メタルマックス 終わりの始まりのその後が終わらなかった世界 作:KR410
戦う事務所「フィリファリーテ」の室内には数枚の手配書が張られていた。
そんな一枚。
この3番目の大地で最強のお尋ね者。
討伐報酬 20万ゴールド。
移動する巨大な鳥の巣 「ファントムネスト」
その姿を目撃した者は少ない。
無線 「ピー! ガガガ!!!」
無線 「もしもしもし!!!」
無線 「こんにちわ~、あなたのお名前、お名前は?」
かなた 「ど、どうしよう」
姫子 「任せた♪」
突然、男の声が交信してきた。
無線 「名前を、名前を教えてくれんかねー?」
無線 「名前、名前、名前!」
かなた 「かなたです、この町の方ですか?」
無線 「町? ここのこと? ここは町じゃないぞ」
かなた 「町じゃない? 村ですか?」
無線 「いいや、ここにはワシしか住んどらん、いや違った」
かなた 「え?」
こんな谷底に、鉄くずに埋もれて暮らす人。
やはり、この大地でも鉄くずはそれなりの値で取引されているのだろうか?
無線 「手紙を見て来たんじゃないのかね?」
かなた 「手紙? 俺たちはモンスターに追われてて」
無線 「・・・・・」
無線 「な~んだ、通りすがりか、あ~あ、ガッカリ」
無線 「・・・・・」
無線 「それにしてもそれ、不細工な戦車だなー」
かなた 「・・・・・!」
姫子 「『フリフリ』が戦車ってわかるの!」
無線 「フリフリ? それが名前なのか? ハハ♪ 最悪のネーミングセンス!」
かなた 「・・・・・!!!」
姫子 「ちょっと困ってるんだけど、一晩、宿を借りれないかな?」
無線 「・・・・・」
かなた 「姫子さん! 信用していいの? ちょくちょくけなしてくるよ、コイツ」
無線 「・・・・・」
無線 「いいよ」
かなた 「どうせ条件があるんでしょ! お金なら無いぞ!」
無線 「そんな物はいりません」
無線 「僕とお友達になってくださいませんか♪」
かなた 「は?」
姫子 「・・・・・」
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無線の男 「改めまして、こんばんは♪」
姫子が条件を口先で快諾し、3人は男の住む建物に招かれた。
当然、友達になる気などもうとうないのは言うまでも無い。
無線の主は、ファンキーな髪型にメガネ、小柄だがガッチリとした体格が服装の上からわかる、年齢のよくわからない元気なお爺さんだった。
無線の男 「『バトー博士』と呼んでね♪」
姫子 「バトー? 『バトー』って名前なんですか」
バトー 「うんにゃ、ホントは『バトウ』。 だけど、友人はみんな『バトー博士』と呼ぶんだよ♪」
姫子 「バトー博士、お招きいただいてありがとうございます♪」
バトー 「ヒーッヒッヒ♪ 水臭いことを言いなさんな、僕たちはもう友達なんだからね、 ト・モ・ダ・チ ♪」
かなた 「・・・・・」
無条件に他人の親切を信じるなど狂気の沙汰に紙一重なこの世界。
姫子は、和やかに他愛も無い話で談笑しながらも警戒感をといてない。
老人の格好も態度もこの場所も何もかも胡散臭すぎる!
バトー 「さあさあ、3人とも! もう休みたまえよ」
バトー 「その 大男は体調が悪そうじゃないかね、奥のベッドは自由に使っていいからね♪」
姫子 「そうさせて貰おうか、かなた」
かなた 「・・・・・」
姫子 「それじゃー、バトー博士♪ 先に休ませてもらうね♪」
バトー 「ハイハイー、おやすみー♪♪♪」
姫子 「おやすみ♪」
かなた 「・・・・・、おやすみなさい」
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隣の部屋には、ふかふかのベッドがたくさん置いてあった。
まるで病院のように。
かなた 「姫子さん、ほんとに大丈夫なの?」
姫子 「何か裏があるにしても、『友達になって♪』じゃ釣れないでしょ~よ」
かなた 「・・・・・」
姫子 「まー、人の気配はないし、アルも戦闘不能だしね」
姫子 「筋骨隆々っても、爺さん一人ぐらいなら蹴散らせるよね、かなたなら♪」
かなた 「・・・・・、あの胡散臭いジジイ相手ならやれるかも!」
姫子 「頼りにしてるからね♪」
姫子 「それじゃー、今日はここに泊まろー♪ うーん❤ ふかふかだわ~~~❤❤❤」
久しぶりのふかふかベッド♪
かなたは寝るつもりは無かったが、すぐに爆睡した。
睡魔に襲われながら、命の危険を意識していたが、すぐにどうでもよくなって。
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バトー 「グゥッ モォーニィーンンン♪♪♪」
かなた 「う~ん」
バトー 「朝食の用意が出来てるよ♪ マイフレンド♪」
かなた 「こ、ここは?」
バトー 「寝ぼけてるのかい? いや、元からボケてるんだね、きっと♪」
かなた 「・・・・・」
バトー 「ここは『バトー研究所』だよ」
かなた 「・・・・・」
何となく、昨日の記憶が蘇ってくる。
どうやら、そうとう気持ちよく眠っていたようだ。
