クロスアンジュ 儚き竜達への鎮魂歌   作:見知らぬ誰か

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第04話 改造

 メイルライダーとしてドラゴンを狩るようになってか一ヶ月が経ち、メイルライダーとしてどうにか新米と呼ぶのが消え始めた頃……私は4度目の報酬受け取りをしていた。

 

「撃破、スクーナー級20、ガレオン級への凍結バレット撃ち込み2。弾薬消費に燃料消費を差し引いて……今週分、180万キャッシュ」

 

 出された札束を私は受け取る。

 

「ようやく目標金額」

 

 今回の報酬で溜まったのは1000万キャッシュ。1つの区切りだな。

 

「何の目標にしていたんだい?」

 

 隊長がそう聞いてくる……横に連れたヒルダの胸を愛撫しながら、だが……まぁそれはどうでもいいことか。一先ず私には関係ない。

 

「ちょっとジャスミンモールで欲しいものがあったので」

「それで1000万キャッシュか」

「では、急ぎでもあるので!」

 

 私は隊長にそう言ってこの場から離れた。

 

・―・―・―・―・―・―・―・

 

 私は着替えた後、すぐにジャスミンモールへ行きパラメイル関連のものを扱う区画へ来ていた。

 高出力ジェネレータ、高レスポンスアクチュエータ、シールド、ブレード、ライフル……様々な物が揃うここでは列車砲まで陳列することがあるらしい。

 

「どんな用だい? レナ」

「ジャスミン、対ドラゴン用アサルトライフルはあるかな」

「アサルトライフルかい? ああ、あるよ」

「本当か?」

 

 流石はジャスミンモール。何でも揃っているな。

 

「まぁ、若干のアップデート版だけどね」

 

 そう言われて出されたのがアサルトライフル銃身下のアタッチメントがグレネードランチャーではなく長めのブレードに換えられたバヨネット付きアサルトライフルだった。

 

「これ、いくら?」

「1丁560万キャッシュだね」

「ね、値上がりしてる」

 

 前に確認した時は360万キャッシュだったような気がするんだけどなぁ……

 

「悪いがバヨネットアタッチメントのみは無いからね」

 

 ううむ……しょうがない、やるか。

 

「2丁、レナジャスレートで」

「勝負はいつも通りポーカーでいいね」

「もち」

 

 私とジャスミンは座り、私はトランプのデッキを取り出す。

 

「チェンジは1回」

「レートはアンタが勝ったら半額、私が勝ったら倍額でいいね」

「じゃ、始めましょうか」

 

 デッキを良く切り、カードを5枚ずつ配る。

 回ってきたのは完全にブタ……けど、仕組んだおかげもあってストレートフラッシュが見える。

 

「何枚チェンジですか? 私は2枚です」

「1枚チェンジだ」

 

 同時に手札からカードを裏向きで捨ててデッキから2枚引き、ジャスミンも1枚引く。

 来たカードでストレートフラッシュが確定。

 

「さて……と」

「コール、フォー・オブ・ア・カインド」

「コール、ストレートフラッシュ」

 

 ジャスミンが4のフォーカード、私がクラブの7、8、9、10、Jのストレートフラッシュ……ジャスミンのやつ、ディーラーでもないのにイカサマを……

 

「私の負けだね、半額……510万キャッシュだ」

「はい、510万キャッシュ」

 

 私はキャッシュを渡す。

 

「毎度あり。武装の変更についてはメイに言いな」

 

 ジャスミンは立ち上がっていつもの定位置に戻る。私はトランプを回収して……

 

「……マジですか……」

 

 捨て札の3枚の中にはジョーカーが1枚……私のところには来ていないからこれはジャスミンの捨て札ということだ。

 

「ファイブ・オブ・ア・カインド」

 

 ファイブカード……ジョーカーを含むポーカーにおいてロイヤル・ストレート・フラッシュ以上の唯一の役……

 

「イカサマもここに極まれりだな」

 

 私はジャスミンモールから出て整備デッキへ向かった。

 

・―・―・―・―・―・―・―・

 

「メイー、居るかー?」

 

 メイが走ってこっちに来る。

 

「何? パラメイルのカスタマイズ?」

「うん、そうなんだけど」

 

 私は腰のポーチからハンカチを取り出してメイの頬に付いていた機械油を拭き取る。

 

「男が居ないからって身嗜みを疎かにしちゃダメだよ~」

「あ……ありがと。で、どんな用?」

「ジャスミンのところから買い取ったバヨネットアサルトライフル2丁を私のに載せてくれない? 元々の方はどこかに仕舞っておいて」

「んー……1丁は機首に積めるけどもう1丁はどこに……」

 

 腰の部分は無理だし……ウイングに付けるにしたって速攻で使えるわけではない……となると……

 

