まっちゃ駄目! 頭も体もね」
かなた 「・・・・・、はい」
姫子 「・・・・・」
かなたの歯切れの悪い返事を聞きながら、姫子の表情が曇っていく。
そして、さえない表情の3人を乗せて、フリフリは町の入り口で停車した。
姫子 「ん~・・・・・」
かなた 「・・・・・」
姫子 「そうだ!」
かなた 「?」
姫子 「メギがいないときのかなたは、真面目すぎるんだ!」
姫子 「戦争はね、もうちょっと不真面目にやるモンなんだよね」
かなた 「えっ?」
少年には難解な姫子教官の戦争観を聞いていると、町の門が 1/3 開いた。
こちらからのアクション無しに、唐突に。
すでに日が暮れて、ただでさえ暗がりの渓谷は暗闇に包まれていた。
かなた 「姫子さん、町の門が開いたけど?」
姫子 「誰か居るのは間違いないようだね」
姫子 「よし、このまま行っちゃおう!」
かなた 「本気!」
姫子 「いいからいいから、 ほら、前進!」
かなた 「・・・・・」
かなた 「行きますよ、ほんとに行きますよ!」
「フリフリ」が、真っ暗で薄気味悪い町の門を低速でくぐって行く。
かなたは、ド緊張、慎重に警戒しながら。
姫子 「かなた! もっとこう、ほら! アレ!」
かなた 「え? 敵がいるの!」
姫子 「じゃなくって、気を抜いて! じゃなかった」
かなた 「?」
姫子 「もっと気楽にね、力を抜きなって、リラックス!」
かなた 「・・・・・」
かなた 「あ!!!」
姫子 「なに?」
こんな時だが、かなたは一つ謎が解けた!(気がした)
姫子教官「戦争論」序
戦争は不真面目にやるもんだ → 力を抜いてリラックス! って言いたかったのか。
(ぜんぜん違ってる・・・・・)
だけど、自分が緊張してると自覚するだけでも、それなりに効果はある。
すぐに対処は難しいが、テンパって ぎこちないことを自覚していた。
姫子 「どうしたの?」
かなた 「・・・・・」
姫子 「かなた、どんな状況でも、オートで無駄口を叩けるようになってこそ一人前だぞ」
かなた 「ヘヘへ♪ 姫子さんの言おうとしたことがわかった気がする」
かなた 「ようは、力を抜けって言いたかったんでしょ」
姫子 「・・・・・、あながち間違いでもないんだけど、ちがう」
かなた 「ち、ちがうの・・・・・」
姫子 「うーん、なんて言ったらいいか・・・・・」
かなた 「姫子さん」
姫子 「ん?」
かなた 「リラックス! なんちゃって♪」
姫子 「・・・・・」
姫子 「ほらね、緊張するとこうなる」
姫子 「だけど、かなたはもう少し気楽に運転した方が良いと思う」
門をくぐり人の気配を探す二人は、ゆっくり中心部で傾いているタワーを目指していた。
----------
かなた 「ここは何の町だろう?」
姫子 「さーねー、人の気配がしないね」
かなたは、なんとか平常心を取り戻していた。
姫子教官の教え通りに、精一杯 無駄口を叩きながら「フリフリ」の運転に集中していた。
この町は、町と呼べるほど大きくは無いが、そこら中に鉄くずが転がっていて町だったような雰囲気があった。
今は、さながら機械の墓場。
そんな町の中央には、傾いたタワーとごちゃごちゃに積み重ねられた鉄くず、建物のような何かが埋まっているようだ。
かなた 「これだけ鉄くずが集まると、かえって不気味だよね」
姫子 「そうだね、ここの世界で売れればそれなりの財産になりそうだけど・・・・・」
かなた 「そうか! ここは、価値観が変だったんだ! あれ?」
姫子 「気がついた、鉄をこれだけ集めてるって事は」
かなた 「戦車!!!」
姫子 「戦車かどうかはわからないよ、だけどうまくすれば補給が受けられるかもね♪」
姫子 「・・・・・、敵じゃなかったらだけど」
姫子は、真剣な表情で状況の把握に努めていた。
予想以上の金属の残骸の量に、自分の決断に不安がよぎる。
かなた 「姫子さん、緊張してるよ♪」
姫子 「・・・・・、ハハハ♪、ごめん」
かなた 「いやいや♪」