メタルマックス 終わりの始まりのその後が終わらなかった世界 作:KR410
戦車に踏み荒らされ、半壊した、その場所のほど近く。
この世界では珍しい、豊かな水量を誇る美しい大瀑布が、勇壮にしぶきを舞わせていた。
その、滝を背にしてせり出した断崖には、二つの小さな墓が寄り添っている。
こじんまりと咲く名もない小さな花達の絨毯と、真新しい、花輪に飾られて。
彼女 「そうして博士は、究極の「5号(6号のプロトタイプ)」を完成させたのです」
アル 「うおぉぉぉぉぉ!!! とうとう完成か♪」
彼女 「『戦車の墓場』での運用テストを終了したバトー博士とサースデーは『バトー研』を閉鎖して旅に出ました」
姫子 「それから?」
彼女 「再び、新しい実験場を求めて、さすらいの旅が始まります」
彼女 「サースデーは、博士と共に、いろんな場所を巡りました。 地の果て、空中要塞、水上都市、伝説のあの施設」
バトー 「そうだった、あの5号は優秀でした」
彼女 「どこに行っても 無敵 だった5号ですが、破壊されてしまいます」
バトー 「なんと! 5号を破壊するじゃと! どんな化け物だっけ?」
彼女 「・・・・・」
姫子 「で、どうなったの? サースデー君?」
彼女 「カンパニーを蹴散らし、お尋ね者をなぎ払い、オフィス派遣軍を返り討ちにして」
彼女 「そんな、どの戦場でも無敗を誇った5号は、たった一台の通常型タンクに沈められてしまいました」
バトー 「うっそだー!!!」
彼女 「博士、覚えてないですか? あの強烈な『赤い戦車』」
バトー 「赤い戦車?」
バトー 「・・・・・赤い戦車」
バトー 「あー!!!」
バトー 「そ、そうだ、そうだった! 思い出した!!! 悪魔殺しの狼王だ、血まみれの狂犬『マッドウルフ』だー!!!」
姫子 「悪魔殺し♪ 血まみれ狼王♪ なんだそれは♪」
アル 「そいつは、どんな怪物だったんだ?」
バトー 「・・・・・」
彼女 「・・・・・」
急に黙りこくる二人?だった。
いつも元気なバトーの表情も冴えない。
姫子 「そんなにショックだったの?」
バトー 「そうじゃないんだ」
彼女 「・・・・・」
姫子 「どうしちゃったんだろう?」
アル 「さあ?」
二人?はしばらく沈黙した。
かなた 「(アレは・・・・・、 もう、どうでもいいか)」
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しばらくの沈黙の後、バトーがまず、口を開いた。
その、重そうな口を・・・・・
彼女 「・・・・・」
バトー 「この話はね、本当にボク達が経験した話だってことを断っておくよ」
バトー 「5号のテストで、旅を続けていたある日のことだ」
バトー 「イカレタ格好をしたお婆さんと知り合ったんだ」
彼女 「いいえ、若い情報屋でした」
バトー 「あれ? そうだったかな・・・・・」
彼女 「彼女の情報では、そこは、終わりの始まりの場所」
バトー 「ウソかホントか? 『大破壊を引き起こした悪魔の要塞』なんて噂を仕入れたんだ」
アル 「・・・・・」
アル 「また、大破壊・・・・・」
バトー 「で、その施設に行ってみた」
姫子 「そこにいたの? 狼王♪」
バトー 「いんや、その施設は半壊して町になっとったよ、たいしたモンスターもいなかった」
彼女 「いいえ、そのモンスター達は強力でしたが、5号の敵ではなかっただけです」
バトー 「まあまあ、それはどっちでもいい事だ」
バトー 「収穫も得られずに「バトー研」に戻る途中だったね、あの場所は・・・・・」
彼女 「はい、バトー博士」
彼女 「そこは、滝を背にした断崖で、さわやかな風と夕日に照らされる、暖かな、穏やかな場所でした」
アル 「いいな♪ 引退したらそんな場所で暮らしたいな」
姫子 「いいね、そんな場所なら♪」