「ハウザーに装備する感じで2丁装備できないか?」

 

 ハウザーとはアルゼナルで運用されている3機種の内の1つでグレイヴがオールラウンダーな機体に対しハウザーは砲撃戦に向いている重歩兵が扱う機体だ。第1中隊ではエルシャとクリスが使っている機体だ。いかにも重そうな感じだ。

 ハウザーには機首部にアサルトライフルをマウントできないため、フライトモード時には後ろに回される腕と機体の下方で中心線外してマウントされているのだ。通常のアサルトライフルでは機動を取りながら撃つとボディーに当たる可能性があるためロングバレルにしてマウントすることが多いのだそうだ。

 

「んー……それをやってもいいけどフライトモードの時にボディに当たる可能性があるよ」

「じゃあ、連射速度そのままに銃身伸ばせないか? アタッチメント部分も一緒に伸ばしてくれると有難いんだが」

「ロングバレル……? 少しお金とるけど良い?」

 

 無改造なら良かったが改造するならしょうがない。

 

「いいよ、いくら?」

「400万キャッシュ」

「はい」

 

 私はハンカチを取り出したポーチから400万キャッシュを取り出して渡す。

 

「確かに受け取ったよ。今から作業するけどすぐに出撃って可能性もあるからしばらくは1丁のままで我慢してね」

「分かった」

 

 メイは作業に戻ろうとして一度足を止めた。

 

「レナ、グレイヴに色を塗る気はない?」

「色……?」

「うん、色。ゾーラの紫やサリアの水色、ヒルダの赤にヴィヴィアンのピンク、ロザリーの黄にエルシャのオレンジ、クリスの緑……皆自分のパーソナルカラーを決めてるよ」

 

 ……それってさ……多分だけど……

 

「そのパーソナルカラーってライダースーツの色じゃないの?」

「あ、そう言えば」

「まぁ、塗ってくれるならお願いするよ」

 

 了解! と言ってメイは作業に戻っていった。

 

・―・―・―・―・―・―・―・

 

 メイに改造を頼んで2日。その間はドラゴン出撃はなく、暇な訓練の日々だった。

 訓練は主にシミュレータでの仮想訓練と実機での連携訓練の2つだ。シミュレータでは実戦のような対ドラゴン用訓練を行い、実機訓練では編隊飛行や急旋回急上昇急降下などの訓練を行う。

 とは言え、ドラゴンが来なかった訳ではないのだ。

 ここアルゼナルには3つの中隊があり、基本的にシンギュラーを開く前に連絡がある。。

 シンギュラーを開く場合にはアルゼナルで決められたシフトで動くのだが、基本的に第1中隊がドラゴンを狩る。故に第1中隊は儲けが大きいが危険のリスクも大きい……だからこそ『死の第1中隊』と呼ばれるわけだ。

 ちなみに第1中隊の損耗率は半年で隊長が変わるレベルらしい……ゾーラ隊長は半年前に隊長に格上げしたんだそうだ……まぁ、その時に隊長以外の古参の部隊員は殆ど居なくなって私の1年前にメイルライダーとなったゾーラ以外の部隊員が第2、3中隊から引っこ抜かれて今の第1中隊になったらしい……そう考えるとゾーラ隊長は随分と悪運が良いらしい。

 で、久しぶりにメイに進捗を聞きに来ていた。

 

「メイ、どんな感じ?」

 

 今、ちょうど私のを整備していたメイに話し掛ける。

 

「うん、ちょうど終わったよ」

「どんなかんじだ?」

「まぁ、特には問題なく。後はレナの感覚かな……」

「それは実際にやってみなきゃどうしようもないな……」

 

 機首部ではなく、下面に装備された私のアサルトライフル。ロングバレルになったお陰でボディに当たることは無いはずだが……

 

「重量も少し増してるから……もしかしたら重いと感じるかもしれない」

「あー……その時はその時だな」

「アクチュエータももう1回弄ったけどすぐにバカになっちゃうかもしれない」

 

 整備性に難有りってところか……まあ、本来なら両腕に装備することはないはずだしな。しょうがない……

 

「エンジンも弄って出力上げておいたよ。速度もう少し出ないかって愚痴ってたし」

「よく聞いてたね、そんなの」

「パラメイル関連で聞き逃すことは無いからね」

 

 ぽろっと零したことだったんだが……聞こえたのか……結構な騒音の中で言ったような気がするんだけどな……

 

「ま、これで改造も終わり! 色も塗っておいたしまた何かあれば言ってね!」

 

 メイは再びパラメイルの整備に向かった。

 光を反射しない灰色の塗装がされた私のグレイヴ……白から灰色だと一瞬でイメージが違うようだ……

 

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