メタルマックス 終わりの始まりのその後が終わらなかった世界 作:KR410
それは、一般に「ダイダロス級」と呼ばれるタイプのロボットタンクを指す言葉だった。
世界中のオフィスにシルエットとバリエーションが報告され、注意が促されているため、ハンターが巡洋艦と聞けば、十中八九「ダイダロス」を連想するぐらいに。
聞くところによると、「ダイダロス」は凶悪で極悪、破壊と殲滅の権化なのだそうだ。
陸上巡洋艦、陸上戦艦の呼び名を持つモンスターやその名を冠する戦車は他にもいるが、独特な大型のシャーシを持つ一連の「ダイダロス級」は、見た目にも姿形が似ている。
「ダイダロス」や一部の賞金首には、ボーナスが付くらしいと噂されている。
残骸を鉄くずとしてオフィスに持っていけば、相場の3倍の値段で買い取って貰えるんだとか。
かなたは二人に引きづられながら走っていた。
かなた 「ちょちょ、ちょっとちょっと、二人とも!」
アル 「かなた、黙って走れ!!!」
姫子 「とりあえず、フリフリまで戻るんだよ!!!」
かなた 「・・・・・」
あんなに酷い目にあっても、いくら出発しようと言っても、留まり続けたバトー研究所。
それなのに、バトー戦車を見たとたん、一目散に逃げ出す理由がよくわからない。
かなたは、「ダイダロス」も「巡洋艦」も、その名の持つ恐ろしさをあまり理解していなかった。
アル 「戻ったらすぐ出発だ、いいな!」
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「フリフリ」に戻って来た3人は、慣れた手つきで、手際よく発進準備に取り掛かった。
かなた 「アル、巡洋艦ってなんなの?」
アル 「そうか、おまえは知らないのか」
アル 「陸上巡洋艦『ダイダロス』 世界各地で目撃される凶暴な戦車タイプのお尋ね者だ」
かなた 「お尋ね者!!! 嘘でしょっ! アレがそうだってゆうの?」
姫子 「さあね? だけど、形は似てたけどね」
アル 「準備も何もしてないんだ、本物だったらおしまいだぞ! 目を覚ます前に逃げだすんだ」
アルの操縦で「フリフリ」は緊急発進。
どうにもピンと来ないかなたは、周囲の警戒をしながらも緊急発進による消耗具合を心配していた。
かなた 「だって、メギさんに怒られるんだもん・・・・・」
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんんん!!!!!」
「がごぉぉぉぉぉんんん」
「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」
「バラバラバラ」
轟音と共に研究所の一角が激しくぶっ壊れた!
外壁がはじけ、天井が崩落し、山のように積んであった鉄くずが雪崩を起こして崩れていく。
アル 「どうした?」
かなた 「わからない、『バトー研』が爆発した!」
姫子 「とにかく、ここから出なきゃね」
「ドオォォォン!」
「ドオォォォン!!」
「ドォォォォン!!!」
姫子が副砲の120mで派手に外壁をぶっとばした。
アル 「姫子! 懐具合が心もとないんだからな!」
姫子 「わかってるけど、それどこじゃ無いでしょーが!」
無線 「ガガガ、ザザ、ガー」
無線 「ちょっと、待ちたまえよ」
アル&姫子 「!?」
無線 「もう行ってしまうのかい、こんな老い先短い老人を残して・・・・・」
悲しそうな声の バトーの無線が入ってきた。
アル 「あんた、いったい何なんだ? 何が目的なんだよ!」
無線で博士と交信していると、崩落して埋もれた鉄くずを押しのけ、引きずりながら、激しくキャタピラを空転させ、巡洋艦が飛び出してきた。
大量の鉄くずを撒き散らし、弾き飛ばし、砂煙を舞い上げながら迫りくるその姿。
まさに お尋ね者 のそれだ。
かなた 「わあぁぁぁぁぁ!!! 出てきたあぁぁぁぁぁ!!!」
アル 「おわあぁぁぁぁぁ!!!」
姫子 「いやあぁぁぁぁぁ!!!」
無線 「どうしたんだい、大きな声を出して、お腹が痛いの?」
アル 「なぜ、俺たちを狙うんだ!」
無線 「狙う? 何のこと?」
会話をしながらも、グングン近づいてくる。
信じられないが、フリフリの5倍は大きな あっち の方が悪路でも断然速い。
かなた 「近づいてくるよ!」
アル 「嘘だろ、 目一杯飛ばしてるんだぜ!」
無線 「次の町に行くのかい? 補給はうちでも出来るのになぜかな?」
姫子 「バトー博士、しゃれたことゆうじゃない、モンスターのくせに!」
無線 「モンスター? 僕が?」
姫子 「それ以上近づいたら撃ち込むぞ!!!」
追撃してくる陸上巡洋艦に比べれば、なんちゃって感の否めない、ペイロード重視の陸上戦艦チックな「フィリファリーテ」。
120mmの砲塔を旋回させながら、ハッタリをかます姫子だった。
無線 「・・・・・」
だが、そのハッタリは、120mmよりも攻撃力があった。
無線 「・・・・・」
無線の沈黙と共に「ダイダロス」は急激にスローダウン、そして停車した。
無線 「そうか、キミたち『も』行ってしまうんだね」
無線 「また、いつか、遊びに寄って下さい・・・・・」
無線 「テツクズノヤマデ デアッタ ニンゲンノクズ、ハカセ ニ タイホウヲムケテ マタ デテイク」
アル 「・・・・・」
とても哀愁漂うその口調、ボケナス(アル)は少し動揺している。
無線 「さようなら、フレンズ」
姫子 「それじゃーねー、博士♪」
アル 「・・・・・」
バトー博士が使ったのは、「またね」じゃなくて 「さようなら」。
無線 「・・・・・」
アル 「・・・・・」
「フィリファリーテ」もスローダウン。
姫子 「何してんのさ! 止まっちゃだめだろ!」
アル 「・・・・・」
かなた 「アル?」
アル 「そう言えば、話の途中で出てきちまったよな」
アル 「話だけでも聞いてみようや」
姫子 「何言ってんの!!! あっちの方が早いんだよ!!!」
アル 「・・・・・」
姫子 「アル!!!」
いつもとは逆で、暴走するアルを諭す姫子だったが・・・・・
長いことコンビを組んでいる二人。
姫子 「あーあ、かなたが甘くなるわけだ!」
アル 「すまん」
姫子 「アル、わかってるだろうね!」
アル 「あたりまえだろ」
姫子 「よく言うよ」
意外とあっさり、アルの暴走を黙認。
戦術的に有利な場所を探して、バトーに向けて艦首を振り「不利不利」を停車させた。
「ガコン ガコン ウィーン ガァーン ウィーーーン」
姫子 「主砲、封印解除」
口径200mmの超長砲身が射角を上げ、「ダイダロス」を補足する。
姫子も当然、この程度の小細工で勝てるなどとは思ってないし、こんな時のアルの判断を全面的に信用してるわけでもなかった。
姫子 「かなた、戦闘になるかもしれない、とにかく生き延びるんだよ」
かなた 「大丈夫でしょ、二人の事、信頼してるもんね」
姫子 「信頼か・・・・・、フフフ♪ そうかもね♪」