バトー 「なかなか、美しい風景だったよ、風が気持ち良くってね」
彼女 「その時でした、5号とリンクしているサースデーのセンサーは、夕日の中でたたずむ彼を補足したんです」
アル&姫子&かなた 「彼?」
バトー 「そう、『マッドウルフ(狂犬)』のように戦う 彼 だ」
彼女 「見た目は、何の変哲も無い、旧型のMBTでした。 くすんだ真っ赤な塗装を除いて・・・・・」
アル 「はっ? MBT?」
姫子 「お尋ね者とかじゃないの?」
バトー 「主砲1門、小口径の副砲1門、機銃3丁にSEポッドが2基、主武装はそんなとこだったよ」
彼女 「そんなところでした」
アル 「ただの 戦車 にやられたのか?」
姫子 「冗談でしょ? お尋ね者戦 無敗の5号が?」
かなた 「その戦車も凄い装備だよ」
アル 「だが、5号にかなうはずがないぞ」
バトー 「そうなんだ、「無敵」なんて傲慢な考えは持たないようにしてるつもりだったんだけどね・・・・・」
バトー 「天才のボクにも、慢心があったのかなー? 5号を破壊できる相手を探してたからね、彼を見てガッカリしたのは事実だよ」
彼女 「彼は、ゆっくり動き出しました、こちらに向かって」
バトー 「主砲はだらりと下がり、砲塔はあさっての方向を向いて、左右転輪の同調不良か? 何だかよたよた近づいて来るんだ!」
彼女 「バトー博士が、無線での交信を試みますが、応答がありません」
バトー 「そして、砲塔を振りぬき、照準も定めずに、いきなり発砲してきたんだ!」
バトー 「その、200mm弱の砲弾は、二番砲塔に直撃! 一発で副砲が大破!!!」
彼女 「当たり所が悪かったとしか言いようがありません」
バトー 「そうなんだよ、あの一撃で大破するほど、ヤワには出来てないんだよ、どう考えてもありえないんだよ」
彼女 「彼は、バトー博士を攻撃したんです、サースデーは全力で応戦しました」
バトー 「そうだ、本気で相手をしたんだ! だけど、彼は凄いんだ」
彼女 「こちらの攻撃が、命中しないのです。それなのに、彼の攻撃は、全弾、致命傷を狙ってきてるとしか思えないほど、的確なポイントに着弾してくる」
アル 「5号と互角に渡り合うMBT、すげーな・・・・・」
彼女 「それだけではないです、ありえないことですが、瞬時の判断で防御できる攻撃は防御して、回避不能と判断すれば機銃で迎撃してきます」
バトー 「驚いたよ、実際、主砲もミサイルも、何度も迎撃されたんだからね」
姫子 「うそー! 主砲弾の機銃迎撃! そんな事が出来るの?」
バトー 「専用の装置と機銃を積んで、弾道を予測できるテストでは成功したがね、でも、実戦ではねー・・・・・」
アル 「それを『狂犬』はやるんだな・・・・・」
バトー 「すさまじい戦闘だった、まさに悪魔も神も超える野犬(オオカミ)だよ」
バトー 「一方的にボコボコにされてね、しかもほとんど主砲だけで。」
バトー 「散々、ボコボコにされた挙句に、試作型のCユニットシステムが損傷してね、5号を放棄することになったんだ」
バトー 「だけどね・・・・・」
姫子 「だけど???」
バトー 「不覚にも脱出に手間取って、そのときに大怪我を負ったんだ」
姫子 「やばいじゃん、それ!」
バトー 「実際に、駄目だと観念したよー、あの時はね」
バトー 「そのとき、サースデーが助けに入ってきたんだ」
姫子 「やるねー、サースデー君♪」
彼女 「だけど、そこは戦場でした、いつものテスト場(戦場)とは違います」
彼女 「バトー博士は叫びました、『ボクにかまわず逃げなさい』と」
姫子 「博士、カッコイー♪」
バトー 「かっこいい? どこが?」
彼女 「初めて博士の命令に逆らい、サースデーは、博士を抱えて逃げました」