あれ? アルと姫子の姿が無い。
かなた 「二人がいない!!!」
バトー 「どうした、フレンド、二人なら向こうにいるぞ!」
かなた 「どこに連れて行ったぁー!!!」
バトー 「なんじゃ! どうした! 恐い顔して・・・・・」
かなた 「ガルルルル~~~!!!」
バトー 「二人なら、あっちの部屋で朝食中じゃよ!」
かなた 「朝食」
そういえば、なにか、とても空腹を刺激するやさしい香りがしている。
かなたのお腹 「ギュルルルル~~~♪」
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バトーの言ったとおり、隣の部屋でアルと姫子は朝食をとっていた。
いたって普通に。
アル 「おはよう、かなた♪」
姫子 「おはよー、寝ボスケくん♪」
かなた 「アルー! 体は大丈夫なの!」
アル 「あー、だいじょぶだ、面目ない、ハハ」
バトー 「そんなことよりさ、冷めないうちに朝食をどうだね」
姫子 「バトー博士の料理、おいしいよ~♪」
アル 「ほんと、絶品だぞ♪」
かなた 「・・・・・」
バトー 「さあさあ、座って座って」
警戒しながらも、素直に朝食をいただく寝起きの少年。
こんがりトーストのようなものにベーコンのようなもの、なんて事の無いスープ。
だが、確かに絶品だった。
こんな辺鄙な場所でなければ、流行りのホテルになりそうなぐらい。
かなた 「う !?」
かなた 「おいしい!!!」
バトー 「おいしいかい♪ それは良かった、これは助手が作ったんだ」
バトーはとても満足そうな表情を浮かべていた。
かなた 「・・・・・」
姫子 「助手がいるの?」
バトー 「世界一の助手がおるんじゃ、じゃがのー・・・・・」
姫子 「・・・・・、そうだよね、こんな場所で、一人暮らしはさすがに寂しいもんね」
バトー 「いや、一人暮らしじゃよ」
アル 「助手は?」
バトー 「世界一の助手がおるよ」
アル 「・・・・・」
姫子 「バトー博士、博士は何の博士なの? ここで何か研究してるの?」
バトー 「おおぉぉぉ~!!!、 トモダチに自分のことを聞かれるって ス・テ・キ❤」
バトーは何だか凄く感激している。
バトー 「僕のことが気になるんだね、ヒーッヒッヒ♪」
姫子 「・・・・・」
バトー 「それでは、改めまして」
バトー 「僕は『バトー研』代表の『バトウ』、『バトウ ケン』じゃないよバトー研究所だからね」
バトー 「色々やってるんだけど、主に戦車の設計と製造をしてるんだ♪」
アル 「設計と製造! オリジナルの戦車を作ってるんですか?」
バトー 「ヒヒヒッ♪ まーね、すごいでしょ♪」
アル 「・・・・・」
姫子 「・・・・・」
かなた 「・・・・・」
3人は、にわかには信じられなかった。
ただでさえ博士のイメージには程遠い。
おおかた、もうろくしてるのか、じゃ無ければスクラップを適当につなげた くるま で戦車ごっこをする盆栽じじいだろうと、かなたは侮っていた。
朝食後、どうにも信用できない、言葉の節々にトゲがあるが、その態度は無邪気な子供のような老人の用意した朝食をおいしくいただきながらも、やっぱり警戒感が残る、そんなバトーに案内されて、軽く「フィリファリーテ」を博士に見せてから、自称研究所の見学会が始まった。
自称博士は、まっとうな戦車好きなら、しばらく視線を外せないほどの異形と存在感を持つ「フリフリ」への関心もそこそこに、鉄くずの山に向かって歩き出した。
バトー 「ふんふん、思ったよりも理にかなってるじゃないか」
バトー 「だけど、メインフレームの形状がいただけないな」
姫子 「バトー博士、あたし達、次の町に弾薬の補給に向かってるんだけど、後でルートを教えてね♪」
バトー 「ここで出来るよ」
アル 「な?」
バトー 「それより、さあ、わが研究所にようこそ❤」
バトー 「そして少年、キミが僕の人生 100人目の『トモダチ』だよ おめでとー♪」
かなたは「バトー研」の中心、バトーが研究所入り口と言った場所でバトーからの「おめでとー」の声をかけられたがそれどころではない。
昨日は暗闇で解からなかったが、スクラップの山の傾いたタワーを前に金縛りにあった。
かなた 「アル! 姫子さぁーん!!!」
かなた 「ファントムネストだあぁぁぁぁぁ!!!」
アル 「なに!」
姫子 「!?」
3人は、バトーを残して、とりあえず散会した。
走りながらモンスターを確認する。
バトー 「どうしたの、フレンド達???」
あれ? だけど、昨日もそこにたたずんでいた。
おまけにワイヤーがかけられている。
改めて傾いたタワーに視線を送る3人、どうやら、完全に破壊されてるようだ。
アル&姫子 「・・・・・」
アル 「博士、あれは?」
バトー 「アレ? あー、助手が拾ってきたんだよ」
アル 「なんだって!!! アレは20万のお尋ね者ですよ!」
バトー 「ふーん」
手配書には、デッカイ鳥が一緒に写っていた。
姫子 「でかい鳥が一緒じゃなかった?」
バトー 「美味じゃったろ」
姫子 「?」
バトー 「今朝のベーコン」