彼女 「そんな間にも、容赦の無い砲撃が続いています。 テツクズになった5号からは、何とか抜け出しましたが・・・・・」
バトー 「すぐに追い詰められてね、夕日を背にする彼の主砲が、ゆっくりこちらを向いたんだ」
バトー 「サースデーが、体を盾にしてボクをかばおうとしてくれてね」
バトー 「絶体絶命の戦場で、地獄の門を前にしてだったのにね、ボクはとても嬉しかったのを覚えてるよ❤(忘れてた)」
彼女 「ハカセ・・・・・」
バトー 「サースデー❤」
姫子 「それでそれで、どうなったの?」
バトー 「それがねー、・・・・・、そのまま、何も起こらないんだ」
姫子 「なんでさ? 弾切れ?」
彼女 「いえ、もしも、主砲弾が弾切れだとしても、副砲、機銃、SE弾は大量に残っていたはずです」
姫子 「じゃーなんでよ?」
バトー 「わからないがね、狼の気まぐれかな? 血まみれの狼の王は、そのまま燃える地獄の門の中に消えて行ったんだよ」
姫子 「地獄の門?」
彼女 「燃える夕日のことです」
姫子 「あー、そうゆうことね♪ 博士って意外と詩人なのね♪」
バトー 「・・・・・、この話には必要だからね」
彼女 「バトー博士の言葉通りに、消えてしまったんです ユラユラと夕日の中に」
かなた 「消えた・・・・・?」
アル 「オイオイ、戦車が消えるわけ無いだろ、赤い戦車だから見失ったんだろ」
彼女 「信じられないのも無理はありません、ですが、ホントのことですから」
バトー 「ボクだって、いまだに信じられないんだからね」
バトー 「しばらくそこに滞在して、彼を探してみたよ、とても興味がわいたからね」
バトー 「だが、結局、見つからなかった」
姫子 「それで♪それで♪」
バトー 「いや、話はこれで終わりだよ・・・・・」
アル 「じゃー、結局『オオカミ』の正体はわからないのか?」
バトー 「いろいろ調べたがね、そんな戦車に乗ったハンターも、悪党も、当然モンスターもいないんだって」
彼女 「30年前には、そんな「赤いオオカミ」がいたそうなんですが・・・・・」
バトー 「6号を作れば再戦できるかとも思ってね、やってみたんだけどね」
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かなた「結局、その『オオカミ』はなんだったんだろうね・・・・・?」
アル 「さあなー?」
姫子 「不思議な物語だったよねー、でも面白かった♪」
かなた 「あれ? 俺たち、何でこんなとこを走ってるんだっけ?」
「フリフリ」と「バトー戦車6号」は、いったん「バトー研」に撤収して行く。
再び、日が暮れようとしているので。
あとがき
やばい、後編だ!!! キャラクターも、筆者も、ボンクラ揃いで申し訳ありません、話が進まない・・・・・
本編で語られそうも無くなってきたので、ネタバレちゃいましょう。
反則だけどしょうがないよね♪ MMだしね。
お察しの通り、オフィスが収集した「ダイダロス」の断片的な情報元に、バトー博士の解析から再設計された戦車。
「バトー式ダイダロス」
ハンター、トレーダー、ヤバイ人々、それを望むバトーのトモダチへ♪
対価(主に鉄くず)の見返りに生産、供給しながら、実践でのテストを繰り返し、フィードバックされた技術から特別に建造されたのが アレ なのでした。
一般供給型「バトーダロス」は、6号とは違い、オリジナルに近いデザインです。
そのため、戦闘には事欠きません、データは取り放題♪
そのデータを元に、設計されたのが「バトー戦車5号」、6号のプロトタイプになる戦車です。
完成した「バトー戦車5号」の戦闘力は桁違いでしたが・・・・・
供給された、コピーによる最前線での実戦テスト運用は「戦車の墓場」と呼ばれる激戦区で2年間も続けられたそうです。
もしかしたら、あの「ダイダロス」はコピーだったのかもしれませんよ・・・・・